山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

Amazon「Fire」

〜実売8,980円、プライム会員なら4,980円で入手可能な7型タブレット

Amazon「Fire」。本体色はブラックのみ

 Amazonの「Fire」は、KindleストアやAmazonビデオなど、Amazonが提供するデジタルコンテンツを楽しめる7型タブレットだ。7型のIPSディスプレイを搭載しながら、実売価格8,980円、Amazonプライム会員なら4,980円で入手できるという衝撃的な価格の製品だ。

 ここ数年ですっかり1ジャンルとして定着した節のある7〜8型タブレットだが、その牽引役となったのは、2012年に発売されたGoogleの初代「Nexus 7」だろう。ほぼ非の打ち所のない性能でありながら、当時の円高の影響もあり、19,800円という画期的な価格で登場したことで、大きな話題となったことは記憶に新しい。またその前年に登場した初代Kindle Fireも、199ドルという当時としては衝撃的な価格で話題になった(日本では未発売)。

 その後円安基調に転じたこともあり、2万円以下で買える7型タブレットは現在ではほとんど姿を消してしまったが、今回Amazonから登場した新型のFireは、それらのおよそ半額、8,980円という衝撃的な価格である。スペックに差があるとは言え、昨年(2014年)発売の第4世代「Fire HD 7」が16,280円だったことを考えると、すさまじい“値下げ”である。しかもプライム会員だと4,000円の値引きが適用されて4,980円で手に入るという、前代未聞とも言える価格設定だ。

ちなみにAmazon.comではクーポンコード適用で5台買うと1台がおまけでついてくるという、こちらもとんでもないキャンペーンが実施されている。価格はプライム会員でなくとも49.99ドル(ただし広告なし版は15ドルプラス)で購入可能

 もっともこれだけ安価だと、果たしてきちんと使える製品なのか、どこか致命的な弱点があるのではないかと気になるのは当然だろう。今回はそんな本製品を過去のFireシリーズとも比較しつつ、本製品から新たに搭載される新OS「Fire OS 5」の使い勝手も踏まえながら見ていきたい。

かつての無印「Fire」の直系にあたるローエンドモデル

 製品の紹介に入る前に、まずは2015年9月に発表された第5世代Fireのラインナップについてチェックしておこう。

 今回発表されたのは本稿で扱う7型の「Fire」のほか、8型の「Fire HD 8」、10.1型の「Fire HD 10」の3製品。これに従来モデルの「Fire HD 6」、そして「Fire HDX 8.9」を加えた5モデルが、2015年9月末時点での現行製品ということになる。ちなみに入れ替わりで姿を消したのは、2014年発売の第4世代「Fire HD 7」と、2013年から継続していた第3世代「Kindle Fire HDX 7」の2製品だ。

 現行5モデルの内訳を見ると、ハイエンドのHDXが1製品、これまでエントリー向けとされていたHDが3製品で、そのさらにローエンドに位置付けられるのが、今回紹介するFireとなる。もともとFire(旧Kindle Fire)シリーズには、入門用モデルとして無印の「Kindle Fire」があったが、これが2年ぶりに復活した格好だ。具体的な機種変遷は、以下の表を参照いただきたい(製品の呼称および世代はAmazonのヘルプ&カスタマーサービスページなどの情報に従っている)。

第1世代(2011年発売) 第2世代(2012年発売) 第3世代(2013年発売) 第4世代(2014年発売) 第5世代(2015年発売)
無印 Kindle Fire Kindle Fire - - Fire
HD - Kindle Fire HD/Kindle Fire HD 8.9 Kindle Fire HD 7 Fire HD 6/Fire HD 7 Fire HD 6/Fire HD 8/Fire HD 10
HDX - - Kindle Fire HDX 7※/Kindle Fire HDX 8.9 Fire HDX 8.9※ -
※印は翌年も同じ仕様のまま継続販売

