西川和久の不定期コラム

マウス、クリエイター向けKaby Lake搭載PC「DAIV-DGZ510S1-SH2」

~Core i7-7700とGeForce GTX 1060を搭載した最新鋭機種

DAIV-DGZ510S1-SH2

 主にノートPC用のSKUが先行していたKaby Lakeだが、CES 2017が開催されるタイミングでデスクトップ用など数多くのSKUが追加された。早速マウスコンピューターからCore i7-7700とGeForce GTX 1060を搭載した、クリエイター向けのデスクトップPC「DAIV-DGZ510S1-SH2」が発売されたので、試用レポートをお届けしたい。

最新鋭のKaby Lake Core i7搭載デスクトップ

 ノートPC用のTDP 4.5WのYシリーズと15WのUシリーズに続き、今回CES 2017で発表されたのは、Xeon、デスクトップ用のCore Sシリーズ、オーバークロック(K型番)対応も含むCore Hシリーズなど。また、UシリーズにはIris Plus Grapchis内蔵モデルも追加された。

 第7世代のKaby Lakeは、基本アーキテクチャは第6世代Skylakeと同じだが、ビデオエンジンの改良、14nm+と呼ばれる改良版の14nmプロセスルールが用いられ、最大クロック数がアップしている。

 今回の「DAIV-DGZ510S1-SH2」に搭載されているプロセッサは、4コア8スレッド、TDP 65WのCore i7-7700。SkylakeのCore i7-6700と比較して、クロックが3.4GHz/4GHzから3.6GHz/4.2GHzへと200MHzの向上、そして内蔵GPUはHD Graphics 530からHD Graphics 630へと変わった。加えてDDR4-2400にも対応している。

 マザーボードに搭載されているチップセットは、新型Intel 200シリーズのZ270。CPUソケットはSkylakeと同じLGA1151だ。従ってKaby LakeだけでなくSkylakeも動作する。また逆も同じで、従来のSkylake用マザーボードでもKaby Lake対応版UEFI(BIOS)を当てれば、Kaby Lakeが動作可能となる。主な仕様は以下の通り。

【表1】DAIV-DGZ510S1-SH2の主な仕様
DAIV-DGZ510S1-SH2
プロセッサCore i7-7700(4コア/8スレッド、3.6~4.2GHz、キャッシュ8MB、TDP 65W)
チップセットIntel Z270
メモリDDR4-2400 16GB
ストレージSSD 240GB、HDD 2TB
OSWindows 10 Home
グラフィックスGeForce GTX 1060(3GB)
インターフェイスGigabit Ethernet、USB 3.0×6、USB 2.0×2、DisplayPort×3、HDMI、DVI、音声入出力
電源500W(80PLUS Silver)
本体サイズ190×490×490mm(幅×奥行き×高さ)
税別直販価格144,800円

 プロセッサとチップセットは先に書いた通り。メモリは4スロットあり、DDR4-2400の8GB×2で計16GBとなっている。最大64GB搭載可能。OSは64bit版のWindows 10 Home。既にRS1適応済みだ。ストレージは240GBのSSDと、2TBのHDDを内蔵する。

 グラフィックスは、Intel HD Graphics 630は使わず、GeForce GTX 1060(3GB)を採用。出力としてDisplayPort×3、HDMI×1、DVI×1を備えている。

 インターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 3.0×6(前面2基)、USB 2.0×2、音声入出力。USB Type-Cなどはなく、割とオーソドックスな構成だ。電源は500Wを搭載する。

 サイズは190×490×490mm。この構成で税別価格144,800円 からとなる。初物、そして内容を考えれば妥当なところだろう。

上下に取っ手のようなフレームが付いているタワー型。オールブラックで格好良い
前面のインターフェイス。音声入出力、USB 3.0×2、HDD/電源LED、ボリュームのように見えるのが電源スイッチ。上の化粧パネルは磁石で固定されているだけで簡単に外せる
背面。グラフィックス系のコネクタは目隠しされている。GeForce GTX 1060は2レーンを占有。下に500Wの電源ユニット
背面インターフェイスは、PS/2ポート、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、USB 2.0×2、音声入出力。映像出力は、DisplayPort×3、HDMI、DVI
左側面内部。マザーボードはMSI製。意外とスッキリしている。手前下側にドライブベイ
プロセッサと背面ファン。メモリスロットは4つ
ドライブベイ周辺。ワンタッチで着脱可能なドライブベイが4つ。内2つは使用中
GeForce GTX 1060。基板面を上にしたので見えていないがファンは1つ

