元麻布春男の週刊PCホットライン

外付けHDDをUSB 3.0にする意味を検証する



●USB 3.0チップはNECエレの天下
NECエレクトロニクスのUSB 3.0コントローラ「μPD720200」

 前回紹介したIntelのデスクトップPC向け6コアプロセッサCore i7-980Xだが、その後、CODECを変えてエンコードを行なったりしてみたが、この種の作業に関してはやはり速い。筆者が普段エンコードに使っているのは、2.93GHzのCore 2 Duoマシンなのだが、だいたいこの4倍速という感じ。もう戻れない速度差だ。

 ここまで極端ではないにせよ、これに近い速度差を感じたものがある。それはUSB 3.0だ。現在広く使われているUSB 2.0は、最大データ転送速度が480Mbpsとされる。USB 3.0の理論上の最大データ転送速度は、その10倍を超える5Gbpsに達する。現状、その速度差を体感できるデバイスは、HDDやSSDといったストレージデバイスに限定されるが、それでも速いものは速い。

 残念なのは、このUSB 3.0が今のところIntelのチップセットで標準サポートされていないことだ。Core i7-980Xに対応するX58チップセットはもちろんのこと、Core i5やCore i3に対応したH55/H57シリーズのチップセットも対応していない。先日搭載マザーボードが発売されたAMDの890GXチップセットも、SATA 6.0Gbpsをいち早くサポートしたものの、USB 3.0については持ち越しとなっている。現状、USB 3.0をサポートしたマザーボードは、皆オンボードに別チップでUSB 3.0ホストコントローラを搭載する格好だ。

 このUSB 3.0ホストコントローラで、圧倒的な存在となっているのがNECエレクトロニクスの「μPD720200」である。世界初のUSB 3.0対応ホストコントローラチップであり、おそらく現在製品化されているUSB 3.0対応ホスト機能搭載製品で、本チップを搭載していないものはないのではないかと思う(少なくとも筆者はまだ見たことがない)。

 USBのホストコントローラチップは、IntelやAMDのチップセットにその機能が組み込まれてしまうと、市場がガクッと小さくなる。それがあるから、スタートダッシュが肝心なのだが、NECエレクトロニクスは、今回まんまと成功した格好だ。また、MicrosoftがUSB 3.0のサポートをWindows Vista以降としているのに対し、Windows XP用のドライバを提供しているのもNECエレクトロニクス製コントローラの強味となっている。

 このコントローラチップのもう1つの特徴は、ホストインターフェイスにPCI Express 2.0(Gen2)x1レーンを採用していることだ。本チップはマザーボードだけでなく、PCI Express x1対応の拡張カード向けにも広く売られているが、Gen2スロットに挿すことで、最大5Gbpsのデータ転送速度(理論値)をサポートする(Gen1スロットに挿すと理論上の最大データ転送速度は2.5Gbpsとなる)。Gen2スロットを利用することで、たとえ拡張カードであっても、オンボード搭載とほぼ同じデータ転送速度が期待できる

 おそらく多くのユーザーは、マザーボード上のPCI Express x1スロットを持てあましていることだろう。最近はチップセットが内蔵する機能が増える一方で、USBの外付け周辺機器が増えており、拡張スロットを利用する機会が減っている。余っている拡張スロットを活用する用途として、価格もそれほど高くないUSB 3.0インターフェイスは最適なのではないだろうか。

●HDDでもUSB 3.0にする意味はあるか

 しかし、この不況のご時世、不要なものを買ってもしょうがない。USB 3.0の速度が活かせるのはHDDやSSDだとされるが、どんなデバイスでもUSB 3.0を使う意味があるのだろうか。登場が比較的最近で、高速性に定評のあるSSDはともかく、手持ちの古いHDDを外付けに転用する目的でもUSB 3.0を使う甲斐はあるのだろうか。それを確認するために、実際にUSB 3.0インターフェイスを購入してテストしてみた。

 今回購入したのはバッファローのUSB 3.0インターフェイスボードである「IFC-PCIE2U3」だ。おそらく最もポピュラーで、入手性の良い製品の1つではないかと思う。オープン価格だが、市場価格は4,000円~5,000円というところだ。

