山田祥平のRe:config.sys

Windows 7に始まり、Windows 7に終わる1年が暮れる




 Windows 7の一般向け発売から約2カ月。どうやらPC市場の年末商戦は好調のようで、ベンダー各社はホッと胸をなでおろしているのだろうか。できることは、Vistaと何も変わらないといわれることもあるWindows 7ではあるが、少しずつ、新たな機能を活用した提案が出てき始めている。

●人がいるいないを感知できれば何ができるのか

 Windows 7では、新たなAPIが追加され、Vistaまでは、実装するのがそれなりにたいへんだったことが、比較的容易にできるようになっている。うれしいことに、こうしたOSの新機能を利用したデバイスやソフトウェアが少しずつ登場しつつある。

 たとえば、アイ・オー・データ機器の人感センサー「SENSOR-HM/ECO」は、Windows 7のセンサーAPIに対応したデバイスだ。Windows 7では、センサーからの信号を受け取るための新たなAPIが提供されるようになったが、このデバイスは、センサーの前に人がいるのか、いないのかをレポートする。アプリケーションは、APIを使ってデバイスからの情報を受け取り、それによって、各種のふるまいをするのだが、この製品に添付されたサポートアプリケーションの場合は、省電力をアピールし、PCの前に人がいる場合はディスプレイの信号を切り、人が戻ってくるとディスプレイへの信号供給を再開する。ディスプレイは、信号の有無によって、自動的に待機モードに入るので、結果として、PCを使っていないときの消費電力を抑制することができるというわけだ。

 実際に試してみると、セッティングがとても難しい。うまく位置を決めるのに本当に苦労する。特に、今、使っている椅子は、頭の後ろの高さまで背もたれがあるので、正面からの感知は無理だ。かといって、側方からの感知もセンサーの設置位置を決めるのがなかなか大変だ。最初からアプリケーションを実行して設定しようとすると、位置決めの最中にディスプレイがオンになったり、オフになったりするので、余計に大変な思いをした。

 このデバイスを最初に使ってみる場合には、添付アプリケーションの他に、もう1つ添付されているSampleApp.exeを使うことをおすすめする。このSampleApp.exeを実行すると、ダイアログボックスが表示され、人がいるのか、いないのかだけを文字表示でレポートする。それだけの機能のシンプルなアプリケーションだ。それを見ながら設置位置を決め、位置を決定してから、本番アプリを実行すればいい。

 ここでおもしろいのは、Windows 7のセンサーAPIは、本番アプリとSampleAppの両方にレポートを提供することができる点だ。従来のようにUSB-シリアル変換などでCOMポートを使ってデータを受け取るデバイスでは、1つのアプリケーションがポートを独占してしまい、他のアプリケーションがそのポートをアクセスしようとすると使用中になってしまっていたが、センサーAPIではそれがない。

 また、このアイ・オー・データ機器のSampleApp.exeについては、ソースコードも添付されていて、プログラミングができるユーザーであれば、ソースを追加して、新たなアプリケーションを書くことができる。

 手元の環境ではOSの電源オプションで、10分無操作が続くとディスプレイの電源が切れるように設定しているが、実際にPCの前にいても、原稿に行き詰まったときなど、考え事をしながら10分が経過というのは、けっこうよくあることだ。そのときに、ディスプレイ表示が消えると、ちょっとイラッとする。でも、人の有無をセンスしてくれれば、その心配はない。ただ、居眠りしていても、人がいると判断されるというのはどうなのか…。

 そんなわけで、PCの前に人がいるときといないときで、どのようなことが起こればおもしろいのか。そして便利なのかを考えるのは楽しい。省電力はもっとも簡単に思いつくアプリケーションだが、それ以外にも創意と工夫で、いろいろな応用があるはずだ。有償、無償を問わず、このセンサーを使ったアプリケーションがたくさん出てきてほしいと思うし、アイ・オー・データ機器として、アイディアコンテスト等もやってみてはどうだろうか。

 ちなみに、この製品は、Windows 7のロゴプログラムを通過する世界で最初のセンサーAPI対応デバイスとなるのだそうだ。こうした新しいソリューションが、日本発で出てくるのはうれしいことだ。

●PCの位置を伝えるロケーションAPI

 Windows 7のセンサーAPIを司るのは、コントロールパネルの「位置センサーとその他のセンサー」だ。アイ・オー・データ機器のこの製品も、デバイスドライバを組み込んでデバイスを接続したあとで、このコントロールパネルアプレットで、有効にしておかないとアプリケーションからは利用できない。

 このアプレットで有効にできるセンサーとしては、Microsoftが米国で発売している「Streets & Trips with GPS Locator」という地図ソフトのパッケージに添付されているGPSアダプタがある。USBメモリのような形状をしたデバイスで、通常は、ドライバを組み込み、COMポート経由で地図ソフトから利用するようになっている。

 このデバイスは、Microsoftのロゴがついているものの、実際には、u-bloxというベンダーの製品だ。そして、u-bloxは、このデバイスのために、Windows 7のLocation "aware" APIに対応したドライバを提供している。ドライバの組み込み後、コントロールパネルで有効にしなければならないのは、アイ・オー・データ機器の製品と同様だが、組み込み後は、Windows 7に標準添付の天気予報ガジェットで、そのときのロケーションに応じた天気予報が表示されるようになる。

 地図ソフトの「Streets & Trips」は、この秋に発売された最新版パッケージの2010版であっても、Windows 7がサポートOSに含まれないレガシーなアプリケーションだが、u-bloxのドライバでは、デバイスに対して複数の仮想COMポートを割り当てることができ、地図ソフト、しかも複数の地図ソフト等のアプリケーションが同時にGPSからの情報を受け取ることができる。

●Virtual WiFiで無線LANの守備範囲を拡張する

 センサーAPI以外にも、Windows 7の新しい機能はある。たとえば、今週になって、正式版が公開されたフリーユーティリティの「Connectify」は、Windows 7で新たに提供されるようになったVirtual WiFiとSoftAP機能を利用し、1つのWi-Fi LANモジュールで複数のセッションを実現することができる。これによって、無線LANで別のアクセスポイントに接続しているPCに、新たなSSIDを割り当て、そこに別のPCから接続し、アクセスポイントやルータとして利用したりすることができるというものだ。

 これまでは、数泊の出張となると、複数のPCをホテルの部屋で使うために必ず小型のルータを持参していたのだが、こうしたソフトを使うようにすれば、その必要がなくなるのはうれしい。

 本来なら、Windows 7が小さなユーティリティを添付し、これらの機能を最初から使えるようにすることだってできたはずだが、Windows 7は、あえて、それをやらなかった。その理由は、サードパーティ各社に、ビジネスチャンスを提供するためだとも言われている。何から何までOSにひっくるめるのではなく、ある部分はWindows Liveサービスにまかせ、ある部分はパートナー各社にまかせることで、Windwosを取り巻くエコシステムを再活性化するというのが、Microsoftのもくろみだ。


 今年は、Windows 7に始まり、Windows 7に終わる、あわただしい年だったが、早いものでもう残りわずかとなってしまった。1年間ご愛読ありがとうございました。来年も、引き続きよろしくお願いいたします。それではメリークリスマス & ハッピーニューイヤー。よいお年をお迎えください。

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