西川和久の不定期コラム
レノボの低予算向け15.6型2スピンドルノート「ideapad 320」
2017年8月31日 06:00
レノボ・ジャパンは6月にスタンダードノートPC「ideapad 320」を発売した。6種類のカラーバリエーションがあり、CeleronからCore i7、AMD Aシリーズなど豊富なプロセッサに対応するのが特徴だ。ここではCeleronモデルの試用レポートをお届けしたい。
多彩なプロセッサに対応する2スピンドルのスタンダードノートPC
今回ご紹介する「ideapad 320」は、搭載するプロセッサはCeleron、Core i3/i5/i7、AMD A6/A9/A10/A12/FX/E2といろいろある上、一部モデルによってはディスプレイがフルHD(1,920×1,080ドット)、HDDが1TB(ただしSSDはない)、Microsoft Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービスの有無など、多彩な組み合わせが用意されている。加えて直販モデルと量販店モデルでも細かく仕様が異なっており、価格の幅も広がっている。
共通仕様は、15.6型液晶ディスプレイ、USB 2.0/USB 3.0などの各インターフェイス、ネットワーク、HDDとDVDスーパーマルチドライブの2スピンドル仕様となる。手元に届いたCeleron搭載モデルは、そのなかでもおそらく一番安価なモデルだと思われ、価格比較サイトなどで値段を確認すると大体6万円前後のようだ。
おもな仕様は以下のとおり。
ideapad 320 | |
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プロセッサ | Celeron N3350(2コア/2スレッド、1.1GHz~2.4GHz) |
メモリ | 4GB/PC3L-12800 DDR3L SDRAM SO-DIMM |
ストレージ | HDD 500GB(5,400rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ |
OS | Windows 10 Home |
ディスプレイ | 15.6型HD(1,366×768ドット)、非光沢、タッチ非対応 |
グラフィックス | Intel HD Graphics 500 |
ネットワーク | Ethernet、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.0、USB 2.0、HDMI、HD対応Webカメラ、4-in-1メディアカードリーダ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 約5.5時間(2セルリチウムポリマー/固定) |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 約378×260×22.9mm |
重量 | 約2.2kg |
本体色 | オニキスブラック、プラチナシルバー、ブリザードホワイト、デニムブルー、プラムパープル、コーラルレッド |
付属ソフト | Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス |
プロセッサはApollo LakeのCeleron N3350。2コア2スレッドでクロックは1.1GHzから最大2.4GHz。キャッシュは2MBでSDP 4W/TDP 6W。比較的安価なモデルの定番になっているSKUだ。
メモリはPC3L-12800 DDR3L SDRAM SO-DIMMの4GB×1。1スロットで空きは0。ストレージは5,400rpmのHDD 500GB。DVDスーパーマルチドライブも搭載する。どちらも回転するリアル2スピンドルは久々だ。OSは64bit版Windows 10 Home。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 500。外部出力用にHDMIを備えている。ディスプレイは非光沢の15.6型HD(1,366×768ドット)。タッチには非対応。このサイズのノートPCならフルHDの解像度がほしいところだった。
ネットワークは有線LANがEthernet、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 4.1も搭載している。有線LANがGigabit Ethernetでないのは残念。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0とUSB 2.0、HD対応Webカメラ、4-in-1メディアカードリーダ、音声入出力。必要最小限だがすべて揃っている。
2セルリチウムポリマーのバッテリを内蔵し、駆動時間は約5.5時間。サイズは約378×260×22.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.2kg。
カラーバリエーションは、「オニキスブラック」、「プラチナシルバー」、「ブリザードホワイト」、「デニムブルー」、「プラムパープル」、「コーラルレッド」。後ろの3つが今回追加された新色だ。Microsoft Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービスも付属する。
Celeronモデルの価格は価格比較サイトを見たかぎりでは6万円前後ほどのようだ。
筐体は、天板がデニムブルー。写真からもわかるように、まさに文字どおりの色だ。パームレストなどは、そこまで濃くなく、薄いメタリックブルー。プラスチック製なので全体的な質感はそれなりとなる。重量約2.2kgなので持ち運びも可能だ。
前面はパネル中央上にHD対応Webカメラ。左側面は、電源入力、Ethernet、HDMI、USB 2.0、USB 3.0、音声入出力、4-in-1メディアカードリーダ。右側面は、ロックポート、DVDスーパーマルチドライブを配置。Ethernetは下側に少しカバーのようなものがある。
