■西川和久の不定期コラム■
ASUSTeK Computerは1月21日に、ノートPC春モデルとして、「U24E」、「K53SD」、「K73SM」、「K53TK」の4機種を発表した。それぞれいろいろな特徴を持っているが、今回は11.6型液晶パネルを搭載したモバイルノートPC、「U24E」をご紹介する。
●スタンダードな11.6型モバイルノートPC同社のノートPCは、「モバイル」、「スタンダード」、「マルチメディア」、「ゲーム」、「スペシャルエディション」と5つのカテゴリに別れている。この中でモバイル型番は基本的に頭が「U」から始まりモデルナンバーが続く。ただし、Ultrabook系は「UX」型番となる。
現在、U36/33/31/30/24/20とシリーズ化され、20はネットブックになっている。つまり、今回ご紹介する「U24E」は一般的なモバイルノートPCラインナップとしては最小モデルとなる。主な仕様は以下の通りだ。
CPU | Intel Core i5-2430M(2コア/4スレッド、2.4GHz/TB 3.0GHz、キャッシュ3MB、TDP35W) |
チップセット | Intel HM65 Express |
メモリ | 4GB/DDR3-1333 SO-DIMM(2スロット/空き1)、最大8GB |
HDD | 750GB |
OS | Windows 7 Home Premium(64bit SP1) |
ディスプレイ | 11.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット |
グラフィックス | CPU内蔵Intel HD Graphics 3000、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン |
ネットワーク | Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 3.0+HS |
その他 | USB 3.0×2(内1つはPowered)、USB 2.0、メモリカードスロット、ヘッドフォン出力(S/PDIF対応)、マイク入力、30万画素Webカメラ |
サイズ/重量 | 291×207×18~27.6mm(幅×奥行き×高さ)/約1.5kg |
バッテリ駆動時間 | 最大約6.8時間(6セル) |
価格 | 59,800円(Kingsoft Office搭載モデル) |
プロセッサはIntel Core i5-2430M。2コア/4スレッド、クロック2.4GHzでTurbo Boost時3GHzまで上昇する。キャッシュは3MBでTDPは35Wだ。チップセットは、Intel HM65 Express。メモリは2スロットあり、DDR3-1333 SO-DIMMの4GBが1枚実装済み。最大で8GBまでの対応となる。OSはWindows 7 Home Premium(64bit SP1)。
グラフィックはCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000。光沢タイプの11.6型1,366×768ドットの液晶パネルを搭載する。ディスプレイ出力はHDMIと、ミニD-Sub15ピンの2つ。
ネットーワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。そしてBluetooth 3.0+HSにも対応している。
その他のインターフェイスは、USB 3.0×2(内1つはPowered)、USB 2.0、メモリカードスロット、ヘッドフォン出力(S/PDIF対応)、マイク入力、30万画素Webカメラ。本体の電源オフ時にでもUSB充電できるポートが1つあるのは、スマートフォンなどのモバイル端末ユーザーにとってポイントが高い。ヘッドフォン出力はS/PDIF(光)にも対応しているので、外部にDACなどに接続すれば、高品位なサウンドを得ることが可能だ。
サイズは291×207×18~27.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.5kgと、モバイルノートPC用として最軽量とは言えないものの、十分実用的な範囲だ。バッテリ駆動時間は公称で最大6.8時間。この点については、後半のベンチマークテストで検証したい。
2モデルあり、価格は今回ご紹介する「Kingsoft Office搭載モデル」が59,800円。色はレッド。「Microsoft Office Home and Business 2010搭載モデル」は84,800円で、色はシルバーとなっている。
まずイメージと違ったのが筐体色だ。同社の製品ページなどに掲載している写真を見ると、レッドと言うよりブラウンに近い感じだった。正直「この色ならMicrosoft Office搭載モデルのシルバーの方がいいな」と思っていた筆者であるが、実物はご覧のように綺麗なメタリックレッド。これなら女性に限らず男性にも好まれるだろう。
液晶パネルの周囲、キートップ、筐体の側面などはブラックでまとめられ結構格好いい。昨今、性能的には良く似たノートPCが多く、選択基準としてデザインは重要な要素になっている。その意味でも、製品写真はより現物に近くなるようにした方がいいだろう。
11.6型の液晶パネルは、鮮やかな発色で、高コントラスト。最大輝度時は十分明るく、バッテリ駆動時など最小にしても問題なく見られる。視野角は左右より上下が若干狭い。
キーボードはアイソレーションタイプ。パッと見は以前のモデルとあまり差が無いものの、強く押してもほとんどたわまなくなった。少しずつ改良されているのだと思われる。キーボードは一番使うインターフェイスなので筆者的に重要視している部分。これが良くなっているのはポイントが高い。
パームレストとタッチパッドは11.6型と言うこともあり若干狭い。とは言え、操作上問題になるほど狭いわけでは無い。タッチパッドのボタンはシーソータイプの1本バー式だ。
