やじうまミニレビュー

あぐら族の筆者が買った「ソファチェア」、快適なのだが難関も……

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
サンワサプライ「150-SNC140GY」。今回チョイスしたグレーのほかにアイボリーもラインナップする。実売価格は2万9,800円

 腰によくないのは分かっていても、ついついチェアの上であぐらをかいてしまう。特にリラックスして長時間作業する場合、この姿勢でないとダメ──そんな「あぐら族」と呼ばれる人々は、全国に数十万人はくだらない……かどうかは定かではないが、そこそこの割合で存在していると見ていいだろう。かくいう筆者もその一人である。

 こうしたニッチな需要を見越してか、ここ数年で見かける機会が増えてきたのが、俗に「ソファチェア」と呼ばれる、あぐらをかいて座ることを前提にした、座面の幅を広めに設計したチェアだ。元は家具業界発の製品だが、ゲーミングチェアであぐらをかける幅広タイプが登場したり、またサンワサプライがそのものズバリの「あぐらチェア」なる製品を発売したりと、ラインナップが徐々に増え現在にいたっている。

 今回紹介するサンワサプライの製品は、こうしたソファチェアやあぐらチェアと呼ばれる座面が広いチェアをベースに、角度調節が可能なアームレストを搭載したユニークな製品だ。実機を購入したので、使ってみて感じた利点と欠点について紹介していく。

あぐらをかいても余裕の横幅。背もたれはやや低め

 俗にソファチェアやあぐらチェアと呼ばれる製品は、一般的なオフィスチェアよりも数cmは横幅の広い座面が大きな特徴だ。「ソファチェア」「あぐらチェア」で画像検索すると、縦横の比率を間違えたのではと思うような横幅の広いチェアが表示される。

 本製品もその1つで、座面の横幅は公称53cm、実測で(測り方にもよるが)60cm弱と広い。これだけ幅が広ければ、あぐらをかいても収まりは非常によい。一般的なオフィスチェアではどうにも窮屈で……という人にぴったりだ。あぐらまで行かなくとも、片足を立て膝にして座る癖がある人にも、向いた設計といっていいだろう。

 さらにソファチェアを名乗るだけあって肉厚は十分。座っていて内部のフレームの存在を感じるようなクッション性皆無のチェアとは一線を画している。

正面から見たところ。座面はもちろん背もたれの幅も広い
見るからに肉厚でソファチェアという名称にも納得だ
座面の幅は公称53cm、実測では60cm弱ある。一般的なチェアよりもかなり広い

 チェアとしての調節機能は、一般的な座面の高さ調節のほか、後方へのリクライニング機能も用意されている。リクライニングは座面ごと後方に倒れる仕組みで、背もたれだけが後ろに倒れる一般的なチェアに慣れた人は違和感があるかもしれないが、包み込まれる感覚は悪くない。ちなみに3段階のロック機構およびロッキングの強弱調整機能も備えている。

 一方、背もたれはハイバック仕様とされているが、座面から最上部までの高さは実測60cmとそれほどなく、身長180cm弱の筆者が座ると最上部に後頭部がわずかに当たるのみで、あぐらをかいた状態ではまったく当たらなくなる。

 ハイバックという表現に長さの定義はないので誤りではないのだが、一般的なオフィスチェアにおけるハイバックとはやや開きがある印象だ。独立したヘッドレスト部がないせいもあるが、個人的にはあと10cm、少なくとも5cmはあってほしい。身長170cm前後を境に、この背もたれに対する評価は大きく変わるのではないかと思う。

横から見たところ。ハイバックとされているが実際にはそれほど背は高くない
リクライニングは座面ごと傾く仕様で、人によって好みが分かれそうだ

外側に倒せる肘掛け、オットマンなど機能は多彩

 さてもう1つ、本製品で特徴的なのは、左右の肘掛けを外側に倒せることだ。それぞれの肘掛けは30cm程度の高さがあるので、それぞれを両側に倒すと、座面の約60cmと合わせて、横幅120cm程度がほぼ完全にフラットになる。

 通常の状態ではあぐらをかくと両膝が肘掛けに当たってしまうが、肘掛けを開くことによってそうした干渉とも無縁になる。足の上にノートPCやペンタブを置いて操作する場合も、位置が低くなるという別の問題はあるものの、この状態の方が安定するだろうし、あぐらをかいた状態でギターやキーボードなどの楽器を抱えるような場合は、圧迫感の解消に役立つだろう。

 重心は中央のままなので、2人掛けしたり、あるいは横に寝そべったりするのはさすがにNGだが、そのくらい余裕のある幅であることに変わりはない。余談だが製品ページでは隣に猫をはべらせている写真も掲載されている。気持ちは分からなくもない。

