西川和久の不定期コラム

ウエスタンデジタル「My Book Thunderbolt Duo/My Passport」

~Thunderboltも含むHDD 3台を試用する

 ウエスタンデジタルジャパン株式会社は3月中旬に、外付けHDD 3機種「My Book Thunderbolt Duo」、「My Passport Studio」、「My Passport」を発表した。それぞれインターフェイスはThunderbolt、Firewire 800、そしてUSB 3.0で、後者2機種はポータブルタイプだ。編集部から送られてきたので、早速Mac miniへ接続しての試用レポートをお届けする。

Thunderbolt接続のRAID対応ストレージ

 MacにThunderblotが搭載されて以来、少しずつであるが、対応ストレージが増えてきた。今回ご紹介する「My Book Thunderbolt Duo」もそのうちの1つだ。2台の3.5インチHDDを内蔵し、RAID 0/1/JBODに対応する。Thunderboltポートは2つあり、デイジーチェーンで複数のMy Book Thunderbolt Duoはもちろん、他社のストレージやディスプレイも接続可能だ。

 現時点でThunderboltに対応しているのはMacのみと言うこともあり、工場出荷時、HFS+でフォーマット済みされている。対応OSはMac OS X 10.6.8以降。電源はACアダプタ式。本体サイズは99×157×165mm(幅×奥行き×高さ)で、このサイズから分かるように縦に2台HDDを収納している構造となる。

 4TBモデルと6TBの2モデルが用意され、価格はオープンプライスだが、店頭予想価格は57,800円前後、67,800円前後の見込みだ。以前紹介した「Promise Pegasus R4 / R6 RAID System」よりはドライブ数も少なく、比較的購入し易い価格帯に収まっている。

正面。中央の小さい凹みはPower/Access LED。幅はMac miniの約半分と言ったところ
背面。電源入力、Thunderboltポート×2。電源スイッチに相当するものは無い
上部を開けたところ。HDDは上部のパネルを上げるとアクセス可能
パネルを開けたところ。ネジ止めされたパネルを外すとドライブが現れる
ドライブを取り出したところ。ドライブ取出し用の薄い取っ手が付いているが、うまく外れない場合は、その下にあるピンをマイナスドライバーで軽く持ち上げるとスムーズに外れる
本体と付属品。ACアダプタと簡易マニュアルなど。インストールCDは付属しない。Thunderboltケーブルは別途購入する必要がある

 筐体の幅はMac miniの約半分だが、高さが随分ある。横に並べるとアンバランスかもっと思っていたが、実際並べると、角にラウンドが付いていることもあり、意外とマッチする。フロントと両サイドは残念ながらアルミ素材ではなくくプラスティック。とは言え全体的な質感は悪くない。

 背面は、電源コネクタとThunderboltポート2つと非常にシンプル。電源スイッチが無いのは若干不安と言ったところ。今回は、一方のThunderboltポートはMac miniへ、もう一方のThunderboltポートは、miniDisplayPort→DisplayPortケーブルを使ってディスプレイへ接続している。プラグアンドプレイに対応していることもあり、一旦ディスプレイのケーブルをMac miniから外し、間にMy Book Thunderbolt Duoを入れて再接続し次第、ディスプレイの表示が復活する。

 内蔵ドライブへのアクセスは非常に簡単だ。上のパネルを開けると、もう1枚、1本のネジで止まっているパネルがあるので、それを外せばドライブ2台のマウンタが見える。取出し用の薄い取っ手があるのでそれを引っ張ればドライブが外れる。またもし外れにくい場合は、マイナスドライバーを使い、取っ手の直ぐ下にあるピンを軽く持ち上げればスッとドライブが抜ける。いずれにしてもこれならメンテナンスは容易だ。

WD Drive Utilitiesのインストーラ
WD Drive Utilities/診断情報
WD Drive Utilities/RAID管理/ステータス
WD Drive Utilities/ドライブ消去
WD Drive Utilities/登録
WD Drive Utilities/RAID管理/構成