スペックは2012年モデルに酷似、ベンチマークは昨年の「Fire HD 7」とほぼ同等

 さてこの衝撃的なプライスの第5世代「Fire」だが、率直なところ、価格相応と感じられる仕様もいくつかみられる。過去製品と見比べる限り、2012年に発売された第2世代のKindle Fireと、昨年発売の第4世代Fire HD 7の中間と言って良さそうだ。ハイエンドのHDXシリーズを除く、過去の7型Fireタブレットとの比較は以下の通りである。

Kindle Fire(第1世代) Kindle Fire(第2世代) Kindle Fire HD(第2世代) Kindle Fire HD(第3世代)
発売年月 2011年11月(国内未発売) 2012年11月 2012年11月 2013年11月
サイズ(最厚部) 120×190×11.4mm 120×189×11.5mm 137×193×10.3mm 191×128×10.6mm
重量 約413g 約400g 約395g 約345g
OS(発売時) 独自(Android 2.3ベース) 独自(Android 4.0ベース) 独自(Android 4.0ベース) Fire OS 3
CPU デュアルコア 1.0GHz×2 デュアルコア 1.2GHz×2 デュアルコア 1.2GHz×2 デュアルコア 1.5GHz
RAM 512MB 1GB 1GB 1GB
画面サイズ/解像度 7型/600×1,024ドット(169ppi) 7型/600×1,024ドット(169ppi) 7型/800×1,280ドット(216ppi) 7型/800×1,280ドット(216ppi)
通信方式 802.11b/g/n 802.11b/g/n 802.11a/b/g/n 802.11a/b/g/n
内蔵ストレージ 8GB(ユーザー領域6GB) 8GB(ユーザー領域5.5GB) 16GB(ユーザー領域12.6GB)/32GB(ユーザー領域26.9GB) 8GB(ユーザー領域4.8GB)/16GB(ユーザー領域11.9GB)
バッテリー持続時間(メーカー公称値) 8時間 8.5時間 11時間 10時間
カメラ - - 前面 -
microSDカードスロット - - - -
価格(発売時) 199ドル(国内未発売) 12,800円 15,800円(16GB)/19,800円(32GB) 15,800円(8GB)/17,800円(16GB)
カラーバリエーション ブラック ブラック ブラック ブラック
Kindle Fire HD(第3世代) Kindle Fire HDX(第3世代) Fire HD 7(第4世代) Fire(第5世代)
発売年月 2013年11月 2013年11月 2014年10月 2015年9月
サイズ(最厚部) 191×128×10.6mm 186×128×9.0mm 191×128×10.6mm 191×115×10.6mm
重量 約345g 約303g 約337g 約313g
OS(発売時) Fire OS 3 Fire OS 3 Fire OS 4 Fire OS 5
CPU デュアルコア 1.5GHz クアッドコア 2.2GHz クアッドコア 1.5GHz×2、1.2GHz×2 クアッドコア1.3GHz×4
RAM 1GB 2GB 1GB 1GB
画面サイズ/解像度 7型/800×1,280ドット(216ppi) 7型/1,200×1,920ドット(323ppi) 7型/800×1,280ドット(216ppi) 7型/600×1,024ドット(171ppi)
通信方式 802.11a/b/g/n 802.11a/b/g/n 802.11b/g/n 802.11b/g/n
内蔵ストレージ 8GB(ユーザー領域4.8GB)/16GB(ユーザー領域11.9GB) 16GB(ユーザー領域10.9GB)/32GB(ユーザー領域25.1GB)/64GB(ユーザー領域53.7GB) 8GB(ユーザー領域5GB)/16GB(ユーザー領域12.2GB) 8GB(ユーザー領域5GB)
バッテリー持続時間(メーカー公称値) 10時間 11時間(書籍のみの場合17時間) 8時間 7時間
カメラ - 前面 前面、背面 前面、背面
microSDカードスロット - - -
価格(発売時) 15,800円(8GB)/17,800円(16GB) 24,800円(16GB)/29,800円(32GB)/33,800円(64GB) 16,280円(8GB)/18,280円(16GB) 8,980円(プライム会員価格4,980円)
カラーバリエーション ブラック ブラック ピンク、ブラック、ブルー、ホワイト、シトラス ブラック

