ゲーミングPC Lab.

マウス、「G-TUNE NEXTGEAR-NOTE i5910」

〜GPU処理をGeForce GTX 980Mに固定可能。互換性のみならず性能もアップ

G-TUNE NEXTGEAR-NOTE i5910

 株式会社マウスコンピューターが1月から販売している「G-TUNE NEXTGEAR-NOTE i5910」シリーズは、GeForce GTX 980Mと4K(3,840×2,160ドット)IGZO液晶パネルを採用したハイエンドゲーミングノートPC。高いスペックは注目に値するものだが、それ以上にユニークなのが、独自機能となる「GPU Switch」だ。

 ノートPC向けのGeForce GPUには、NVIDIAの「Optimus」という技術が搭載されている。通常時はCPU内蔵グラフィックスを使い、GPU負荷が高くなった場合、自動で使用プロセッサをGeForce GPUに変更するもので、バッテリ持続時間と高性能を両立する仕組みとなっている。

 前述のGPU Switchは、グラフィックス処理および映像出力をGeForce GTX 980Mに固定する機能を提供するものだ。「それなら従来からOptimusの設定で可能では?」と思うかもしれないが、それとは似ているようで少し違う。そのあたりの解説を含めながら、実機の性能や使い心地を見ていきたい。

3Dアプリケーションの互換性を高める「GPU Switch」

 Optimusは、通常時はCPU内蔵グラフィックス、高負荷時にはGeForce GPUという切り替えが自動的に行なわれる便利な機能ではある。しかし稀に、ゲームなどの3D CGを使用するアプリケーションを起動してもGeForce GPUに切り替わらず、処理能力の低いCPU内蔵グラフィックスのままになってしまうことがある。こうなると高性能なゲーミングPCのはずなのに、3D CGの処理がもたついてカクカクした動作になってしまう。

 この場合は、デスクトップを右クリックするなどして「NVIDIAコントロールパネル」を開き、「3D設定の管理」から「プログラム設定」タブを選択し、「カスタマイズするプログラムを選択する」で使用するアプリケーションを選んだ後、「このプログラム用の優先するグラフィックスプロセッサを選択する」で、「高パフォーマンスNVIDIAプロセッサ」を選択する。これで指定したアプリケーションはGeForce GPUで動作するようになる。

 ……と良いのだが、困ったことにそれでもGeForce GPUへ切り替わってくれないアプリケーションも存在する。筆者も過去にゲームでこのトラブルに当たってしまい、色々と手を尽くしたが対応できず、ゲームやグラフィックスドライバのアップデートによる対応を待つほかなかった、という経験がある。

 ほかにもOptimusとの相性問題としてよく聞くのが、最近話題のVRヘッドセット「Oculus Rift」だ。Optimusに対応したGeForce GPU搭載機に接続すると、ゴーグルに映像が正しく表示されないことがある。そのため、マウスコンピューターなどのPCメーカーは、CPUをデスクトップ向けのものに変えるなどしてOptimusを根本的に無効化し、互換性を保つという荒業に出たりしていた。

 こうして書くとOptimusが悪者のように見えるが、正しくGPUのスイッチが働いている限りはとても便利な機能であるのは間違いない。ごく稀に、相性問題が発生した時には対処が難しい、ということだ。

 そこで今回紹介する「GPU Switch」が活躍する。ハードウェアはノート用CPUとOptimus対応のGeForce GPUを使いながらも、グラフィックス処理を強制的にGeForce GPUに固定させる。また、通常はGeForce GPUで生成した映像がCPU内蔵グラフィックスを通して映像出力されるのだが、GPU SwitchでGeForce GPU固定にした場合、GeForce GPUから直接映像が出力されるようになるという。これなら互換性の心配はまずない。

 なおGPU Switchはソフトウェアで提供されている。本機にインストールされる「Control Center」というアプリケーションを起動し、「ゲーミング」の項目にある「GPU Switch」で、通常は「MS Hybrid」となっているところを「DISCRETE」に変更する。その後、PCを再起動すると、GeForce GPUにグラフィックス処理が固定される。

