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Apple、4.7型の「iPhone 6」と5.5型の「iPhone 6 Plus」を発表

~発売は19日から。Apple Watchは2015年初頭に

iPhone 6。カラーはiPhone 5sと同様に各モデルがシルバー、ゴールド、スペースグレイの3色で展開する

 米Appleは、本社のあるカリフォルニア州クパチーノでSpecial Eventを開催、iPhoneシリーズの新製品となる「iPhone 6」、「iPhone 6 Plus」、そしてウェアラブルデバイスの「Apple Watch」を発表した。iPhone 6/6 Plusは9月12日から予約受付を行ない、19日から販売を開始する。Apple Watchは2015年初頭の出荷を予定している。

 iPhone 6は4.7型のスクリーンを採用。プロセッサはA8、コプロセッサもM8と向上した。性能はいずれも初代iPhone(国内未発売)比で、CPUが約50倍、GPUが約84倍と発表された。2013年のiPhone 5s発表時のA7では、それぞれ40倍、56倍と発表されているため、CPUで25%アップ、GPUで66%アップとなっている。

 iPhone 6は、本体サイズが67.0×138.1×6.9mm(幅×高さ×厚さ)で129g。iPhone 6 Plusは、77.8×158.1×7.1mmで172g(同)。

 ディスプレイに採用するのは同社が「Retina HDディスプレイ」と呼称する高精細パネル。4.7型のiPhone 6の場合は1,334×750ドットで326ppi。5.5型のiPhone 6 Plusでは1,920×1,080ドットで401ppiとなっている。iPhone 6で従来のiPhone 5sとほぼ同等、iPhone 6 Plusではより高精細なパネルを搭載している。

4.7型IPSパネルを搭載するiPhone 6(左)と、5.5型IPSパネルを搭載するiPhone 6 Plus
アイコンは、従来のiPhone 5/5sから縦方向に1段増えて、最大で6段へ。パネルサイズは異なるが、アイコンは横方向4個、縦方向に6段で同じ
iPhone 6。本体サイズは、67.0×138.1×6.9mm(同)で129g

 背面カメラは新設計の800万画素、裏面照射タイプのCMOSセンサーを採用する。F値は2.2。iPhone 6 Plusのみ光学式手ぶれ補正機能を搭載する。ビデオ撮影機能では、スローモーション撮影機能として、240fpsのスーパースローモードを追加した。

 本体天面にはNFCも搭載し、「Apple Pay」と呼ぶ決済機能にも対応する。Apple Payの対応地域は発表時点で北米エリアのみ。American Express、MasterCard、VISAのクレジットカード大手との提携により、既存のクレジットカードを電子化してiPhone内に登録する仕組み。Touch IDと組み合わせることで、本人認証と同時に決済承認をコンタクトレスで行なう。セキュリティコードは動的に変更される。決済承認はTouch IDと関連しているためAppleのサーバーを経由するが、Appleでは決済の内容は保存しないとしている。iPhone盗難時はiCloudを使ったロック機能が使えるほか、Touch IDとの連動で決済を行なっているため不正使用の抑止効果もあるとしている。

 本体色はiPhone 5sの3色を継承。シルバー、ゴールド、スペースグレイの3色となる。ストレージ容量は、新たに最上位に128GBが加わったが、32GBモデルがなくなり、16GB/64GB/128GBの3モデル構成。

 国内価格も発表されている。Apple Storeでは9月19日からSIMロックのない製品を販売し、iPhone 6 16GB/64GB/128GBがそれぞれ、67,800円、79,800円、89,800円(いずれも税別)、iPhone 6 Plus 16GB/64GB/128GBがそれぞれ、79,800円、89,800円、99,800円(いずれも税別)となっている。日本国内向けに提供されるのは、モデルA1586とモデルA1524と予想され、対応するモバイル通信、LTEバンドなどは以下の通り。

  • CDMA EV-DO Rev.AおよびRev.B(800、1,700/2,100、1,900、2,100MHz)
  • UMTS/HSPA+/DC-HSDPA(850、900、1,700/2,100、1,900、2,100MHz)
  • TD-SCDMA 1,900(F)、2,000(A)MHz
  • GSM/EDGE(850、900、1,800、1,900MHz)
  • FDD-LTE(バンド1、2、3、4、5、7、8、13、17、18、19、20、25、26、28、29)
  • TD-LTE(バンド38、39、40、41)

