平澤寿康の周辺機器レビュー

Fresco Logicの新USB 3.0ホストコントローラ「FL1000G」
〜ASRock製マザーボード「890GM Pro3」に搭載



「FL1000G」

発売中



 これまで、マザーボードにオンボードで搭載されたり、拡張カードで採用されているUSB 3.0ホストコントローラは、ほぼ例外なくルネサスエレクトロニクス(旧NECエレクトロニクス)製の「μPD720200」が採用されていた。それに対し、ASRock製の最新マザーボード「890GM Pro3」では、Fresco Logic製の「FL1000G」という見慣れないコントローラが採用されている。そこで今回はこのコントローラの性能をみてみたい。

●Fresco Logic製のUSB 3.0ホストコントローラ「FL1000G」を搭載

 ASRockから登場した、Socket AM3対応の最新microATXマザーボード「890GM Pro3」は、チップセットとして、グラフィックス機能を統合するAMD製の「AMD 890GX」を採用。ミニD-Sub15ピン/DVI-D/HDMIと3系統の映像出力端子を備え、128MBのSidePortメモリ(VRAM)も搭載。

 メインメモリ用のDIMMスロットは4本用意され、最大16GB(DDR3-1800まで対応)を搭載可能。拡張スロットは、PCI Express x16×1本、PCI Express x1×1本、PCI×2本で、PCI Expressはすべて2.0対応。オンボード機能は、Gigabit Ethernet、7.1Ch HDオーディオ、IEEE 1394など。ここまでは、AMD 890GXを搭載するmicroATX仕様のマザーボードとして、ほぼ標準的な仕様となっている。

 そして、今回の本題である、USB 3.0ホストコントローラだ。前述の通り、890GM Pro3には、Fresco Logicが製造する「FL1000G」というホストコントローラが採用されている。ASRock製のマザーボードでは、AMD 880G搭載の「880GXH/USB3」や「880GMH/USB3」、Intel H55 Express搭載の「H55M/USB3」などでも、USB 3.0ホストコントローラとしてFL1000Gが採用されている。上位の製品ではμPD720200が採用されているものもあり、低価格のマザーボード用のようだ。

 FL1000GとμPD720200の違いは、対応するUSB 3.0ポート数だ。μPD720200では2ポート対応となっているのに対し、FL1000Gでは1ポートのみとなっている。890GM Pro3の背面I/Oパネルを見ると、Gigabit Ethernetコネクタの下に、USB 3.0対応を示す青のUSBポートが2ポート並んでいるが、このうちUSB 3.0として動作するのは下側の1ポートのみだ。上側のポートは、コネクタの仕様こそUSB 3.0準拠となっているが、接続はUSB 2.0となるので注意が必要だ。

ASRock製のAMD 890GX搭載マザーボード「890GM Pro3」。比較的安価なマザーボードながら、USB 3.0を標準搭載する オンボード搭載されているUSB 3.0ホストコントローラは、Fresco Logicの「FL1000G」だ Gigabit Ethernetコネクタの下にUSB 3.0仕様の青いUSBコネクタが2個あるが、FL1000Gは1ポートのみ対応のため、下段のコネクタのみがUSB 3.0対応となっている

●μPD720200と比較して、やや速度は遅い

 では、パフォーマンスをチェックしていこう。今回は、ストレージデバイスとしてHDD 1台と、速度の異なるSSDを2台の計3台用意し、それらをUSB 3.0対応HDDクレードルに取り付けて接続し、CrystalDiskMark 3.0を利用してデータ転送速度を計測した。利用したストレージは、HDDがSeagate製の「Barracuda 7200.11 ST3100340AS」(1TB)、SSDがIntel製の「SSDSA2SH032G1GC」(32GB)、「SSDSA2M160G2GC」(160GB)で、USB 3.0対応のHDDクレードルは、センチュリーの「裸族のお立ち台USB3.0 CROSU3」だ。