 GeForce GPUに処理を固定する際のデメリットがあるとすると、アイドル時や低負荷時のバッテリ消費量が増える可能性があること。またOptimusが正しく機能するアプリケーションを使う上では、GPU Switchを使ったところで処理能力が向上するわけではないはずだ。実際にバッテリや性能がどうなるのかは、使用レポートとして後述する。

 以上の話を総合すると、本機はOptimusを原因とする稀な相性問題に引っかかってしまった人に向けた、ニッチな需要に応える製品と言える。ただ、Optimusとの相性問題を抱えるアプリケーションがいつどこで出てくるかは分からない。色々なゲームをプレイする人には、相性問題を回避する保険としても機能してくれるだろう。

「NVIDIAコントロールパネル」にOptimusの設定項目がある
付属アプリケーション「Control Center」の中に「GPU Switch」の項目がある
「GPU Switch」の項目を変更すると、再起動を指示される

CPUからストレージまで隙の無いハイエンドPC「G-TUNE NEXTGEAR-NOTE i5910GA1」

15.6型の4K IGZO液晶は視野角が広く、色味も美しい

 今回試用したPCは、「G-TUNE NEXTGEAR-NOTE i5910」シリーズの中でも“ゴールドモデル”と呼ばれる、上位から2番目の「G-TUNE NEXTGEAR-NOTE i5910GA1」だ。OSはWindows 10 HomeとWindows 7 Professionalから選択でき、どちらも同額の税別価格279,800円で提供されている。今ならWindows 7 Professionalから無償アップグレードでWindows 10 Proにできるので、自前でアップデートしても構わないという人はWindows 7 Professionalモデルがお得だ。

G-TUNE NEXTGEAR-NOTE i5910GA1
CPU Core i7-6700HQ(2.6GHz)
GPU GeForce GTX 980M(8GB)
メモリ 32GB DDR4-2133(8GB×4)
HDD 1TB(5,400rpm)
SSD SAMSUNG SM951 256GB(M.2/PCI Express x4接続)
光学ドライブ なし
OS Windows 10 Home/Windows 7 Professional
税別価格 279,800円

 CPUには4コア2.6GHz、TurboBoost時3.5GHzのCore i7-6700HQを搭載。GPUはGeForce GTX 980Mでビデオメモリは8GB、メインメモリはDDR4-2133を4枚で32GB、ストレージはPCI Express x4接続のM.2 SSD 256GBと1TB HDDとなっており、ハイエンドと呼ぶにふさわしい構成だ。

 さらに本機は15.6型4K IGZO液晶パネルを搭載しており、単体で4Kゲーミングも可能となっている。ノングレア液晶で視野角も広く、品質も極めて高い。ゲームなどのアプリケーション側が4Kに対応していない場合でも、フルHD(1,920×1,080ドット)の出力でちょうど縦横2倍の引き延ばし表示となるため、映像のボケ等の違和感も少なく快適にプレイできる。

 光学ドライブは非搭載。カスタマイズで内蔵するオプションもなく、必要な場合はUSB接続などによる外付けドライブで対応する。SDカードリーダーは標準で搭載する。

 無線LANはIEEE 802.11b/g/nで、最大150Mbpsまでとなっている。5GHz帯には非対応のようで、無線LANでの使用には注意が必要だ。ほかにSIMカードスロットも存在するが、こちらは機能しないとされている。

 インターフェイスも充実している。USB 3.0は4つあり、内1つは背面に装備しているのがユニーク。ディスプレイ出力はHDMIに加え、Mini DisplayPort×2を備えている。GPU SwitchでGeForce GPUに固定した際には、本体液晶と外部ディスプレイ3つ、合計4つのディスプレイに4K映像を同時出力できる。

