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ノートで3画面を手軽に実現する外付け2画面液晶「アペックス AXD116M」。簡単設置で、片付けも迅速

アペックス「AXD116M」(実売3万9,800円)を、マウスの15.6型ノートパソコン「B5-R5」と組み合わせた状態

 マルチディスプレイ環境での作業が当たり前になってしまうと、たとえ外出先であっても、ディスプレイが複数ないと作業がしづらくて仕方ない。これはマルチディスプレイの利用経験者の多くに共通する悩みだろう。

 もちろん市販のモバイルディスプレイを調達して外出先に携行し、使うたびに設置→片付けを行なえばよいのだが、これがトリプルディスプレイ、つまり増設するのが1画面ではなく2画面だったりすると、置き場所の問題、さらに設置と片付けの手間も考慮すると、現実的にはなかなか難しい。

 今回紹介するアペックスの「AXD116M」は、ノートパソコンにランドセルのように背負わせ、トリプルディスプレイ環境を手軽に構築できるモバイルディスプレイだ。これを使えば、外出先でトリプルディスプレイ環境を手軽に設置し、また迅速に片付けられる。フリーアドレスのオフィスや、在宅ワークでの作業効率アップにも最適だ。

 今回はメーカーから実機を借用したので、マウスの15.6型ノートパソコン「B5-R5」と組み合わせて試用してみた。

11.6型のディスプレイをノートパソコンの左右に設置

 本製品は、ノートパソコンの天板部に背面から引っ掛けるブラケットを中心に、その左右にディスプレイを取りつけた構造になっている。ノートパソコンに取りつけるのはブラケット部のみなので、左右のディスプレイは接地せず、完全に宙に浮いた状態になるのが特徴だ。

 ノートパソコンから取り外して左右のディスプレイをブラケットの表裏に折りたためば、1つのユニットとして持ち歩ける。モバイルディスプレイをべつべつに2台用意するのに比べると、取り付けから片付けまで非常にスムーズに行なえる。

本体を展開した状態。ノートパソコンの天板部に引っ掛けるブラケットの左右に、11.6型のディスプレイが取りつけられている
表裏にディスプレイを折りたたむことで1つのユニットとして持ち歩ける
上面。2枚のディスプレイが重なっている
下面。向かって左には、背面から支えるためのスタンドが折りたたまれている
左側面。ポート類は内側に格納されているため外部には露出しない
右側面。こちらもポート類は内側にあるため見えない

 ディスプレイの画面サイズは11.6型で、現在主流の15.6型や13.3型と比べるとやや小ぶり。IPS液晶を採用しており、解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)、アスペクト比は16:9。輝度は230cd/平方m、コントラスト比は1,000:1と、現行のモバイルディスプレイとしてはおおむね一般的なスペックだ。

 インターフェイスは、左右それぞれのディスプレイについて、USB Type-C×2とMini HDMIが用意されている。USB Type-Cは片方が電源供給専用で、HDMI接続時などの給電に使用する。接続先のノートパソコンがDisplayPort Alt Modeに対応していれば、USB Type-Cケーブル1本で、映像信号の伝送と電源供給が同時に行なえる。

第8世代iPad(10.2型)とのサイズ比較。本製品のほうが長辺側がやや長い
ベゼルの画面の間には段差がある。タッチ操作には対応しない
ベゼル(上下)は実測およそ24mmとかなり広い
ベゼル(外側)は実測およそ12mm
側面にはUSB Type-C×2、Mini HDMIの各ポートと、メニュー調整用のボタンが配置される。左右画面ともにレイアウトは同じだ

 折りたたんだ状態での本体サイズは316×215×26mm(幅×奥行き×高さ)、重量も1.24kg(実測は1.14kg)と、ちょっとしたモバイルノートほどの体積と重量がある。10型クラスのタブレットは一般的に500g程度なので、それが2台で合計1kg、そこにブラケット部の重量を足せば、おおむね同等の重量になる。つまり画面サイズからして妥当な重量ということになる。

 取りつけ先となるノートパソコンは、画面サイズが13.3~16型までが望ましいとされている。これは重量バランスの問題に加えて、ノートパソコンの天板部の幅、高さ、厚みが関係してくる。筆者が実測した詳しい適合サイズについては本稿最後に述べる。