「IFC-PCIE2U3」のパッケージIFC-PCIE2U3と付属の二股電源ケーブル

 写真を見ると分かるように、IFC-PCIE2U3は、ロープロファイルにも対応した小型のPCI Express x1対応カード。パッケージにはロープロファイル用のブラケットも付属する。USB 2.0と様子が異なるのは、カードに電源供給用のコネクタがあるところだろう。

 ご存じのようにUSB 1.1/2.0の電源供給能力は、規格上はポートあたり500mAに過ぎなかった。この規格をキッチリ守ると、2.5インチHDDであってもスピンアップできないことがあったりして、何かと不便である。そのため、実際には1A近くまで取れるUSBポートが多かったのだが、規格外であるため保証できないというジレンマがあった。USB 3.0ではポートあたり900mAの電源供給が規格上認められるようになり、こうした心配の必要がなくなった。そのかわり、この供給を確実に保証するため、電源コネクタを用意しているのだろう。

 ちょっと興味深かったのは、付属の電源二股アダプタケーブルが、SATAの電源から分岐するようになっていたことだ。これまでは、この種の二股ケーブルというと、よくHDD等の電源に使われるペリフェラル4ピンのコネクタに対応したものだったが、これも時代の流れということなのだろう。

 このIFC-PCIE2U3を表1のようなシステムにインストールし、表2にある7種類のHDDを外付けで接続してベンチマークテストを行なってみた。マザーボードであるDP55KGに使われているP55チップセットは、Intelのチップセットとしては最も新しい世代の製品の1つである。7種類のHDDは、筆者の手元にあったものの中から、古いものと新しいものを選んでみたが、2.5インチHDDに関してはこれ以上古くなるとパラレルATAになってしまい、あまり古いものを用意できなかった。3.5インチの「ST3120023AS」は、Barracuda ATA VというSATAのHDDとしては最初期のシリーズの製品だ。

表1:テストに用いたシステム
CPUCore i7-870
マザーボードIntel DP55KG
メモリ4GB DDR3-1333
グラフィックスRadeon 4890
起動HDDST3500418AS

 

表2:テストした7種類のHDD

ST9160823ASGHTS723225L9A360WD2500BEVTMK3265GSX
メーカーSeagateHGSTWestern Digital東芝
フォームファクタ2.5インチ9.5mm厚2.5インチ9.5mm厚2.5インチ9.5mm厚2.5インチ9.5mm厚
ディスク容量160GB250GB250GB320GB
プラッタ容量80GB160GB250GB320GB
スピンドル回転数7,200rpm7,200rpm5,400rpm5,400rpm
キャッシュ容量8MB16MB8MB8MB
発表時期2007年3月2008年5月2008年9月2009年9月


ST3120023ASHDT722525DLA380ST3320418AS
メーカーSeagateHGSTSeagate
フォームファクタ3.5インチ1インチ厚3.5インチ1インチ厚3.5インチ薄型
ディスク容量120GB250GB320GB
プラッタ容量60GB125GB500GB
スピンドル回転数7,200rpm7,200rpm7,200rpm
キャッシュ容量8MB8MB16MB
発表時期2002年11月2005年5月2009年1月

 以上のHDDの接続に際して、USB 2.0とeSATAについてはセンチュリーの「裸族のお立ち台eSATAプラス」を、USB 3.0については「裸族のお立ち台USB3.0」を用いた。いずれもベアドライブを外付けストレージとして用いる際に使うものとしては、定番といって良いものだと思う。

正面から見ると全く区別のつかない「裸族のお立ち台eSATAプラス」(右)と「裸族のお立ち台USB3.0」だが、当然背面は異なる。アクセスランプが電源スイッチを兼ねていればいいのにと思うのは筆者だけか

 USB 3.0に関してはIFC-PCIE2U3経由で、eSATAとUSB 2.0に関してはマザーボード上のポート経由でそれぞれ接続した。DP55KGのUSBポートはすべてチップセットが提供するもの、eSATAポートは別チップ(Marvell製)が提供するもので最大データ転送速度は3.0Gbpsとなっている。テストとしては、ポピュラーなベンチマークである「PCMark05」、「PCMarkVantage」、「CrystalDiskMark 2.2.0」の3本に加え、約1.04GBのファイルコピーにかかる所要時間を手動計時で計測した。