 これ以外のモデルでも、CPUとGPU、4K IGZO液晶の組み合わせは変更なし。最上位機種の「G-TUNE NEXTGEAR-NOTE i5910PA1」では、メインメモリ64GB、512GB SSD、2TB HDDとそれぞれ倍量の構成となり、価格は349,800円。最小構成の「G-TUNE NEXTGEAR-NOTE i5910BA1」では、メインメモリ8GB、SSDなし、500GB HDDなどの構成で、価格は219,800円となる。

 本体サイズは385×275×29mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約2.6kg。

天板はヘアライン加工され、ロゴも描かれている
底面を見ると、スリットの奥にいくつものファンが見える
前面は左側に各種インジケーターを備える
左側面はHDMI、USB 3.0、mini DisplayPort×2。風は弱いが排気口もある
右側面はGigabit Ethernet、USB 3.0×2、SDカードスロット、ヘッドフォン・マイク端子等。SIMスロットは機能しない
背面は電源コネクタに加え、USB 3.0を搭載。この位置のUSBは使い勝手がいい
キーボードはアイソレーションタイプでテンキー付き。白単色だがバックライトも備える
キートップはかすかに丸みがある。リストレスト部はヘアライン加工された金属製
ACアダプタは出力200Wの大型のもの

「GPU Switch」はパフォーマンス向上にも寄与する?

「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」は、Optimusの標準設定ではCPU内蔵グラフィックスを使う。こういうソフトが稀にある

 続いて各種ベンチマークソフトのスコアを見ていきたい。利用したのは、「3DMark v1.5.915」、「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」、「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」、「バイオハザード6 ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」、「CINEBENCH R15」、「CrystalDiskMark 5.1.1」だ。

 今回はGPU Switchの効果を見るため、Optimusを使用する「MS Hybrid」と、NVIDIA GPUに固定する「DISCRETE」の両方でスコアを計測した。また4Kディスプレイ搭載機なので、4Kでのベンチマークテストが可能なものは、フルHDに加えて4Kでの測定も行っている。

 結果を見ると、「MS Hybrid」より「DISCRETE」の方が高いスコアが出る傾向が見られる。特に処理の軽いベンチマークではその傾向が強い。筆者は当初、Optimusが正しく機能している限りは「MS Hybrid」と「DISCRETE」の設定によるパフォーマンスの差はないと思っていたので意外だった。

 考えられるのは、映像出力でCPU内蔵グラフィックスを通る「MS Hybrid」より、GeForce GPUから直接出力できる「DISCRETE」の方が処理のオーバーヘッドが小さく済み、ベンチマークのスコアが上がる、というものだが、GPU Switchがどのような仕組みで実装されているのかが気になるところだ。

 結果の細かい話になるが、「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」に関しては、Optimusによる自動設定では、CPU内蔵グラフィックスを使用する設定になっていた。先に説明したように、Optimusの設定でGeForce GPUを使用するよう変更すれば、「MS Hybrid」の設定であっても正しくGeForce GPUでグラフィックス処理され、スコアは大幅に改善した。

 「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」についても大きな差がついているが、こちらはOptimusの設定を変更できなかったため原因は不明のまま。あくまで予想だが、フレームレートが200〜300台と高い数字になるため、CPU内蔵グラフィックスを経由するオーバーヘッドがより大きく出たのではないだろうか。

 以上の結果から、性能を優先するなら「DISCRETE」を選ぶべきということになるが、バッテリへの影響はどうか。「BBench」の結果を見ると、キーストロークとWi-Fiでのブラウジングありの計測で、バッテリ切れまで「MS Hybrid」は約3.31時間、「DISCRETE」は約2.04時間。「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」のループ再生時は、「MS Hybrid」、「DISCRETE」ともに約45分だった。

 やはり軽負荷時のバッテリ消費は「DISCRETE」の方が高い。ACアダプタを接続して充電できる環境なら「DISCRETE」、バッテリを使用する場合は「MS Hybrid」という使い分けがよさそうだ。ただ、切り替えはOSを起動してからでないとできないという点を考えると、あまり頻繁に切り替えて使うというものでもない。

