NECパーソナルコンピュータ「LaVie Z LZ750/HS」量産品相当版
~試作機と比べボディ剛性やキーボードタッチが改善



NECパーソナルコンピュータ「LaVie Z LZ750/HS」量産品相当版

8月23日 発売

価格:オープンプライス



 13.3型液晶搭載で約875gと超軽量ボディを実現したNECのUltrabook「LaVie Z」。先日、試作機ベースでのレビューを行なったが、今回、量産品相当の試用機をお借りできたので、試作機と比べて変わった部分の確認や、パフォーマンスをチェックしたいと思う。

●底面の剛性が大きく向上

 今回、量産品相当の試用機を手にしてまず感じたのは、前回試用した試作機に比べてボディ剛性が高まっている、ということだ。前回の試作機は、液晶部分の端を持って本体を持ち上げるとやや不安になるほどたわんだり、底面も手で押して感触がわかるほどペコペコと柔らかかった。特に底面は、空冷ファン付近を押すとボディがファンに触れ、ガリガリと音をたてるほどであった。

 それに対し今回試用した量産品相当の試用機では、底面部分の剛性が大きく高まっている。手で押しても、前回の試作機のような非常に柔らかいという感触はなくなっており、空冷ファン付近を強く押しても、ファンにボディが当たることもなかった。ただ、液晶部分の端を持って持ち上げると、大きくたわむのは変わっておらず、若干不安を感じる。それでも、前回の比較機に比べて底面の剛性が高まったことで、堅牢性に関する不安はかなり改善されたという印象を受けた。もちろん、本格モバイルノートと比較すると、天板部分など堅牢性に不安を感じるのは事実だが、それは他のUltrabookも同様で、他の一般的なUltrabookと同等の堅牢性を備えていると考えてよさそうだ。

 また、前回の試作機と比較して変わったと感じたのが、キーボードだ。前回の試作機では、タッチが非常に柔らかく、クリック感もほとんど感じられなかったため、タイピング時に若干の違和感があった。それに対し量産品相当の試用機では、タッチがやや堅くなり、しっかりと打鍵できているという印象を受けるようになった。ただ、タッチが堅くはなったものの、クリック感は相変わらず少ない。ストロークも短いので、キーボードの使い勝手に関しては好き嫌いが分かれそうだ。購入前に量販店店頭で感触を確かめることをお勧めしたい。

 ところで、前回の試作機は実測の重量が863.5gだったが、今回試用した量産品相当の試用機では869.5gと6gほど重くなっていた。底面のボディ剛性を高めることで重量が増えたことと、前回の試作機ではなかったボディ底面のネジを塞ぐシールや各種ロゴシールが貼られたことによる重量増だろう。実際に出荷させる製品では、今回の試用機よりもあと数g重くなるはずだ。

天板部分は、前回の試作機からほとんど変わっていない。液晶部分の端を持って持ち上げると、ややたわみが大きい底面は剛性がたかまり、柔らかいという印象はなくなった。またボディを押すとファンに触れてガリガリ音がすることもなくなったキーボードは、タッチが堅くなり、しっかり打鍵できるようになったが、クリック感があまり感じられない点は変わっていない。右下パームレストには、UltrabookロゴやCore i7、Windows 7のロゴシールが貼られている
裏面のネジには目隠しシールが貼られている裏面の堅牢性を高め、各種シールが貼られたことで、前回の試作機より6gほど重く869.5gとなった。出荷版ではまだ若干重くなると思われる本体正面。試作機にはなかった製品型番が印刷されている
左側面は試作機から変わった部分はない背面も変化はない右側面。ポート部分の印刷も試作機とほぼ同じだった

●パフォーマンスも若干改善

 次にパフォーマンスをチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 7 v1.0.4」、「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」、「PCMark05 Build 1.2.0 1901」、「3DMark06 Build 1.1.0 1901」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」、セガの「ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版」の6種類。比較用として、ほぼ同等のスペックを持つ日本エイサーの「Aspire S5」に加え、マウスコンピューターの「LuvBook X LB-X200S」、ユニットコムの「Lesance NB S3431/L」の結果も加えてある。

 結果を見ると、PCMark 7やPCMark Vantage、PCMark05など総合ベンチマークテストの結果が前回の試作機より向上していることがわかる。これが本来のパフォーマンスなのだろう。ほぼ同等スペックのAspire S5よりも若干結果が悪くなっているが、チップセットや搭載SSDのスペックが異なる(Aspire S5では128GBのSSD2台をRAID 0構成としている)部分が影響しているものと思われる。