今回試用した15.6型のノートパソコンに重ねたところ。おおむね13~14型のノートパソコンと同等のサイズだ
厚みは26mm。ディスプレイ2台を重ねた構造ゆえそこそこ分厚い
重量は実測1,140g

 付属品は、USB Type-CケーブルとMini HDMIケーブル、さらに給電用のUSB Type-A - Cケーブル、この3本セットが左右のディスプレイそれぞれに用意されるため、つまり計6本のケーブルが同梱される。キャリングケース類は添付されておらず、自前で調達する必要がある。

同梱品一式。ケーブルは、USB Type-C - Cケーブル、Type-A - Cケーブル、HDMIケーブルの3本が左右それぞれのディスプレイに対して1セットずつ付属する

ノートパソコンの天板に引っ掛けて固定。HDMIもしくはUSB Type-Cで接続

 具体的な取り付け方法を見ていこう。利用にあたってはまず左右のディスプレイを開き、中央のブラケットがノートパソコンの天板部よりも広くなるように幅を調整したのち、背面からクリップに引っ掛ける。そのあと天板と幅がそろうよう、中央に向かって押し込む。ネジなどでガッチリと固定するわけではなく、引っ掛けたのちにはさんでズレなくする仕組みだ。

 セットが完了したら、背面スタンドを伸ばして接地させる。これにより、ノートパソコンの天板部が重さに負けて背面に倒れるのを防ぐことができる。このあと行なうケーブル接続をスムーズに行なうためにも、この段階でスタンドの調節を終えておくのが望ましい。

折りたたんだ状態からセット開始
まずは片面を開く
本体を裏返し、もう片面を開く
展開した状態。幅は実測で865mmと巨大だ
ノートパソコンと並べた状態。普通はこのように、ノートパソコン天板部の幅よりも、本製品のブラケットが狭い状態になっているはずだ
ノートパソコン天板部の幅より広くなるよう、ブラケットを両側から引っ張って伸ばす
左右上部のクリップを、ノートパソコンの天板部に背後から引っ掛ける
ノートパソコン天板の幅に合うよう中央に向かってブラケットを押し込み、セット完了
上部クリップは前方に引き出せるため、実測15mmまでの厚みに引っ掛けられる
下部を固定するピン。これを中央に向かってスライドさせ、天板部をはさむようにして固定する
スライドさせた状態。こちらは天板の厚みが実測7.5mm程度までしか対応しない。上部クリップが対応する厚み(実測15mm)よりこちらの厚み(実測7.5mm)を基準に、対応可否を判断すべきだろう
スタンド。実測約70mmほど伸縮し、ノートパソコンの天板部を背後から支えることができる

 続いてノートパソコンとディスプレイをケーブルで接続する。本製品の左右のディスプレイは、ブラケットを介して連結されてはいるものの、デバイスとしてはそれぞれ独立しているので、左右それぞれの画面について、HDMIもしくはUSB Type-Cでパソコンと接続する。

 ポートがディスプレイの外側に配置されていることもあり、ケーブルはかなり目立つ。見た目は不格好だが、構造や厚みの制限を考えると内側や背面にポートをつけるわけにもいかず、致し方ないだろう。なお横方向への出っ張りをなるべく抑えるために、USB Type-Cケーブルの一端はL字型コネクタを採用している。

HDMI接続では、USBケーブルを使って給電を行なうため、ケーブルは2本必要になる
USB Type-C接続では、映像信号の伝送と給電がケーブル1本でまとめて行なえる
今回試用したノートパソコンはUSB Type-Cが1ポートしかなく、一方はHDMIで接続したため、本体側には計3本のケーブルを接続した
DisplayPort Alt Mode対応のUSB Type-Cポート×2を備えるノートパソコンであれば、左右を合わせても本体につなぐケーブルは2本で済む
装着を完了した状態。ケーブルがややわずらわしいが、構造を考えると致し方ないだろう
背面から見た状態。ノートパソコンの天板部が本製品を背負っている状態になる
USB Type-Cケーブルは片方がL字コネクタになっている。こちらを本製品側に挿せば、横方向へのケーブルの突出を最小限に抑えられる
左右のディスプレイはそれぞれ独立しているため、Windows 10ではこのように2台のディスプレイとして認識される

