西川和久の不定期コラム

デル「Inspiron 15 ゲーミング」

~価格重視でGeForce GTX 1050 Tiを搭載した15.6型ゲーミングノートPC!

製品写真

 デル株式会社は1月20日、Inspironシリーズより15型ゲーミングノートPCを発表した。従来からゲーミングPCブランドとして「ALIENWARE」シリーズがあるものの、こちらは価格重視だ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

Core i5/7とGeForce GTX 1050 Tiを搭載し109,980円から

 今回発表された「Inspiron 15 ゲーミング」にはプロセッサ、メモリ、ストレージの違いにより3モデル用意されている。

 下位モデルは、Core i5-7300HQ/メモリ8GB/256GB SSD搭載で税別109,980円。中位モデルは、Core i7-7700HQ/メモリ8GB/128GB SSD+500GB HDDで同129,980円。上位モデルは、Core i7-7700HQ/メモリ16GB/256GB SSD+1TB HDDで同149,980円。

 フルHDのパネルやGeForce GTX 1050 Ti、そのほかのインターフェイスなどは同じだ。いずれにしても、この内容でこの価格帯に抑えているのは結構頑張っていると言えよう。

 今回手元に届いたのは最上位モデル。主な仕様は以下の通り。

製品Inspiron 15 ゲーミング
プロセッサIntel Core i7-7700HQ(4コア/8スレッド、クロック 2.8GHz/3.8GHz、キャッシュ6MB、TDP 45W)
メモリ16GB DDR4-2400
ストレージ256GB SSD+1TB HDD
OSWindows 10 Home(64bit)
ディスプレイ非光沢15.6型フルHD(1,920x1,080ドット)液晶ディスプレイ、タッチ非対応
グラフィックスIntel HD Graphics 630、GeForce GTX 1050 Ti(4,096MB/GDDR5)、HDMI
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1
インターフェイスUSB 3.0×3(内1つはPowered)、720p Webカメラ、メディアカードリーダ、音声入出力(サブウーファーあり)
バッテリ74Whr/6セルバッテリ
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量約384.9×274.73×25.44mm/約2.65kg
税別価格149,980円(配送料込)

 プロセッサはKaby Lakeこと第7世代のCore i7-7700HQ。4コア8スレッドでクロックは2.8GHzから最大3.8GHzと、ノートPC用としては結構強力なSKUだ。キャッシュは6MB、TDPは45W。メモリはDDR4-2400で16GB。ストレージは256GBのSSDと、1TBのHDDを搭載している。OSは64bit版のWindows 10 Home。

 ディスプレイは非光沢の15.6型フルHD(1,920x1,080ドット)だ。外部出力用としてHDMI 2.0を備えている。グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 630に加え、PascalアーキテクチャのGeForce GTX 1050 Ti(4096MB/GDDR5)を搭載。Tiのない1050との違いはCUDAコア数で、Tiがある方が上位(768:640)となる。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 4.1にも対応している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×3(内1つはPowered)、720p Webカメラ、カードリーダ、音声入出力。ステレオスピーカーはもちろん、サブウーファーも内蔵だ。ゲームなどサウンドの迫力に期待できる。

 バッテリは74Whr/6セル。現在仕様にバッテリ駆動時間の表記はなく、後半のベンチマークテストで検証したい。サイズは約384.9×274.73×25.44mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.65kg。15.6型としては重量級と言えよう。このモデルの価格は、冒頭で書いた通り、税抜配送料込で149,980円となる。