本体底面は手前左右にスピーカー。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはない。バッテリは内蔵式で着脱できないタイプだ。付属のACアダプタのサイズは約62×62×27mm(同)、重量166g、出力20V/2.25A。
15.6型のディスプレイは非光沢。IPS式ではないので視野角はあまり広くない。明るさ発色、コントラストはエントリークラス相当。またバックライトは完全にオフにすることができる。このサイズでHD解像度なのでppiは低く、文字のジャギーなどは気になりだすと結構目につく。
キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプだ。ファンクションキーはそのまま押すと機能キー、[Fn]との組み合わせで本来のファンクションキーとなる。本体の傾きがほとんどなく、キーボードが机とほぼ水平になるため、入力しにくいという人もいるだろう。
主要キーのキーピッチは約19mm確保されているものの、右側のキーやテンキーのピッチは狭く、また[Enter]キーに隣接している[む/」]キーも気になる。加えて少し強く押すとたわむなど、価格相応な部分も見受けられる。
タッチパッドは1枚プレート型。フットプリントが広い分、パームレストも十分確保され操作はスムーズだった。
ノイズや振動は気にならないレベル。発熱はパームレストやキーボード周囲など全体的にある感じだ。左側のほうが少し温度が高めだろうか。サウンドは、スピーカーの位置からわかるように机などに反射して耳に届くタイプだ。左右の幅があるのでステレオ感は十分。ただしレンジ的にはカマボコ。加えてそこそこパワーはあるものの、あと一歩もの足りない。ただ、「Dolby Audio」の設定で結構敏感に変化するので、好みのサウンドにすることが可能だ。
ストレージがHDDなのは残念だがCeleron搭載機としては標準的
OSは64bit版のWindows 10 Home。Creators Update適用済みだ。プロセッサがCeleronに加え、ストレージがHDDなのでアクセス速度は速くない。容量が減ってもいいので同コストのSSDモデルが用意されているとよかったのではないだろうか。
初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。Windows 10標準に加え、Lenovo Appsにある「Lenovo Companion」、「Lenovo Settings」、「Lenovo アカウント・ポータル」、「楽しもう!Officeライフ」の4つが追加分のタイルとなる。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプルだ。
ストレージは500GB/7mm厚/5,400rpm/8MBのHDD「TOSHIBA MQ01ABF050」。実質Cドライブのみの1パーティションで約439.5GBが割り当てられており、空き領域は414GB。光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GUE0N」だった。
Wi-Fiは「Intel Dual Band Wireless-AC 3165」、BluetoothもIntel製。10BASE-T/100BASE-TXはRealtek製だ。
プリインストールされているソフトウェアは、「CyberLink Power2Go 8」、「Dolby Audio」、「楽しもう!Officeライフ」などと、同社お馴染みの「Lenovo App Explorer」、「Lenovo Companion」、「Lenovo Settings」、「Lenovo アカウント・ポータル」となる。メディア系、Offiec系、ツール系が適度に追加されている構成だ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した。
winsat formalの結果は、総合 4。プロセッサ 5.8、メモリ 5.9、グラフィックス 4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 5.9。メモリのスコアはOSが64bitで4GBなのでリミッターがかかっている。バンド幅は9,114.836MB/s。
PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは1,550。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 103.3/Write 89.64、4K Q32T1 Read 0.783/Write 1.013、Seq Read 73.19/Write 54.94、4K Read 0.249/Write 0.875(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 18,342、FPU 15,698、MEM 20,089、HDD 11,694、GDI 5,515、D2D 2362、OGL 4332。参考までにGoogle Octane 2.0は7,718。
今年(2017年)はCeleron N3350搭載のマシンをいくつか紹介しているが、ストレージがHDDなので遅いのは仕方ないとして、そのほかの部分は同等のスコアとなっている。
BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で29,635秒/8.2時間。仕様上は約5.5時間なので大幅に上回った。ただしバックライト最小だとかなり暗いので、実際はもう少し短くなると思われる。
以上のようにレノボ・ジャパンの「ideapad 320」は、15.6型HD解像度のパネルにHDDとDVDスーパーマルチドライブを搭載した2スピンドル・スタンダードノートPCだ。冒頭に書いたように、IntelとAMD、さまざまな組み合わせで構成でき、予算と用途に応じてチョイスできるのが良い点。ファミリー向けとしてはカラーバリエーションが豊富なのもポイントが高い。
仕様上、本体サイズのわりにHD解像度、Gigabit Ethernet非対応、ストレージがHDDなど、コスト優先で少しもの足りない部分もあるが、安価なスタンダードノートPCを探しているユーザーの候補になりえるモデルと言えよう。