 2.5インチドライブの結果を表3に、3.5インチドライブの結果を表4に、それぞれまとめたが、すべてのドライブに共通しているのは、USB 2.0では完全にI/Fがボトルネックになってしまっている、ということだ。CrystalDiskMarkの結果が分かりやすいが、ドライブ7台すべてでシーケンシャルリードが30MB/sec前後に、シーケンシャルライトが21MB前後になってしまっている。本来性能(記録密度)が異なるドライブが、全部同じようなパフォーマンスになるということは、I/Fがボトルネックになっているということにほかならない。どうやらSATAのドライブであれば、ほとんどの場合、USB 2.0ではパフォーマンスが不足すると言って間違いなさそうだ。

表3:外付け用の3種のI/Fで接続したベンチマーク結果(2.5インチドライブ)


ST9160823ASGHTS723225L9A360

接続I/FUSB 2.0eSATAUSB 3.0USB 2.0eSATAUSB 3.0
PCMark05 v120HDD Test Suite284741554705307848065334
PCMarkVantageHDD Suite200423632880215129713395
CrystalDiskMark 2.2.0(500MB)Seq Read30.47MB/sec44.56MB/sec46.59MB/sec30.42MB/sec74.16MB/sec74.02MB/sec
Seq Write21.70MB/sec46.18MB/sec46.32MB/sec21.67MB/sec52.67MB/sec55.73MB/sec
512K Read21.53MB/sec29.32MB/sec29.01MB/sec21.35MB/sec36.21MB/sec36.06MB/sec
512K Write21.62MB/sec30.14MB/sec30.46MB/sec21.52MB/sec39.17MB/sec37.92MB/sec
4K Read0.556MB/sec0.600MB/sec0.595MB/sec0.520MB/sec0.570MB/sec0.563MB/sec
4K Write0.892MB/sec0.868MB/sec0.885MB/sec0.935MB/sec0.965MB/sec0.999MB/sec
ファイル転送起動HDDからコピー53.4秒18.9秒26.6秒52.7秒15.9秒19.8秒
1.04GB MP4起動HDDへコピー39.1秒25.2秒26.2秒38.7秒17.4秒17.3秒


WD2500BEVT東芝MK3265GSX

接続I/FUSB 2.0eSATAUSB 3.0USB 2.0eSATAUSB 3.0
PCMark05 v120HDD Test Suite273240394470280445144848
PCMarkVantageHDD Suite179722922583191726183036
CrystalDiskMark 2.2.0(500MB)
Seq Read30.08MB/sec66.99MB/sec67.19MB/sec31.96MB/sec88.20MB/sec88.20MB/sec
Seq Write21.33MB/sec51.15MB/sec54.25MB/sec22.88MB/sec54.56MB/sec56.59MB/sec
512K Read20.15MB/sec30.75MB/sec31.31MB/sec21.14MB/sec34.25MB/sec37.31MB/sec
512K Write21.23MB/sec35.46MB/sec39.39MB/sec22.07MB/sec35.16MB/sec36.38MB/sec
4K Read0.455MB/sec0.456MB/sec0.476MB/sec0.485MB/sec0.473MB/sec0.510MB/sec
4K Write1.255MB/sec1.194MB/sec1.281MB/sec1.273MB/sec1.162MB/sec1.286MB/sec
ファイル転送起動HDDからコピー52.9秒16.3秒22.6秒51.3秒15.6秒17.0秒
1.04GB MP4起動HDDへコピー39.4秒18.9秒19.0秒37.8秒15.0秒14.8秒

 

表4:外付け用の3種のI/Fで接続したベンチマーク結果(3.5インチドライブ)


ST3120023ASHDT722525DLA380

接続I/FUSB 2.0eSATAUSB 3.0USB 2.0eSATAUSB 3.0
PCMark05 v120HDD Test Suite279637543995313451565364
PCMarkVantageHDD Suite176219852241210028693174
CrystalDiskMark 2.2.0(500MB)




