Hothotレビュー

日本HP「HP ElitePad 900」

〜拡張性/堅牢性の高いWindows 8搭載10.1型タブレット

HP ElitePad 900
発売中

直販価格:69,300円〜

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)から登場した「HP ElitePad 900」(以下、ElitePad 900)は、Windows 8を搭載したタブレット端末である。同社からは、コンシューマ向けのWindows 8タブレットとして「HP ENVY x2」が発売されているが、ElitePad 900はビジネス向け製品であり、米軍の調達基準「MIL-STD-810Gテスト」に準拠するなど、高い耐久性を実現していることが特徴だ。

 ElitePad 900は、搭載OSやストレージ容量、Office 2010の有無などによって、3種類のモデルが用意されているが、今回は、Windows 8 Pro/ストレージ64GBモデルを試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。

アルミニウム合金削り出しによる一体成型ボディを採用

 ElitePad 900は、10.1型液晶を搭載したピュアタブレットであり、携帯性と堅牢性を両立させていることが魅力だ。本体のサイズは、261×178×9.2mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約630gである。10.1型タブレットとしては標準的な重量であり、気軽に携帯できる。ボディの材質はアルミニウム合金製で、CNCによって削り出して作られた一体成型ボディを採用しており、高い耐久性と質感を実現している。液晶表面は、強化ガラスの「Gorilla Glass 2」で保護されており、高い耐衝撃性を誇る。

ElitePad 900の前面。中央下部にWindowsボタンが用意されている
ElitePad 900の背面。音量大-小ボタンが用意されている。アルミニウム合金をCNCによって削り出した一体成型ボディを採用。高い耐久性を実現している
背面カメラのアップ。背面カメラの画素数は800万画素で、LEDフラッシュライトも装備している
試作機の重量は実測で620gであった

400cd/平方mの高輝度液晶を搭載

 CPUには、開発コードネームClover TrailことAtom Z2760(1.80GHz)を搭載。Atom Z2760は、超低消費電力がウリのSoCであり、Windows 8タブレットとの相性は抜群である。メモリは2GB(増設は不可)。ストレージは64GBフラッシュメモリである(下位モデルでは32GB)。

 液晶は10.1型で、解像度は1,280×800ドットである。Windows 8タブレットでは、アスペクト比が16:9の1,366×768ドット表示の液晶を搭載する製品が多いが、こちらのアスペクト比は16:10となっている。屋外でも見やすいように、輝度は最大400cd/平方mと高い。前述したように、表面はGorilla Glass 2でカバーされているほか、汚れ防止加工が施されており、ラフに使っても安心だ。液晶の表示は明るく鮮やかで、視認性は高い。

 本体に装備されているインターフェイスは、マイク入力/ヘッドフォン出力とmicroSDカードスロット、システムコネクタのみだが、システムコネクタに接続するUSBアダプタが標準で付属しているため、USBポートの利用は可能だ。本体前面に1080p対応カメラ、背面に800万画素カメラが搭載されており、ビデオ会議などにも適している。サウンドにもこだわっており、下面にステレオスピーカーが用意されているほか、SRSオーディオも搭載する。

 ワイヤレス機能は充実しており、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LANとBluetooth 4.0(デュアルモード対応)を搭載するほか、近距離無線通信技術のNFCもサポートする。また、送信アンテナと受信アンテナを2つずつ内蔵しており、11nのMIMOにも対応する。センサーとしては、加速度センサー、電子コンパス、ジャイロセンサー、周辺光センサーを搭載する。OSは、Windows 8 Pro(32bit)を搭載している(下位モデルはWindows 8 32bit)。

 バッテリの交換はできないが、公称約10時間の駆動が可能とされている。実際に、バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとに無線LAN経由でのWebアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、7時間38分の駆動が可能であった(電源プランは「バランス」、液晶輝度は「中」)。無線LAN常時有効で7時間半持てば、十分合格といえるだろう。

液晶は10.1型で解像度は1,280×800ドットである。表面はGorilla Glass 2でカバーされている
ElitePad 900の上面。電源ボタンと画面固定スイッチが用意されている
ElitePad 900の下面。ステレオスピーカーとシステムコネクタが用意されている
システムコネクタに接続する「HP ElitePad USBアダプター」が付属
付属のACアダプタ。ACプラグ部分はアース付きの3ピンである
ACアダプタは、本体とACプラグ部分が分離できるようになっている
ACプラグを2ピンに変換するアダプタが付属している
ACアダプタをシステムコネクタに接続して充電を行なう