 もともとFireタブレットは、199ドルの第1世代モデルでもIPS液晶を採用したりと、表示の美しさにはこだわりがあるが、解像度やCPU/ストレージ、無線LANについては上位モデルと下位モデルでグレードに明確な差をつける傾向にある。今回の第5世代Fireは、IPS液晶こそ採用しているものの、解像度は600×1,024ドット(171ppi)と低く、また8GBの容量、5GHz帯非対応のWi-Fiといった仕様は、2012年発売の第2世代Kindle Fireほぼそのままだ。いくら安価でも、3年前のモデルとほぼ等しいスペックともなると、腰が引けるユーザーもいるだろう。

 とは言え、CPUは(1.3GHzながらも)クアッドコアに向上しているほか、Fireのローエンドモデル共通の弱点である重量は313gと、第2世代Fireに比べて87gも軽くなっている。また前面背面にカメラが追加されたほか、第5世代モデルの特徴であるmicroSDスロットも搭載しているので、ストレージの容量不足はmicroSDを追加することで解消できる。

 また上記の表にはないが、第2世代FireはBluetoothに対応しないほか、音量調節キーが搭載されておらずとっさのボリュームの上げ下げができない(その都度設定画面を開いて調節する必要がある)という、割り切りすぎて手を出しにくい仕様だったが、これらは本モデルではきちんと改善されている。

 ちなみにベンチマークソフト「Quadrant Professional Ver.2.1.1」で比較する限り、性能については昨年発売の第4世代Fire HD 7に近い数値を叩き出している。新OSであるFire OS 5の影響がどの程度あるかは不明だが、スペックが酷似した第2世代Kindle Fireに比べて値が高いのは、おそらくクアッドコアの恩恵だろう。実際に使っていても、大量のサムネイルを読み込む際は多少の引っ掛かりを感じるが、全体的にはきびきびとしており、普通に使える印象だ。

製品名 OS Total CPU Mem I/O 2D 3D
Fire(第5世代) Fire OS 5 5769 18461 3567 4131 309 2375
Fire HD 7(第4世代) Fire OS 4 6281 17103 7563 4009 379 2353
Kindle Fire HD 7(第3世代) Fire OS 4 3023 7450 2873 2015 333 2442
Kindle Fire HD(第2世代) Fire OS 4 2165 5521 1894 1713 280 1419
Kindle Fire(第2世代) Fire OS 4 2208 5512 1856 1105 391 2175

 これでいて価格は第2世代Fireの12,800円に対して8,980円、かつ前述のようにプライム会員限定で4,980円という驚異的な価格なので、600×1,024ドット(171ppi)という解像度が苦にならなければ、スルーするには惜しい存在と言える。余談だが、第2世代Fireは現在Amazon.comでの中古相場が50ドル前後なので、新品で49.99ドルの本製品はこうした中古市場をも破壊しかねないプライスだ。

第2世代Kindle Fire(右)との比較。同じ解像度ということで外観、サイズも酷似している。本製品はフロントカメラを備えるため、上下ベゼル幅に違いが見られる
第4世代Fire HD 7(右)との比較。本製品のほうが画面が縦長で、そのぶん横幅もスリム。天地サイズに大きな違いはない
厚みの比較。上下ともに左側が本製品、右側は上が第2世代Kindle Fire、下が第4世代Fire HD 7。昨今の薄型タブレットに比べると厚みはあるほうだが、Fireシリーズとしては標準的で、特にゴツさは感じない
画面は600×1,024ドット。第4世代Fire HD 7(800×1,280ドット、写真右)に比べて縦に長く、それゆえボディもスリム。片手でつかむ際、第4世代Fire HD 7(右)はなんとか指がかかる程度だが、本製品(左)はすんなりつかめる

