西川和久の不定期コラム

レノボ・ジャパン「ThinkPad X220 4290RW4」
〜Sandy Bridgeとピークシフト機能を搭載したXシリーズ



 2010年4月28日に、筆者がThinkPad X31の後釜にThinkPad X201i(Intel Core i3-M330/2.13GHz)を購入、その使用レポートを掲載した。それから約1年経ち、Sandy Bridgeを搭載した新型モデル「ThinkPad X220」が追加された。編集部から実機が送られて来たので、プロセッサ以外の違いなどにも触れながらまとめてみたい。

●Sandy Bridge搭載Xシリーズ

 レノボ・ジャパンのXシリーズは現在、「X100e」、「X201」、「X201s」、そして今回ご紹介する「X220」の計4種類が用意されている。X100eはAMDのAthlon Neoプロセッサなどを搭載した11.6型(既にレノボ・ショッピングでの販売は終了)、X201/X201sは第1世代Core iプロセッサで、sタイプは超低電圧版だ。パネルサイズは12.1型。X220は第2世代Core iプロセッサを搭載した最新モデルとなる。

 レノボ・ショッピングではBTOでいろいろな組合せが可能になっているが、届いたのは「4290RW4」と言うパッケージ版。主な仕様は以下の通りだ。

Lenovo ThinkPad X220-4290RW4の仕様
CPU Intel Core i5-2520M(2コア/4スレッド、2.5GHz/TB 3.2GHz、キャッシュ3MB)
チップセット Intel QM67 Express
メモリ 2GB×2 PC3-10600 DDR3 (最大8GB)/2スロット空0
HDD 320GB(5,400rpm)
OS Windows 7 Professional(32bit)
ディスプレイ 12.5型ワイド液晶ディスプレイ(非光沢)、1,366×768ドット(HD解像度)
グラフィックス 内蔵Intel HD Graphics 3000、DisplayPort、ミニD-Sub15ピン
ネットワーク Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 3.0
その他 ExpressCard/54スロット、USB2.0×3(内1つはPowered)、3in1メディアスロット、マイク入力/ヘッドフォン出力コンボ、セキュリティチップ、ThinkLight
サイズ/重量 305×206.5×19〜26.6mm(幅×奥行き×高さ)/約1.46kg
バッテリ駆動時間 最大約8.9時間(6セル)
価格 196,350円

 CPUはIntel Core i5-2520Mプロセッサ。2コア/4スレッドでクロックは2.5GHz。Turbo Boost時3.2GHzまで上昇する。キャッシュ3MB。チップセットはIntel QM67 Expressだ。主にホビー用途のノートPCに使われるIntel HM65 Expressとは違い、Intel vProやIntel AMT 7.0、Intel RST+RAIDなどに対応した上位チップセットとなる。メモリは2GB×2の計4GB。メモリスロットは2つなので空きは0。

 OSは32bit版Windows 7 Professionalを採用している。従って実メモリが4GBあっても、実際は3GBまでしか使えず、1GBは無駄になる。ビジネス向けモデルということもあり、互換性を優先した形だ。

 液晶パネルは12.5型のノングレア(非光沢)タイプ。解像度はX201iの12.1型1,280×800ドット/WXGAから1,366×768ドットのHD解像度へ変更された。個人的には前者の方が使いやすいものの、同社に限らず、ノートPC全般がHDもしくはフルHD解像度に切り替わってきているためコストや量を確保するため仕方ないところか。グラフィックスは、第2世代Core iプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 3000となる。

 外部出力は、DisplayPortとミニD-Sub15ピン。それぞれ最大解像度は2,048×1,536ドットだ。X201iも含め、従来のXシリーズはミニD-Sub15ピンのみを搭載し、ドッキングステーション側にDisplayPortがあったものの、X220から本体側へ装備された。これは嬉しい改善ポイントだ。

 ネットワークは有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n。加えてBluetooth 3.0。IEEE 802.11aにも対応している。

 その他のインターフェイスは、ExpressCard/54スロット、USB 2.0×3(内1つはPowered)、3in1メディアスロット、マイク入力/ヘッドフォン出力コンボ、セキュリティチップ、ThinkLightなど。

