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iPhoneが好調な一方で出足が不調なiPad

iPad Air 2

 アップルが10月24日に発売した新iPadの出足が鈍い。

 全国の量販店22社のPOSデータを集計しているBCNの調べによると、発売後2日間の初代iPadの販売実績を100とした場合、「iPad Air 2」の10月24日、25日の2日間の販売実績は「32」と約3分の1の販売数量に留まり、「iPad mini 3」は、わずか「6」に留まった。

 なお、集計の中には、アップルストアやキャリアの直営店などは含まれていない。

 iPad Air2の販売実績は、4代目のiPad発売時の「22」に次いで、過去2番目に低い販売実績。ただこの時には第3世代iPadの3月発売から、8カ月後の11月に発売になったという短い製品サイクルが影響していた。1年ぶりの新製品サイクルの中では過去最低となる。

 また、iPad mini 3の販売実績は、第2世代のiPad miniの発売時の「14」を下回る実績となった。

 iPad Air 2は、本体の厚さは従来製品よりも18%薄い6.1mmに、重量も469gから437g(Wi-Fiモデル)に軽量化。CPUにはA8Xを搭載し、約4割性能を高めたことなどが特徴だ。

 iPad Air 2の出足の鈍さの1つの理由と見られているのが、既存の「iPad Air」が併売されている点。16GB版では42,800円となっており、iPad Air 2の53,800円よりも割安感が際立った点が見逃せない。実際、iPad Airは、iPad Air 2発売後も安定した売れ行きをみせている。

 一方、iPad mini 3は、CPUはそのままに、新たに指紋センサーであるTouch IDを搭載した進化。そうした点で、ここでも従来モデルである「iPad mini 2」の割安感が強調された感は否めない。実際、iPad mini 3の16GB版が42,800円に対して、iPad mini 2は31,800円。さらに併売されている「iPad mini」では26,800円と、割安感がさらに強まった。このあたりの併売体制が、新製品の売れ行きに影響していると言える。

iPad mini 3

 さらに、9月19日に発売された「iPhone 6」および「iPhone 6 Plus」の影響も見逃せないだろう。

 本誌でも既報通り、iPhone 6およびiPhone 6 Plusの発売1週間の販売実績は、過去の製品を大きく上回る実績で推移。BCNの調べでは、iPhone 5sおよびiPhone 5cの販売実績を100とした場合、9月19日~24日の販売指数は152となり、1.5倍の販売数量に達している。

 iPhone 6およびiPhone 6 Plusの発売から1カ月後のiPadの新製品発売に、影響が出たとは言えないだろうか。

 とくに、iPhone 6 Plusでは、5.5型の大画面液晶ディスプレイを搭載。また、iPhone 6でも4.7型の液晶ディスプレイを搭載。7.9型のディスプレイを搭載するiPad mini 3とのサイズ差に縮まり、2台持ちの場合のバランス感が崩れたことが影響しているとも見られる。

 ただ、iPadの場合、長期間に渡って安定的な販売実績を誇るのも特徴。出足の鈍さはあるものの、今後、iPad Air 2やiPad mini 3の特徴が浸透するのに従って、販売数量が増加する可能性もあるだろう。

(大河原 克行)