西川和久の不定期コラム

ユニットコム「Lev-C122-i7-RNSSM」

~第7世代Core i7とGeForce GTX 1060を搭載した小型デスクトップPC!

Lev-C122-i7-RNSSM

 Kaby Lake世代プロセッサの登場で、少し早めに流通していたGeForce GTX 1060と組み合わせたパワフルなデスクトップPCが多数出荷されだした。今回はその中からコンパクトな筐体が売りの1台をご紹介したい。

コンパクトな筐体に高性能パーツのコンビネーション

 1月に、Core i7-7700+GeForce GTX 1060で、ほぼ同じ構成で筐体が一般的なタワー型(190×490×490mm/幅×奥行き×高さ)だった「DAIV-DGZ510S1-SH2」をご紹介(クリエイター向けKaby Lake搭載PC「DAIV-DGZ510S1-SH2」)したが、対して今回の「Lev-C122-i7-RNSSM」は、Mini-ITXのマザーボードを採用し、前者と比較して、約幅10mm、奥行き100mm、高さが200mm小さく、非常にコンパクトにまとまっている。

 筐体が大きい方が良いか、小さい方が良いかは、拡張性や用途などによるため、どちらがどうとは言えない部分。個人的には昔のように拡張スロットへ色々差したり、3.5インチのHDDや5インチの光学ドライブ系が何台も……的なこともなくなったので、小さければ小さいほど好みだ。主な仕様は以下の通り。

仕様ユニットコム「Lev-C122-i7-RNSSM」
プロセッサCore i7-7700(4コア/8スレッド、クロック 3.6GHz/4.2GHz、cache 8MB、TDP 65W)
チップセットIntel H110 Express
メモリ8GB×2(16GB)/DDR4-2133(2スロット/空き0)
ストレージSSD 480GB
OSWindows 10 Home(64bit)
グラフィックスGeForce GTX 1060(3GB)、DisplayPort×3、HDMI×1、DVI-D×1
インターフェイスUSB 3.1×2(背面×2)、USB 3.0×4(側面×2/背面×2)、USB 2.0×2(背面×2)、Gigabit Ethernet×1、音声入出力
拡張スロット(空きスロット数)PCI Express3.0 x16×1(0)
拡張ベイ(空きベイ数)3.5インチ内蔵HDDベイ×1(1)、2.5インチ内蔵HDDベイ×4(3)※1つは光学ドライブベイと共用
電源450W 80PLUS STANDARD
サイズ(幅×奥行き×高さ)178×388×296mm
税別価格135,980円

 プロセッサはKaby Lake世代のCore i7-7700。4コア8スレッドで、クロックは3.8Ghzから最大4.2GHz。キャッシュは8MBでTDPは65W。かなり強力なSKUだ。

 チップセットはIntel H110 Express。このチップセットはSkylake世代の物だが、Kaby LakeのソケットもLGA1151なので、BIOSさえ対応していれば使用できる。ただし、対応メモリはDDR4-2133に制限される。従って、搭載しているメモリはDDR4-2133の8GB×2で計16GBだ。メモリスロットは2スロットで、空きは0。ストレージはSSDで480GB。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載している。

 グラフィックスには、Pascal世代で「VR Ready」のGeForce GTX 1060(3GB)を搭載。出力として、DisplayPort×3、HDMI×1、DVI-D×1を備えている。

 インターフェイスは、USB 3.1×2(背面×2)、USB 3.0×4(側面×2/背面×2)、USB 2.0×2(背面×2)、Gigabit Ethernet×1、音声入出力。拡張スロットは、PCI Express3.0 x16×1で空きは0。拡張ベイは、3.5インチ内蔵HDDベイ×1で空き1、2.5インチ内蔵HDDベイ×4で空き3。

 80PLUS STANDARD認証取得の450W電源ユニットを搭載し、サイズは178×388×296mm(同)。今回の構成で税別価格は135,980円。冒頭に書いた、同クラスのデスクトップPCと同じ価格帯となる。

