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エプソンダイレクト「Endeavor NY10S」

~フルHD液晶搭載のスライド型コンバーチブルUltrabook

エプソンダイレクト「Endeavor NY10S」
発売中

価格:119,800円~

 エプソンダイレクトは、液晶部を後方にスライドし引き起こすギミックを採用することで、タブレットスタイルとノートPCスタイルを使い分けられるコンバーチブルUltrabook「Endeavor NY10S」を発売した。11.6型フルHD液晶やパフォーマンスに優れるCore i7プロセッサを搭載しつつ、約1.19kgと軽量ボディを実現している点も魅力。直販価格は119,800円から。

スライド方式のコンバーチブル機構を採用

 液晶部着脱式や液晶回転式など、コンバーチブル型ノートPCの変形機構にはいくつかの方式があるが、「Endeavor NY10S」(以下、NY10S)が採用しているのは、いわゆるスライド式だ。液晶部が本体後部にスライドするとともに、手前に引き起こせるようになっている。通常はピュアタブレット型だが、本体を後方にスライドさせるとキーボードが現れ、さらに液晶部を引き起こすことでクラムシェル型ノートPCのように利用できるようになる。

 この変形ギミックの仕組みは、東芝の「dynabook R822」とほぼ同じだ。液晶部背面の左右側面付近に平面のギアを配置するとともに、ヒンジ部に歯車を設置。また、左右の歯車が同調して動くように、左右のヒンジを金属棒で接続。これによって、スムーズなスライドを実現。実際に、液晶部の中央や端など、さまざまな部分を押さえてスライドしてみても、途中でテンションが高まったり引っかかるようなことは全くなく、常にスムーズな開閉が行なえた。さらに、ヒンジ部は適度な強度があり、液晶面を起こした状態でもぐらつきは皆無。加えて、液晶を引き起こす場合の支点が、本体中央に近い部分にあるため、タッチ操作で本体が奥に倒れる心配もほとんどない。

 このスライド方式のコンバーチブルスタイルの利点は、なんと言ってもタブレット時にキーボードが完全に隠れるという点だ。液晶を背面部まで回転する機構のコンバーチブルノートでは、タブレット時に底面にキーボードが来るため、持つ手にキーの感触が伝わって違和感があったり、むき出しのキーボードに衝撃が加わって破損する危険性もある。しかし、キーボードが隠れるスライド型なら、そういった心配はない。

 また、NY10Sのようなスライド機構では、液晶面の角度を比較的自由に調節できるという利点もある。NY10Sでは水平から75度の範囲内で自由に液晶面の角度を調節でき、ノートPCに近い使い勝手を実現できる。スライド型コンバーチブルノートでは、ノートPCモードでの液晶面の角度を調節できないものもあるが、それらに対する大きな優位点と言えるだろう。

 本体サイズは、303×197×19.8mm(幅×奥行き×高さ)。11.6型液晶搭載のコンバーチブルUltrabookとしてはまずまずコンパクトだが、液晶ベゼル部が若干広く感じる。重量は、公称で約1.19kg、実測で1,180gと1.2kgを切っており、なかなかの軽さを実現。本体のコンパクトさと合わせ、携帯性は申し分ない。

本体正面。この状態では、ピュアタブレット型のWindows 8スレートPCとほぼ同等の感覚で利用できる。フットプリントは303×197mm(幅×奥行き)となっている
液晶部は後方にスライドできるようになっており、下からキーボードが現れる
液晶をスライドした状態を横から見た様子
液晶部を引きあげると、このようにクラムシェル型ノートPCに近い形状となり、ノートPC同等に利用できる
液晶を引きあげて横から見た様子。液晶は最大75度まで起こして利用可能。角度も自由に調節可能だ
液晶を引き起こした状態で背面から見た様子。背面部には支えになるようなものはなく、ヒンジ部のみで液晶部が支えられている
背面のヒンジ部。ヒンジ内には歯車があり、液晶面背部の平面ギアに沿って動くとともに、液晶面の角度を調節する回転機構も備える
左右が同調してスライドするように1本の金属棒で繋がっており、スムーズなスライドが可能
【動画】液晶面を開閉している様子
本体正面。液晶面と本体部の間にわずかなすき間が見えるが、この上部の液晶部が後方にスライドする
左側面。高さは19.8mmと20mmを切っている。Ultrabookの中では薄い方ではないが、コンバーチブル型と考えると十分に薄いと言える
後部側面。液晶面はブラック、本体部はシルバーに色分けされている
右側面。前方から後方まで、高さはほぼ均一だ
本体底面。バッテリは内蔵型で取り外しできない。また、メインメモリの増設や内蔵ストレージの交換も不可能となっている
本体重量は実測で1,180gと1.2kgを切っており、携帯性は申し分ない

