.biz

PC Watch .bizでは、法人向けの製品やサービスを取り上げます。

エプソン、新プリントヘッドで印字速度を向上させたビジネスインクジェット

~A3/A4対応のプリンタと複合機を計8製品

新製品のラインナップ
3月6日より順次発売

価格:オープンプライス

 エプソンは27日、ノズルを高密度化することで印字速度を高速化したビジネスインクジェットプリンタ/複合機「PX」シリーズ計8製品を発表。3月6日より順次発売する。価格は全てオープンプライス。

 新製品はA3対応複合機が2製品、A3対応プリンタが1製品、A4対応複合機が3製品、A4対応プリンタが2製品。全ての製品を同じコンセプトで開発されたといい、生産性向上、使い勝手の向上、FAX機能の強化/拡充の3点を主に訴求している。

 なお、従来モデルのうち、A3対応複合機の「PX-1700F」、同プリンタの「PX-1004」は継続。A3対応機は5製品のラインナップへ。A4対応機は複合機の「PX-B750F」、「PX-535F」、「PX-505F」、「PX-504F」、同プリンタの「PX-B700」、「PX-105」が継続となり、A4対応機のラインナップは11製品となる。

エプソン販売株式会社取締役 販売推進本部長の中野修義氏
セイコーエプソン株式会社BIJ推進プロジェクト部長の和田高一氏
エプソン販売株式会社 BP MD部 部長の鈴村文徳氏
A3対応ビジネスインクジェットのロードマップ
A4対応ビジネスインクジェットのロードマップ
今回発表された製品の訴求ポイント

 生産性の向上という点では、いずれも、2013年9月に発表された新開発の「PrecisionCore」(プレシジョンコア)を採用。薄膜ピエゾプリントヘッド技術の総称で、今回は4色顔料インクを用いた製品への採用となるが、コンシューマ向け製品などに使われる染料インクや、産業用途のUVインクまで適用可能とする。

 プリントヘッドの広幅化による1パスで印刷できる面積の拡大と、ノズルの高密度化による高解像度化を実現。具体的には、従来モデルが1インチヘッドで300dpiだったものを、1.33インチで600dpiとなり、1,200dpi相当の画質を2パスで印刷できるようになった。また高解像度化は、普通紙へ印刷したときのインクの浸透を減らすことにも繋がっている。

 また、従来は自然な色合いとなること重視した画像処理の仕上げになっていたが、普通紙に印刷したときにより鮮やかな見映えとなるビジネス文書向きの色合いへ処理を変更しているという。

 最上位モデルで15万ページとなるなど、耐久性も高められた。これは5年間で毎月2,500ページを印刷できる計算となる。エプソン販売株式会社取締役 販売推進本部長の中野修義氏は「これまで月間の印刷ボリュームは1,000~2,000枚程度を想定したが、今後は5,000枚程度を印刷するようなユーザーへビジネスインクジェットを拡大していく」と戦略を述べている。

 このほか、消耗品の交換頻度を下げられるように大容量またはLサイズのインクカートリッジをオプションで用意することや、要望が多かったというスタンダードクラス製品への手差し給紙対応などを生産性向上への改善点として挙げている。

 使い勝手の向上という点では、本体の操作パネルやUIを一新。複合機には2.7~4.3型のタッチパネル液晶を搭載し、ボタンを少なくすることで分かりやすくした。さらにプリンタ製品についても従来製品には無かった2.2型液晶を搭載し、インク残量などを確認できるようにしている。

 全製品が無線LAN機能を搭載。新たに「Wi-Fi Direct」をサポートした。AirPrint、「Epson Connect」による印刷も可能。スキャン機能も強化され、複合機内でPDFを作成し、共有フォルダやFTPサーバーへの転送、メール送信をスタンドアロンで行なえる。

 このほか、全機種がユーザーによるメンテナンスボックス交換に対応する。

 FAX機能の強化/拡充について、セイコーエプソン株式会社BIJ推進プロジェクト部長の和田高一氏は「FAX機能は、これまでお客様のご要望に十分お応えできていなかったことを反省している」と述べ、大幅な強化であることをアピールした。