サウンドは、「ASUS Sonic Focus」をオンにすると、特に高域が澄んだ綺麗な音がする(オフにすると普通の音になる)。最大出力は若干低めだが、近場で聞く限り十分なレベル。ノイズ、振動、発熱に関しては、十分許容範囲に収まっている。
●ノートPCとして十分なパフォーマンスOSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。デスクトップに使われている壁紙は、同社のノートPCをコラージュしたものになっている。プリインストールされたアプリケーションへのショートカットは計12と少し多めだろうか。
HDDは、750GBの「HTS547575A9E384」。5,400rpmでキャッシュ8MBを搭載する。ノートPCでこれだけの容量があれば、一般的には十分すぎる。HDDのパーティションはC:ドライブ約279GB、D:ドライブ約394GBと2パーティション構成となる。初期起動時C:ドライブの空きは255GBだ。
その他のデバイスとしては、W-Fiモジュールが「Atheros AR9002WB-1NG」、Gigabit Ethernetが「Realtek PCIe GBE Family Controller」。またデバイスマネージャには表示していないが、USB 3.0のコントローラにはAsmediaの「ASM104x USB 3.0 Host Controller」が使われていた。
起動時のデスクトップ。デスクトップに使われている壁紙は、同社のノートPCをコラージュしたもの。ショートカットは若干大目だ | デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDは750GBの「HTS547575A9E384」。ノートPCとしては大容量。Wi-Fiモジュールは「Atheros AR9002WB-1NG」 | HDDのパーティション。C:ドライブ約279GB、D:ドライブ約394GBの2パーティション |
プリインストール済みのアプリケーションは、同社製のものが、「ASUS AI Recovery」、「ASUS LifeFrame3」、「ASUS Live Update」、「ASUS Power4Gear Hybrid」、「ASUS Secure Delete」、「ASUS SmartLogon」、「ASUS Splendid Video Enhancement Technology」、「ASUS USB Charger Plus」、「ASUS Virtual Camera」、「ASUS WebStorage」。「ASUS Sonic Focus」など、お馴染みの内容でかなり豊富。
他社製としては、「CyberLink Media Suite」、「i-フィルター5.0」、「Nuance PDF Reader」、「Trend Micro Titanium Internet Security」、「キングソフト辞書」など。加えて今回のモデルは「Kingsoft Office」が搭載となる。
ASUSパネル | ASUS Sonic Focus | Nuance PDF Reader |
ASUS Power Wiz | ASUS USB Charger+ | ASUS Fast Boot |
ASUS Instant On |
1つ興味深い機能として「ASUS Instant On」があげられる。以前掲載したZENBOOKにも搭載していた長時間スリープ後でも数秒で復帰する同社独自の技術だ。これがオンになっていると、スタートメニューの「シャットダウン」が「スリープ」に変わる。Ultrabookに限らず便利なだけに、一般的ノートPCにフィードバックされるのはありがたい。
ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。
Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.7。プロセッサ 7.0、メモリ 5.9、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 5.9。ややスコアに差はあるが、プロセッサ7.0は強力だし、Intel HD Graphics 3000のグラフィックス 4.7を除けば次に遅いのは5.9と、さほどバランスは悪くない。
CrystalMarkは、ALU 40411、FPU 41748、MEM 24551、HDD 10777、GDI 13955、D2D 2837、OGL 4249。少し前に掲載したIntel Celeron B815を搭載した2スピンドルノートPCは、ALU 17531、FPU 14841、MEM 20356、HDD 8757、GDI 8857、D2D 1644、OGL 2496だったので、特にALUとFPUの性能が高いことが分かる。
BBenchは、省電力モード、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、WiFi/オン、Bluetooth/オフでの結果だ。バッテリの残5%で19,182秒/5.3時間。公称最大約6.8時間なので結構いい線。モバイルでの利用も実用的だろう。
以上のようにU24Eは、11.6型の液晶パネルを搭載したスタンダードなモバイルノートPCだ。USB 3.0やGigabit Ethernet、Bluetooth 3.0+HSなどにも対応し、重量は約1.5kg。バッテリ駆動もBBenchで5.3時間なのでカバンへ入れ外出時でも十分に役に立つ。ただ個人的には気に入っているものの、Kingsoft Office搭載モデルの色がレッドのみと言うのは好みが分かれそうな雰囲気だ。
室内はもちろん、屋外でも十分使えるCore i5なモバイルノートPCを探しているユーザーの候補になりえる1台だろう。