 また、設定されたスケジュールによってバッテリ駆動とACアダプタ駆動を自動的に切り替えられる「ピークシフト機能」や「Lenovo Enhanced Experience 2.0 for Windows 7」といった、従来のXシリーズには無かった(もしくは機能アップした)機能が加えられている。

 サイズは305×206.5×19〜26.6mm(幅×奥行き×高さ)。重量約1.46kg(6セルバッテリ時)。X201iは、295×210×20.7〜35.3mm(幅×奥行き×高さ)、約1.47kg(6セルバッテリ時)だったので、幅が若干増え、奥行きと高さは若干減っている。重量はほぼ同じだ。

 バッテリ駆動時間は、6セルバッテリ時最大約8.9時間。X201iの約7.6時間よりかなり伸びている。この点については後半のベンチマークテストで検証したい。

 価格は196,350円と一見高価だが、実はレノボ・ショップで購入すると、クーポンがあったり、大幅値引きがあるなど、実売はかなり下がるケースが多い。下位モデルの「4290RW5」は、主な仕様は同じでメモリ2GB/HDD 250GBとなり195,300円だ。

天板はThinkPad特有のマットブラック。Lenovoのロゴがトップカバーに復活した 正面。X201にはあったトップカバーをロックするレバーが無くなっている 底面。手前左右の小さいスリットにスピーカー。左側面のカバーを外すとHDD、メモリはパネルを外すとアクセスできる
左側面。USB 2.0、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 2.0、ExpressCard/54スロット、無線ON/OFFスイッチ キーボードは新ThinkPad W/Tシリーズと同デザインのキーボードを採用。[ESC]と[Del]キーが大きくなっている 右側面。ロックポート、Ethernet、マイク入力/ヘッドフォン出力コンボ、3in1メディアスロット、USB 2.0(Powered)
背面。X201では左サイド奥にあった電源コネクタが、裏の右側になった キーピッチは実測で約20mm ACアダプタはX201とサイズも同じで65w/20v。バッテリは6セル
省電力マネージャー/ピークシフトの設定。ピークシフト中は、タスクバーのACプラグアイコンがグリーンになる ThinkPad X220(奥)とX201i(手前)とのサイズ比較。X201iの方が少し高く、幅が少し狭いことが分かる

 トップカバーも含めThinkPad固有のマットブラック。そしてX201iでは無くなっていたLenovoのロゴがトップカバーに復活した。加えてトップカバーをロックするボタンが無くなり、マグネット式のラッチレス構造へ。電源コネクタの位置が左奥から裏右側へ変わり、バッテリのロックボタンが1つから2つに。特にX201iではバッテリロックボタンが1つでグラグラすると以前記事に書いたが、この部分が改善された形になっている。

 12.1型から12.5型へ少しサイズが大きくなった液晶パネルは、ノングレア(非光沢)で、解像度こそWXGA/HDと違うものの、発色の傾向はX201iとよく似て標準設定では少し青め(色温度が高め)だ。パネルは180度傾き机と水平の位置にすることができる。

 キーボードはThinkPad固有の7段。ただし、新しいThinkPad W/Tシリーズと同デザインのキーボードが採用された。写真からも分かるように、[ESC]と[Delete]キーが大きくなっている。

 ただこの大きくなったキーと配置は微妙だ。もともと[ESC]/[F1]キーがあった部分を[ESC]へ、[Insert]/[Delete]があった部分を[Delete]キーにまとめ、[Insert]キーは[Pause]ボタンの位置へ。そしてその[Pause]ボタンが横にずれ、計4つのキーとなっている。旧型のキー配置に慣れていた人がこの新型キーボードをタッチタイプすると明らかにミスタッチするような変更のため、ある程度使い込まないとその差を吸収できないと思われる。

 とは言え、キータッチ、トラックポイント、タッチパッドに関しては、正にThinkPadそのものであり、全く問題無く安心して操作できる。

 1点気になったのは、スピーカーの最大音量だ。今年評価したノートPCの中では最もパワーが無く、ニアフィールドで聴くにしても音が小さ過ぎる。基本的にThinkPadはビジネス用途だが、それにしても出力が足らないように思う。