 ソフトウェアに関しては、インストールCDなどは無く、ドライブに入っている。マウント後、インストーラを起動し、アプリケーションフォルダへドラッグすればコピーが始まる。「ReadMe.pdf」や「User Manuals」も同様だ。もちろん同社のサイトからもダウンロード可能となっている。

 「WD Drive Utilities」は、ドライブの診断/RAID管理/消去とユーザー登録などに対応したユーティリティだ。工場出荷時、RAIDの構成は「ストライピング(RAID 0)」に設定されているが、RAID管理→構成で「ミラー(RAID 1)」そして「独立したドライブ(JBOD)」の選択も可能だ。画面キャプチャからも分かるように、日本語化され、RAID 0/1/JBODの3パターンなので設定も難しくない。

ポータブルHDD 2機種

 「My Passport Studio」と「My Passport」は、バスパワーで動くポータブルHDDだ。インターフェイスは前者がFirewire 800、後者がUSB 3.だ0。

 FirewireはPCの場合、400が一般的であるが、コネクタの形状も違い、800に関してはほぼMac専用となるため、HFS+でフォーマット済みの状態になっている。どちらも2TBの容量と、現時点でのポータブルHDDとしては最大容量だ。実売価格はそれぞれ28,800円と24,800円前後だ。またバスパワーで作動するため、FirewireもしくはUSBケーブル1本で使用可能。外付けのACアダプタなどを必要としないのも嬉しいポイントと言えよう。

 「My Passport Studio」は、Firewireが2ポート、そしてUSB 2.0が1ポート。Firewireに関してはデイジーチェーンが可能だ。実際筆者は所有する「LaCie d2 quadra」と「My Passport Studio」をデイジーチェーンで接続し作動テストを行なっている。

 質感はMac mini同様、裏と周囲はアルミ削り出し、表側はマットな感じのブラック。Mac miniに限らず、MacBook ProやMacBook Airにもマッチする。その分、重量は実測で372gと若干重いものの、ズッシリして安定感は抜群だ。

 転送速度に関しては後述するベンチマークテストの結果をご覧頂きたい。内蔵のSATAドライブとまでは行かないが、USB 2.0接続よりはかなり速いと言う結果になっている。

 付属のソフトウェアは、「MyBook Thunderbolt Duo」と同じく「WD Drive Utilities」。同社のドライブを複数認識すると画面キャプチャのように、1つのパネルで複数ドライブ扱える仕様となっている。

表。「My Passport Studio」。マットブラックで手触りも良い
裏。アルミ削り出しで、Mac miniやMac bookなどに合う
コネクタ部。左の凹みはPower/Access LED。USB 2.0、Firewire 800×2
重量は実測で372g
大きさの比較。ポータブルサイズのHDDとしては少し大きくて厚みもある
簡易マニュアル、USB 2.0ケーブル、Firewire 800ケーブル(1本のみ)

 最後にご紹介するのはUSB 3.0対応の「My Passport」。こちらは工場出荷時NTFSでフォーマットされている。もちろんMacでもフォーマットすれば使えるが、現在MacはUSB 3.0に対応した機種はなく、USB 2.0での接続となるため、パフォーマンスは低下する。

 筐体は表と裏・周囲と質感の違う素材が使われているが、アルミ削り出しでは無く、普通のプラスティックとなる。コネクタはUSB 3.0が1ポートのみとシンプルな構成だ。重量は実測で227g。一般的な2.5インチHDDを内蔵したポータブルHDDとしては平均的なところだろう。

 付属のソフトウェアに関してはこれまでの2機種とは違い、「WD Drive Utilities」に加えて、パスワードを設定しドライブのアクセスをコントロール出来る機能を持つ「WD Security」も入っている。