前面。パネル中央上にWebカメラ。正面側面、赤いメッシュ部分にステレオスピーカー
背面。高負荷になると左右の赤いスリットから、それなりに暖かいエアーが出る
左側面。ロックポート、電源コネクタ、USB 3.0、メディアリーダ
右側面。Gigabit Ethernet、HDMI 2.0、USB 3.0×2(奥側がPowered)、音声入出力
キーボードは、10キー付きのアイソレーションタイプ。バックライトはない。タッチパッドは一枚プレート型
裏面。左上にサブウーファー。メモリなどにアクセスできる小さいパネルはない
斜め後ろから。普通のノートPCとしては大き目だが、ゲーミングノートPCとしては薄型
キーピッチは実測で約19mm
付属のACアダプタ。サイズは約150×75×25mm(同)。重量は424g
電源プラグの部分が青く光る。通電中に青く光るが、個人的には本体に合わせて赤い方が良いような気がする

 写真からも分かるように、筐体は真っ黒。ほとんどマットブラックで、ロゴ、スピーカーなど要所要所が赤。そしてリアのヒンジ付近がシルバーになっている。約384.9×274.73×25.44mm(同)、重量約2.65kgと、15.6型の割には大きく重いものの、重厚感がありカッコいい。

 前面は、パネル中央上にWebカメラ。正面側面、赤いメッシュ部分にステレオスピーカー。左側面は、ロックポート、電源コネクタ、USB 3.0、メディアカードリーダ。右側面は、Gigabit Ethernet、HDMI 2.0、USB 3.0×2、音声入出力。USBの奥側が給電対応だ。背面は左右にスリット、裏面はメモリなどにアクセスできる小さいパネルはなく、左上にサブウーファーを配置している。付属のACアダプタも、約150×75×25mm(同)、重量424gと巨大だ。

 キーボードは10キー付きのアイソレーションタイプ。主要キーのキーピッチは約19mm。いびつな並びもなく扱いやすい。ただ、ゲーミングノートPCでよく見られる、プログラマブルなバックライトは搭載していない。この辺りはALIENWAREがあるので、廉価版というスタンスなので仕方ないところか。ほかの部分も含め、光るところがほとんどないのは少し寂しい。タッチパッドは1枚プレート型。面積は結構広くスムーズだ。

 非光沢の15.6型フルHDのパネルは、非光沢ということもあってか、少し発色が地味な感じがする。その分、落ち着いて操作できるものの、用途的にはもう少しギラギラ感も欲しい。明るさやコントラストは十分で、視野角も実用上問題ないレベルだ。True Colorを使って好みの発色に調整できる。

 ノイズや振動は、3DMarkで負荷がかかった時に若干あるものの、さほどうるさい方ではない。発熱も同様で、背面のスリットから、生暖かい空気が出る程度。パームレストまでは温度が上がってこない。

 サウンドはサブウーファーがあるだけに、一般的なノートPCとは別次元だ。低音から高音までバランスが良く、またパワーもあり、ゲームだけでなく、音楽や動画も大迫力で楽しめる。

 以上のように、総じて派手なイメージがあるゲーミングノートPCとは、サイズ・重量以外、真逆の方向性で大人しめだ。ゲームだけでなく、この大きさが許せるなら、ハイパフォーマンスノートPCとして利用するのも十分ありだと思われる。

ノートPCとしてはパワフルだが、ゲーミング用としてはエントリー向け

 OSは64bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。Dellグループ以降がプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更のみで、ショートカットは1つもなく非常にシンプルだ。Core i7、メモリ16GB、SSDなので、一般的なノートPCとして見た場合、非常に高速に作動する。

 256GBのSSDは「SK hynix SC308 SATA 256GB」。調べたところ普通の2.5インチタイプだった。1TBのHDDは5,400rpm、キャッシュ8MBの「TOSHIBA MQ01ABD100」。それぞれCドライブ226.3GBと、Dドライブ931.39GBに割り当てられ、Cドライブの空きは193GB。Dドライブは未使用だ。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製。

スタート画面(タブレットモード)。1画面。Dellグループ以降がプリインストール
起動時のデスクトップ。デスクトップは壁紙の変更のみ
デバイスマネージャ/主要なデバイス。256GBのSSDは「SK hynix SC308 SATA 256GB」。1TBのHDDは5,400rpm、キャッシュ8MBの「TOSHIBA MQ01ABD100」。Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiとBluetoothはIntel製
ストレージのパーティション。Cドライブに226.3GB、Dドライブに931.39GB割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。4,096MB GDDR5、CUDAコア数768
Waves MaxxAudio Pro。かなり細かく好みのサウンドに追い込める