Seq Read29.91MB/sec42.74MB/sec43.24MB/sec30.77MB/sec66.58MB/sec66.72MB/sec
Seq Write21.47MB/sec43.09MB/sec43.19MB/sec21.95MB/sec53.05MB/sec56.70MB/sec
512K Read18.47MB/sec27.74MB/sec27.55MB/sec22.09MB/sec37.93MB/sec38.02MB/sec
512K Write17.68MB/sec26.39MB/sec25.85MB/sec21.75MB/sec37.52MB/sec36.58MB/sec
4K Read0.559MB/sec0.586MB/sec0.578MB/sec0.602MB/sec0.646MB/sec0.638MB/sec
4K Write0.985MB/sec0.979MB/sec0.977MB/sec1.757MB/sec1.732MB/sec1.806MB/sec
ファイル転送起動HDDからコピー52.6秒18.2秒28.2秒51.1秒14.8秒19.7秒
1.04GB MP4起動HDDへコピー39.6秒28.1秒27.7秒39.0秒19.0秒19.9秒


ST3320418AS

接続I/FUSB 2.0eSATAUSB 3.0
PCMark05 v120HDD Test Suite328957375860
PCMarkVantageHDD Suite237938244028
CrystalDiskMark 2.2.0(500MB)Seq Read30.52MB/sec110.1MB/sec109.7MB/sec
Seq Write21.77MB/sec53.88MB/sec56.39MB/sec
512K Read21.74MB/sec46.34MB/sec44.22MB/sec
512K Write21.33MB/sec49.65MB/sec53.42MB/sec
4K Read0.626MB/sec0.655MB/sec0.653MB/sec
4K Write1.773MB/sec1.755MB/sec1.787MB/sec
ファイル転送起動HDDからコピー51.7秒15.3秒18.2秒
1.04GB MP4起動HDDへコピー40.2秒11.4秒12.5秒

 

●eSATAとUSB 3.0の違い

 ではHDDを外付けにする場合、eSATAとUSB 3.0のどちらが良いのか。表3と表4の結果を見る限り、性能面で大きな差はない。どちらのI/Fでも新しいドライブになればなるほど性能は向上していく。I/Fがボトルネックになっているという印象はない。

 これを確認するため、最も高いシーケンシャルリード性能を持っていたST3320418ASを内蔵SATAに接続して同じベンチマークテストを実施してみた。比較すれば分かるように、リードの性能に関しては内蔵SATAとeSATA、USB 3.0で大きな違いはない。ライトの性能だけが大きく異なり、eSATAとUSB 3.0が半分ほどになっている(55MB/sec前後で頭打ちになっている)のは、外付けデバイスとして認識されており、アンプラグによりデータを失うリスクを避けるため、書き込みキャッシュを行なっていないことが理由だと考えられる。古いドライブ(ST9160823ASGおよびST3120023AS)では、ドライブ側の性能がそのボトルネックに到達していないようだ。

 そこで内蔵SATA接続の場合もデバイスのポリシーを、書き込みキャッシュを行なわないクイック削除に設定し、同じテストを行なったところ、表5のようにライトの性能が外付け並みに低下した。4K Writeの性能だけは外付けよりも悪くなってしまったが、クイック削除がおそらくすべての書き込みキャッシュを無効にするのに対し、外付けデバイスのデフォルト設定の場合、リスクと性能のバランスを考え、少量の書き込みキャッシュを使っているのではないかと思われる。

表5:ST3320418ASを内蔵I/Fに接続
ST3320418AS

接続I/F内蔵SATA内蔵SATA
(クイック削除)
PCMark05 v120HDD Test Suite76663393
PCMarkVantageHDD Suite45662742
CrystalDiskMark 2.2.0(500MB)Seq Read110.2MB/sec110.1MB/sec
Seq Write109.1MB/sec58.65MB/sec
512K Read47.73MB/sec47.42MB/sec
512K Write66.93MB/sec46.01MB/sec
4K Read0.661MB/sec0.658MB/sec
4K Write1.736MB/sec0.610MB/sec
ファイル転送起動HDDからコピー13.1秒13.5秒
1.04GB MP4起動HDDへコピー12.1秒11.8秒