「My Passport」。表面にドットが散りばめられたデザイン
裏。側面と同じ素材を使っている
コネクタ部。左の凹みはPower/Access LED。本体側のUSB 3.0コネクタは変わった形になっている
重量は実測で227g
大きさの比較。My Passport Studioと比較して15mmほど短く、若干薄くなっている
本体と付属品は簡易マニュアルとUSB 3.0ケーブル
MyBook Thunderbolt Duoのドライブ情報
My Passport Studioのドライブ情報
My Passportのドライブ情報
WD Drive Utilities/3台のドライブを認識
My Passport付属のWD Security
左から「MyBook Thunderbolt Duo」、「My Passport」(上)、「My Passport Studio」(下)、「MacBook Air SuperDrive」、「Mac mini」、「LaCie d2 quadra」

各HDDのベンチマークテスト

 ベンチマークテストはMac OS Xのベンチマークテストで代表的なXbench 1.3を使用した。「My Passport」に関してはインターフェイスがUSB 3.0なので、Mac miniのUSB 2.0に接続した場合は不利な結果となるが、環境を合わせるために統一している。Windows/USB 3.0での使用時に関してはCrystalMarkの結果を参考にして欲しい。

 まずThunderboltに対応した「MyBook Thunderbolt Duo」は、以前ご紹介した「Promise Pegasus R6 RAID System」(Disk Testで約2.5倍速)までは行かないが、初期設定でRAID 0になっている分、それなりに速い。ただRAID 0はドライブのどちらか一方が壊れればデータが消失するのでなので、個人的にはRAID 1のミラーリングで使いたいところ。もちろんその場合は各スコアは半分程度に低下する。Xbench 1.3での結果はRAID 0とRAID 1の両方を掲載したのでご覧頂きたい。

 Firewire 800に対応した「My Passport Studio」の結果は表の通り。参考までに購入時から遅いと言っているMac mini内蔵「TOSHIBA MK5065GSXF」のDisk Testは“53.88”、同じくFirewire 800で接続している「LaCie d2 quadra」は“60.94”となる。

 「My Passport」は同じMac miniで測定するためUSB 2.0接続となり、本来の性能は発揮していない。Disk Testの値は“16.81”。

 余談になるが、現時点でThunderbolt接続のストレージが持つ最大の弱点は、ドライバが無いため、BootcampしたWindowsからアクセスできないことにある(Parallels Desktopからはネットワークドライブとして接続可能)。

 Ivy Bridgeではチップセット内蔵ではなく、後付でThunderboltにも対応するので今後に期待したいところだ。そう言った意味からはIvy BridgeなMacが出れば、USB 3.0はチップセットでネイティブに対応するので、使えるようになりそうだ。

【表】ベンチマーク結果

「MyBook Thunderbolt Duo」/RAID 0/Thunderbolt「MyBook Thunderbolt Duo」/RAID 1/Thunderbolt「My Passport」/USB 2.0「My Passport」/USB 2.0
Disk Test164.9
83.83
65.46
16.81
Sequential184.88
121.89
86.25
37.85
Uncached Write[4K blocks](MB/sec)218.67134.26143.6888.22109.4367.1943.7426.86
Uncached Write[256K blocks](MB/sec)375.78212.62176.299.7103.2358.4137.3821.15
Uncached Read[4K blocks](MB/sec)82.3924.1165.2819.150.6314.8224.797.26
Uncached Read[256K blocks](MB/sec)441.6221.94205.66103.36128.264.4363.5731.95
Random148.82
63.89
52.75
10.8
Uncached Write[4K blocks](MB/sec)53.285.641.092.2322.162.353.110.33
Uncached Write[256K blocks](MB/sec)420.01134.46336.74107.8132.6242.4644.5714.27
Uncached Read[4K blocks](MB/sec)312.842.22130.720.9367.490.4867.490.48
Uncached Read[256K blocks](MB/sec)394.7373.24218.6740.58119.6722.2187.2716.19
USB3.0接続時のCrystalMark/HDD。

 以上のように、今回ご紹介したHDD 3機種は各々の特徴をもっている。Macに接続するなら「My Book Thunderbolt Duo」か「My Passport Studio」。主にUSB 3.0を搭載したPCに接続するなら「My Passport」。ポータブルタイプ2機種はバスパワーで作動するため環境も選ばず、2TBと大容量。筆者的にはThunderboltがWindowsで使えるようになり次第、1台増設したいと思っている。