山田祥平のRe:config.sys

100円でも50,000円でも、いいものはいい




 自分でいうのもなんだが、ぼくはかなりの100均依存症だと思う。普段使いのものの多くを100均で調達、気に入ったものは、ディスコンに備えてそれなりの数量を確保していたりもする。かと思えば、普通、買うかというくらいに高いものを使っていたりもする。どちらも大事。どちらもお気に入りなのだ。

●定番商品が消えたら怖い

 10個程度を常備するくらいに気に入って重宝している100均グッズは、ダイソーが扱っている「羊革カメラケース(大)」で、これは、普段「iPod touch」とイヤフォンを入れた状態で、ベルト通しのマジックテープをパンツ側のベルト通しに固定している。腰のベルトに通さないのは、ベルトをゆるめたときに、スルッと落下してしまう可能性があるからだ。

 今は、iPod touchを入れているが、かつては、東芝の「Gigabeat」やNECの「VoTol」など、そのときそのときで収納して持ち歩くデバイスは変わってきた。でも、どれを入れても、かなり使い勝手がよく手放せないケースとなっている。

 一時期、この商品が、東京中のダイソーから消えてしまったことがあった。かなりの店舗を回ったつもりだが、すべてで品切れを起こしているのだ。そのときは、ちょっと不安になって、関西出張の際に、いくつめかの店舗で見つけ、棚の在庫を全部買い占めてしまった。さすがに半年も使うとボロボロになってしまうのだが、そのときに同じものに交換できないと気分が悪い。

 今は、東京のダイソーにも、ちゃんと豊富に在庫しているようなので、まあ、定番商品といっていいだろう。さすがに端切れを利用したパッチワークだが本革だし、容易に手になじむ使いやすい一品だ。

●超高級イヤフォンはやはり期待を裏切らない

 このカメラケースにiPodといっしょに無造作につっこんであるのが、最近ロジクール扱いになったUltimate Earsのイヤフォン「TripleFi 10」だ。ロジクールストアの直販価格は49,800円と、はっきりいって、iPod touchよりも高い。100円のケースに入れるのは恐れ多いくらいだ。

 このイヤフォンを使うまでは、ETYMOTIC RESEARCHの「ER-4S」というイヤフォンを使っていた。これも20,000円強を投資したイヤフォンだ。ケーブルが固く絡まりにくいのがぼくにはうれしかった。

 今時のイヤフォンのしなやかなケーブルは、ぼくの不器用さにかかると、電車に乗って腰のケースから取り出し、絡まりをほどいているうちに目的の駅に着いてしまうので、ER-4Sの絡まらない固さのケーブルは秀逸に感じた。また、キノコ型のイヤーチップは、どんな耳の穴の形でもスッポリと奥まで入り、遮音性も高い。地下鉄や飛行機の騒音の中でも落ち着いて音楽が聴けるのがうれしい。音も、華奢な感じが好きで、お気に入りの一品として、これからも愛用することになるだろう。ただし、ケーブルの固さと、耳穴への密着性が、ケーブルへのタッチノイズを発生しやすく、動きながらの再生はちょっと難しいのが残念だ。

 それに対して、「TripleFi 10」は、最初、パッケージを開封して鳴らしてみて驚いた。音になっていないくらいにひどいのだ。愕然としたが、ここはエージングが必要と、iPodに接続して丸3日間、音楽を鳴らし続けた。もうそろそろいいだろうと耳に装着して、もういちど驚いた。たぶん、ぼくが今まで聴いたイヤフォンの中でも、最高ランクに近い音が出ている。

 このイヤフォンには大中小、3つのサイズのシリコン製のイヤーチップが付属するが、どのサイズもぼくの耳穴の形状では装着感がよくない。それとは別にポリウレタンフォームチップも付属し、それがもっとも耳に合うのだが、それだと閉塞感が気になってしまう。まあ、今はだましだまし、デフォルトのシリコンイヤーチップで使っているが、そのうち慣れるだろうと高をくくっている。この手のカナル型イヤフォンは、耳に入れたときの位置や耳壁への密着度によって、低域の再生がまるっきり違うので、根気よくポジションを探す必要がある。まあ、そういうことも楽しみのひとつだということだ。

●100均スピーカーがんばる

 移動時にはイヤフォンを使うが、出張先のホテルの部屋などでは、イヤフォンをつけているのはつらい。そこでスピーカーを使う。最近試した製品ではバッファローコクヨサプライのサイコロ型ミニスピーカー「OTOKORO」がおもしろい。

 そのネーミングから想像できるように、サイコロ型のアクティブスピーカーで、iPodのドックコネクタを装備する。14gしかないにもかかわらず、ちゃんとアンプを内蔵し、けっこうな音量で再生ができる。ボリューム調整も可能だ。ただしモノラルであることが気になるかもしれないし、サイコロというデザインに、多少親父くささを感じるかもしれない。また、再生中はドックコネクタを占有するので充電ができないという難点もある。

 iPod touchにもスピーカーはあり、ベッドに寝転がって耳元で聴く程度なら十分なのだが、この手のスピーカーを出張カバンに忍び込ませておけば、出張先でも多少はリッチな音が楽しめる。

 「OTOKORO」は2,660円と、それなりの投資が必要だが、100均でも各種のスピーカーが入手できる。

 最近、キューキューイチバという100均で見つけて買ったのは「耳もとスピーカーミニ ジョイントタイプ」という製品だ。球形のスピーカーからケーブルが生えた形状で、iPodとはミニプラグで接続する。本体にはミニジャックが装備され、そこにもう1台の本体を接続するとステレオスピーカーになる。つまり、同じものを2個買って200円投資すればステレオスピーカーが手に入るというわけだ。能率が低く大音量ハイファイ再生とはいかないが、イヤフォン同様に3日ほどエージングしたら、それなりに納得できる音が出るようになった。ただ、「Let'snote R7」に接続したら、かえって音が小さくなってしまう。でも、置き場所を選べば、その素材とうまく共鳴して音が変わる。これはこれでおもしろい商品だと思う。

 そのほか、今後ローソンストア100に移行していくSHOP 99もお気に入りの100均ショップだ。ここは、PCや携帯電話関連のグッズがもっとも充実した100均チェーンだと思う。たとえば、各種キャリアに対応した携帯電話のUSB充電ケーブルは、短くコンパクトなので、ぼくは、携帯する可能性のあるすべてのカバンに入れてある。冬の間はコートのポケットにも入れていたが実に重宝した。USBミニBの充電ケーブルなどもあり、そこに装着するiPod用、PSP用といったアタッチメントなども揃っている。チェーンの名前が変わったとしても、こうした品揃えは続けてほしいものだ。

●デジタルライフをより豊かにするために

 人それぞれ、価値観はまちまちだ。イヤフォンなんて製品付属のもので十分だと思うユーザーも少なくないだろう。ケースにこそこだわりたいと、本体より高価なケースに入れてデバイスを持ち歩くユーザーもいるかもしれない。

 未曾有の不況といわれている昨今だが、安いものにもいいものはあるし、高いものは選択を間違えない限り、やはり価格相応の恩恵を得られる。

 デジタルライフの充実はPCというインテリジェントなデバイスをハブに、その周辺デバイスが多くのシーンを支える。今年はWindows 7の登場で、つながる楽しみがクローズアップされ、そのつながりを、各種のグッズがさらに支える。いろいろな要素が相互に作用しておもしろく楽しいデジタルライフが創出されるのだ。