Nexus 7(2013)似のボディデザイン

 では開封からセットアップ、実際に使い始めるところまでを見ていこう。昨今のスマートフォンやタブレットはiPhone/iPadの影響か、開封時のワクワク感を高める外箱を採用している製品がほとんどだが、本製品はその対極にあると言っていい、厚紙の立体パッケージを採用している。店頭でフック掛け陳列することも可能な仕様で、タブレットのコモディティ化もここまで進んだかと衝撃を受ける。

 外観は、端子が上部に集中していることを除けば、ごく普通の7型タブレットである。厚みは10.6mmということで薄型とは呼べないが、安物にありがちなゴツさは感じず、またベゼルの幅が極端に太いといったこともない。背面に滑り止め加工が施されておらずプラスチック感が強いことが、コストをかけていないことを感じさせるが、これは第4世代Fire HD 7でも同様で、特に本製品だけの問題というわけではない。余談だが、側面から背面にかけてややカーブしたデザインは、どことなくNexus 7(2013)を彷彿とさせる。

これまでにない真紅のパッケージは、第5世代Fireのパッケージに共通するカラーリング
英語表記の上に日本語シールが貼られたパッケージ裏面
ミシン目に沿って開封。ここまで割り切った仕様だと、製品を取り出したあと処分しやすい
同梱物一覧。各国語版の保証書とスタートガイド、USBケーブル、USB-ACアダプタが付属
USB ACアダプタは従来品とは異なる独自の形状
製品外観。ボタンやスピーカー、上部のVGAフロントカメラなど、縦向きで使うことを想定しているようだ
端子やボタンはほとんどが上部に集中している。手前からイヤフォンジャック、音量ボタン、リセットホール、microUSBコネクタ、電源ボタン
側面には第5世代モデルの特徴であるmicroSDスロットを搭載。128GBまで対応とされている
スピーカーはモノラルでこの1基のみ。今回のレビューでは取り上げていないが、音質はお世辞にもよいとは言えない
背面。200万画素のHDカメラを左上に搭載する

 セットアップ手順も従来通りで、言語を選択してWi-Fi登録、アカウント設定、SNS設定などを経てホーム画面が表示される。今回は購入時点で既にアカウントが登録されていたこともあり、本稿のためにスクリーンショットを撮りながらでもわずか2分強でセットアップが完了し、ホーム画面が表示された。

 以下、左が本製品、右が昨年発売の「Fire HD 7」を再セットアップした際の画面と比較したものである(Fire HD 7のOSバージョンは4.5.5)。後述するFire OS 5の搭載により、従来に比べてかなり細かい改良が加えられていることがお分かりいただけるはずだ。

まずは言語を選択。新たに文字サイズ選択のメニューが下段に表示されるようになった
Wi-Fiが検索される。説明が増えている以外は、特に相違点はない
Wi-Fiのパスワード入力画面は従来のままだが、キーボードに新たに「@」と、「←」「→」が追加されていたりと、改良の跡が見られる
Amazonにサインインしたのちタイムゾーンを確認する。今回は購入時点で既にアカウントが登録されていたためタイムゾーンの確認のみ
第4世代モデル以降で使える、バックアップからの復元画面が表示される。内容には特に違いはないようだ。今回は復元せずそのまま続行
位置情報サービスを許可するかどうか尋ねられる。こちらも内容に違いはないようだ。ちなみに古い機種ではこの画面がない場合もある
バックアップと自動保存の設定画面。新たに「Wi-Fi設定の共有」なる項目が追加されている。「写真とビデオの自動保存」はオプションから写真/ビデオを別々に設定することも可能
SNSアカウントの登録画面。内容には特に違いはない。必要なければ飛ばして先に進む
使い方を紹介するチュートリアル画面がここから数ページに渡って続く
セットアップが完了してホーム画面が表示された。Fire OS 5ではデザインが従来と大きく変更になったことが分かる。なお壁紙は設定から変更できる

