LGエレクトロニクス・ジャパン株式会社は、IPSパネルを採用したゲーミング向け23型液晶ディスプレイ「E2370V-BF」を1月下旬より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は33,000円前後となる見込み。
IPSパネルの中でも、従来のH-IPSパネルより開口度を最大18%向上させたUH-IPSパネルを採用。IPSパネルは、他の大多数の製品で採用されるTNやVA方式に比べ、視野角が広い、どの階調でも色温度と応答速度が安定、といった特徴がある。
一方で、応答速度は遅めの傾向があるが、同社では階調変化の偏差の平均値ではTNよりも高速であり、ゲームにも好適としている。具体的には、中間色の偏差平均はTNが7.6ms、IPSが4.4ms、白/黒の平均偏差はTNが6.7ms、IPSが1.2msとなる。
もちろん、ゲーミング向けとして、映像/音声が入力されてから表示されるまでの遅延を低減するスルーモードを搭載するが、白浮きを軽減するシュートコントロールに対応する超解像技術も搭載し、高速表示が不要な場合は、高画質化を有効にすることも可能。
また、リモコンが付属するほか、超解像の有効/無効や、アスペクト比、輝度などの設定を3つまで登録可能で、瞬時に画像モードを切り替えるられる。このほか、リモコンではPinP設定や、主画面/子画面の切り替え操作などができる。
側面。バックライトはLEDなので薄型 | 背面。VESA 100mmマウントを装着可能 | 接続端子は背面右手 |
付属のリモコン。先端が鉤手のようになっており、キーボードの端などに引っかけられる | OSDのボタンはタクト式 | 過去の製品(左から「W2363V」、「W2363D」)との比較 |
主な仕様は、最大表示解像度が1,920×1,080ドット、最大表示色数が約1,670万色、輝度が250cd/平方m、コントラスト比が1,000:1(最大500万:1)、応答速度が6ms(中間色14ms)、視野角が上下/左右とも178度。輝度は、センサーにより周囲の明るさに応じて自動調整ができる。
インターフェイスは、HDMI×2、DVI-D、ミニD-Sub15ピンで、HDMI同士を除く全ての組み合わせでPinPが可能。また、いずれも親画面になれる。本体サイズは556.2×174.8×412.7mm(幅×奥行き×高さ)、重量は4.36kg。
●ユーザーの声を徹底反映させた開発20日に行なわれた製品発表会では、LG Electronics本社商品企画グループのチェ・ソグヨン氏が、製品の開発背景について説明した。
同社の液晶ディスプレイでゲーミング向けを謳った初の製品は、2009年9月発売の「W2363V」。同製品は日本でもおおむね好評だったが、デザイン面などで改善を望む声もあった。そこで同社は、韓国本社および日本支社のそれぞれで、ゲーマーや評論家を集め、次の製品に向けた調査を行なった。
まずそこで得られた意見としては、目に優しいこと。ゲーマーは数時間連続でゲームをプレイすることがざらだが、それ以外に映画を観る機会も少なくないという。そこで、視野角が広く見やすいIPSパネルや、輝度の自動調整に対する良い反応があった。
また、ゲーマーはPCだけでなく、家庭用ゲーム機なども接続するほか、MMOなどでは暇になる時間もあることから、PinPでTVなどを見るといった使い方は意外と少なくない。そこで、スルーモードのオン/オフや、映像モードなども含め、簡単に切り替えたいという声が強く、ワンタッチで切り替えられるリモコンをつけた。OSD操作のボタンが、はやりのセンサー式でなくタクト式なのも、確実な操作が行ないたいという要望を受けてのものだ。
W2363Vは、丸みを帯びたデザインで、音声入力に合わせてLEDが光るといったゲーマー向けギミックを搭載し、それは3D立体視対応の「W2363D」にも踏襲されたが、実際にはゲームに集中できないという反応があったため、今回は直線的でシンプルなデザインに落ち着いたという。
LG Electronics本社のチェ・ソグヨン氏 | 実際にユーザーを招いての調査により得られた反応 |
(2011年 1月 20日)
[Reported by 若杉 紀彦]