 具体的には、1回線でFAXと電話を共用している場合の自動切り替え機能、送信前に液晶画面でプレビューを表示する「見てからファックス送信」、受信したデータを印刷前に液晶画面で表示する「見てからファックス印刷」、別のFAXやメールで転送を行なう機能を追加。さらに、10件のワンタッチダイヤル機能を備えたほか、短縮ダイヤル機能は従来機の60件から最大200件(モデルによって100件)へ強化。誤送信などの情報漏洩を防止するために情報通信ネットワーク産業界が制定した「FASEC」にも準拠する。

 このほかの変更点としては、複合機にユーザー/パスワードを登録して利用できる機能を制限できるようになった。例えばアルバイトは印刷のみを利用可能に設定する、情報漏洩を防ぐためにコピーの使用を一切禁止する、といった用途を想定。ユーザーは10件まで登録できる。

 また、ビジネスプリンタについても今回のモデル以降、全製品でカラーユニバーサルデザインを取り入れていくことを紹介。印刷についても色付け部分を網掛け印刷できるなどの機能を備えるカラーユニバーサル印刷対応ドライバを、製品発売と同時に提供するという。

 ビジネスプリンタの現状については、「コピー用紙の国内流通枚数を見ると、2010年以降に年率2%ずつ回復し、リーマンショック以前の水準に戻った」(中野氏)と市場動向を紹介。同社のビジネスインクジェットについても、2013年には120万台を超えており、「より安く使える、より安心して使える、より使いやすい」を特徴とする製品を提供していく姿勢を示した。

 当面のシェア目標は、ビジネスインクジェット機の50%以上、A3対応ビジネス複合機で65%以上という数字を提示。直近の数字ではそれぞれ48%、63~64%という。

A3対応機「PX-M5041F」、「PX-M5040F」、「PX-S5040」

A3対応機の概要

 A3対応の「PX-M5041F」、「PX-M5040F」、「PX-S5040」は全て3月20日発売。直販価格はそれぞれ59,980円、49,980円、34,980円(いずれも税別)。

 PX-M5041F/M5040Fは複合機で、前者は2段トレイ、後者が1段トレイのモデル。プリンタ部の仕様は、解像度が最大4,860×2,400dpi、A4印刷速度がカラー片面約10ipm/両面約6ipm、モノクロ片面約18ipm/両面約8.7ipm。対応用紙サイズはA6~A3ノビ、レター、リーガル、L判/2L判、KG/ハイビジョン、四切/六切、はがき、封筒など。自動両面印刷にも対応。給紙枚数はM5041Fがトレイ250枚×2+手差し1枚、M5040Fがトレイ250枚+手差し1枚。

 スキャナ解像度は最大9,600dpi。ADFの対応用紙はA5~A3/リーガル/レターで、自動両面読み取りにも対応。FAXはSuper G3対応。

 インターフェイスはEthernet、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、USB、USB(ホスト)、SDカード/メモリースティックスロット。操作パネルには4.3型タッチ液晶を搭載する。

 本体サイズ/重量は、M5041Fが567×817×418mm(幅×奥行き×高さ/使用時)/約21.8kg、M5040Fが567×817×340mm(同)/約18.6kg。耐久性はいずれも8万ページ。

「PX-M5041F」
「PX-M5040F」
PX-M5041F/M5040Fの操作パネル(写真はM5041F)
PX-M5041F/M5040Fのホストインターフェイス(写真はM5041F)

 「PX-S5040」はプリンタ単体製品。解像度は最大4,800×2,400dpi、A4印刷速度はカラー片面約10ipm/両面約6ipm、モノクロ片面約18ipm/両面約6ipm。対応用紙はA6~A3ノビ、レター、リーガル、L判/2L判、KG/ハイビジョン、四切/六切、はがき、封筒など。給紙枚数はトレイ250枚×2+手差し1枚。自動両面印刷にも対応。

