西川和久の不定期コラム

テークム「magi BD」
~Core i3とSSDを搭載したコンパクトなMini-ITX PC



 テークムは3月27日、Core i3とSSDを搭載し、Mini-ITXを採用したコンパクトなデスクトップPCを発表した。編集部から実機が送られてきたので、早速試用レポートをお届けしたい。

●Mini-ITXを採用したコンパクトPC

 同社のサイトを見ると、この「magi」のキャッチコピーは「リビングと世界をつなごう」となっている。具体的には、HDMI出力があるためTVにも簡単に接続でき、場所を選ばないコンパクトサイズ、SSDによる静音/省電力、そしてマウスとキーボードがワイヤレスなどの特徴を持つエンターテイメントPCとして位置づけられている。

 光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ(型番:MG6732)とBDドライブ(型番:MG6731)の2モデルあり、今回届いたのは後者だ。主な仕様は以下の通り。

【テークム「magi BD」の仕様】
CPUIntel Core i3-2120(2コア/4スレッド、クロック3.30GHz、キャッシュ3MB、TDP 65W)
チップセットIntel H67 Express
メモリ8GB/DDR3-1333MHz(2スロット/空き0)
SSD120GB
光学ドライブBDドライブ
OSWindows 7 Home Premium SP1(64bit)
グラフィックス内蔵Intel HD Graphics 2000、HDMI、DVI-I、ミニD-Sub15ピン
ネットワークGigabit Ethernet、Bluetooth
その他USB 2.0 前面×2/背面×6、USB 3.0×2、eSATA×1、音声入出力(前面+背面)、SPDIF
電源150W
サイズ70×284×258mm(幅×奥行き×高さ)
その他ワイヤレスマウス/キーボード、「Nero 9 Essentials」、「Cyberlink Media Suite 8」付属
価格76,800円

 プロセッサはCore i3-2120。2コア4スレッド、クロックは3.30GHz。Core i3なのでTurbo Boostには非対応だ。キャッシュは3MB、TDPは65Wとなる。チップセットはIntel H67 Express。メモリスロットは2つあり、4GB×2の計8GB搭載済だ。この手のPCは標準で4GBを搭載したものが多い中、8GBあるのはポイントが高い。OSは64bit版のWindows 7 Home Premium SP1だ。

 グラフィックスはIntel HD Graphics 2000。グラフィックスメモリはメインメモリと共用だ。メインメモリが4GBだと使うアプリケーションによっては若干不足気味になるが、先に書いたように、本機は8GB搭載していることもあり、この点について心配はない。出力は、HDMI、DVI-I、そしてミニD-Sub15ピン。通常この3パターンあれば何を接続するにも困らない。

 ストレージはSSDで120GB。扱うデータが多くなると空き容量が不足しそうだが、USB 3.0×2とeSATA×1があるため、外部に大容量で高速なドライブを追加することも容易だ。

 ネットワークはGigabit EthernetとBluetooth。無線LANは搭載していない。その他のインターフェイスは、USB 2.0 前面×2/背面×6、USB 3.0×2、eSATA×1、音声入出力(前面+背面)、SPDIFと、小型の割りにかなり豊富。ワイヤレス式のマウスとキーボードが標準装備だ。

 本体サイズは70×284×258mm(幅×奥行き×高さ)。電源は出力150W。電源容量は少し心許ないようにも思えるが、写真からも分かるように、スペース的に3.5インチのHDDや外部GPUを搭載できないこともあり、これ以上を必要とすることは無いだろう。

 価格は今回のBDドライブ搭載モデルで76,800円。ソフトウェアとして「Nero 9 Essentials」と「Cyberlink Media Suite 8」が付属する。DVDスーパーマルチドライブ搭載モデルは、他のハードウェア構成は同じで69,800円。先のソフトウェアは付属しない。

前面。光沢のあるシンプルなブラック。結構スリムだ左側面に空調用のメッシュがある背面。HDMI、USB 2.0×2、DVI、ミニD-Sub15ピン、eSATA、USB 2.0×2、USB 3.0×2、Ethernet、USB 2.0×2、Bluetooth、音声入出力/SPDIF
右側面は特に何も無い。サイドは非光沢の黒パネルを開いたところ。光学ドライブ、リセットボタン、音声入出力、USB 2.0×2内部は結構スッキリしている。プロセッサがかなりの割合を占めているのが分かる
メモリスロットは2つ。4GB×2の計8GB実装済みCPUの横に電源。位置はケースの下側になる。出力は150W付属品。スタンド、ワイヤレスマウス/キーボード、バッテリ、電源コード、ソフトウェアなど