 また、比較用として、μPD720200をオンボードで搭載する、ASUS製のマザーボード「M4A89GTD PRO/USB3」も用意した。これは、FL1000GとμPD720200双方ともオンボード搭載となる環境で比較するため。また、μPD720200を搭載する玄人志向のPCI Express x1仕様USB 3.0拡張カード「USB3.0N3-PCIe」を、890GM Pro3に取り付け、拡張カード経由での速度も計測した。CPUやメインメモリなどの詳しい計測環境は、下に示したとおりだ。

【表】テスト環境
CPU Phenom II X4 965 Black Edition
メモリ PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2
グラフィックカード AMD 890GX内蔵 Radeon HD 4290
OS導入用SSD OCZ Vertex 120GB
OS Windows 7 Ultimate
マザーボード ASRock 890GM Pro3 / ASUS M4A89GTD PRO/USB3
HDD Seagate Barracuda 7200.11 ST3100340AS(1TB)
SSD Intel SSDSA2SH032G1GC(32GB SLC) / Intel SSDSA2M160G2GC(160GB MLC)
USB 3.0拡張カード 玄人志向 USB3.0N3-PCIe
HDDクレードル センチュリー 裸族のお立ち台 USB3.0 CROSU3

比較用として用意した、ASUSのAMD 890GX搭載マザーボード「M4A89GTD PRO/USB3」 M4A89GTD PRO/USB3にオンボード搭載されているUSB 3.0ホストコントローラは、ルネサスエレクトロニクスの「μPD720200」だ

890GM Pro3+HDDの結果 M4A89GTD PRO/USB3+HDDの結果 890GM Pro3+USB3.0N3-PCIe+HDDの結果
890GM Pro3+MLC SSDの結果 M4A89GTD PRO/USB3+MLC SSD結果 890GM Pro3+USB3.0N3-PCIe+MLC SSDの結果
890GM Pro3+SLC SSDの結果 M4A89GTD PRO/USB3+SLC SSDの結果 890GM Pro3+USB3.0N3-PCIe+SLC SSDの結果

 結果を見ると、HDDを接続した場合は、FL1000G、μPD720200双方ともほぼ同じ速度となっている。これはSATA接続時とほぼ同等の速度で、HDDのパフォーマンスがほぼフルに引き出されていると考えていい。

 それに対しSSDでは、FL1000Gに接続した場合、μPD720200接続時に比べ、速度がやや遅くなっている。先日、USB 3.0周辺機器を集めてテストを行なった時に、PCI Express x1仕様のUSB 3.0拡張カードを、PCI Express 1.1対応スロットに取り付けると、転送速度が大きく劣ることを確認したが、AMD 890GXではPCI Expressは全て2.0対応となっており、オンボードデバイスもPCI Express 2.0での接続となるため、PCI Expressを起因とした速度低下とは考えられない。このことからFL1000Gは、コントローラのデータ転送速度の上限がμPD720200よりもやや低いと結論づけて良さそうだ。

 とはいえ、致命的に速度が遅いというわけではない。現在市販されているHDDであれば、ほぼフルに速度が引き出され、SSD接続時でも、体感差を感じるほどに遅いということはない。もちろん、μPD720200と同等の速度を発揮してほしいのは事実だし、1ポートしか用意されないという点も少々気になるが、別途拡張カードなどを用意せずUSB 3.0を利用できるという点は、特に低価格のマザーボードにおいてメリットが大きい。

 これまで、USB 3.0ホストコントローラをオンボード搭載するマザーボードは、比較的価格が高価な、上位仕様の製品が中心であった。しかし、今回取り上げた890GM Pro3のように、比較的安価かつ標準的な仕様のマザーボードでも、USB 3.0ホストコントローラが搭載されるようになったという点は、USB 3.0にとって大きな進歩と言えるだろう。

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(2010年 5月 25日)

[Text by 平澤 寿康]