つなぐだけでトリプルディスプレイを実現。メニューは使い勝手に難

 ケーブルの接続が終われば、ユーティリティなどのインストールも必要なく、すぐに使えるようになる。視野角は公称値(178度)ほど広いようには感じないが、本製品はノートパソコンの左右に配置するという利用スタイル限定で、極端に横方向から覗き込む機会はまずないので、とくに利用にあたって支障はない。

 画面がスイングできる範囲は左右で異なっており、左側が最大で235度、右側が最大180度開くことができる。これは左側の画面は背面、右側の画面は前面に折りたたむ構造に由来する。

ちなみに片方の画面だけを展開して使うことも可能だが、重量バランスが悪くなるので、よほどのことがないかぎり、両側を開いて使ったほうがよいだろう。なお、片側だけ使えるのは右側のみで、左側だけを展開することはできない。これも前述の構造に由来する。

左側のディスプレイ。今回はこちらをUSB Type-Cケーブルで接続した
最大限まで前方に傾けた状態。可動範囲は前方に狭く、後方に広い
右側のディスプレイ。今回はこちらをHDMIで接続した
こちらは左側とは逆に、可動範囲は前方に広く、逆に後方には曲がらない
上から見たところ。左側のディスプレイは、ノートパソコンの画面(右側)よりもやや奥まった位置にある
右側のディスプレイは、ノートパソコンの画面(左側)の真横よりもやや前方にある。左右で可動範囲が異なるのはこのせいだ
左側のディスプレイを完全に折りたたんで右側だけ使用することも可能だが、バランス的には微妙なところ

 ディスプレイの各種設定はOSDメニューによって行なう。明るさやコントラストといった基本的な項目に加えて、映画やFPS、RTSなど6つのプリセットされた画像モードの選択、さらに色温度の調節が可能だ。最近のモバイルディスプレイでは標準搭載になりつつあるブルーライトカットモードや、HDRの有効/無効を切り替える機能もある。

 これらのOSDメニューはすべて日本語で表示されるのでわかりやすい。余談ながら、他社のモバイルディスプレイでまったく同じデザイン/構成のメニューが存在していることから、供給元のリファレンスどおりだと推測される。

 ネックなのは操作性だ。これらOSDメニューの項目間の移動および決定は側面にある2つのボタンを使って行なうのだが、縦長ボタンの上が「選択」、下が「戻る」というあまり見かけない割り当てで、かなり操作に戸惑う。利用頻度は高くないとは言え、もう少し直感的な操作方法を採用してほしかった。

メニュー類は側面のボタンで操作する。縦長のボタンはメニューの上下選択ではなく、一方が「選択」もう一方が「戻る」というあまり見かけない割り当て
メニューを表示しない状態での縦長ボタンは、明るさの調整(+/-)に割り当てられている
メニュー画面。これは輝度調整メニュー
項目を選択すると表示が赤色になる
画像調節メニュー
色調整メニュー
OSD設定メニュー
その他メニュー。ブルーライトカットは色調整ではなくこちらの画面にある

通常のモバイルディスプレイにない本製品ならではの利点とは?

 さて、本製品の強みはなんだろうか。ノートパソコン向けのモバイルディスプレイは、すでに多数の製品が市販されており、これらを2台調達して左右に並べれば、本製品と同様のトリプルディスプレイ環境は実現できないわけではない。しかし本製品にはそうした組み合わせでは不可能な、本製品ならではの利点がある。

 1つは着脱が一括で行なえることだ。一般的なモバイルディスプレイを左右に並べる場合、それぞれについて設置作業が必要になるが、本製品であればまとめて行なえてしまう。ケーブル接続の手間は変わらなくとも、着脱が一度にできるだけで、トータルの手間はずいぶんと違う。片付けもきわめてスムーズだ。

 クリップで引っ掛けるだけで設置が完了するのも利点だ。装着したまま移動させたり、画面を閉じることはできないものの、両面テープで貼りつけるために毎回の取り外しができない製品や、天板の表裏から万力のように挟み込むことでパネルを破損させないか気を使う製品に比べると、安心感は段違いだ。複数のノートパソコンで使い回すこともできる。

ブラケットをノートパソコンの背面に引っ掛ける仕組みゆえ、取り付け・分離が2台まとめて行なえるのは利点だ

 もう1つの利点は、設置スペースが最小限で済むことだ。一般的なモバイルディスプレイを左右に並べる場合、それらの横幅を足しただけのスペースをデスク上に開ける必要があるが、本製品は左右のディスプレイ部が宙に浮いた状態になるため、ひとまずノートパソコンを置ける面積さえあれば済む。せまいテーブルでの利用も容易だ。

