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ユニットコム「UNI-LCD27/WQHD」
~39,800円のWQHD対応27型液晶



【表】主な仕様

UNI-LCD27/WQHD
液晶サイズ27型
パネル方式IPS方式
表示解像度2,560×1,440ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.233×0.233mm
表面処理グレア
バックライト方式LED
応答速度Tr:6.5ms、Tf:7.5ms
コントラスト比1,000:1(ダイナミックコントラスト有効時 80,000:1)
視野角水平178度/垂直178度
輝度350cd/平方m
表示色約1,677万色
走査周波数水平:31.469kHz~88.7kHz
垂直:60~75Hz
チルト角度下5度、上20度
高さ調節なし
スイベル左35度、右35度
ピボット機能なし
入力端子DisplayPort
DVI-I
HDMI 1.4
ミニD-Sub15ピン
ステレオミニジャック
出力端子ヘッドフォン出力
スピーカー2W+2W
VESAマウント対応(100×100mm)
電源ACアダプタ
消費電力標準120W以下
付属品DVIケーブル(Dual Link)
ミニD-Sub15ピンケーブル
ACアダプタ
本体サイズ740×180×510mm(幅×奥行き×高さ)
重量7.6kg

【お詫びと訂正】初出時に、仕様表で表面処理をノングレアとしておりましたが、グレアの誤りです。お詫びして訂正させて頂きます。

 ユニットコムは、2,560×1,440ドット(WQHD)表示対応ながら39,800円と安価な価格を実現した液晶ディスプレイ「UNI-LCD27/WQHD」を発売した。製品数の多いフルHD対応液晶ディスプレイに比べて高価な製品が多く、これまでなかなか手を出せなかったWQHD対応液晶だが、UNI-LCD27/WQHDの登場で一気に注目度が高まっている。

●本体デザイン

 UNI-LCD27/WQHDは、27型と大型の液晶パネルを採用していることもあり、本体サイズは645×220×455mm(幅×奥行き×高さ)と、さすがにかなり大きい。ただ、奥行きは24型など一般的な液晶ディスプレイとほぼ同等で、デスクに設置する場合でも幅さえ確保できれば問題なく設置可能だ。

 本体デザインは、液晶ディスプレイとしてオーソドックスだ。ベゼルは極端に狭いわけではないが、まずまず満足できる狭さだ。カラーはブラックのみで、ベゼルやスタンドは光沢感のある塗装が施されている。ただ、樹脂の素材感がそのまま伝わってくるため、高級感は感じられない。

 スタンドは、樹脂製の楕円形のものを採用。高さ調節機能はないが、手前に5度、奥に20度のチルト角度調節と、左右のスイベル機構を搭載する。ただ、液晶部を支える支柱の強度があまり高くないせいか、液晶面のぐらつきがやや大きい点は気になった。

 電源ボタンやOSD操作用のボタンは、ベゼル下部の右側に集められている。物理的なボタンでしっかりと押せるが、ベゼルの下部に配置されているため、やや扱いづらい。

 このサイズの液晶ディスプレイとしては珍しく電源は内蔵しておらず、ACアダプタが付属する。ACアダプタの出力は144Wと高出力で、サイズもやや大きい。

●液晶パネル

 2,560×1,440ドット表示対応の27型ワイド液晶を採用。パネルの方式はIPS方式。サイズは大きいものの、表示解像度が高いため、ドットピッチは0.233mmと23型フルHD液晶(0.265mm)よりも狭い。そのため、実際に表示される文字はやや小さくなる。筆者は、普段13.1型フルHD液晶を搭載するノートPCを利用していることもあり、見づらいと感じることはなかったが、23型フルHD液晶よりも若干文字が見づらくなると考えた方がいい。このあたりは個人差があるので、可能であれば一度実物を見た上で判断すべきだろう。ちなみに、ノートPCで広く採用されている、1,366×768ドット表示対応の13.3型液晶のドットピッチは0.216mmなので、そちらよりは文字が大きく表示される。