 筐体はオールブラックでなかなか格好良い。上下に取っ手のようなフレームがあり、少しモダンな感じだ。前面上の化粧パネルは磁石で固定されており、引くだけで簡単に外すことが可能。下側の化粧パネルは、3点で凹凸にひっかかるようになっており、下の部分を押すと外れる仕掛けだ。

 前面上には、音声入出力、USB 3.0×2、HDD/電源LED、ボリュームのように見えるのが電源スイッチ。右にくるっと回すと電源オン/オフができるちょっと珍しいタイプ。カードリーダ系がないものの、ベイが空いているので、必要であれば付ければいい。

 背面は上にファン、マザーボードの背面パネルに、PS/2ポート、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、USB 2.0×2、音声入出力。マザーボード側のグラフィックス系は内蔵Intel HD Graphics用なので塞がれている。GeForce GTX 1060は2レーン占有し、出力はDisplayPort×3、HDMI、DVIがある。

 内部は、ネジ2本を外すことによってパネルが開きアクセス可能だ。中身は意外とあっさりしているのが写真からも分かるだろう。プロセッサ右側にメモリスロットが4本。8GBのメモリが2つ装着済み。マザーボードはMSI製で拡張バスは、PCI Express x16×2、PCI Express x1×4。下のドライブベイは4つあり、2つがSSDとHDDで使われている。500W電源も含め、通常用途であれば特に拡張性は問題ないだろう。

 発熱や振動は試用中特に気にならなかった。ノイズは低負荷時、低い音で軽く出るが、机の下に置けば大丈夫なレベルだ。3DMarkなど高負荷時にはさすがに少し騒音レベルが上がるが、うるさいというほどではない。

 今回はiiyamaブランドの28型フルHDディスプレイ「ProLite X2888HS-2」も試用した。こちらについては軽く紹介する。主な仕様は以下の通り。

【表2】ProLite X2888HS-2の主な仕様
ProLite X2888HS-2
パネル非光沢28型MVA方式パネル+WLEDバックライト搭載ワイド液晶ディスプレイ、NTSC95%
解像度フルHD/1,920×1,080ドット
画素ピッチ0.32mm
視野角上下左右178度
応答速度5ms(中間色)
輝度300cd/平方m
コントラスト比標準3,000:1、Adv.コントラスト時1,200万:1
入力DisplayPort、HDMI(MHL対応)、DVI-D、ミニD-Sub15ピン
出力ヘッドフォン、音声出力、スピーカー3W×2
サイズ/重量663×242×463.5mm(幅×奥行き×高さ)/5.4kg(スタンド込み)
税別直販価格29,445円

 筐体の色はマーベルブラックのみ。特徴としては、ベゼルの上下左右20mmの狭額縁、sRGB/Adobe RGBカラー設定機能やi-styleColor調整搭載、超解像度技術の「X-Res Tech.」、フリッカーフリーLEDバックライト技術、ブルーライトカットなど。

 入力はDisplayPort、HDMI、DVI-D、ミニD-Sub15ピンと主要なものは全部揃っている。HDMIはMHLにも対応しているのでスマートフォンなどから簡単に画面出力が可能。加えて、全ての映像出力のケーブルが同梱されている。

 また、この薄い筐体の中にスピーカー3W×2を内蔵。DisplayPort、HDMIに乗っている音声信号を出力可能だ。もっと良い音で聴きたい時は3.5mmジャックがあるので外部にスピーカーを接続することもできる。もちろんヘッドフォン端子も用意されている。

 本体サイズは663×242×463.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は5.4kg(スタンド込み)。税別価格は29,445円。約3万円でこれだけ揃っているのはポイントが高いと言えよう。

ベゼルの上下左右が20mm。右下にコントロール系のボタンが4つ
左側にAC電源コネクタ。右側に入出力系のコネクタ
この位置が最大角度。高さの調整や回転はできない
DisplayPort、DVI-D、HDMI(MHL対応)、ミニD-Sub15ピン、音声出力/ヘッドフォン出力

 マシン操作中このディスプレイを使っていたが、明るさ、コントラスト、視野角は十分確保され、加えて非光沢でフチが狭く、なかなか見やすかった。サウンドは3DMarkの時などに鳴らしていたが、単独でこれだけ鳴れば十分。ディスプレイ用のケーブル1本で済むので取り回しが楽だ。おおむね約3万円のディスプレイとしては良くできている。