 冒頭で小さければ小さいほど好みと書いたが、これだけサイズが違うのに価格に差がないのは少し損した気分もしてしまうが、プロセッサとGPUが占める割合が高く、コストパフォーマンスは変わらない。

前面。丸いスリット以外、特に何もない珍しい筐体。同社のサイトによると「ケース前面に空気口=“エアベント”を設けました」とある
背面。マザーボードの背面パネル側にUSB 2.0×2、PS/2ポート、DVI-DとミニD-Sub15ピンはマスク、USB 3.1×2、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、音声入出力。GeForce GTX 1060側にDisplayPort×3、HDMI×1、DVI-D×1
左側面。扉の写真から分かるように、側面を外すとドライブマウンタ用のパネルが1枚あり、それを外すとこのようになる
右側面。手前に電源ボタン、USB 3.0×2、音声入出力。左側も含めパネル側面には面積の広いメッシュがある
ドライブマウンタ用のパネル。2.5インチが2つ、3.5インチが1つ
プロセッサ周辺。メモリは2スロットで空きは0
マザーボードと電源ユニット。拡張バスはPCI Express3.0 x16が1本とシンプル。電源ユニットは450W 80PLUS STANDARD。マザーボードはケーブルでロゴが隠れているが、MSI製(H110I-S02)だ
筐体下側。ここにもメッシュが使われており、加えてスライドして外すことができる
GeForce GTX 1060(表)。2レーンを占有。ファンと電源は1つ
GeForce GTX 1060(裏)。後ろ側はファンのスペースで実際の基板は少し短くなっている

 筐体は、マザーボードのフォームファクタがMini-ITXということもあり、178×388×296(同)と、非常にコンパクト。これだけ小さいと取り回しも楽だ。

 ベースは黒で、それを半分覆うように前面にシルバーのアクセントがあり、丸いメッシュの部分が印象的なデザインになっている。「この筐体にCore i7とGeForce GTX 1060が本当に入っているのか?」と思わせる。

 右サイド手前に電源ボタン、USB 3.0×2、音声入出力。左右のパネルは結構な部分がメッシュになっており、通気性は良さそうだ(半面、埃も入りそうだが)。その分、冷却ファンは筐体側には付いていない。この辺りは、Kaby lakeがあまり熱くならない特徴もあってのことだろう。

 背面パネルにUSB 2.0×2、PS/2ポート、USB 3.1×2、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、音声入出力。DVI-DとミニD-Sub15ピンはマスクされている。GeForce GTX 1060は2レーンを占有し、出力はDisplayPort×3、HDMI×1、DVI-D×1と豊富だ。

 内部はプロセッサの脇にメモリスロットが2つ。8GB×2の16GBが実装済。拡張バスはPCI Express3.0 x16が1本しかなく、GeForce GTX 1060が使っているので、拡張性はない。とはいえ、昨今、普通の用途ではこれ以上何か必要かと聞かれても思い浮かばないので、特に問題ないだろう。

 ドライブマウンタ用のパネルには、2.5インチのSSDが1つ装着されている。こちらはまだ余裕があり、加えてUSB 3.0/3.1もあるので、ストレージ系は十分拡張可能だ。

 ベンチマークテストも含め、試用した範囲で発熱や振動は気にならず、ノイズに関しては、静音ではないものの、Core i7とGeForce GTX 1060が乗っている割には静かだった。

コンパクトなのに高性能で文句なしの一台!