 従来モデルに比べてLTEバンドを中心に幅広い対応となっているのが特徴。ワールドワイドではほかにVerizon向けやAT&T向けなどの米国特化モデルもあるが、日本、中国、欧州などの幅広い地域で、上記のモデルが提供される見通し。モバイル通信キャリアによっては、キャリアアグリゲーションやWi-Fi通話、VoLTEにも対応するが、国内キャリアでの対応状況はキャリアの発表を待つ必要がある。Wi-Fiは新たにIEEE 802.11acに対応した。純正アクセサリとして、シリコンケースなども同時に販売が開始される。

 次期iOSとなるiOS 8は、iPhone 6/6 Plusに先行して9月17日から提供を開始。対応するデバイスはWWDCでの発表どおり、iPhoneは4S以降、iPadはiPad 2以降、iPod Touchは第5世代以降となる。

iOS 8は、iPhone 6/6 Plusの販売開始より2日先行して、既存のiOSデバイス向けに提供される

ウェアラブルデバイスは「Apple Watch」。iPhoneのコンパニオンデバイス

 Apple Watchは、新たなカテゴリとして発表するウェアラブルデバイス。名称のとおり、リストバンドタイプ。発表ではAppleロゴに続いてWatchが続く表記になっているが、本稿では便宜上Apple Watchと表記する。

ウェアラブルデバイスとして発表されたApple Watch。本体外装の素材や仕上げの違いで3モデル、ベルトは交換可能

 スタンダードモデル「Apple Watch」に加えて、スポーツモデル「Apple Watch Sport」、18金の外装を用いる「Apple Watch Edition」の3モデルを用意。価格はスタンダードモデルが349ドルからと発表されているが、ほかのモデルおよび国内における価格は現時点では未確認。発売時期は2015年初旬とのみ発表されている。

 スタンダードモデルはステンレススチールでサファイアガラスを採用。スポーツモデルは、酸化皮膜処理のアルミニウム、Ion-Xガラス、Editionモデルは、イエローゴールド、ローズゴールドの18金、サファイアガラスを採用する。

 仕様面では未公開な部分も多く、本体サイズや重量、バッテリ駆動時間などは現時点で未発表。大きさは2種類あり、縦方向38mmの小型と42mmの大型が用意される。それぞれ女性用、男性用が想定されている模様。バンドは現時点で6種類から選択できる模様だ。基本的にはiPhoneのコンパニオンデバイスとして同時に使うことが想定されている。プロセッサはS1、心拍センサーはじめとする活動量計向けにTAPTIC ENGINEと呼ばれる専用のASICも搭載される模様。いずれも詳細は未公表。

 充電は非接触充電を採用。磁力により、背面に充電アダプタを密着させて充電を行なう。前述のとおり、連続稼働時間や充電に要する時間は明らかになっていない。

 本体裏面には心拍センサーを搭載。常時身につけるアイテムとして運動量などを計測する。計測したデータは、iOS 8のHealthアプリと連動。モチベーションアップに繋げる狙いがあるという。

Apple Watchのインターフェイス。個々のアイコンのタッチで各アプリケーションが起動する。中央に時計が来る仕組み
iPhone 6とApple Watch。コンパニオンデバイスとして、iPhoneのGPSデータなどをApple Watch側でも利用する

 同社は製品カテゴリにおけるインターフェイスの最適化を謳っており、Macintoshで採用したマウス、初代iPodで採用したホイール、iPhoneで採用したタッチに続いて、Apple Watchではリュウズによる操作を強調した。パネル面はタッチ操作にも対応しているが、ピンチインやピンチアウトあるいはスワイプといった操作ではなく、リュウズを回転させてのズームインやズームアウト、スクロールなどに対応する。

 アプリケーションはApp Storeを通じて提供する。Xcodeの拡張で開発者向けの開発環境を整備する。こうしたエコシステムはiOSと同様のアプローチが採られる。NFCによる決済機能はApple Watchでも対応するとしている。

 個々の製品の詳細、およびApple Payのサービス概要は追って詳報をお届けする。

(矢作 晃)