これは肘掛けを閉じた通常の状態
肘掛けを左右に開いたところ。角度の調整も0度~90度の間で可能
肘掛けを開いた状態では左右幅が約120cmにも達する

 さらに本製品は収納式のオットマンも付属している。底面から引き出してクッション部をくるっと一回転させるという、この手の製品にはおなじみの作りで、休憩時に足を乗せてリラックスできる。あぐらをかけるのが売りでありながら足を伸ばす機構を備えるのは矛盾している気もするが、あぐらをかくのは集中するとき、足を伸ばすのはリラックス時という位置付けなのだろう。多彩な使い方ができるという意味では悪くない。

収納式のオットマンを搭載。「手前に引き出す」「クッション部を回転させる」という2アクションで利用可能になる

価格相応の点もちらほら。組み立て難易度も高い

 と、ほかにないユニークな機能を備えたこの製品、あぐらをかく人にとっては実に快適で、筆者も購入以来気に入って使っているのだが、チェアとしてはかなり安価な実売3万円前後の製品ということもあり、価格相応の部分も多い。

 たとえば表面は、手で表面をサッと撫でると跡がつくスエード風の素材で、遠目で見ると高級感はあるが、実際にはかなりチープで、全体の縫製も丁寧とはいえない。この素材ゆえ熱もこもりがちで、夏場は長時間座っていると背中から腰回りにかけて汗をかくので、長時間の作業は不向きだ。

 また背もたれと座面の連結部など、ネジ留めされている箇所は見えないようカバーで覆われており、こうした配慮自体はプラス要因なのだが、底面や背もたれなどは木製であり、ロッキングのレバーなども含め、構造は実売1万円前後のチェアと大差ない。製品ページには「1日中快適に過ごせる」との記述があるが、間違っても10万円オーバーのワーキングチェアと比べられるレベルではない。

スエード風の素材は見た目はよいが、表面を手でサッと撫でると跡がつくほか、熱がこもるのもネックだ
背もたれと座面の連結部など、ネジで接合されている部分はカバーで隠されている

 さらにこの製品、公称22.3kgと重いことから1人で組み立てるのは至難の業で、取説にも「必ず大人2人以上で行なってください」との注意書きがある。こうした注意書きは実際の難易度と関係なく免責のために書かれている場合と、誇張なしで1人では無理な場合の2通りがあるが、本製品は紛れもなく後者で、筆者は補助なしで1人で組み上げたせいで、今回紹介している個体は座面と背もたれの中心線がずれてしまっている。

 おそらくもう一度分解して調整し直せば真っ直ぐになるはずで、これ自体は1人で強引に組んだ筆者の責任なのだが、本製品の取説は、無重力空間でなければ不可能なのでは?と思うような手順、具体的には底面を下から見上げながらボルトを約2mm浮かせたまま締める指示があったりと、過去にノックダウン式のチェアを数百台は組んできた筆者から見ても無茶振りが目立つ。

 価格がもう少し上がってもいいのでこれらの組みやすさが改善されれば、と思わなくもないのだが、とはいえ筆者自身、本製品について「この価格ならばハズレでも許容できる」という、価格ありきで購入したのは事実なので、組み立てやすさ重視で設計を見直して価格が5万円クラスに跳ね上がってしまうと、視界に入らなくなる可能性があるので難しい。

背後から見たところ。かなり傾いているのが分かる。実際に着座するとあまり違和感がないためそのままにしてあるが、同様にいびつな状態で組み上げてしまっているケースは少なからずあると考えられる

リラックスしたいがソファは置けない人向け

 以上ざっと見てきたが、あぐらという姿勢にこだわるユーザーにとっては、注目に値する製品といえる。俗にソファチェアやあぐらチェアと呼ばれる製品には肘掛けがない場合も多いが、着座時に100%あぐらをかくわけではない以上、肘掛けがあった方が使い方の幅が広がるのは明白で、それを備えつつ、さらに邪魔なときは左右に倒してフラットにできるのは実用的だ。

 ただ前傾姿勢では使いづらいことに加えて、もたれたときに後頭部が支えられない点や、長時間座っていると熱がこもるなどの問題から、終日座るためのチェアとしての運用は難しい。平日はせいぜい1時間や2時間、長時間座るとしても休日だけ、というのがせいぜいだろう。筆者自身、メインの作業机では別のワーキングチェアを使いつつ、本製品はあくまでサブ、作業の合間に休憩で座る用途で使っており、この範囲ならば快適だ。

 結論としては、あらゆる作業のパートナーとなりうるチェアを探している場合に選択肢に入ってくる製品ではなく、作業の合間にリラックスしたいが本格的なソファを置くのは難しく、また短時間ならば作業にも使えるチェアを探している場合に、候補となる製品だといえる。そのあたりの位置付けさえ間違えなければ、ハマる人にはハマる製品としておすすめできるというのが本稿の結論だ。