山田祥平のRe:config.sys

iPhone 6 Plusの期待外れと期待通り

 Appleの「iPhone 6 Plus」を購入した。期待通りでもあり、期待外れでもあったというのが正直な感想だ。大きなiPhoneが欲しかったのだが、その期待は当たりでもありハズレでもあったのだ。今回は、iPhone 6 Plusを使ってみてのファブレットトレンドについて考えてみる。

最強無線機としての日本モデル

 9月19日に発売された新iPhoneだが、例によって米国版を購入するか、日本版を購入するかで迷っているうちに出遅れ、結局、日本のアップルオンラインストアでSIMロックフリー版のiPhone 6 Plusをオーダーしたのが9月23日だった。その時点で3〜4週かかるとされていたが、実際には2週間未満の9月29日には宅配便で届いた。

 今回購入したのはiPhone 6 Plus モデルA1524だ。全世界で3モデルが存在し、それぞれで対応するバンドや通信方式が異なるが、日本のアップルオンラインストアで購入するSIMロックフリー機である限り、選択肢はこれだけだ。そして、対応バンドは他の2モデルを包含する。ただ、インターネットで調べてみると、各国で販売されているものは、型番が同じでも実際の対応バンドが異なるという情報もあり、ちょっと混乱しているようだ。いずれにしても、今回は、日本で購入するSIMロックフリー機が無線機的には最強という結論に達した。

 ぼくの利用しているメインキャリアはNTTドコモだ。同社では、iPhone以外の端末については、3,000円+税の手数料でSIMロックフリー化してくれるが、iPhoneだけは例外で対応してくれない。だから、月々サポートなどで安くなっても意味がない。だから、どうしてもアップルオンラインストアでSIMロックフリー機を購入する必要があったのだ。

 端末が宅配便で到着し、年初に米国で購入した手元のVerizon版SIMロックフリー「iPad Air」のnano SIMを装着した状態でアクティベイトして各種の設定を済ませた。そして、翌日、ドコモショップに出かけ、常用している「GALAXY Note 3」に装着してあるSIMをnanoサイズに変更してもらった。2,000円+税の手数料が翌月の電話料金から引き落とされるそうだ。

 GALAXY Note 3のおサイフケータイで使用しているSIMをnanoサイズにした結果、もとの端末に装着するにはMicro SIMサイズのアダプタが必要になる。入手は簡単だが作動に関しては自己責任になる。また、NTTドコモとしては、SIMを元の端末に装着した時に、従来通りおサイフケータイが機能するかどうかは保証できないとも言われた。これは仕方がないとしよう。ダメだったら、もう一度手数料を払ってMicroサイズに戻すしかないし、それなら保証するというのがドコモショップの説明だ。もっとも、これらは杞憂に終わり、結果として、交換したnanoSIMは、GALAXY Note 3とiPhone 6 Plusを往復させても、問題なく使えている。おサイフケータイについても無問題だ。

なぜか片手で使いにくいiPhone 6 Plus

 さて、購入したiPhone 6 Plusだが、5.5型のディスプレイは、過去のiPhoneと比較するとやけに大きいかもしれないが、5.7型ディスプレイのGALAXY Note 3を常用していた立場からすると、なるほどこんなものかという感じだ。縦方向はちょっとだけ長くなったが、横幅はちょっとだけスリムになった。画面の縦横比は両方とも16:9だが、iPhone 6 Plusの方が細長く感じる。

 この細長さだが、「バック」や「ホーム」といったナビゲーションを画面下部で行なうAndroid機に対して、iOSはホームボタンは画面下部にあるが、「バック」に関する操作がほとんどの場合画面左上のタップで行なうので、指を伸ばすのが大変だ。結果として両手で操作することになってしまう。Android OSでは、このくらいの画面サイズなら片手で操作できていたので、そのあたりがやっかいだと感じた。文字入力時も、バイブのフィードバックがないので、しっかりと狙いをさだめてソフトウェアキーをタップする必要がある。そうでなければ、ミスタイプ、ミスフリックが多発する。

 また、iOS 8では、ホームボタンのダブルタップで画面表示が下部に降りてきて、上部のコントロールに指が届きやすくする機能が追加されているが、これは、なんだかとってつけたような機能であまり使う気にならない。結局は、左手で支えて右手中心に操作し、たまに左手が助っ人に出てくるというイメージでの使い方に落ち着いてしまった。

らくらくiPhoneにはならなかったPlus

 ぼくがiPhone 6ではなくiPhone 6 Plusを選んだのは、大きな表示のiPhoneが欲しかったからだ。過去にiPad miniを購入したときもそう思っていた。だが、iPad miniは、小さなiPadであって、大きなiPhoneとしては機能してくれなかった。今度こそはという願いもあった。

