山田祥平のRe:config.sys

全部入りケータイまで、本当にあと少し

 スマートフォンを買い替えた。Samsungの「GALAXY Note 3」」だ。すべてにおいて満足しているわけではないが、とりあえず、この秋冬モデルを見る限り、自分自身の要求をかなりの部分で満たしているように思った製品だ。まだ、使い始めて10時間ほどしかたっていないが、そのインプレッションを記しておきたい。

足りないものはほんの少し

 せっかくの新端末だが、先に何が足りないのかを明確にしておくと、Bluetoothテザリングができないのと、ストラップホールがないことである。それだけだ。先日のドコモの発表会で確認したところ、ソニーの「Xperia」はBluetoothテザリングをサポートしていたので、キャリアがウンと言わないわけでもなさそうだ。ソニーはアップデートでBluetoothテザリングをサポートしてもいるので、これはぜひ、Samsungにも後日何とかしてほしいと思う。懸念は、SIMロック解除後に海外の現地SIMを装着した際に、テザリングができるかどうかだ。こればかりは実際に試してみなければわからない。今月末に、海外出張を予定しているので、そのときに判明するはずだ。

 GALAXY Note 3は、バッテリも交換できるし、伝言メモの機能もある。実際に、自分のものとして購入する前に、IFAでも触っていたし、ソウルで開催されたイベント「GALAXY Note 3 + Gear WORLDTOUR 2013」でも体験していた。日本モデルについては、au版ではあったが発売前に1週間ほど貸し出しを受けて宅内で試させてももらった。その上で購入することにしたわけだ。

 今回は、メインに使っているドコモの回線を機種変更ということで入手した。この回線、すでに19年以上維持しているのだが、それによるメリットは何もない。MNPの優遇のことを思うと、回線維持しているのがばからしくなる。いや、腹立たしいほどだ。

 これまで使っていたのはGALAXY S3で、今月は月々サポートが19回目となっていた。1,900円/月が、あと5回残っているわけだが、これはあきらめるしかない。

 今回、Note 3を選んだのは、5.7型と、とにかくスクリーンが大きいことだ。さらにGALAXYシリーズは、スクリーン下部にホームボタンが物理ボタンとして存在し、その右側に「戻る」、左側に「メニュー」が、センサー方式のボタンとしてある。だから、その分、わずかではあるがスクリーンを縦方向に広く使える。

 それでいて、ポケットに入らないわけではない。片手での操作もなんとかなる。このちょうど良さがいい。スマートフォンはコンパクトなものを選び、別に7型タブレットを持つというのもありだが、今回は、大きなスクリーンを試してみようと思った。その組み合わせとして、10型タブレットというフォームファクタの可能性を自分で体感してみたかったのだ。最終的には、10型タブレットよりも2-in-1 Windows PCという結果になるのかもしれない。大げさなようだが、今後のマルチデバイスの方向性を探っていくには、ちょうどいいタイミングだし、それには最適な端末だと思っている。

おサイフケータイの設定いろいろ

 予約確認メールで指定された午前10時ちょっと前に量販店に到着したところ、その場で手続きをはじめてくれた。各種の説明を受け、実機を確認するだけだ。お勧めオプションとして有料サービスに加入すると、ある程度の値引きがあるという。すぐに解約してかまわないというので、それらのサービスの加入を承諾した。

 一番乗りだったようで、40分後に受け取れるという。そして、その案内通り、ちょっと時間をつぶした40分後には実機を受け取ることができた。受け取ったその足で、ドコモショップに向かい、SIMロック解除をお願いするとともに、量販店にはまだ在庫がなかった予備バッテリをドコモポイントを使って入手した。また、その場で、さっき加入したばかりの各種サービスの解除をお願いした。一瞬で完了した。ただし、NOTTVだけは、いったん利用してからの解約となるとのことで、自宅にもどってから自分で解約した。それにしても、これでは知識を持たない人が、解約が億劫で放置することを期待しているようで、ちょっと切なくなる。

 今まで使っていたおサイフケータイに関しては、ターミナル駅まででかけるときに使うモバイルSuica以外、前夜にすべて解除しておいた。モバイルSuicaは、機種変更で今まで使っていた端末に装着されていたSIMを抜く直前に、その場で解除した。

 窓口を離れたあと、ドコモショップのイスに腰掛けて、各種の設定を始めた。とにかくまずは、動作確認のためにショップ側でいろいろと設定をスキップしてしまった端末を、いったんリセットして工場出荷状態に戻し、最初から設定を始める。Googleアカウントを追加し、持参していたWiMAXルーターにつないだとたん、大量のアプリが落ちてくる。途中、何度かエラーで止まったものの、200個近いアプリがダウンロードされてインストールが完了した。これがわかっていたのでLTEではセットアップする気になれなかった。

 このあたりは、日常的に評価機を使ったりする中で、何度もやっている作業なので手慣れたものだ。

 アプリのダウンロードを待ちながら、とにかく電車に乗らなければならないのでモバイルSuicaを設定する。これは、前夜にサービス側に預けたものを再設定して取り戻すだけだ。手数料はかからない。

 買い物のためにはEdyも必要だ。こちらは預けるのに105円かかるシステムだ。ただし、預ける前にオートチャージの設定をいったん解除してかなければならない。これも無事に書き戻してオートチャージも再設定できた。