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは特になし。デスクトップアプリは、Dellフォルダに、「Dell Customer Connect」、「Dell Digital Delivery」、「Dell Help & Support」、「Dell Notifications」、「Dell Power Manager Lite」、「Dell Update」、「Dellの製品登録」、「SupportAssist」。

 そのほか、「Dropbox(20GB)」、「マカフィーリブセーフ」、「True Color」。加えてIntelやNVIDIAのシステム系。基本的にアプリケーションらしいソフトウェアはなく、ツール系になっている。どちらかといえば玄人好みと言えよう。

Dell Help & Support
SupportAssist
True Color
Dell Power Manager Lite

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated。3DMark、CrystalDiskMarkの結果も見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的に問題があるので参考まで)。

 winsat formalの結果は、総合 5.4。プロセッサ 8.3、メモリ 8.3、グラフィックス 5.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.1。メモリのバンド幅は15,750.14652MB/s。PCMark 8 バージョ2/Home acceleratedは3,598。3DMarkは、Ice Storm 73,066、Cloud Gate 22,147、Sky Diver 19,284、Fire Strike 6,808。CrystalMarkは、ALU 77,932、FPU 67,632、MEM 55,919、HDD 38,189、GDI 14,925、D2D n/a、OGL 34,085。

 CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 562.1/Write 263.3、4K Q32T1 Read 323.5/Write 264.1、Seq Read 481.3/Write 264.1、4K Read 17.61/Write 77.78(MB/s)。

 プロセッサやメモリのスコアは内容相応だが、PCMark 8や3DMarkはさほど高くない(もちろんIntel HD Graphicsよりは速い)。ゲーミングとしてはFire Strike未満の少し軽め用か。価格帯も含め、この辺りがALIENWAREシリーズとの棲み分けになるのだろう。

 BBenchは、バッテリ節約機能/オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で43,423秒/12時間。

 仕様に駆動時間の記述がなく、ゲーミングノートPCだから……と、舐めていたところ、何と12時間。これには驚いてしまった。外に持ち出しても十分使えると思われる。

「winsat formal」コマンド結果。総合 5.4。プロセッサ 8.3、メモリ 8.3、グラフィックス 5.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.1
PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは、3,598
PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)。CPUクロックは1GHz辺りから最大の3.8GHzまで激しく上下している。温度は40℃ちょっとから最高で70℃近辺まで上がる
3DMark。ALU 77,932、FPU 67,632、MEM 55,919、HDD 38,189、GDI 14,925、D2D n/a、OGL 34,085
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 562.1/Write 263.3、4K Q32T1 Read 323.5/Write 264.1、Seq Read 481.3/Write 264.1、4K Read 17.61/Write 77.78(MB/s)
BBenchの結果。バッテリ節約機能/オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果。バッテリの残5%で43,423秒/12時間
CrystalMark。ALU 87,263、FPU 81,375、MEM 99,137、HDD 58,018、GDI 22,670、D2D n/a、OGL 42,516

 以上のようにDELL「Inspiron 15 ゲーミング」は、Kaby LakeのCore i7と、GeForce GTX 1050 Tiを搭載した、15.6型ゲーミングノートPCだ。非光沢のパネルは見やすく、サブウーファー付きのサウンドは抜群。しかもバッテリ駆動時間は12時間と、ゲーム以外での用途としても使いたくなる内容に仕上がっている。予算に応じて3タイプ選べるのも魅力的だ。

 ゲーミングマシンとしては、ALIENWAREシリーズほどのパワーはないものの、試用上特に気になる部分もなく、大きさと重ささえ許容できれば、ゲームに限らず、15.6型のパワフルなノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい逸品だ。