11.6型フルHDタッチ液晶を採用

 NY10Sには、1,920×1,080ドット表示対応の11.6型”フルHDあざやか液晶”が搭載されている。11.6型と比較的小型のサイズながらフルHD表示に対応しており、非常に高精細な表示が可能。また、パネルはIPS方式のため、視野角が広く、タブレットモードで多人数が同時に画面を見る場合でも、どの場所からもしっかりと映像が視認できる。パネル表面は光沢処理となっているため、外光の映り込みは気になるものの、発色は鮮やかで、写真や映像も十分に優れる品質で表示できる。バックライトはLEDで、輝度も十分に高い。

 液晶表面には、10点マルチタッチ対応の静電容量方式タッチパネルを配置。Windows 8の操作も軽快だ。ただし、液晶面に指紋の痕が残りやすい点は少々気になった。これはタッチパネル液晶の宿命ではあるが、定期的な拭き取りが不可欠だろう。

1,920×1,080ドット表示対応の11.6型液晶を搭載。IPSパネル採用のため視野角が広く、タブレット形状でも快適に利用できる。表面は光沢処理のため発色は鮮やかだが、外光の映り込みは気になる
液晶上部には、92万画素のWebカメラを搭載
液晶下部にはWindowsボタンを配置。センサー式ではなく物理ボタンとなっている

ポインティングデバイス非搭載

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプのキーボードを搭載する。本体サイズが小さいことと、スライドギミックを採用することもあり、キーピッチは約17.42mmと若干狭くなっている。それでも、主要キーは正方形で、配列も自然なため、慣れれば十分にタッチタイプ可能だ。加えて、ストロークは約1.9mmと、このクラスのUltrabookのキーボードに比べるとかなり深く、適度な堅さとクリック感もあり、打鍵感はかなり優れる。ちなみに、キーボードは液晶をスライドさせ引き起こした状態でのみ動作するようになっており、液晶が水平になった状態では自動的に動作しなくなるようになっている。

 それに対し、ポインティングデバイスは非搭載となっている。スライドギミックでの後方へのスライド幅がやや狭いことと、タッチパネルを標準搭載することから、搭載が見送られたものと思われる。ただ、実際に使ってみると、特にノートPC形状で利用している場合に、ポインティングデバイスがないことによる使い勝手の悪さが感じられる場面があるのも事実。例えば、NY10Sでは11.6型のフルHD液晶と、かなり高精細な液晶パネルを搭載するため、指では細かなポイントが難しい場合があり、思ったような操作が行なえない場合がある。また、Windows 8に用意されている、カーソルを画面の端や角に移動させることで表示される各種メニューもうまく表示できない。

 搭載しようと思えば、光学式やスティック型のポインティングデバイスを搭載できたと思われるが、光学式ポインティングデバイスは使い勝手が低く、逆にストレスを感じる場合もある。また、無理やりポインティングデバイスを搭載しようとすると、キーボードの使い勝手を低下させる可能性もある。それなら、外付けマウスを利用した方がいい。確かにかなり割り切った仕様ではあるが、基本的な操作はタッチパネルで十分に行なえるため、NY10Sの仕様を考えると、納得できる範囲内だろう。

 ちなみに、筆者の個人的な印象では、ポインティングデバイスがなくてもどうにかなる、といったものだった。筆者が、Windows操作時にショートカットキーを多用することも、このような印象を持つ理由の1つとも言えるが、使い方の工夫によって十分対処できると考えていいだろう。