 それに対し、3D描画能力に関しては前回の試作機とほぼ同等の結果だった。LaVie Zでは総合ベンチマークソフトのメモリまわりのスコアが低かったが、そのあたりが影響しているものと思われる。とはいえ、CPU内蔵のグラフィック機能を利用するUltrabookとしては十分に満足できる描画能力と言える。


LaVie Z LZ750/HSAspire S5LuvBook X LB-X200SLESANCE NB S3431/L
CPUCore i7-3517U (1.90/3.00GHz)Core i7-3517U (1.90/3.00GHz)Core i5-2467M (1.60/2.30GHz)Core i5-2467M (1.60/2.30GHz)
チップセットInte UM77 ExpressInte HM77 ExpressInte HM65 ExpressInte HM65 Express
ビデオチップIntel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 4000Intel HD Graphics 3000Intel HD Graphics 3000
メモリPC3-12800 DDR3 SDRAM 4GBPC3-12800 DDR3 SDRAM 4GBPC3-10600 DDR3 SDRAM 4GBPC3-10600 DDR3 SDRAM 4GB
ストレージ256GB SSD256GB SSD120GB SSD64GB SSD+500GB HDD
OSWindows 7 Home Premium SP1 64bitWindows 7 Home Premium SP1 64bitWindows 7 Home Premium SP1 64bitWindows 7 Home Premium SP1 64bit
PCMark 7 v1.0.4
PCMark score5159597733553066
Lightweight score4223456936483008
Productivity score3503371227122583
Creativity score102411170866715264
Entertainment score4006472324832356
Computation score209672282583187736
System storage score5093541552494052
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a
PCMark Suite1170212042104317869
Memories Suite6876803562434036
TV and Movies Suite4962546643093599
Gaming Suite7694911878426278
Music Suite1559814892131098629
Communications Suite1297113483105028708
Productivity Suite1486815932143799272
HDD Test Suite39029433465550715053
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark ScoreN/AN/AN/AN/A
CPU Score9113888760286362
Memory Score7055780358215027
Graphics Score4571549239943815
HDD Score53427671336199921376
3DMark06 Build 1.1.0 0906a
3DMark Score4322506036993529
SM2.0 Score1359183612591184
HDR/SM3.0 Score1821196715281445
CPU Score3426318922782427
Windows エクスペリエンスインデックス
プロセッサ7.17.16.26.3
メモリ5.95.97.25.9
グラフィックス4.95.85.64.7
ゲーム用グラフィックス6.36.46.16.1
プライマリハードディスク7.97.97.97.3
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット1787214015821512
ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版
横1,280ドットフルスクリーン273339

 ベンチマークテスト中など高負荷時の空冷ファンの動作音は、耳には届くもののうるさいと感じるほどではない。図書館など静かな場所では若干気になるかもしれないが、高負荷で動作させなければ問題ないと考えていい。

 次にバッテリ駆動時間だ。LaVie Zのバッテリ駆動時間は公称で約8.1時間とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「省電力」に設定するとともに、無線LANオン、バックライト輝度を40%に設定した状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約5時間12分の駆動時間であった。もともとLaVie Zでは、バッテリ駆動時間よりも軽さを追求していることを考えると、まずまずといったところだろう。ちなみに、Windowsの省電力設定を、より高い省電力設定となるNECオリジナルの「ecoモード」に設定するとともに、無線LANオン、バックライト輝度を20%に設定した状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測した場合には、約5時間38分であった。

バッテリ駆動時間
省電力設定:省電力、無線LANオン、バックライト輝度40%、BBench利用約5時間13分
省電力設定:NECオリジナル「ecoモード」、無線LANオン、バックライト輝度20%、BBench利用約5時間38分

 今回、LaVie Zの量産品相当の試用機を試用したが、前回の試作機より剛性が高まったことで、堅牢性に対する不安はかなり払拭されている。また、性能面もスペック本来のパフォーマンスが引き出されており、十分に満足できるものとなっている。

 LaVie Zの魅力は、なんといっても900gを切る圧倒的な軽さにあるのは間違いないが、単に軽さだけにこだわっただけでなく、スペック面もしっかりしており、この夏、最も注目すべきUltrabookという印象は変わらない。まだ発売まで1カ月ほどあるが、既に予約は始まっているので、注目している人は早めに決断したほうがよさそうだ。

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(2012年 7月 26日)

[Text by 平澤 寿康]