ドッキングステーションや拡張ジャケットなど、豊富な周辺機器が魅力

 ElitePad 900は、ビジネス向けタブレットとして開発されており、さまざまなビジネスシーンで役立つように、ドッキングステーションや拡張ジャケットなど、周辺機器が充実していることも魅力だ。今回は、オプションの「HP ElitePadドッキングステーション」と「HP ElitePad拡張ジャケット」を併せて試用できたので、そちらも紹介したい。

 HP ElitePadドッキングステーション(以下、ドッキングステーション)は、ElitePad 900本体のインターフェイスを拡張するための周辺機器である。ドッキングステーションには、USB 2.0×4とミニD-Sub15ピン、HDMI出力、有線LAN、ライン出力などのインターフェイスポートが用意されており、ElitePad 900を載せることで、これらのインターフェイスが利用できるようになる。ただし、ドッキングステーションを利用するには、ドッキングステーション付属のACアダプタをドッキングステーションに接続し、電源を供給してやる必要がある。なお、ドッキングステーションはスタンド代わりにも使えるが、スタンドの角度を変更することはできない。

 HP ElitePad拡張ジャケット(以下、拡張ジャケット)は、ElitePad 900本体の周りにかぶせて使う周辺機器である。10年以上前の製品だが、コンパック(後にHPと合併)から発売されたPocket PC「iPAQ」でも着脱可能なジャケットによって機能を拡張するコンセプトを採用していたが、それと似たような感じだ。

 拡張ジャケットには、ジャケット用バッテリの内蔵が可能であり、バッテリを内蔵した拡張ジャケットにElitePad 900を装着することで、公称バッテリ駆動時間は最大約18時間に延びる。また、拡張ジャケットには、USB 2.0×2とHDMI出力、システムコネクタ、SDカード/MMCスロットが用意されており、さまざまな機器を接続できる。ドッキングステーションの場合とは異なり、こちらは利用時にACアダプタなどを接続する必要はない。拡張ジャケットは、上部が外れるようになっており、上部を外してから、本体をジャケットの溝に滑らせて入れ、上部をはめ込むことで装着が完了する。拡張ジャケットは、本体を保護するカバーとしての役割も果たす。

 バッテリ内蔵の拡張ジャケット装着時のバッテリ駆動時間を、先ほどと同じ条件で計測したところ、14時間27分という結果になった。拡張ジャケット装着時の重量は実測で1,053gであり、十分携帯できる範囲だ。

 なお、今後はキーボードジャケットやハンドル付きプロテクションケース、マルチ・タブレット充電モジュールといった、新たなオプションの発売も予定しているという。

オプションのHP ElitePadドッキングステーション
ドッキングステーションの左側面には、USB 2.0×2とケンジントンロックが用意されている
ドッキングステーションの右側面には、USB 2.0×2とライン出力が用意されている
ドッキングステーションの背面には、有線LANとミニD-Sub15ピン、HDMI出力が用意されている
ドッキングステーションを利用する場合は、付属のACアダプタを接続する必要がある
ドッキングステーションに本体を装着したところ
オプションのHP ElitePad拡張ジャケット。バッテリが内蔵されており、インターフェイスも拡張できる
拡張ジャケットの背面。背面カメラとLEDフラッシュライト用の穴が空けられている
拡張ジャケットは上部が分離できるようになっている
拡張ジャケットの上部を取り外し、本体をジャケットの溝にスライドさせて装着する
拡張ジャケットの上部を取り付ければ、ジャケットへの装着は完了
拡張ジャケットの下面には、USB 2.0×2とHDMI出力、本体に装備されているものと同じシステムコネクタ、SDカードスロットが用意されている
拡張ジャケットのインターフェイス部分のアップ
拡張ジャケットは、ACアダプタなどを接続しなくても利用できる。USBメモリとUSBキーボードを接続したところ
拡張ジャケットを装着したまま、ドッキングステーションへのドッキングが可能だ
拡張ジャケットを装着してドッキングステーションにドッキングさせた状態を横から見たところ
バッテリを内蔵した拡張ジャケット装着時の重量は実測で1,053gであった