 OSは64bit版のWindows 10 Home/RS1。Core i7、16GBメモリ、SSD、そしてGeForce GTX 1060を搭載しているので、言うまでもなく非常に高速に作動する。業務用マシンとするには速過ぎる感じだ。

 初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は、ユーザーサポートのグループが追加され、PDF 2つを配置している。デスクトップは何も変更なし。Windows 10標準のままになっている。

 ストレージは、480GBのADATA製SSD「ASP550SS7-480GM」。一般的な2.5型タイプだ。Cドライブのみの1パーティションで、約446.42GBが割り当てられ、空き容量は417GB。Gigabit EthernetはRealtek製だ。

 また、システムデバイスを見ると「Intel 100Series/C230Series」チップセットファミリーなのが分かる。GeForce GTX 1060はGDDR5で、3,072MBを搭載。CUDAコアは1,152。

スタート画面(タブレットモード)。ユーザーサポートのグループが追加され、PDF2つを配置
起動時のデスクトップはWindows 10標準のまま
デバイスマネージャ/主要なデバイス(1/2)。ストレージは、480GBのADATA製SSD「ASP550SS7-480GM」。Gigabit EthernetはRealtek製
デバイスマネージャ/主要なデバイス(2/2)。「Intel 100Series/C230Series」チップセットファミリー
ストレージのパーティション。Cドライブのみの1パーティションで、約446.42GBが割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。GDDR5で3,072MBを搭載。CUDAコアは1,152

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になし。デスクトップアプリは、「ノートンセキュリティ」(90日間無料版)。そのほかは、IntelやNVIDIAなどシステム系と、PDFの「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」とシンプル。

ノートンセキュリティ
Realtekオーディオマネージャ
Windows 10ユーザーガイド(PDF)
ハードウェアマニュアル(PDF)

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、3DMark、CrystalDiskMark。またCrystalMarkの結果も掲載した(4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。

 winsat formalの結果は、総合 8.15。プロセッサ 8.4、メモリ 8.4、グラフィックス 8.6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は27,897.91257MB/s。

 PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは4,983。3DMarkは、Ice Storm 17,4630、Cloud Gate 28,240、Sky Diver 27,882、Fire Strike 10,491。

 スコアは、冒頭でも少し触れたほぼ同じ構成の「DAIV-DGZ510S1-SH2」とあまり差がなく、PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedが5,000一歩手前。またプロセッサの温度も同じく低め。Kaby Lakeの改良版14nmプロセスルールが効いているようだ。

 仕様上、少し気になるDDR4-2133とDDR4-2600の差だが、「winsat formal」のメモリバンド幅を見る限り、27,897.91257MB/s vs 27,075.63756MB/s(DAIV-DGZ510S1-SH2/Intel Z270)とほぼ同じだ。

 CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 546.9/Write 493.4、4K Q32T1 Read 322.4/Write 301.0、Seq Read 504.2/Write 430.7、4K Read 28.81/Write 104.5(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 95,003、FPU 82,767、MEM 98,165、HDD 39,709、GDI 24,459、D2D 24,419、OGL 44,950。

「winsat formal」コマンド結果。総合 8.15。プロセッサ 8.4、メモリ 8.4、グラフィックス 8.6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15
PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedのスコアは4,983
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。クロックは400MHzから最大の4.2GHzまで。ゲームとチャット以外は結構上下している。温度は32℃から52℃程度と性能の割に低め
3DMarkのスコアは、Ice Storm 174,630、Cloud Gate 28,240、Sky Diver 27,882、Fire Strike 10,491
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 546.9/Write 493.4、4K Q32T1 Read 322.4/Write 301.0、Seq Read 504.2/Write 430.7、4K Read 28.81/Write 104.5(MB/s)
CrystalMark。ALU 95,003、FPU 82,767、MEM 98,165、HDD 39,709、GDI 24,459、D2D 24,419、OGL 44,950

 以上のようにユニットコム「Lev-C122-i7-RNSSM」は、Kaby Lake Core i7とGeForce GTX 1060を搭載したパワフルなデスクトップPCだ。加えてパワーの割に筐体がコンパクトで設置場所にも困らない。

 試用した範囲で特に気になる部分も無く、最新鋭で速いマシンが欲しいものの、あまり場所を取りたくないユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。