 バックライトはLEDで、輝度は350cd/平方mと十分に明るい。コントラスト比は、標準で1,000:1、ダイナミックコントラスト有効時には80,000:1となる。視野角は上下左右とも178度。応答速度は、Trが6.5ms、Tfが7.5msと発表されている。黒白黒で約14msとなるため、応答速度はそれほど速くない部類だ。パネル表面は光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、DisplayPort、DVI-I、HDMI、ミニD-Sub15ピンの4系統を用意。このうち、WQHD入力に対応するのはDisplay PortとDVI-Dのみとなる。また、DVI-D経由でWQHD入力を行なう場合には、PC側のDVI出力がDual Link DVIに対応するとともに、Dual Link DVI対応のDVI-Dケーブルが必要となる。もちろん、PC側のグラフィックス機能がWQHD出力に対応している必要もある。

 UNI-LCD27/WQHDには2W+2Wのステレオスピーカーを背面に搭載しており、音声入力端子も備えている。スピーカーからは、この音声入力の音声に加え、DisplayPortやHDMIから入力された音声も再生される。ただし、スピーカーの音質はあまり良くはない。また、音声出力やヘッドフォン出力などは用意されない。

●OSD

 OSDは、非常にシンプルな構成となっている。設定できる項目は明るさやコントラスト、RGBの色合い調節など、必要なものは用意されているものの、どちらかというと必要最低限のものだけを用意したという印象だ。一般ユーザーなら特に不満はないと思うが、プロのグラフィックス用途向けへの活用は少々厳しいと感じる。

 OSDの操作は、ベゼル下部のボタンを利用するが、項目を選択するボタンと移動のボタンが離れていることなどもあり、やや扱いづらく感じる。一応、ベゼル部分にボタンのガイドは表記されているものの、それがあってもやや扱いづらいため、できれば画面上に設定項目に応じて変化するボタンのガイド表示を用意してもらいたかったように思う。

●画質

 発色は、広色域パネル搭載の液晶ディスプレイに比べるとやや見劣りするものの、まずまず満足できるレベル。また、パネル表面が光沢処理となっているため、鮮やかに感じる。反面、外光の映り込みは激しい。文字入力時や暗い映像を表示する場合などには、映り込みがかなり気になる。

 IPS方式の液晶パネルを採用しているため、公称の視野角は十分に広いが、上下や左右に大きく視点を移動すると、若干発色の変化が感じられる。IPSパネルとしてはやや視野角は狭いと言えそうだ。それでも通常利用時に大きく視点が移動することはないため、ほぼ無視できるだろう。また、中央部と周辺部との輝度ムラも若干感じられるが、気になるほどではなく、こちらも無視できる範囲内だ。

 それよりも気になったのが、応答速度の遅さだ。実際に動画を再生させると、動きの速い場面や文字が横に流れるように表示される場面などで若干残像が気になった。最近では、応答速度の速さを特徴とする製品が増えているが、それらと比べるとかなり気になる。それに対し、表示遅延はそれほど大きくない。家庭用ゲーム機を接続してゲームをプレイしてみたが、違和感なくプレイ可能だった。

 ところで、HDMI入力時にはWQHD入力は行なえず、最大フルHDでの入力となるが、UNI-LCD27/WQHDではオリジナル解像度でのドットバイドット表示は行なえず、常に全画面に引き延ばしたスケーリング表示となる。WQHD出力対応のPCを接続する場合にはもちろん問題ないものの、HDMI出力しかないPCの接続や、家庭用ゲーム機などを接続する場合には、基本的にドットバイドットの表示が不可能となる。実際に、フルHD映像を入力して試したところ、若干ぼやけたような映像にはなるが、大きな違和感はなく、それほど不満はない。とはいえ、できればドットバイドットでの表示も選択できるようにしてもらいたかったように思う。

 UNI-LCD27/WQHDは、WQHD表示対応ながら4万円を切る圧倒的な安さを実現している点が非常に大きな魅力だ。表示品質は一部気になるところもある。中でも、応答速度の遅さはかなり気になるので、映像の表示やゲームなどにはあまり向いていないかもしれない。ただ、それらも我慢できる範囲内なので、よほど高品質な表示性能を求めない限り、それほど気にはならないだろう。なにより、4万円を切る価格を考えると、それらも十分納得できる。WQHD表示対応の液晶ディスプレイを安価に入手したい人にとって、大きな魅力のある製品と言える。

 ちなみに、初回入荷分は早々に完売となり、現時点では受注が止められている。近いうちに再入荷すると思われるので、購入を考えている人はユニットコム系列の販売店(パソコン工房など)のホームページをこまめにチェックすることをおすすめする。

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(2012年 10月 15日)

[Text by 平澤 寿康]