 筐体は、フロントのみ光沢ブラック、他の部分は非光沢のブラック。縦置き用のスタンドも付属し、ご覧のようにシンプルでスッキリしたデザインだ。冒頭に書いた通り、リビングに置いてもマッチする。もちろん横置きにも対応。ゴム足も付属する。

 ワイヤレス式のマウスとキーボードはエレコム製。キーボードはテンキーレスとなっている。今時としては珍しくアイソレーションタイプではなく、パンタグラフタイプだ。

 フロントにあるパネルを開けると、光学ドライブとUSB 2.0×2、音声入出力、そしてリセットスイッチが現れる。メディアリーダーが無いのは残念なところか。

 リアには多くのコネクタが配置されている。USB 3.0やeSATAもこちら側にあり、大容量のストレージを接続した場合もケーブルは邪魔にならない。

 内部へのアクセスはネジ2本外すだけと簡単だ。とは言え、既にメモリを8GB搭載していることもあり、外す必要性は低いと思われる。

 ノイズ、振動、発熱に関しては試した限りでは十分許容範囲。これなら置き場所は困らないだろう。

 全体的に特徴が薄いMini-ITXを採用したコンパクトPCだが、逆にその分、使い易く用途を選ばない。ホビーはもちろんオフィスでも十分活用できる。

●SSD搭載で快適な動作

 OSは64bit版Windows Home Premium SP1。SSDは「ADATA SSD S510」を搭載し、C:ドライブのみの1パーティションで約111GB。初期起動時空きは85.4GBだった。BDドライブは「Optiarc BD RW BD-5750H」。

 Bluetoothは「Atheros AR3011」で3.0となる。またこのデバイスマネージャのリストには表示していないが、USB 3.0のコントローラには「Etron USB 3.0 Extensible Host Controller」が使われていた。Intel H67 Expressチップセットを採用したPCとしては標準的な構成だ。

起動時のデスクトップ。左側に付属するソフトウェアのショートカット2つのみとシンプルデバイスドライバ/主要なデバイス。SSDは「ADATA SSD S510」。容量は120GB。BDドライブは「Optiarc BD RW BD-5750H」。Bluetoothは「Atheros AR3011」で3.0となるHDDのパーテーション。C:ドライブのみの1パーテーション。約111GB割当てられている

 アプリケーションはBDドライブ搭載モデルのみ、「Nero 9 Essentials」、「Cyberlink Media Suite 8」がプリインストールされる。その他はIntel製など、デバイス関連のもので、ほとんど素のWindows 7と変わらない。この辺りは玄人に好まれそうだ。

 セキュリティ系のアプリケーションが無いのは気になるものの、個人用途なら「Microsoft Security Essentials」(無料)を導入すればいい。

Nero 9 EssentialsCyberlink Media Suite 8インテルコントロール・センター

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMarkの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 5.2。プロセッサ 6.6、メモリ 7.5、グラフィックス 5.2、ゲーム用グラフィックス 5.6、プライマリハードディスク 7.4。グラフィックス系が5.xはIntel HD Graphics 2000なので仕方ないとして、全体的なバランスは良い。SSDも7越えで実際の操作感は起動も速くかなりサクサク動く。

 CrystalMarkは、ALU 41068、FPU 30287、MEM 34591、HDD 44441、GDI 13807、D2D 1420、OGL 1863。同じくグラフィックス系のスコアは高くない。とは言え、3Dのゲームでもしない限り問題無いだろう。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 5.2。プロセッサ 6.6、メモリ 7.5、グラフィックス 5.2、ゲーム用グラフィックス 5.6、プライマリハードディスク 7.4
CrystalMark。ALU 41068、FPU 30287、MEM 34591、HDD 44441、GDI 13807、D2D 1420、OGL 1863


 以上のようにテークムmagi BDは、Mini-ITXサイズのマザーボードを搭載したコンパクトなデスクトップPCだ。SSDによりシステム全体が高速で動き、Core i3とは言え、クロックは3GHzを超え普段使いには十分な性能を持つ。万一SSDが容量不足になっても、USB 3.0やeSATAがあるため増設は容易だ。

 置き場所をあまり意識せず、手軽に使えるPCを探しているユーザーの候補となりえる1台だろう。