Fire OS 5の搭載でデザインと操作性が一新

 本製品はOSが従来のFire OS 4(Android 4.0ベース)から5(Android 5.0ベース)に改められ、ホーム画面のデザインおよび操作性が一新されている。中でも最近使ったコンテンツをパラパラとめくるFire独自のホーム画面が廃止され、ホームと別画面に移管されたのは大きな変化だ。

 本、ビデオ、ゲームといった各カテゴリは、従来と同じく上段のカテゴリ名をタップするか、あるいは左右にスワイプして切り替える。各カテゴリにはこれまでの購入済みコンテンツに加えて、下段におすすめコンテンツが表示される形に(ほぼ)統一された。おそらくこのほうが購入に結びつきやすいという判断だろう。

 また、これまでヘッダーに表示されていたカテゴリのうち、ウェブ(Silk)、ドキュメント、写真などはヘッダから姿を消し、ホーム画面に並ぶアプリの1つへと“格下げ”された。これによりカテゴリ数が(見かけ上は)減り、ヘッダがすっきり見やすくなった。さらに画面を上から下へとスワイプして表示される通知領域のデザインや、ホームボタン右に配置されたアプリ切り替えボタンなど、Android 5系と共通の操作体系が増え、よい意味でクセがなくなっている。

 本稿執筆時点では使い始めてから日が浅いためトータルでの評価は避けるが、「カテゴリ切り替えは左右スクロール、カテゴリを深掘りするには上下スクロール」と、役割がきっちり分かれたことで、初心者にとってもハードルが低くなったように感じられる。また操作性が素のAndroidにより近くなったことは、独自色の強いFireのメニューに馴染めなかった人にはプラスだろう。

ホーム画面。上段には最近購入したコンテンツが表示されるとともに、従来はホーム画面を下から上にスワイプすると表示されていたアプリのアイコンが下段に表示されるようになった。上段のカテゴリから姿を消したウェブ(Silk)やドキュメント、写真はここからアクセスできる
最近使ったコンテンツは従来はホーム画面に表示されていたが、Fire OS 5ではホーム画面の左にある「最近のコンテンツ」という画面に表示される。スクロール方向が左右ではなく上下へと変更になっており、最初は戸惑う
「本」画面。上段には購入済みコンテンツが、その下にはおすすめ商品がジャンル別に表示される。下にスクロールするとさまざまな切り口のおすすめ商品が次々現れる仕組みだ。なお「すべての本を表示」をタップすると従来のライブラリが表示される
「ビデオ」画面は、先日発表になったAmazonビデオが表示される。上段には視聴中または視聴済みのコンテンツが、その下には関連コンテンツやおすすめコンテンツが並ぶ
「ゲーム」画面では、購入済みゲームがあれば上段にそのアイコンと他のプレイヤーが出した注目の実績、下段にはおすすめ商品が表示される
「お買い物」画面では、Amazonストアで過去に購入した製品やおすすめ商品、ベストセラーなどが表示される。カテゴリの中でここが唯一の非デジタル系ストアとなる
「アプリ」画面では、購入済みのアプリのほか、ベストセラー、カテゴリ別のおすすめアプリなどが表示される
「ミュージック」画面。これまで購入した商品やおすすめアルバム、曲、人気のアルバムなどが表示される
「ドキュメント」は、機能はこれまでと同様だが、ホーム画面の「ドキュメント」アイコンをタップして呼び出す仕組みに改められ、上段のカテゴリ一覧からは姿を消した
「写真」についても上段のカテゴリ一覧から姿を消し、ホーム画面の「写真」アイコンをタップすることで表示されるよう改められた。これはAmazon Cloud Driveにアップロードされた写真を表示している様子
「ウェブ」も上部メニューからは姿を消し、ホーム画面の「Silk」アイコンをタップして表示するよう改められた。Silk自体は、同時に開けるタブの数などが強化されたとのこと
画面を上から下にスワイプすると、Androidとほぼ同じデザインと機能を持つ通知領域が表示される。これまでは基本機能にアクセスするためのクイック設定メニューが表示されていた
Androidと同じく、ホームボタン右側のボタンをタップすることでアプリの切り替えが行なえるようになった
本製品は全製品がいわゆる「キャンペーン情報つきモデル」であり、ロック画面にキャンペーン情報が表示される。表示のオン/オフはホーム画面の「キャンペーン」アイコンから行なう
設定画面。項目こそほぼ同じだが、デザインのほか、分類や並び順などが大幅に変更されている。全体としてはAndroidにより近い印象を受ける
こちらはセキュリティに関する設定画面だが、項目のオン/オフがより分かりやすいデザインに改められている。別画面にあった項目がこちらに移動している例も見られる