アイソレーションタイプのキーボードを搭載。キーピッチは狭いものの、無理な配列もなく、使い勝手はまずまず。ただし、ポインティングデバイスは非搭載
キーピッチは約17.42mmと、若干狭い。ただ、縦方向もしっかりピッチが確保されており、慣れれば十分タッチタイプも可能だ
ストロークは約1.9mmと、薄型のUltrabookとしては比較的深く、クリック感もしっかりしているので、打鍵感は悪くない

小型ボディながらスペックは充実

 NY10Sは、スライド型コンバーチブルUltrabookだが、スペック面はUltrabookとして上位に近い充実したものとなっている。

 CPUは、Core i7-3537U(2GHz、ビデオ機能内蔵)と、Ultrabook向けCPUとしては上位のものを採用。また、メインメモリは標準で8GB(PC3-12800準拠DDR3 SDRAM)と十分な容量を搭載。チップセットはIntel HM77 Expressを採用。ストレージは、124GBのSSDを標準搭載する。

 ちなみに、NY10Sはエプソンダイレクト直販製品ではあるが、Sシリーズに属するため細かなスペックのカスタマイズは行なえず、上記の仕様で固定となっている。できれば、SSDの容量は変更可能であってほしいが、全体的な基本仕様は標準でも十分に満足いくもので、カスタマイズできなくても大きな不満はない。

 無線機能は、IEEE 802.11b/g/n対応無線LANとBluetooth 4.0+EDRを標準搭載。また、センサー類としてジャイロセンサー、デジタルコンパス、加速度センサー、照度センサーも内蔵する。

 側面のポート類は、左側面にGigabit Ethernet、後部側面にSDカードスロット、右側面にMini HDMI出力、USB 3.0×2ポート、ヘッドフォン/マイク共用ジャック、電源コネクタを備える。HDMIこそ小型のMini HDMIを採用するが、それ以外は標準コネクタとなっており、周辺機器を直接接続して利用できる。また、有線LANポートも備えるため、ビジネスシーンでの使い勝手も十分に優れる。

 コンバーチブルスタイルということもあり、電源ボタンは本体右側面に配置されるとともに、後部側面にはボリュームボタンと画面自動回転のオン/オフスイッチも備える。

左側面にはGigabit Ethernetを配置
背面にはSDカードスロットとボリュームボタン、画面自動回転のON/OFFスイッチがある
右側面には、Mini HDMI、USB 3.0×2ポート、ヘッドフォン/マイク共用ジャック、電源コネクタを用意。電源ボタンもこちらに配置している
付属のACアダプタ。まずまずコンパクトで、本体との同時携帯も苦にならないだろう
ACアダプタの重量は、付属の電源ケーブル込みで実測244gだった。電源ケーブルがやや長いため、短いケーブルに交換すれば、より軽量に持ち歩ける

機動性に優れるコンバーチブルUltrabookを探している人におすすめ

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.4.0」、「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark Professional Edition v1.0」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」の6種類。比較用として、東芝の「dynabook KIRA V832」、レノボの「ThinkPad Helix」、ASUSの「TransBook TX300CA-C4021HS」の結果も加えてある。なお、PCMark Vantageは一部テストが正常に計測できなかったため、計測できたスコアのみを掲載している。

