日本HP、Windows 8タブレット「ElitePad 900」の発表会を開催

「ElitePad 900」

10月18日 開催



 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は18日、Windows 8を搭載した法人向けタブレットPC「ElitePad 900」の発表会を開催した。

 すでに同社では、Windows 8を搭載した個人向けPCとして、キーボード部を取り外しタブレットとしても使用できるハイブリッドPCの「HP ENVY x2」や、タッチ操作に対応した14型Ultrabookの「HP ENVY TouchSmart Ultrabook 4」、10点マルチタッチ操作対応のオールインワンPC「HP ENVY 20 TouchSmart All-in-One」などを発表しているが、今回の発表により、法人向けに新製品のラインアップを広げた。

 ElitePad 900は、アルミ削り出しのプレミアムデザインを施し、米軍調達基準「MIL-STD-810Gテスト」に準拠した耐久性を実現した、10.1型WXGA(1,280×800ドット)マルチタッチディスプレイ搭載のビジネスタブレットで、CPUにはIntelの次世代Atomプロセッサを搭載。2GBメモリと32GBストレージを搭載し、重量は約680g。本体サイズは、261×178×9.2mm(幅×奥行き×高さ)となっている。バッテリ駆動時間は約10時間。バッテリを内蔵したスマートジャケットを利用することで、18時間稼働も実現している。出荷開始は2013年2月下旬となっている。

アルミの削り出しのデザインとなっているバッテリジャケット

九嶋俊一本部長

 日本HPプリンティング・パーソナルシステムズ クライアントソリューション本部の九嶋俊一本部長は、「ElitePad 900は、プレミアムデザイン、堅牢性やセキュリティ、操作性や機動性、運用性および管理性といった、企業がタブレットに求める仕様を全て詰め込んだ」とし、「格好いいものでなくては持ち歩きたくないという要望が高い。ElitePad 900は、コンピュータ制御加工(CNC)により、ひとかたまりのアルミニウムから削り出した一体成形が強固な構造と、全く突起がないというデザイン性を両立している。屋外でも見やすいように400cd/平方mという高輝度を実現しており、HPではこの点もデザインの1つだと考えている。さらに、HPの品質基準に基づく11万5千時間におよぶ激しい試験をクリアしている。この堅牢性はコンシューマ向けタブレットにはないものである」などとした。

 「出荷時期を来年(2013年)2月としているのは、Windows 8のためにゼロから作り上げたものである点、法人向けということで慎重にテストを繰り返し、万全な状態を作っているため。その観点から適正な時期が来年2月である」(九嶋本部長)と述べた。

 また、価格については、現時点では未定しているが、「現行のWindows 7搭載タブレットPCとほぼ同等の価格帯(約7万円)を想定しているが、この製品セグメントは競争が激しい分野であり、実際の価格はマーケットが決めるという状況にある。出荷に近い時期で正式に決定していく」(日本HPプリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史取締役副社長執行役員)としている。

 さらに、将来的には、位置情報をもとにしてタブレット端末の情報保護レベルを自動的に変化させることができる機能も提供するという。

 「社内で使用している際には、それほど高いセキュリティは必要がないが、外に持ち出した際には、セキュリティレベルを引き上げるという機能であり、ビジネス利用では有効な機能になる」などとした。

 また、スマートジャケットでは、+8時間連続駆動を可能にするバッテリジャケットと、キーボードが利用できるキーボードジャケットの2種類を用意。「薄さを損なわずに利用を拡張できる。今後、クレジットカードを読み取れるといった業務利用に最適化したものなど、さまざまなジャケットを提案していきたい」とした。


岡隆史取締役副社長執行役員

 日本HPプリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史取締役副社長執行役員は、「企業においては、個人が所有するデバイスを業務で利用するコンシューマライゼーションが進展している。その中で求められるデバイスも多様化してきている。また、国土交通省の調べによると1週間に8時間以上、外出先で業務をしている人が20%に達しているという結果も出ている。コンシューマライゼーションとモバイルに、いかに対応するかがITベンダーの生き残りを左右することになる」とし、「こうした流れにおいて、企業では管理の簡素化、コスト低減、セキュリティ、事業継続といった課題が出ており、情報システム部門では、綱渡りでその対応を行なっている状況ではないだろうか。今日発表する製品は、それらの課題解決に向けた1つの回答になるものであり、簡易な導入やシステムの管理性を実現できるようになる。HPでは今後、モバイルソリューション製品群を強化する考えであり、Ultrabookやタブレットなどのほかに、持ち運べるプリンタや業種/業務向けPOSなども品揃えしていく」などと語った。

 さらに岡副社長は、「『WOW!』を感じられないものは設計をやめろといっている。今回の製品は、アルミの削り出しとし、個人ユーザーから見ても格好いいといってもらえるものを出せたと思っている。これまで、なぜHPにはタブレットがないのかと言われてきたが、Windows 8によって、企業のIT部門にも喜んでもらえるものを提供し、日本の企業および個人の仕事の仕方が一段階あがることを期待している。ビジネスにはビジネスのタブレットを提供する」とした。

 ElitePad 900の販売目標については明らかにしなかったが、「法人向けタブレットではナンバーワンを目指したい」(九嶋本部長)と語った。

 なお、Windows RTについては、「既存のデスクトップとタブレットとの連携といった観点から商品を投入するのがいいと考えている。だが、今後製品投入については計画していくことにはなるだろう」(九嶋本部長)とした。

 また、ゲストして駆けつけた日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「Windows 8とElitePad 900で実現するこれからのワークスタイル」をテーマに、岡副社長および九嶋本部長と対談した。

 「ワークスタイルを近代化しなくてはならないという認識が高まっていることを感じる。在宅勤務の増加や、どこでも仕事ができるといった環境が求められていることからもそれが分かる」と前置きし、「HPは、Windows以外のタブレットは出していない。その点ではありがたい。HPとは、ソフトウェアの開発段階から、HPのハードウェア環境で検証を行なうといった技術面のパートナーシップだけでなく、セールス、マーケティング面でも提携している。Windowsは、企業向けのものであっても、個人向けのものを業務に持ち込んでも、セキュリティが担保できるのが特徴である。Windows 8では、先進的な使い方と従来からの使い方ができる。企業の基幹システムともつながり、今考えられるソリューションの全てがカバーできるものと言える。マーケティング投資もこれまで以上にないものを予定している。発売にあわせて、パートナーと一緒に最大限に市場を盛り上げたい」とした。

日本マイクロソフトの樋口泰行社長会見では「Windows 8とElitePad 900で実現するこれからのワークスタイル」をテーマに対談新製品を手にする樋口社長と岡副社長

 このほか日本HPは、14型液晶ディスプレイを搭載した法人向けUltrabook「EliteBook Folio 9470m」も発表。こちらはWindows 7 Professionalを採用している。Core i3-3217、4GBメモリと、32GB mSATA SSDキャッシュおよび320GB HDDを搭載している。バッテリ駆動時間は約7.5時間、筐体サイズは、338×231×18.95mm(同)、重量は1.6kg。

 ミニD-Sub15ピンやLANポートに加え、USB 3.0ポートを3基、SD/MMCスロット、スマートカードリーダなどのインターフェイスを搭載したほか、別途ドッキングステーションを用意。さまざまなビジネスシーンに対応できるようにしたという。出荷開始は2012年11月下旬。価格はHP Directplusで99,750円からとなっている。

法人向けUltrabook「EliteBook Folio 9470m」バッテリが取り外しできるようになっている

(2012年 10月 18日)

[Reported by 大河原 克行]