■西川和久の不定期コラム■
NECパーソナルコンピュータは10月19日、2012年秋冬モデルの13.3型ノートPC 2機種を発表、10月26日から順次発売する。もちろんWindows 8搭載機だ。今回はその内の「LaVie M」が編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。
同社ノートPCのラインナップは、多くが15.6型の液晶パネルを搭載している。13.3型は、「LaVie Z」と「LaVie M」。前者は世界最軽量のUltrabook、後者は「快適性能を持ち歩くコンパクトモバイル」とキャッチコピーが付く2スピンドルノートPCだ。
従来モデルと比較して、特徴的な3列テンキー付きキーボードや天板に傷が付きにくいスクラッチリペアはそのまま、筐体を約5mm薄型化、パネルを開くと電源ONとなる「パネルオープンパワーオン」、「ピークシフト機能」、「急速充電」など使い勝手を改善した上に、最新のOS、Windows 8を搭載。プロセッサや液晶パネルなどもパワーアップしている。主な仕様は以下の通り。
NECパーソナルコンピュータ「LaVie M LM750/JS」の仕様 | |
CPU | Intel Core i7-3517U(2コア/4スレッド、1.9GHz/Turbo Boost 3.0GHz、キャッシュ4MB、TDP 17W) |
チップセット | Intel HM77 Express |
メモリ | 8GB(DDR3 SDRAM/SO-DIMM 4GB×2、PC3-12800対応、デュアルチャネル対応)/(2スロット/空き0)、最大16GB |
HDD | 1TB(5,400rpm) |
光学ドライブ | BDXLドライブ |
OS | Windows 8(64bit) |
ディスプレイ | 13.3型IPS液晶ディスプレイ(光沢)、1,600×900ドット |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 4000、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth V4.0+HS |
その他 | USB 3.0×2、USB 2.0×1、SDカードスロット、音声入出力、92万画素Webカメラ |
サイズ/重量 | 328.5×225.9×266.8mm(幅×奥行き×高さ)/約1.9kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約14時間(交換可能) |
店頭予想価格 | 15万円前後 |
プロセッサはIntel Core i7-3517U。2コア4スレッドでクロック1.9GHz。Turbo Boost時3.0GHzまで上昇する。キャッシュは4MB。TDPは17W。Ultrabookなどでよく使われているものだ。チップセットはIntel HM77 Express。メモリは4GB×2の計8GBを実装済み。デュアルチャネルで作動している。OSは64bit版のWindows 8。HDDは5,400rpmの1TB、光学ドライブはBDXLドライブを搭載。
ディスプレイは光沢タイプの13.3型IPS液晶パネルで解像度は1,600×900ドット。従来の1,366×768ドットからアップし、HDとフルHDとの間の解像度となる。ただ、タッチには非対応。Windows 8搭載機だけに惜しい部分だ。グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000。HDMI出力とミニD-Sub15ピンにも対応している。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/nとBluetooth V4.0+HS。その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×1、SDカードスロット、音声入出力、92万画素Webカメラ。一通り全て揃っているので安心して運用できる。USB 2.0ポートは電源OFF時にバスパワーを供給可能なタイプだ。
サイズは328.5×225.9×266.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.9kg。2スピンドルということもあり若干重め。バッテリは交換可能で、駆動時間は最大約14時間。本当にこれほど持つのか後半のベンチマークテストで検証したい。
カラーバリエーションは「ブレイズレッド」、「フラッシュホワイト」、「コスモブラック」の3種類。店頭予想価格は15万円前後。なお主要部分はそのまま、Core i5-3317U(1.7GHz)、4GB、750GB、DVDスーパーマルチドライブの下位モデル(LM550/JS)は125,000円前後となっている。NEC Directでカスタマイズも可能だ。
トップパネルや筐体の主要部分は綺麗な赤の「ブレイズレッド」。男女問わず使えるカラーリングだ。トップパネルはスクラッチリペア(時間経過と共に擦り傷が回復)で傷が付きにくい構造になっている。液晶パネルのフチと裏側はブラック。
左側には電源コネクタ、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、USB 2.0(Powered USB)、音声入出力。右側にはGigabit Ethernet、USB 3.0×2、光学ドライブを配置。電源コネクタは一般的な丸では無く、角タイプが使われている。裏は小さいパネルが2つあり、ネジを外せば簡単にメモリとHDDにアクセス可能だ。正面側面左側にSDカードスロットがある。
IPSタイプの13.3型液晶ディスプレイは、非常に綺麗な発色で、輝度・コントラストともに十分。視野角も斜めからの写真と正面からの写真を比較して分かるように、かなり広い。1,600×900ドットの解像度も個人的にはドットがスカスカにならず、と言って文字が読みにくいほど小さくもならず、ちょうどよい。
キーボードはアイソレーションタイプ。印字を保護するクリスタライズキーは独特の光沢だ。3列のテンキーも業務用途で役に立つ。キーピッチは実測で約19mm。ただし、スペースキー周辺のIME関連とメニューキーが狭くなっている。パームレストは十分広い。タッチパッドはボタンが無い1枚板で全体が左右に傾く。もちろんマルチタッチにも対応し、Windows 8を快適に操作できる。