 一方、読書中に目にするページおよびオプション画面については、特に違いは見られない。フォントオプションの画面のようにデザインが大きく異なる場合もあるが、ホーム画面まわりのように操作性が全く異なる変更点は確認できなかった。基本的にはデザインの見直しのみと理解してよさそうだ。なお以下のスクリーンショットを取得後にFire HD 7もバージョンアップがあり、本製品とほぼ同じ画面デザインに変更されたことを付記しておく。

テキストコンテンツ(太宰治著「グッド・バイ」)を表示したところ。フォントの間隔が不自然に詰まったり、逆に開きすぎている箇所がいくつかあるのが気になる
オプション画面。配色は4パターン、余白および行間は3段階、フォントは明朝とゴシックのほか筑紫明朝から選択できる。デザインは異なるが機能に相違は見られない
単語選択で色を付けたり辞書検索が可能。今回のFireでは日本語辞書(大辞泉)がなぜか選択できなかった。機能そのものに変更は見られない
本の詳細や検索、移動、目次の画面。デザインは異なるが機能に相違はないようだ
文中から人物やトピックを抽出するX-Ray機能。機能に相違は見られない。太いフォントを使っているためか、解像度が低い本製品のほうがむしろ見やすいのが興味深い
コミックコンテンツ(うめ著「大東京トイボックス 10巻」)を表示したところ。上下の余白(黒い部分)の面積が異なるのは縦横比が異なるため

ネックは解像度。ドットが目立ち、細い線の表示はつらい

 さて、気になる画面解像度について見ていこう。本製品の600×1,024ドット(171ppi)という解像度および画素密度は、第1〜2世代のKindle Fireと同等であり、昨年発売になった第4世代のFire HD 7(216ppi)よりも下である。液晶と電子ペーパーとを比較するのは酷だが、先日モデルチェンジする前のKindle Paperwhite(2013)ですら212ppiだったことを考えると、かなり不安になるスペックである。

 というわけで、実際にテキストおよびコミックコンテンツについて、他の7型Fireタブレットと比較した写真をご覧いただこう。テキストは太宰治著「グッド・バイ」、コミックはうめ著「大東京トイボックス 10巻」で、テキストの文字サイズはおおむね小説本と同等になるよう合わせている。どちらも左から、本製品(600×1,024ドット/171ppi)、第4世代Fire HD 7(800×1,280ドット/216ppi)、第3世代Kindle Fire HDX(1,200×1,920ドット/323ppi)の順である。

テキストコンテンツ(太宰治著「グッド・バイ」)の比較。電子ペーパーだと解像度が低ければ細い線がとぎれがちになるが、液晶の場合は逆に太って表示されたり、エッジがにじみがちになる。従って「読むに耐えない」というレベルではないが、やはりドット感が気になり、目が疲れがち
コミック(うめ著「大東京トイボックス 10巻」)の比較。モアレは差し引いていただくとして、顎の下や肩の影、胸元の衣類のディティールに差があることが分かる。細い線を多用するコミックだと、ディティールが再現しきれない場合もありそうだ

 結論から言うと、既にスマートフォンやタブレットで300ppiクラスの高解像度に慣れていると、やはりドットの粗さが気になってしまう。特にテキストについては線が太ったり、にじんだように表示されることもしばしばで、長時間見ていると目が疲れてしまう。価格を全く考慮せずに判断するのであれば、これだけで購入候補から脱落してしまうレベルだ。