 困ったのはANAのアプリだ。ANAアプリからEdyやスキップサービスとの関連づけをするのだが、そのときにブラウザが開く。ブラウザは標準アプリとChromeがあるが、ぼくのデフォルトブラウザはChromeだ。それで設定ページが開かれると、標準ブラウザで開くように警告が表示される。仕方がないので、いったんデフォルトブラウザを標準ブラウザに戻して試みるも結果は同じで、標準ブラウザを標準ブラウザとして認識してくれない。

 何度やってもおかしいので、帰宅後にドコモのインフォメーションである151に電話して尋ねてみたところ、個々のアプリの操作については、各サービスの事業者に問い合わせてほしいという。

 ANAのサービスなので、ANAのインフォメーションに電話したところ、回答が出てくるまで多少時間はかかったが、これはANA側サービスの問題であることが判明した。明日対応することになっているので、明日、もう一度設定を試みてほしいという。

 製品が発売されるまでに、ドコモは何度もテストをしているはずで、このサービスがうまく対応していないことはわかっていたはずだ。なのにドコモから案内ができないというのはどうかと思う。これでは、何のためにキャリアが販売しているのかわからない。

端末を自分色に染めていく

 TwitterやFacebookといったSMS、OneNoteやGoogle Keepなど、常用するアプリが使えるようにし、辞書や日本語変換などをいつものように設定する。メールや予定表も同様だ。サッと設定するだけで、すべてが勝手にクラウドから落ちてくる。自分がやるのは待つことだけだ。今回は、購入後、都内を移動しながらのセットアップなので、それなりに時間がかかってしまったが、自宅のLAN内にいれば小1時間ですべての環境が整っただろう。

 デフォルトの壁紙を自分の好きなものに交換し、デフォルトのウィジェットを片っ端から削除。何をどう使うかはあとで考えることにする。

 そんなわけで、インタビュー取材の仕事などをはさみながらも、夕方自宅に戻るころには、ほぼ自分専用の端末として生まれ変わっていた。電車にも乗れたし、Edyで買い物もできた。

 着信、通知、アラームという3種類のサウンドについては、どうにも好みにあったものがビルトインサウンドの中にない。こんなので着信に気がつくはずがない、こんな音で目覚めるはずがないといったものばかりなので、ここは1つ、秘蔵のサウンドをAirdroidを使ってPCから転送し、前の機種で使っていたのと同じ音が鳴るように設定した。

 今日は、購入後、ずっと外出していたので、念のためにモバイルバッテリを持参し、ある程度の継ぎ足し充電をした。追加で購入したバッテリの状態も期待できないからだ。そして、この原稿を書いている今、添付のバッテリは満充電となり、いったんシステムを落として、バッテリを入れ替えて充電中だ。シャットダウンがアッという間というのが小気味いい。起動にはそれなりの時間がかかるが、シャットダウンが速ければバッテリを交換する際にも効率がいい。

ハイエンドは長く使えるから初心者にも最適

 とりあえず、半日使ってみて出ている問題といえば、先のANAアプリの件と、常用しているメールアプリで設定はちゃんとしているにもかかわらず新着通知が通知バーに表示されないことくらいだ。これは、au機でも同様の症状を確認している。アプリが悪いのか、端末側のせいなのかはわからないが、そのうち何らかの方法で対処されるだろうと高をくくっている。

 追加で購入したいものとしては、予備バッテリを単体で充電できる充電器、そして、本体をワンタッチで装着できるクレードルっぽい充電器だ。ソウルに行ったときから買う気満々だったので、現地で購入してしまおうと思っていたのだが、残念ながら発売はまだで、入手しそこなってしまっている。

 ちなみに、この端末の下部にはUSB 3.0用のMicro Bコネクタ用の端子が装備されている。一般的な3.0端子と同様に、Micro USB端子は2.0と下位互換性があるので、普通のMicroUSBコネクタを装着できるので問題はない。むき出しの端子なので、装着のわずらわしさも、それほどないのだが、やっぱり、クレードルは欲しい。

 この端末の前に使っていたGALAXY S3は、買った当初は、何て速いんだと思って使っていたのだが、最近になってからは、別の最新機種を使う機会も少なくなく、どうしても処理性能を比べてしまうようになり、遅いと感じるようになってしまっていた。日常的に使っているアプリはS3入手時とそんなに違わないはずなのに勝手なものだ。

 いずれにしても、とりあえずは、この端末を、2年近くは使うことになりそうだ。サイフにはやさしくないが、無理をしてもハイエンドの端末を選んでおけば、結果として長く使っても大きな不満は感じないでいられる。PCと同じだ。スマートフォン初心者であればあるほどハイエンド機を選んでほしいと思う。

 もっとも、このシーズンの新機種は、判を押したようにハードウェアスペックが似通っている。だからこそベンダーのインテグレードの違いがおもしろいし、それが端末選びの楽しさをいざなう。

 ぼくは、この世代まではバッテリの交換できる端末にしたかったので、選択肢はなかったが、そうでなければ、Xperiaなど、他の機種を選んでいたかもしれない。次に、メインの端末を買い替えるときは、もっとドキドキすることが起こっていてほしいものだ。

(山田 祥平)