■西川和久の不定期コラム■
NEXTGEAR-NOTE i970PA1-SP |
マウスコンピューターはG-TuneブランドのハイエンドノートPCを発表、同日より出荷開始した。数モデルかある中、今回は最上位の「i970PA1-SP」が編集部から送られて来たので試用レポートをお届けする。Core i7-3920XMとGeForce GTX 680M、そして512GB SSD×2 、メモリ32GBを搭載するモンスターマシンだ。
●ハイパワーなモンスターゲーミングノートPC
同社のG-Tuneは、ゲームに最適な高性能PCとして位置づけられ、「NEXTGEAR-NOTE」シリーズは名前の通りノートPCのラインナップ。現在、i300、i400、i510、i760、i960、i970と、6つのタイプに別れている。今回ご紹介する「NEXTGEAR-NOTE i970」は、型番からも分かるように最上位として位置づけられる。初期構成は計8モデルも用意されている。
一番安価な「ブロンズ モデル」は、Core i7-3610QM(期間限定でCore i7-3630QMへ無償アップグレード中)、GeForce GTX 680M(4GB)、メモリ4GB、HDD 320GB、DVDスーパーマルチドライブ、LEDバックライトキーボード無し、64bit版Windows 7 Home Premium SP1といった仕様で169,890円。BTOにも対応し、プロセッサ、メモリ、SSD/HDD、光学ドライブなど好みに応じて構成可能となっている。
そして今回編集部から送られて来たのは、最上位の「プラチナモデル カスタム」=「NEXTGEAR-NOTE i970PA1-SP」。“驚き”とも言える仕様は以下の通り。
【表】「NEXTGEAR-NOTE i970PA1-SP」の仕様CPU | Intel Core i7-3920XM(4コア/8スレッド、 2.9GHz/Turbo Boost 3.8GHz、キャッシュ8MB、TDP55W) |
チップセット | Intel HM77 Express |
メモリ | 32GB(8GB×4)/PC3-12800、4スロット空き0 |
SDD | 512GB×2(RAID 0、計1TB) |
光学ドライブ | BDドライブ |
OS | Windows 7 Home Professional(64bit/SP1) |
ディスプレイ | 17.3型液晶ディスプレイ(光沢)、フルHD/1,920×1,080ドット |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 4000/ GeForce GTX 680M(Optimus対応/4GB)、 DisplayPort、DVI-I、HDMI出力 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE |
その他 | USB 3.0×3(内1つはeSATAと併用)、USB 2.0×1、 IEEE 1394、SD/メモリースティック対応スロット、 音声入出力、200万画素Webカメラ、キーボードバックライト |
サイズ/重量 | 412×276×41.8~45.4mm(幅×奥行き×高さ)/約3.95kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約4.9時間 |
価格 | 369,600円 |
プロセッサはIntel Core i7-3920XM。ノートPCにありがちな2コア/4スレッドでは無く、4コア/8スレッドとなる。クロックは2.9GHz、Turbo Boost時3.8GHzまで上昇する。キャッシュは8MB、TDPは55Wと、TDPは高いものの、エクストリーム・エディションでパフォーマンスは抜群だ。
チップセットはIntel HM77 Express。メモリスロットは4つあり、何と8GB×4の32GBが搭載済。仮想PCをいくつも起動する以外、筆者個人的には用途を思いつかないものの、これだけあってまだ足らないことは一般的にまず無いだろう。OSは64bit版のWindows 7 Professional SP1だった。
ストレージは512GBのSSDを2基。スペック上RAID 0が組まれているとのことだが、手元に届いたマシンは単に2台のドライブとして設定されていた。光学ドライブはBDドライブだ。
ディスプレイは17.3型のフルHD(1,920×1,080ドット)の光沢タイプだ。グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4000に加え、Optimus対応のGeForce GTX 680M(4GB)を搭載する。NVIDIAのサイトによると、このGTX 680MはノートPC用としては最上位モデル。“史上最高速の最先端ゲーミング・ノートブックGPU”と書かれている。出力も豊富で、DisplayPort、DVI-I、HDMI出力の3系統を備える。
ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0+LEも内蔵している。
その他のインターフェイスは、USB 3.0×3(内1つはeSATAと併用)、USB 2.0×1、IEEE 1394、SDカード/メモリースティック対応スロット、音声入出力、200万画素Webカメラ。USB 3.0の数も多く、1つはeSATA対応と、デスクトップPC並みの装備だ。そしてソフトウェアで発色や並び、光り方などをコントロールできるキーボードバックライトを搭載している。
サイズは412×276×41.8~45.4mm(幅×奥行き×高さ)。重量約3.95kg。さすがにこれだけの構成だとサイズと重量もヘビー級だ。バッテリ駆動時間は最大4.9時間。短いものの、逆にこれだけのスペックをバッテリ駆動できるのが驚きかも知れない。
価格は369,600円! 17.3型フルHD解像度の液晶ディスプレイ、512GB SSD×2、GeForce GTX 680M(4GB)、Intel Core i7-3920XMにメモリ32GBだと、さすがにこうなるのは仕方ないところだ。
トップカバーも含め全体はブラック。トップカバーとパームレストはヘアライン仕上げになっている。シルバーのG-Tuneロゴがなかなか映える格好だ。サイズ412×276×41.8~45.4mm(幅×奥行き×高さ)と言うこともあり、幅と奥行きはもちろんだが、高さは一般的なノートPCの2台分ほどある。ACアダプタも約194×85×45mm(同)とかなり大きい。
