最新液晶ディスプレイ ピックアップ

LGエレクトロニクス「IPS226V-PN」
~2万円前後のIPSパネル+LEDバックライト液晶



IPS226V-PN
液晶サイズ21.5型
パネル方式S-IPSII方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.248×0.248mm
表面処理ノングレア
バックライト方式LED
応答速度GTG 14ms、GTG BW 6ms、GTG(σ) 4.4ms、GTG BW(σ) 1.2ms
コントラスト比1,000:1(ダイナミックコントラスト 500万:1)
視野角上下/左右とも178度
輝度250cd/平方m
表示色約1,670万色
走査周波数水平:30kHz~83kHz
垂直:50~75Hz(アナログRGB、DVI-D)
56Hz~61Hz(HDMI)
チルト角度下5度、上15度
高さ調節なし
スイベルなし
ピボット機能なし
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
HDMI×1
ミニD-Sub15ピン×1
出力端子ヘッドフォン出力×1
スピーカーなし
VESAマウント対応(75×75mm)
電源ACアダプタ
消費電力標準33W
付属品DVI-Dケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
電源ケーブル
ユーティリティCD
本体サイズ515.7×230×403mm(幅×奥行き×高さ)
重量約3.49kg

 LGエレクトロニクスは、同社が開発したH-IPS方式の新モデル「S-IPSII方式」の液晶パネルに、LEDバックライトを組み合わせた液晶ディスプレイの最新モデル「IPS226V-PN」を発売した。価格はオープンプライスで、実売価格は2万円前後だ。

●本体デザイン

 本体デザインは、従来の同社製液晶ディスプレイのデザインが踏襲されている。本体部分は、光沢感の強いブラックボディを採用してはいるが、特に凝った装飾などはなく、オーソドックスな形状だ。それに対し、液晶本体とスタンドを繋ぐネック部分が、シャンパンを注いだグラスをイメージしたとされるオレンジ系の透明素材を採用している点がアクセントとなっており、目をひく。ただ、全体的にボディ素材はプラスチック感がかなり強く感じられる。このあたりは、価格相応といった印象だ。

 本体サイズは、515.7×230×403mm(幅×奥行き×高さ)。ベゼルは十分に狭額で、21.5型ワイド液晶を搭載する製品としては十分にコンパクトといえる。また、LEDバックライトを採用するとともに、電源にACアダプタを利用していることもあり、本体部は奥行きが非常に短く、重量もスタンド込みで約3.49kgと非常に軽量だ。

 液晶パネル面のチルト角は、下5度から上15度の間で調節可能。ただし、高さ調節やスイベル機構は備わっていない。

 電源ボタンや入力切り替え、OSD操作用のボタンは、液晶下部ベゼルの右側に集められている。ボタンにはタッチセンサーが採用されており、指で軽く触れるような感覚で操作可能だ。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の、21.5型ワイド液晶を採用。パネルの方式はS-IPSII方式と呼ばれるもので、従来のH-IPS方式のパネルに比べ、開口率が18%高められており、発色効率や輝度、コントラストが向上している。視野角は上下/左右とも178度で、TNパネルのような視野角の違いによる色合いの変化はほとんど感じられない。コントラスト比は、標準では1,000:1だが、ダイナミックコントラスト有効時には500万:1となる。この点は、パネルの開口率が高められたことと、バックライトにLEDを採用していることが大きく影響していると考えていいだろう。応答速度は、GTGが14msとやや遅く、高速な描画を伴うゲームなどでは、若干残像が感じられた。バックライト輝度は250cd/平方m、パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統、HDMI×1系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の計3系統を用意。本体にはスピーカーが内蔵されていないため、音声入力端子は用意されていないが、HDMI入力時の音声を出力するヘッドフォン出力が用意されている。ただ、ヘッドフォン出力端子は、本体背面の映像入力端子の横に配置されているため、やや使いづらく感じる。

●OSD

 OSDでは、輝度やコントラスト、基本的な設定はもちろん、色温度やガンマ値の設定、RGBの色合い調整に加え、RGBCYMの6色色相調節も行なえるため、画質調節はかなり細かく行なえる。低価格製品とはいえ、このように設定項目が充実している点は、大きな特徴と言っていいだろう。

 OSDの操作は、ベゼル下部右側に配置されているタッチセンサーで行なう。タッチセンサーの感度は良好で、物理的なボタンと同等の使い勝手を実現。タッチセンサーは横に並んでいるものの、OSD表示時には、ボタン上部の液晶画面に操作ガイドが表示されるため、それほど戸惑うことなく操作が可能だ。

●画質

 液晶パネルにS-IPSII方式のパネルを採用していることもあり、同価格帯の製品での採用が多いTNパネル採用ディスプレイに比べ、表示品質は優れている。特に、上下や左右に視点が移動した場合でも、色合いがほとんど変化しない点は、大きな優位点と言える。

 ただ、先にも紹介したように、応答速度はGTGが14msと、TNパネルに比べかなり遅く、高速な描画を伴うコンテンツを表示させた場合などには若干の残像が感じられる。とはいえ、TVやBlu-rayなど、秒間コマ数が30未満の動画を表示させた場合にはそれほど残像は感じられなかった。ゲームプレイでは若干気になる場面もあるとは思うが、それ以外の用途であれば、それほど気にならないと考えていい。

 ところで、今回試用した試用機では、表示画像の色合いが、全体的に淡いというか、赤が弱いといった印象が強かった。色合い調節で赤を強くすればかなり改善されたため、パネルの特性というよりは、表示設定上の問題と思われる。実はこの試用機は、海外仕様のサンプル品で、日本で発売される製品版とは仕様が大きく異なっている可能性が高い。また、もし同様の発色特性であったとしても、OSDで細かな色合い調節が行なえるため、納得できる発色を設定可能と考えていいだろう。

 IPS226V-PNは、実売価格が2万円前後と、IPS方式のパネルを採用する液晶ディスプレイとして最安クラスの製品だ。確かに、本体がやや安っぽく見えたり、機能面がかなりシンプルというように、コストダウンの影響が色々な部分から見えるのは事実だが、それでも同価格帯のTNパネル採用製品に比べ、優れた表示品質を実現している点は大きな魅力と言える。応答速度がやや遅いため、ゲームなどの高速描画を伴うコンテンツを表示させる用途としては少々厳しいが、動画再生やデジタルカメラで撮影した静止画の編集作業、Webアクセスやビジネス系アプリケーションの利用といった用途であれば、不満を感じる点はほぼないと言っていい。TNパネル搭載製品より表示品質に優れる液晶ディスプレイを、なるべく安価に購入したいと考えている人にオススメしたい製品だ。

【お詫びと訂正】初出時にUH-IPS液晶搭載と記載しておりましたが、メーカー発表がS-IPSIIと訂正されました。お詫びして訂正させていただきます。

バックナンバー

(2010年 11月 16日)

[Text by 平澤 寿康]