ベンチマーク結果
項目 MS Hybrid DISCRETE
「3DMark v1.5.915 - Fire Strike」
Score 8,370 8,458
Graphics score 9,879 9,833
Physics score 9,717 9,954
Combined score 3,557 3,720
「3DMark v1.5.915 - Sky Diver」
Score 19,888 21,983
Graphics score 27,326 30,918
Physics score 8,875 9,456
Combined score 16,857 18,628
「3DMark v1.5.915 - Cloud Gate」
Score 15,666 22,927
Graphics score 24,408 61,158
Physics score 6,952 7,192
「3DMark v1.5.915 - Ice Storm Extreme」
Score 30,115 110,581
Graphics score 28,419 187,240
Physics score 38,073 45,452
「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(DirectX 11/最高品質)
3,840×2,160ドット 2,857 2,847
1,920×1,080ドット 9,271 9,603
「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」(最高品質)
3,840×2,160ドット 909 9,645
1,920×1,080ドット 4,199 17,345
「ドラゴンズドグマ オンライン ベンチマーク」(最高品質)
1,920×1,080ドット 8,663 9,043
「バイオハザード6 ベンチマーク」
3,840×2,160ドット 4,611 46,44
1,920×1,080ドット 13,715 14,061
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 ver.2.0」(簡易設定5)
1,920×1,080ドット 31,038 59,140
「CINEBENCH R15」
OpenGL 97,44fps 111,40fps
CPU 677cb 682cb
CPU(Single Core) 139cb 139cb

 ストレージには、SSDは先述のとおり「SAMSUNG SM951」が使われており、HDDは、今回はWestern Digital製の「WD10JPVX」が使われていた。

CrystalDiskMark
SSD(SAMSUNG SM951 256GB)
HDD(Western Digital WD10JPVX)

隙無く高品質にまとめ上げたハイエンドゲーミングノートPC

使用感、外見とも、価格に見合った高級感がある。所有欲を満たしてくれる1台だ

 最後に、実際に使ってみた感想も書き加えておきたい。

 キーボードはアイソレーションタイプ。キートップは四角く無骨に見えるが、キートップに微かな丸みを持たせてあり、指の収まりがいい。ストロークは浅めながらクリック感があり、なおかつ底打ちしてもかなり静かで、良好な打鍵感が得られる。さらにバックライトも搭載しており、色は白単色ながら、付属のソフトウェアで5段階に明るさを調整できる。

 また本機にはキーボードとマウスのマクロ機能が用意されており、特定のキーやボタンの機能を任意の機能と入れ替えられ、Windowsキーを無効にするといった設定も可能。USB端子の位置や数などを見ても、インターフェイス周りやカスタマイズ機能にはかなり力が入っている。

 サウンドはキーボード上部にステレオスピーカーを搭載している。低音がかなり弱めではあるが、中・高音域はメリハリのある音で聞き取りやすい。特に人の声はクリアに聞こえるので、ゲーム向けのチューニングとしては良くできていると感じた。

 排熱周りについては、本体背面右に排気口がある。筐体に伝わる熱は、アイドル時はキートップがほんのり温かさを感じる程度なのだが、高負荷になるとキートップがはっきり温かくなる。また排熱用のファンも高負荷時にはかなりの風量と騒音になるため、向かい側に人が居る時には温風と騒音には注意した方が良い。これはハイエンドゲーミングノートPCの宿命なので、ほかの同等製品と比較して本機が悪いという程でもない。

 総合的に見て、高性能なゲーミングノートPCとしての完成度はかなり高い。高いスペックに目が行ってしまうが、使ってみると筐体の良さがわかる。ハイエンドなパーツを組み込んだ割には、2.6kgと比較的軽量に収まっており、本体の剛性も高く、天板にはヘアライン加工を施すなど質感も高い。確かに値は張るが、ただ高いパーツを組み合わせただけではなく、製品としての一体感や高級感をきっちり高めてきているのが本機の魅力だ。

キーボードやマウスのマクロ設定が可能
キーボードバックライトの明るさ変更や、タッチパッドの無効化もできる
温度に合わせてファンが動くタイミングまで設定できる

(石田 賀津男)