 ただ、ケーブルマネジメント系のギミックがなく、多くのケーブルを接続すると煩雑になりそうなのと、高さ調整と回転に非対応なため、設置場所によっては目の位置に合わないケースもあるかと思われる。この点は少し気になった。

winsat formalのストレージが一番低い値という珍しい高スコアをマーク

 OSは64bit版のWindows 10 Home。RS1適応済みだ。書くまでもなく、Core i7、メモリ16GB、SSDの組み合わせなので、何をしても快適だ。

 初回起動時のスタート画面(タブレットモード)はWindows 10標準に加え、「ユーザーサポート」で、「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」が追加されている。デスクトップは壁紙の変更のみ。左側のショートカットは何もない。

 ストレージはSSDが240GBの「ADATA ASP550SS7-240GM」、HDDは2TB/64MB/7,200rpmの「Seagate ST2000DM006」。それぞれC:ドライブ 222.86GBと、D:ドライブ 1862.89GBに割り当てられ、C:ドライブの空きは198GB。D:ドライブは未使用だ。

 Gigabit EthernetはRealtek製。また、デバイスマネージャー/システムデバイスを見ると、チップセットがIntel 200シリーズになっているのが分かる。

スタート画面(タブレットモード)。Windows 10標準に加え、「ユーザーサポート」で、「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」が追加
起動時のデスクトップ。デスクトップは壁紙の変更のみ。左側のショートカットは何もない
デバイスマネージャー/主要なデバイス(その1)。ストレージはSSDが240GBの「ADATA ASP550SS7-240GM」、HDDは2TB/64MB/7200rpmの「SEAGATE ST2000DM006」。Gigabit EthernetはRealtek製
デバイスマネージャー/主要なデバイス(その2)。チップセットがIntel 200シリーズになっているのが分かる
ストレージのパーティションは、C:ドライブ/SSD 222.86GBと、D:ドライブ/HDD 1862.89GBに割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。CUDAコア1,152基。メモリ2,072MB/GDDR5となっている

 プリインストールされているソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になし。デスクトップアプリは、「マカフィーリブセーフ」と各デバイスのツール系だ。また、PDFのデータとしてマニュアル系が2つ入っている。

Realtek HDオーディオマネージャ
ハードウェアマニュアル(PDF)。もう1つWindows 10ユーザーガイドもある

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、3DMark。またCrystalMarkの結果も掲載した(4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。

 winsat formalの結果は、総合 8.15。プロセッサ 8.5、メモリ 8.5、グラフィックス 8.6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は27075.63756MB/s。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは4412。総合のスコアがストレージと割と珍しいケースだ。それ以外は8.5以上と高スコア。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedも余裕の4,000越えとなる。

 また、PCMark 8 バージョン2の詳細を見ると、プロセッサの温度が28℃から48℃程度と、最高クロックが4.2GHzの割には低めだ。CPUクーラーは特殊なものでなく、普通のものが使われている。14nmプロセス(14+)の効果だろうか。

 3DMarkは、Ice Storm 175362、Cloud Gate 29686、Sky Diver 27994、Fire Strike 10632。Fire Strike最後のシーンも20fpsほどで動いていた。

 CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 554.4/Write 485.2、4K Q32T1 Read 314.0/Write 218.5、Seq Read 470.2/Write 394.7、4K Read 17.20/Write 103.2(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 92940、FPU 80531、MEM 89580、HDD 23310、GDI 23242、D2D 27408、OGL 45336。

「winsat formal」コマンド結果。総合 8.15。プロセッサ 8.5、メモリ 8.5、グラフィックス 8.6、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated「4473」
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。クロックは400MHzから最大の4.2GHzまで。ゲームとチャット以外は結構上下している。温度は28℃から48℃程度と性能の割に低め
3DMark。Ice Storm 175362、Cloud Gate 29686、Sky Diver 27994、Fire Strike 10632
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 554.4/Write 485.2、4K Q32T1 Read 314.0/Write 218.5、Seq Read 470.2/Write 394.7、4K Read 17.20/Write 103.2(MB/s)
CrystalMark。ALU 92940、FPU 80531、MEM 89580、HDD 23310、GDI 23242、D2D 27408、OGL 45336

 以上のようにマウスコンピューターの「DAIV-DGZ510S1-SH2」は、Kaby Lake世代のCore i7と、GeForce GTX 1060を搭載した最新鋭デスクトップだ。最大4.2GHzでwinsat formalのストレージ以外が8.5以上という高スコアをマークしつつ、プロセッサの温度が28℃から48℃程度と低いのも魅力的だ。

 試用上、特に気になる部分もなく、Kaby LakeのCore i7をいち早く試したいユーザーにお勧めしたい逸品と言えよう。