 結果としての期待ハズレはここだ。

 iOS 8で新たに追加された画面表示の拡大モードを有効にし、さらに文字サイズを変更し、Dynamic Type機能をサポートしているアプリでテキストサイズが多少大きく表示されるように設定する。これでDynamic Typeサポートのアプリについては満足できる表示になった。だが、この機能をサポートしているアプリが少なすぎる。また、Safariも文字サイズを変更する機能がない。よく使うFacebookは、嫌がらせとしか思えないような小さな文字だ。同じFacebookのMessengerアプリはDynamic Typeをサポートし、指定したサイズに連動するのに、Facebook本体はあきれるほど文字が小さい。

 また、Twitter公式アプリはDynamic Typeのサポートはないが、設定でフォントサイズを変えられる。でも、これではまだ小さいと思う。

 結局、ぼくにとってのiPhone 6 Plusは「らくらくiPhone」ではなく、表示面積が広がったiPhoneにすぎなかった。前回は、iPad miniが、iPadの縮小コピー的だったので落胆したが、今回はiPhone Plus がiPhoneの拡大コピーではなかったことに落胆した。そして、ここに、Appleのファブレットに対する考え方が象徴されているように思う。

大きな画面を望む理由

 男性ならポケットに入るギリギリのサイズということで、iPhone Plusの持ち歩きに、特に不満を感じることはないだろう。いつでもどこでも身につけるという点では、特に問題はない。もちろん、よりコンパクトな端末を求めるニーズもある。でも、世の中のトレンドは大きな画面だ。

 大きな画面を求める理由は2種類ある。少しでも大きなオブジェクトを表示してほしいニーズと、少しでも多くのオブジェクトを表示してほしいというニーズだ。だが、今回のiPhone Plusは前者のニーズに応えることができていない。これなら小さい方のiPhoneでよかったという声が巷にあふれているのは、このあたりにも原因があるのではなかろうか。読みやすさ、見やすさという点では同じだからだ。

 Android OSについても、端末ベンダーごとのコンセプトがあって、それによって、画面サイズが同じでも、スケーリングに影響する密度が端末ごとに異なる。Xperiaは拡大率が低く、GALAXYは拡大率が高いため、画面から受ける印象はまったく異なる。

 ただ、iPhoneの名誉のために書いておけば、Dynamic Typeに対応したアプリは、それなりに期待に応じた表示をしてくれるのだ。だが、個人的には、もっとも頻繁に使うアプリであるTwitterやFacebookが対応していないことが悲しい。対応しないならしないで、もっと大きなフォントで表示できるようにすればいいだけなのに、それもしてくれないのにはちょっとがっかりだ。

 iOS標準のアプリにしても、メールやカレンダー、マップなどの表示についてはとても満足だ。設定した文字サイズがストレートに反映され視認性が高い。ここはiOS、さすがだと思う。

 その一方で、ミュージックが音楽を再生中のロック画面などを見ると、再生中の曲名ははっきり分かるのに、その下に表示されるアーティスト名とアルバム名がグレーの文字で異常に小さく分かりにくい。iOSには文字を太くするという機能もあるのだが、この場面にも対応していない。聴いている音楽のアーティストをちょっと知りたいというときに不便を感じるのだ。

ファブレットによる没入を超えた世界

 ぼくが大きなスマートフォンに大きな画面を求めるのは、視力の低下もさることながら、文字を大きく表示して、多少画面から遠くで見ても、それなりに文字を読めることを望むからだ。それによって、スマートフォンを操作しているときにも、画面以外の空間の視野が確保できる。“歩きスマホ”は危険だが、電車の中で操作するような際にも、画面以外の部分で起こっていることが、なんとなくでも目に入ることは重要な要素だと思う。小さな文字を読むのには没入の意識が必要だ。そして、それは危険と隣り合わせでもある。

 今週は、Googleも新しいリードデバイスNexus 6を発表した。5.96型画面のいわゆるファブレットサイズだ。その密度がどんな感じなのかが気になるところだし、Android 5.0 Lollipopによる画面の変化も気になる。ホーム画面に並ぶアイコンが5列あるところを見ると、GALAXYよりも拡大率は低いのかもしれない。

 さらに、今回のNexus 6は、北米とその他の国用で、対応バンドが大きく異なる。よりによって北米版はLTEのバンド1に非対応であるなど、北米以外での利用には不便を感じそうなだけに、ここでも迷い中だ。

 今は、CAの対応に関して難しい時期でもあるだけに電波全部入りというのは、かなり難しく、かなわぬ願いということなのだろう。世界中どこでもつながる携帯電話というのは、いったいいつになったら手に入るようになるのだろうか。

(山田 祥平)