ディスプレイが宙に浮いた状態になるため、このようにコンパクトなデスク上でも設置は容易だ
本体色がブラックのノートパソコンとの組み合わせのほうが、カラーバランス的にはよさそうだ

 画面を折りたためば1つのユニットになるので、キャリングケースなどに入れて持ち歩きやすいのも利点だろう。厚み自体はそこそこあるが、天地がフラットなので、収納時の出し入れもしやすい。ただし前述のようにキャリングケース類は添付されていないので、自前でノートパソコン用のキャリングケースなどを調達する必要がある。

キャリングケース類は添付されないので自前で調達する必要がある。かなり厚みがあり、タブレット用のケースではひとまわり大きいサイズでないと入らないので注意したい

 一方で本製品は、一般的なモバイルディスプレイと比べた場合に欠けている機能もいくつかある。1つは音声出力で、スピーカーはもちろんイヤフォンジャックも搭載されていないため、音声はノートパソコン側で聴くことになる。もっとも本製品はノートパソコンの左右に取りつけて使うことから、その間に位置するノートパソコン本体で再生するので何ら問題ない。

 またタッチ操作にも非対応だが、そもそも宙に浮いた状態で使う製品ゆえ、タッチでの操作に向かないことは明らかだ。タッチに対応させると重量が増えるであろう点も考慮すると、現行の仕様が正解だと考えられる。

 このように、他製品との比較では「欠けている機能」はあるのだが、実際に使ってみると理にかなっていて、あまりハンデを感じないというのが本音のところだ。

実用性は高い。詳細な取付可能条件の公開が望まれる

 以上のように、見た目こそややキワモノに思えるが、実用性はきわめて高い。フリーアドレスのオフィスや、自宅内で部屋から部屋へ移動しながらの作業では、マルチディスプレイの利用にいくつものハードルがあるが、本製品はそれらの多くをクリアできる特性を備えている。

 個人的にとくにメリットだと感じるのは、画面が宙に浮いた構造ゆえ、狭いテーブルでも使えることだ。実際に使ってみるまでは、一般的なモバイルディスプレイを並べるのと変わらないのでは? と本製品の存在意義を疑っていたが、ナルホドと考えを改めさせられた。

 実売価格は4万2,800円前後。現行のモバイルディスプレイの売れ筋に比べると画面は小柄で、かつキャリングケース類は付属しないものの、ケーブルが左右各3本フルに付属してこの価格なので、そう割高というわけではない。国内メーカーが手掛ける製品で、保証がつくことも考えると、十分にメリットはあるだろう。

実際に作業を行なっているところ。3画面あるとノートパソコンとは思えない高い作業効率を実現できる
実際の目線に近い作業風景。画面を内側に向けることで、左右からの覗き見も防止できる

 一方、やや気になるのは、取りつけが可能なノートパソコンの天板サイズについて、公開されている情報が少ないことだ。本製品は上部のクリップを天板に引っ掛けたのち、下部にあるピンで側面からはさむ構造だが、このクリップとピンの間隔は実測で約210mmある。つまり本製品の取り付けには「天板部の高さが最低210mmは必要」ということになる。

 また下部のピンではさむためには「天板の厚みは7mm以下」である必要があるほか、左右に伸縮するブラケット部の内寸は実測255~372mmなので「天板の横幅は255~372mm」である必要がある。

 しかしメーカーサイトでは、こうした詳細な寸法条件が記載されておらず、ざっくりと「適用ノートパソコンサイズ 13.3~16型」と書かれているだけだ。実際にはこのサイズのノートパソコンでも取りつけられないケースはあって不思議ではないため、取付可能な詳細な寸法の条件が公開されれば、ユーザーとしてはより安心して選べるだろう。

ノートパソコンの画面にひっかけるための上部クリップおよび下部のピンは、実測およそ210mmの間隔があるため、つまり取り付けには天板部の高さが最低210mmは必要ということになる。ちなみに今回試用したノートパソコンは約226mmなので問題なく取りつけられる
同社が公開しているインターフェイスの接続例。基本的に2系統の映像出力があれば対応できそうだ