 もっとも、Amazonビデオなど動画コンテンツの閲覧では、こうした解像度の低さはあまり気にならない。同じ解像度の第2世代Kindle FireでAmazonビデオを再生すると、画面のあちこちにブロックノイズが発生して見られたものではないのだが、本製品はAmazonビデオを前提としたチューニングが施されているのか、そうしたこともない。要するに「絶えず動いているから気にならない」というだけなのだが、クオリティを800×1,280ドットの第4世代Fire HD 7と見比べても、意外なほど差は感じない。

 総じて評価すると、細い線が太ったりにじみがちになることから、テキストや一部のコミックなど細い線が多いコンテンツで、長時間没頭して読書するのはおすすめしない。ただしそれ以外のケース、細い線がそれほど多くないコミックや動画をカジュアルに見るのなら、解像度の割にはそこそこの表現力があり、実用レベルには達している。テキストコンテンツに関しては、フォントサイズを普段より一回り大きくしたり、あるいは明朝からゴシックに切り替えるというのも、ユーザーの側でできる解決策の1つだろう。

こちらはテキストコンテンツ(太宰治著「グッド・バイ」)を、ゴシック体に切り替えて比較したところ。さきほどの明朝に比べ、粗さはそれほど気にならない

8,980円なら「価格相応かそれ以上」、4,980円なら「お買い得」

 おそらく本製品の評価は、ユーザーのスマートフォン/タブレット歴に大きく左右されるだろう。いわゆるRetina解像度に慣れているユーザーからすると、いくら安価でも本製品の解像度の低さは耐え難いだろうし、スマートフォン/タブレットの利用歴があまりないユーザーや、これまでタブレットを家族と共用していて自分専用の1台が欲しかったユーザー、スマートフォンでは飽き足らずもう一回り大きい画面サイズを求めていたユーザーにとっては、この価格で自分用の1台が手に入るというのは、プラスがマイナスを大きく上回るはずだ。

 以上のように、解像度についてはどうしても辛辣な評価にならざるを得ないのだが、それでも第2世代FireのようにBluetoothに非対応だったり、カメラがなかったり、果てには音量調節キーが存在しなかったりと、同等製品では当たり前のように存在している機能が欠落しているといった、致命的な欠点は見当たらない。第2世代のFire(400g)はもちろん、第4世代のFire HD 7(約337g)と比べても軽量で、持っていてそれほど疲れないのも利点だ。

 また動作についてもきびきびしており、ストアなどサムネイルが多数あるページの画面遷移では多少ひっかかりを感じるものの、ストレスが溜まって使いものにならないというレベルではない。厚みについても及第点のレベルだし、microSDで容量を拡張できるという、従来のFireになかった利点もある。廉価なモデルにありがちな視野角の狭さも感じないので、2〜3万円クラスのタブレットだと説明されても、普通に信じてしまうはずだ。

 これらを総合すると、8,980円という価格は「価格相応かそれ以上」、プライム会員限定の4,980円は十分に「お買い得」というのが、筆者の評価だ。1つ加えて言うならば、画面がかなりギラつくうえに手の脂が極端に付きやすいので、反射防止のフィルムを追加する予算だけは、盛り込んでおくことをおすすめしておきたい。

 ただし、プラス1万円程度の予算を出すことが可能なら、無理に本製品に飛びつく必要はない。冒頭のベンチマークで本製品より高い値を出しているFire HD 7(第4世代)は、本稿執筆時点ではまだ特定カラーの在庫が残っており、こちらは16,280円だ。また新製品のFire HD 8(第5世代)は19,800円だし、Androidタブレットに目を向けると、この9月に発売されたAndroid 5.0搭載のAcer Iconia One 7(B1-760HD)も、2万円以下で入手が可能だ。これらはいずれも画面解像度が1,280×800または1,280×720ドットなので、前述の解像度の問題も、ある程度は解消されていると考えられるからだ。

 次回はこれらの中から、本製品と同時に発表された8型のニューモデル、Fire HD 8について紹介したい。

(山口 真弘)