 Endeavor NY10Sdynabook KIRA V832ThinkPad HelixTransBook TX300CA-C4021HS
CPUCore i7-3537U (2.00/3.10GHz)Core i5-3337U (1.80/2.70GHz)Core i7-3667U (2.00/3.20GHz)Core i7-3537U (2.00/3.10GHz)
チップセットInte HM77 ExpressInte HM76 ExpressInte QS77 ExpressInte UM77 Express
ビデオチップIntel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 4000
メモリPC3-12800 DDR3 SDRAM 8GBPC3-12800 DDR3L SDRAM 8GBPC3-10600 DDR3L SDRAM 8GBPC3-12800 DDR3L SDRAM 4GB
ストレージ124GB SSD128GB SSD256GB SSD128GB SSD + 500MB HDD
OSWindows 8Windows 8Windows 8 ProWindows 8
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score4330462948684328
Lightweight score2761314534512696
Productivity score2199227125902152
Creativity score3091325233153109
Entertainment score7715923884077895
Computation score13987146871524615490
System storage score4192537553434082
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a
PCMark SuiteN/AN/AN/AN/A
Memories Suite6221782880385570
TV and Movies SuiteN/AN/AN/AN/A
Gaming Suite8349999397948459
Music Suite11207154021598211324
Communications SuiteN/AN/AN/AN/A
Productivity SuiteN/AN/AN/AN/A
HDD Test Suite17779408563592417040
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/AN/A
CPU Score9447811798028843
Memory Score7286716781848392
Graphics Score2606277425632632
HDD Score23063445524070420592
3DMark Professional Edition
Ice Storm28075293503206328035
Graphics Score28240298803427429392
Physics Score27513276366215924136
Cloud Gate3379367936493177
Graphics Score3648433940493577
Physics Score2688240227122285
Fire Strike444535478412
Graphics Score476581525463
Physics Score3706338837593083
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score4000518646834242
SM2.0 Score1247169414911379
HDR/SM3.0 Score1665221519581752
CPU Score3629318036563093
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ7.16.97.17.0
メモリ7.27.47.45.9
グラフィックス4.65.65.35.4
ゲーム用グラフィックス6.36.46.36.3
プライマリハードディスク7.58.08.07.6
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット1877247922072029

 結果を見ると、スペックを考えるとややスコアが伸びていない印象を受ける。NY10S搭載のSSDは、他のUltrabookのSSDに比べるとやや速度が遅いため、PCMark7など総合ベンチマークではSSDの速度がスコアを低下させる要因になっていると思われる。ただ、3Dグラフィックス関連やゲームのスコアもあまり高くないため、若干放熱に問題がある可能性も考えられる。

 今回試用した評価機は製品版ではなかったため、評価機固有の問題という可能性もある。ただ、全体的なスコアはそれほど低いわけではなく、Ultrabookとして必要十分なパフォーマンスはしっかり引き出されており、よほど高負荷な作業を行なわない限り、通常利用時にパフォーマンスに不満を感じることは少ないだろう。

ノートPCスタイルでは、大きな吸気口が現れ、内部の冷却能力が高まるため、フルパフォーマンスが発揮される。高負荷時にはややファンの動作音が大きくなるが、うるさいと感じるほどではない

 ちなみに、高負荷時には内蔵の空冷ファンの回転数が高まり、動作音も大きくなるが、うるさいと感じるほどではない。また、通常動作時には十分に静かで、静音性は十分に満足できる。

 次にバッテリ駆動時間だ。NY10Sには容量3,800mAhのリチウムポリマーバッテリを内蔵しており、公称で約6時間の駆動が可能とされている。Windowsの省電力設定を「省電力」に設定し、バックライト輝度を40%、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測してみたところ、約5時間53分と、公称値に匹敵する駆動時間が確認された。携帯性重視のUltrabookとしては、もう少し長時間の駆動があると嬉しいのは事実だが、1.2kgを切る軽さを実現しつつ、約6時間の駆動時間があれば、外出時の利用も不安は少ないだろう。

 NY10Sは、携帯性に優れる小型軽量ボディを実現しつつ、スライド型の開閉ギミックでタブレットとしてもノートPC相当としても利用でき、11.6型フルHDタッチパネル液晶やCore i7など、Ultrabookでも上位クラスのスペックが詰め込まれている。ポインティングデバイスが非搭載という部分には賛否あると思うが、それ以外には不満点が少なく、非常に完成度の高い製品に仕上がっている。しかも、販売価格も119,800円からと、仕様を考えると十分に安価で、価格的にも大きな魅力がある。タブレットモードをメインで使いつつ、必要な時にはキーボードを使った快適な文字入力も行なえる、常に持ち歩いて利用するコンバーチブルUltrabookを探している人に、強くおすすめしたい製品だ。

(平澤 寿康)