●6時間越えのバッテリ駆動

 OSは32bit版Windows 7 Professional。約3GBまでしかメモリが使えない上に、Intel HD Graphics 3000と共有しているので実質2.92GBとなる。初期起動時のデスクトップはi-フィルターインストールのショートカット1つと非常にシンプル。タスクバーに同社お馴染みの「Lenovo ThinkVantage ToolBox」や「省電力マネージャー」が常駐している。

 HDDは320GB/5,400rpm/キャッシュ8MBの「HTS543232A7A384」、3つパーティションがあるものの、実際ユーザーが使えるのはC:ドライブの約287GB/空き269GB。Wi-Fiモジュールは「Intel Centrino Advanced-N 6205」が使われている。

起動時のデスクトップ。OSは32bit版Windows 7 Professional。3GBまでしかメモリが使えない上に、Intel HD Graphics 3000と共有しているので実質2.92GBとなる デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDはHTS543232A7A384。320GB/5,400rpm/キャッシュ8MB。WiFiはIntel Centrino Advanced-N 6205。セキュリティーデバイスも見える HDDのパーテーション。C:ドライブ約287GB。Q:ドライブやSYSTEMドライブもあるが、基本的にユーザーが使えるのはC:ドライブ1パーテーション

 プリインストールされているソフトウェアは、「Lenovo ThinkVantage Toolbox」、「ThinkPad ユーティリティ」、「ThinkVantage Access Connections」、「ThinkVantage 指紋認証ユーティリティー」、「ThinkVantage ハードディスク・アクティブ・プロテクション・システム」、「Lenovo ThinkVantage Tools」、「ThinkVantage Rescue and Recovery」、「ThinkVantage System Update」、「Lenovo ThinkVantage Password Manager」、「Message Center Plus」など、ThinkPadお馴染みのツール類一式。X201iに入っていたものと大幅に変わった様子は無い。

 そして「Norton Internet Security 2011」、「i-フィルター」、「Adobe Reader 9.4 日本語版」、「Microsoft Windows Live Toolbar & Search」と言った他社製アプリケーション、「Intel Management and Security Status」などIntel系ツールなどが入っている。

Lenovo ThinkVantage ToolBox Intel Management and Security Status Lenovo ThinkVantage Tools

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.2。プロセッサ 7.0、メモリ 5.5、グラフィックス 4.2、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 5.6。X201i(64bit版/4GB搭載時)では総合4.6、それぞれ6.2↓/5.9↑/4.6↑/5.1↓/5.9↑だったので、部分的に上だったり下だったりと凸凹が目立つ結果となった。

 CrystalMarkは、ALU 39703、FPU 43872、MEM 35829、HDD 7716、GDI 12146、D2D 2054、OGL 2803。こちらはX201iと比較してHDDがほぼ同等、それ以外は全てX220に軍配が上がる。特にALU/FPU/MEMに関しては+1万以上の差があり、Sandy Bridgeアーキテクチャの高性能さがうかがえる。

 BBenchは、「省電力マネージャー」の設定を「マックスバッテリライフ」、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で24,322秒(6.7時間)。仕様上の最大約8.9時間には届かなかったものの、6時間越えと優秀だ。またX201iは同じテストで12,935秒(約4時間)だったので、大幅に伸びているのが分かる。ただし、バックライトOFFではほとんど表示が見えないため、輝度を上げると実際はもう少し駆動時間は短くなると思われる。

Windows エクスペリエンス インデックス。総合 4.2。プロセッサ 7.0、メモリ 5.5、グラフィックス 4.2、ゲーム用グラフィックス 6.2、プライマリハードディスク 5.6 CrystalMark。ALU 39703、FPU 43872、MEM 35829、HDD 7716、GDI 12146、D2D 2054、OGL 2803 BBench。「省電力マネージャー」の設定を「マックスバッテリライフ」、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ON、Bluetooth/OFFでの結果だ。バッテリの残5%で24,322秒(6.7時間)


 以上のようにThinkPad X220は、Sandy Bridge搭載機とアーキテクチャを一新。ピークシフト対応やDisplayPort標準装備など、より使い易いXシリーズに仕上がっている。往年のThinkPadファンとしては、キーボードの一部や解像度などが変わっているのが気になるものの、これも時代の流れだろう。「やっぱりノートPCはThinkPad!」と思っている人にお勧めの1台と言えよう。