Windows 8のストアアプリは快適に動作

 参考のためにベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークプログラムは「PCMark05」、「PCMark 7」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」だ。 比較用として、レノボ・ジャパン「ThinkPad Tablet 2」、レノボ・ジャパン「IdeaPad Yoga 13」、ソニー「VAIO Duo 11」の値も掲載した。

  ElitePad 900 ThinkPad Tablet 2 IdeaPad Yoga 13 VAIO Duo 11
CPU Atom Z2760 (1.80GHz) Atom Z2760 (1.80GHz) Core i7-3517U (1.9GHz) Core i5-3317U (1.70GHz)
ビデオチップ PowerVR SGX 545 PowerVR SGX 545 Intel HD Graphics 4000 Intel HD Graphics 4000
PCMark05
PCMarks N/A N/A N/A N/A
CPU Score 2146 2119 8823 7885
Memory Score 2084 2029 7159 7825
Graphics Score N/A 537 2464 2527
HDD Score 6516 6124 38063 48050
PCMark 7
PCMark score 1457 1436 4644 4648
Lightweight score 950 946 3143 2818
Productivity score 594 593 2299 1977
Creativity score 3004 2989 8598 9178
Entertainment score 1060 1044 3264 3232
Computation score 3866 3815 14847 16495
System storage score 2983 3000 4877 5171
3DMark03
1,024×768ドット32bitカラー(3Dmarks) 2180 2023 9153 12635
CPU Score 336 354 1553 1658
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH 879 860 4224 4206
LOW 1442 1501 6372 6190
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP 43.47 42.7 99.97 100
HP 100 99.93 100 100
SP/LP 100 100 99.97 99.97
LLP 99.97 100 99.97 100
DP(CPU負荷) 31 32 22 14
HP(CPU負荷) 31 34 9 6
SP/LP(CPU負荷) 19 21 4 3
LLP(CPU負荷) 18 29 5 2
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード 80.52MB/sec 80.41MB/sec 253.1MB/sec 458.0MB/sec
シーケンシャルライト 34.60MB/sec 34.17MB/sec 238.4MB/sec 260.3MB/sec
512Kランダムリード 78.11MB/sec 77.49MB/sec 196.5MB/sec 315.3MB/sec
512Kランダムライト 29.31MB/sec 28.49MB/sec 204.9MB/sec 240.1MB/sec
4Kランダムリード 9.542MB/sec 8.660MB/sec 13.68MB/sec 19.67MB/sec
4Kランダムライト 2.498MB/sec 2.098MB/sec 30.89MB/sec 40.69MB/sec
BBench
Sバッテリ(標準バッテリ) 7時間38分 12時間22分 6時間12分 5時間18分
Lバッテリ 14時間27分 なし なし 9時間57分

 結果は上の表の通りであり、Core i7やCore i5を搭載したIdea PadやVAIO Duo 11には及ばないが、同じAtom Z2760を搭載したThinkPad Tablet 2とは、ほぼ互角のスコアが出ている。単にスコアを比較すると、Core iシリーズ搭載機よりも、パフォーマンスがかなり低いように思われるかもしれないが、Windows 8 UIの動作は快適であり、Windowsストアアプリを中心に使うのなら、パフォーマンスに不満を感じる場面は少ないだろう。もちろん、動画エンコードなどの負荷が高い作業には向かないし、従来のデスクトップアプリを使う場合も、動作が重く感じられる場合もあるが、コンテンツビューアやインターネット端末といったタブレットに適した使い方をするなら十分な性能だ。

ビジネスの現場でWindows 8タブレットを活用したい人にお勧め

 ElitePad 900は、コンシューマ向け製品だけでなく、ビジネス向け製品も得意とする日本HP製らしいWindows 8タブレットであり、米軍の調達基準(MILスペックなどと呼ばれる)をクリアする、高い耐久性や堅牢性が魅力だ。さらに、さまざまなビジネスシーンに対応できるように、ドッキングステーションや拡張ジャケットなどの周辺機器が充実していることも、本製品ならではのメリットだ。ビジネスでWindows 8タブレットを活用したい人には、特にお勧めできる。もちろん、個人での購入も可能なので、堅牢なボディや拡張ジャケットなどに魅力を感じた人にもお勧めだ。

(石井 英男)