 いずれにしても、現時点でほぼ最新のドライブであっても、eSATAやUSB 3.0の実効データ転送速度を下回っており、データ転送速度でI/Fを選ぶ必要はないだろう。実際、最も新しい2.5インチドライブである「MK3265GSX」について、メーカーが発表している内部データ転送速度は556Mbps~1,148Mbpsとなっており、eSATAの3.0Gbpsにも及ばない。表中で最新の3.5インチドライブである「ST3320418AS」は、サステインのデータ転送速度が最大125MB/sec(約1Gbps)となっており、こちらも3.0Gbpsまで余裕がある。

 USB 3.0については、ホスト側のチップ(ホストコントローラ)、デバイス側のチップともに第1世代といってもいい製品だ。USBに限らず、どんなI/Fでも第1世代のチップの実効データ転送速度は、規格の理論値に遠く及ばないことが多く、世代を重ねるに連れ理論値に近づいていくものだが、USB 3.0の場合、現状のHDDでは問題にならないレベルには達しているようだ。現状のドライブについては、1台で利用する限り、I/Fの実効データ転送速度が問題になることはないだろう。

 ではeSATAとUSB 3.0で何が違うのか。筆者は電源供給とブートが両者を使い分けるカギではないかと思っている。上述したように、USB 3.0では900mAの電源供給が保証される。これは2.5インチHDDを利用するのに十分な電力だ。eSATAもPower over eSATAと呼ばれる電源供給規格の策定を2008年1月に発表したものの、いまだに正式規格化に至っていない(SATA 3.1で盛り込まれる可能性もあるが)。手軽にケーブル1本でデバイスを接続したければ、USB 3.0ということになるだろう。

 逆にUSB 3.0でできないことは、Windowsのインストールと起動だ。Microsoftはポリシーとして、USBで接続されたHDDにWindowsのインストールをサポートしていない。今回用いたIFC-PCIE2U3も、マザーボードBIOSではサポートされないし、カード上に拡張BIOSを搭載してもいないが、システムの起動に使わないのであれば、これで大きな問題はない。USBメモリやUSB接続の光学ドライブから起動したい場合は、チップセットが提供するUSB 2.0ポートを利用すれば良い。

 これに対してeSATAのHDDにWindowsをインストールすることは可能だ。ただしこれはあくまでもWindowsのポリシー上の問題であって、実際にeSATAのHDDにWindowsをインストールし起動できるかは、マザーボード(のBIOS)にも依存する。たとえば、今回用いた「DP55KG」の場合、eSATAポートはMarvellのチップで提供されているが、BIOSが起動をサポートしているのはRAIDモード時のみである。一方で、以前取り上げたMini-ITXマザーボードの「DH57JG」の場合、eSATAポートを内蔵SATAと同じチップセットが提供しており、WindowsのインストーラはeSATAのHDDを普通に認識する。

 もちろん、eSATAの外付けHDDをブートデバイスにしてしまうと、そのドライブは取り外せなくなってしまう。おそらくMicrosoftの意図としては、手軽に着脱するデータディスクにはUSB 3.0を、RAID 1により冗長構成を行ない、ホットスワップによる交換をサポートするといった用途にはeSATA、という使い分けなのだろう。MarvellのeSATAがRAIDモードだけBIOSでサポートしているのは、こうした用途を想定しているからだと思われる。

 というわけで、同じように外付けHDDを取り付け可能なeSATAとUSB 3.0だが、両者は性格の異なる一面を持っており、必ずしも競合するものではない。だが、高速なUSB 3.0がチップセットに取り込まれ、標準機能になってしまえば、たとえばノートPC等でわざわざeSATAを備える例は減るのではないだろうか。その手軽さからいっても、一般的なクライアントPCでHDDの外付けI/Fとして使われるのは、やはりUSB 3.0だろう。そういう点でも、既存のPC用のアップグレードとして、あるいは使われていないPCI Express x1スロットの友として、USB 3.0インターフェイスは手軽で有力なオプションだ。