ACアダプタは約105×65×15mmとコンパクト。コネクタはミッキータイプだ。振動やノイズは特に無く、熱に関してはパームレスト左側が若干暖かくなる。サウンドは最大出力が小さく、音楽を聴くにしても動画を観るにしても迫力不足で残念なところ。
●Wi-Fiで約9.6時間の長時間バッテリ駆動可能OSは64bit版Windows 8。メモリを8GB搭載しているのでプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000とメモリ共有しても余裕がある。スタート画面は2面とあっさりしているものの、デスクトップ環境は左側にショートカット、右側に「おすすめメニューNavi」と、どちらからと言えば初心者向け。同社らしい構成だ。
HDDは1TB/5,400rpm/キャッシュ8Mの「MQ01ABD100」。C:ドライブ約845GB、D:ドライブ約65GBの2パーティション構成で、初期起動時C:ドライブは空き約798GB。BDXLドライブは「BD-MLT UJ262」が使われている。
Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel Centrinoだ。チップセットにIntel HM77 Expressを採用しているPCとしては標準的な構成となる。
スタート画面1。1画面目はWindows 8標準構成 | スタート画面2。NECアプリが同社でカスタマイズされたもの。「ソフト&サポートナビゲーター」以降がデスクトップアプリ | 起動時のデスクトップ。左側にMicrosoft Officeなどのショートカット、右側に「おすすめメニューNavi」 |
デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDは1TB/5,400rpm/キャッシュ8Mの「MQ01ABD100」。BDXLドライブは「BD-MLT UJ262」 | HDDのパーティション。C:ドライブ約845GB、D:ドライブ約65GBの2パーティション構成 |
プリインストールされているアプリケーションは、Windowsストアアプリは、Fresh Paint、NAVITIME、SmartVision PLAYER、Yahoo!オークション、YouCam、コンテンツナビ、じゃらん、楽しもうフォトウィザード、ついっぷるトレンド、動画ナビ、ホットペッパーグルメ、楽天gatewayなど。
アプリ画面1 | アプリ画面2 | アプリ画面3 |
コンテンツナビ | 動画ナビ | ついっぷるトレンド |
デスクトップアプリは、Corel PaintShop Pro X4、CyberLink MediaShow、CyberLink PowerDVD、Cyberlink YouCam 5、DigiBookBrowser、デ辞蔵 PC 2.0、ECOモード設定ツール、Homeリンクマネージャ、Microsoft Office 2010、Roxio Creator LJ、ウィルスバスタークラウド、おすすめメニューNavi、おてがるバックアップ、再セットアップメディア作成ツール、ソフト&サポートナビゲーター、パソコンのいろは4 Office 2010編、ぱそこんのいろは8、パソらく設定、バッテリ・リフレッシュ&診断ツール、ぱっと観スライドショー、パネルオープンパワーオンの設定、パワーオフUSB充電の設定、ピークシフト設定ツール、ファイナルパソコンデータ引越、筆ぐるめ、らくらく無線スタートEXなど、大小多岐に及ぶ。
こうして見るとまだまだデスクトップアプリの方が圧倒的に多い。できればナビ系や電源管理系などは、ジャンルでまとめてWindowsストアアプリになれば、より便利ではないだろうか。
おすすめメニューNavi | ソフト&サポートナビゲーター | ECOみえグラフ |
パネルオープンパワーオンの設定 | ピークシフト設定ツール | パワーオフUSB充電の設定 |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとPCMark 7、BBenchの結果を見たい。参考までにCrystalMarkの結果も掲載した(今回の条件的には特に問題は無い)。ただし、Windows 8になってからWindows エクスペリエンス インデックスの最大が7.9から9.9へ変更となったので注意が必要だ。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.8。プロセッサ 7.2、メモリ 7.5、グラフィックス 5.8、ゲーム用グラフィックス 6.5、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は2844 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 44234、FPU 42186、MEM 46251、HDD 10324、GDI 16258、D2D 2089、OGL 7187。
さすがにCore i7を搭載しているだけあって全体的に高スコアだ。ストレージが5,400rpmのHDD、グラフィックスがIntel HD Graphics 4000と、プロセッサに対してバランスが今一歩であるものの、サクサク動きストレスは無い。
BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/ONでの結果だ。バッテリの残5%で34,052秒/9.6時間。BBenchとしては9時間越えと驚くべき結果となった。重量は約1.9kgとそれなりに重いが、これなら1日中バッテリ駆動で使っても問題無く、ピークシフトも実用的だ。
以上のようにNECパーソナルコンピュータ「LaVie M LM750/JS」は、1,600×900ドットのIPS液晶搭載した、13.3型2スピンドルノートPCだ。タッチパネル非対応なのがWindows 8マシンとしては少し寂しいところか。とは言え、Core i7プロセッサ+メモリ8GBで、動きはとてもスムーズ。一通りのインターフェイスも備えている。BBenchで9時間越えのバッテリ駆動も魅力的。国産で比較的小型の2スピンドルノートPCを探しているユーザーの候補になりえる1台だろう。