 インターフェイスはEthernet、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、USB。操作パネルには2.2型液晶を搭載する。

 本体サイズは567×807×323mm(同)、重量は約15kg。

「PX-S5040」
PX-S5040の操作パネル

A4対応上位モデル「PX-M840F」、「PX-S840」

PX-M840F/S840の概要

 A4対応複合機「PX-M840F」と、同プリンタ「PX-S840」は、いずれも3月6日発売。直販価格はそれぞれ49,980円、29,980円(いずれも税別)。

 A4印刷速度がカラーモノクロともに片面約20ipm/両面約11ipm、耐久性は15万ページと、いずれも同社のビジネスインクジェットプリンタで最高仕様を持つ製品。

 PX-M840Fのプリンタ部の仕様は、解像度が最大4,860×2,400dpi、対応用紙サイズがB5~A4、レター、リーガル、L判/2L判、KG/ハイビジョン、四切/六切、はがき、封筒など。自動両面印刷にも対応。給紙枚数はトレイ250枚+手差し80枚。250枚給紙可能なトレイをオプションで1段追加できる。

 スキャナ解像度は最大9,600dpi。ADFの対応用紙はA5~A4/リーガル/レターで、自動両面読み取りにも対応。FAXはSuper G3対応。

 インターフェイスはGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、USB、USB(ホスト)。操作パネルには3.5型タッチ液晶を搭載する。

 本体サイズは、461×655×383mm(同)、重量は約14.7kg。

 PX-S840はプリンタ単体製品で、仕様はPX-M840FのスキャナとFAX機能を備えない以外ほぼ共通。インターフェイスはGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、USBのみで、USBホストを備えない。また、操作パネルは2.2型の非タッチ液晶となる。

 本体サイズは461×655×383mm(同)、重量は約11.7kg。

「PX-M840F」
PX-M840Fの操作パネル
PX-M840FのUSBホストインターフェイス
「PX-S840」
PX-S840の操作パネル

A4対応スタンダードモデル「PX-M741F」、「PX-M740F」、「PX-S740」

PX-M741/M740F/S740の概要

 A4対応機のスタンダードクラス製品となる複合機「PX-M741F」、「PX-M740F」と、同プリンタ「PX-S740」は、いずれも4月10日発売。直販価格はそれぞれ39,980円、29,980円、16,980円(いずれも税別)。

 PX-M741F/M740Fの、PX-M840Fとの大きな違いは、A4印刷速度がカラー片面約10ipm/両面約6.3ipm、モノクロ片面約19ipm/両面約9.2ipmになる点、耐久性が8万ページになる点、手差しトレイが1枚対応になる点。

 そのほかの仕様はほぼ共通。PX-M741Fは250枚給紙のトレイを2段、3.5型タッチ液晶付き操作パネルを備える。本体サイズは449×563×308mm(同)、重量は約11.6kg。PX-M740Fは250枚給紙のトレイを1段、操作パネルが2.7型タッチ液晶となる。本体サイズは449×560×243mm(同)、重量約9.8kg。

 プリンタ単体製品のPX-S740は、プリンタ部の仕様はPX-M740Fと同等で、250枚給紙のトレイを1段搭載。操作パネルは2.2型非タッチ液晶となる。本体サイズは449×553×188mm(同)、重量は約6.1kg。

「PX-M741F」
「PX-M740F」
PX-M741F/740Fの操作パネル(写真はM741F)
PX-M741F/740Fのホストインターフェイス(写真はM741F)
「PX-S740」
PX-S740の操作パネル

用紙

ビジネス普通紙

 また、デザイン分野など、普通紙よりも高品質な印刷を行ないたいユーザー向けに、インクジェット対応の普通用紙を発売する。A4、A3、A3ノビの3サイズの500枚入りが発売され、直販価格はそれぞれ610円、1,180円、3,300円(いずれも税別)。

 用紙は顔料専用というわけではなく、染料インクを用いたカラリオシリーズなどでも、一般のコピー用紙以上のクオリティで印刷が可能という。

(多和田 新也)