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LGエレクトロニクス「E2370V-BF」
~IPSパネル採用のゲーミング向けモデル



 E2370V-BF
液晶サイズ23型
パネル方式UH-IPS方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.265×0.265mm
表面処理ノングレア
バックライト方式LED
応答速度GTG 14ms、GTG bw 6ms
コントラスト比1,000:1(ダイナミックコントラスト時 500万:1)
視野角上下/左右とも178度
輝度250cd/平方m
表示色約1,677万色
走査周波数水平:30kHz~83kHz
垂直:56~75Hz(VGA、DVI-D)
56Hz~61Hz(HDMI)
チルト角度下5度/上15度
高さ調節なし
スイーベルなし
ピボット機能なし
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
HDMI×2
ミニD-Sub 15ピン×1
出力端子ヘッドフォン出力×1
スピーカーなし
VESAマウント対応(100×100mm)
電源内蔵
消費電力標準39W
付属品DVI-Dケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
電源ケーブル
リモコン
ユーティリティディスク
本体サイズ556.2×177.8×412.7mm(幅×奥行き×高さ)
重量4.36kg

 LGエレクトロニクスから、IPS液晶パネルにLEDバックライトを組み合わせるとともに、スルーモードを搭載することで、表示遅延を最小限に抑えたゲーミングディスプレイ「E2370V-BF」が登場。超解像表示機能など、豊富な表示機能を備える点も魅力の製品だ。オープン価格で、実売価格は33,000円前後。

●本体デザイン

 E2370V-BFのデザインは、特に凝った装飾もなく、どちらかというと落ち着いた印象のデザインとなっている。他のLGエレクトロニクス製の液晶ディスプレイでは、円形のスタンドを採用する製品が多い中、E2370V-BFでは長方形のスタンドを採用している点が、他の製品と異なるが、基本的にはデザイン性に大きな違いはないと言える。

本体素材は、プラスチック感が強いものの、液晶ベゼル部はヘアライン風の処理が施されると共に、非光沢となっていることもあり、利用時に外光の映り込みなどが気になることがない。ただし、スタンド部は光沢感が強い。

 本体サイズは、556.2×177.8×412.7mm(幅×奥行き×高さ)。ベゼル部は極端な狭額というわけではなく、23型液晶ディスプレイとして一般的なサイズとなっている。本体重量は4.36kgと軽量だ。

 液晶パネル面のチルト角は、下5度から上15度の間で調節可能とされているが、評価機を利用した限りでは、垂直から下方へのチルトはほぼ不可能だった。高さ調節やスイベル機構は備わっていない。

 電源ボタンや入力切り替え、OSD操作用のボタンは、液晶下部ベゼル底面の右側に集められている。底面にボタンがあるため、若干扱いづらい印象を受ける。ただ、入力切り替えや、表示モードの切り替えは、付属のリモコンで行なえるため、実際の使い勝手は悪くない。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、23型ワイド液晶を採用。パネルの方式はUH-IPS方式で、従来のH-IPS方式のパネルに比べ、開口率が18%高められており、発色効率や輝度、コントラストが向上している。視野角は上下/左右とも178度で、TNパネルのような視野角の違いによる色合いの変化はほとんど感じられない。

 コントラスト比は、標準では1,000:1だが、ダイナミックコントラスト有効時には500万:1となる。これらの特徴は、UH-IPSパネル+LEDバックライトの同社製他モデルとほぼ同等だ。応答速度は、GTGが14msと、それほど高速ではない。同社では、中間階調→中間階調の偏差の平均値「G to G(σ)」が4.4ms、中間階調から白/黒への偏差の平均値「G to G bw(σ)」が1.2msで、他方式のパネルより階調ごとの応答速度のばらつきが小さいとしている。ただ、実際に映像やゲーム画像を表示させたところ、若干の残像が感じられた。バックライト輝度は250cd/平方m、パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D×1系統、HDMI×2系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の計4系統を用意。本体にスピーカーは内蔵されておらず、音声入力端子も用意されていないが、HDMI入力時の音声を出力するヘッドフォン出力が用意され、本体のボタンやリモコンで音量調節が可能となっている。ただ、ヘッドフォン出力端子は、本体背面の他の映像入力端子の横に配置されているため、使いづらい。入力切り替えは、本体のボタンだけでなく、付属のリモコンでも行なえる。

●OSD

 OSDメニューで設定できる項目は、特別豊富というわけではないが、RGBの色合い調節、色温度、ガンマ値の調節など、必要十分な機能が揃っており、不満はない。また、超解像機能や表示アスペクト比、明るさを登録できるユーザーモードも用意。全部で3個のモード登録が可能となっており、表示ソースに応じて細かく設定できる点は嬉しい。また、モード切り替えは付属リモコンでも行なえるため、素早く切り替えられる。ただし、せっかくリモコンが付属しているのに、OSDの操作は本体側のボタンでしか行なえない。

●画質

 以前、同じくUH-IPSパネルを採用する同社製の製品「IPS226V-PN」を試用した時には、赤の発色がやや弱く、表示画像の色合いが全体的に淡く感じられた点が気になった。それに対しE2370V-BFは、そのような色合いが淡いといった印象はほぼ解消され、発色は鮮やかになったという印象を強く受けた。

 パネル表面が非光沢処理となっていることもあって、光沢パネルを採用する液晶ディスプレイや、広色域パネルを採用する液晶ディスプレイと比較すると、発色の鮮やかさは劣るように感じるものの、単体でE2370V-BFの表示を見ている限り、表示品質に不満を感じることは少ないだろう。おそらく、これがUH-IPSパネルの本来の発色性能なのだろう。

 それに対し、応答速度はそれほど高速ではないこともあり、高速な表示切り替えを伴うコンテンツを表示させた場合などには若干の残像が感じられる。特に、ゲーム画像などで顕著だ。Blu-ray DiscやWeb動画など、映像コンテンツを表示させた場合には、それほど残像は気にならないが、ゲーミング用途をターゲットとした製品としては、若干残念なところだ。

 入力映像の表示遅延は、かなり少ないレベルだ。スルーモードを利用した場合に、コントローラの入力と表示映像に違和感をほとんど感じないのはもちろんだが、スルーモードを利用しない場合でも、ほぼ遅延は気にならなかった。この点は、ゲーミング用途の製品としてかなり心強い。

 超解像表示機能は、1フレームを元に解析している。そのため、静止画やWindowsのデスクトップ画面を表示させている場合には、超解像機能を有効にすると、文字が潰れたように見えるなど、返って違和感を感じる表示となってしまう。しかし、動画再生時に利用した場合には、全体的にくっきりと引き締まった映像に感じられる。例えば、背景に木がある場合などは、ぼやけている部分がくっきり見えるようになり、解像感が高まったように感じられる。超解像機能は3段階で調節できるが、個人的には中設定が最も効果が高いように感じられた。解像度の低い動画を再生する時には、積極的に利用したい機能と言える。

 IPSパネルを採用しながら2万円台で販売される液晶ディスプレが存在していることを考えると、E2370V-BFは特別安価な製品というわけではないだろう。それでも、表示品質や、低い表示遅延、超解像表示機能などを考慮すると、価格に見合う性能と言えるだろう。表示映像によっては残像が若干気になる点は少々残念だが、コストパフォーマンスに優れるIPSゲーミングディスプレイとして十分にオススメできる製品だ。

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(2011年 2月 16日)

[Text by 平澤 寿康]