左サイドは、IEEE 1394、Ethernet、USB 3.0×3(一番右側はeSATAと併用)、SDカード/メモリースティック対応スロット。右サイドは、USB 2.0×1、音声入出力、BDドライブ。そして背面にHDMI出力、DisplayPort、DVI-I、電源入力を備える。
17.3型のフルHD解像度液晶ディスプレイは、明るくコントラストも高く、発色は鮮やか。IPSパネルでは無いため、視野角はそれなりだが(と言っても広め)、ホームポジションから操作する分には問題無い。さすがにこれだけ大画面だと映像の迫力が違う。ゲームはもちろんBDも楽しめる。
キーボードはテンキー付き。右の一部が若干キーピッチが狭くなっているものの、約19mm確保されている。パームレストとタッチパッドは十分広く操作し易い。ボタンは物理的にあり、1本バーで左右に傾くタイプだ。特徴的なキーボードバックライトは初期設定時、ブルーになっている。
ノイズや振動、発熱に関しては、さすがに後半のベンチマークテスト実行中、左サイドから冷却ファンの回転音とブローがかなり盛大だった。これは本機の特徴上仕方ない部分であり、使う側も折り込み済みだと思われる。
5.1ch+THX TruStudio PROのサウンドは、高域から低域までワイドレンジで音場もサイズを越えて広がる。出力もノートPCでは最大級だ。爆音に近い音量でゲームをプレイできる。
●Windows エクスペリエンス インデックス 7オーバーの高速マシンOSは64bit版Windows 7 Professonal SP1。メモリを32GBも搭載しているので何をしても余裕で動く。ほとんどのケースで余裕がある状態だろう。
初期起動時のデスクトップは非常にシンプルで必要最低限に留められている。タスクマネージャ/パフォーマンスからもわかるように8スレッド相当だ。
SSDは「ADATA SX910」を2台搭載。冒頭で書いたように、本来RAID 0(ストライピング)で1TBとして認識されるはずだが、今回届いたマシンは単にC:ドライブとD:ドライブに分かれていた。RAID 0だとさらにアクセス速度が向上するだろう。どちらも約476GB割当てられ、初期起動時C:ドライブは403GBの空きがある。BDドライブは「HL-DT-ST BD-RE BT20N」を採用している。
起動時のデスクトップ。左側に必要最小限のショートカットのみとシンプル。8スレッドなのがわかる | デバイスドライバ/主要なデバイス。SSDは「ADATA SX910」が2台。BDドライブは「HL-DT-ST BD-RE BT20N」 | HDDのパーティション。今回手元に届いたマシンの構成はRAIDではなく、単にC:ドライブとD:ドライブを2台のSSDへ割当てていた |
インストール済みのソフトウェアは、CyberLink Blu-ray Disc Suite/Power2Go/PowerProducer/PowerDVD 10、Windows Live Essentials 2011、THX TruStudio PRO、Hotkey(Control Center)など。あまり色々入っておらず、本機の特徴を活かせるものが最小限だけある感じだ。このクラスを購入するユーザーは玄人が多いと思われ、逆にこの内容の方が好まれる傾向にあるのだろう。
Hotkey(Control Center)は、画面キャプチャからわかるように、パワーモード、明るさ、ボリューム、Wi-FiとBluetoothのON/OFFなどがコントロールできるパネルだ。
この中にある「Backlight keyboard」を使うことにより、キーボードバックライトのカスタマイズが可能となる。光り方としてはRandom/Dancing/Tempo/Flash/Wave/Breath/Cycleを選ぶことができ、加えて発色やその並びなども指定可能。ゲーミング向けノートPCらしい、独特な雰囲気で非常に楽しめる。
Control Center | Control Center/Backlight keyboard | THX TruStudio PRO |
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとPCMark 7、BBenchの結果を見たい。また参考までに3D Mark 11とCrystalMarkの結果も掲載した。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 7.1。プロセッサ 7.7、メモリ 7.7、グラフィックス 7.1、ゲーム用グラフィックス 7.1、プライマリハードディスク 7.9。PCMark 7は5037 PCMarks。3DMark 11はP5961 3DMarks。CrystalMarkは、ALU 81135、FPU 67028、MEM 65257、HDD 43925、GDI 19250、D2D 11358、OGL 41089だ。
Windows エクスペリエンス インデックスは全て7オーバーと、ノートPCとしては抜群に速い。PCMark 7と3DMark 11も高スコアだ。CrystalMarkは4スレッドまでなので参考値となるものの、OGLが41089。かなり速いことがわかる。また、Optimus対応のグラフィックスではいつもD2Dがブラックアウトしていたが、今回はOKだった。
BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で10,249秒/2.8時間。スペック上は最大4.9時間なので約半分程度となる。とはいえ、このクラスのノートPCをパフォーマンスダウンさせてまでバッテリ駆動するのは考えにくく、室内の移動に使う程度なら特に問題ないだろう。
以上のように「NEXTGEAR-NOTE i970」は、4コア/8スレッドのCore i7-3920XMとGeForce GTX 680M(4GB)を搭載するハイパワーノートPCだ。液晶パネルも17.3型/フルHDと、ゲームはもちろん動画なども十分楽しめ、加えて5.1chスピーカー+THX TruStudio Proで大迫力のサウンド。色が変わるキーボードバックライトも雰囲気を盛り上げる。
今回ご紹介したのは最上位モデルと言うこともあり、メモリ32GB、512GB SSD×2で価格も369,600円と非常に高価だが、この記事を読んで、その性能やルックスにグッと来た人に是非お勧めしたい逸品と言えよう。