【ベスト5】

山田久美夫が選ぶ
デジタルカメラ・ランキング夏のボーナス番外編

'98年夏版 用途別とことんBEST5!

  • とことん気軽に持ち歩きたい!
  • とことんシャープに!
  • とことんコストパフォーマンス!
  • とことん省エネ!


    【とことん気軽に持ち歩きたい!】


    メーカー 機種  
    1 三洋電機 DSC-V100 CASIO QV-10A
    2 キヤノン PowerShot A5 PowerShot A5
    3 富士フイルム FinePix700 FinePix700
    4 リコー DC-4 DC-4
    5 カシオ QV-770 QV-770

     とにかく気軽に持ち歩きたい! これはカメラ選びにとってきわめて重要なポイントといえる。もちろん、この分野は、単純な携帯性の良さだけではなく、使いやすさや軽快さまでを含めた評価となっている。

     トップはやはり、瞬間記録の超高速軽快モデル「三洋 DSC-V100」。このモデルはサイズも小さくて携帯性がいい上、使用感も実に軽快。とにかく、従来機にあった“待たされ感”が全くといっていいほどない点は画期的だ。35万画素モデルなので、メモ的な用途やPC上での利用がメインになるが、画質も上々なので、A6版にプリントしてもまずまず実用になるレベルの写りを実現している点も高く評価できる。また、音声つきで5秒間の動画記録もできるので、ビジュアルメモとしても便利に使える。充電池と充電器付きということもあって、VGAモデルとしては若干価格が高めではあるが、使ってみると十分に納得できるだけの実力を備えたモデルといえる。

     No.2は、ジュラルミン外装のコンパクトカメラ風81万画素モデル「キヤノン PowerShot A5」。このモデルの魅力は、そのコンパクトさと携帯性の良さ。まず、81万画素クラスの中でもトップレベルの小ささを実現しており、ジュラルミンの外装もなかなか高級感がある。さらに、レンズが沈胴式で携帯時にボディ内に収納される点も安心だ。画質も81万画素クラスの中では文句ナシのトップレベル。若干色調が渋めな点は気になるが、むしろ見た目に近い色再現性ともいえる。また、本機は記録時間も約4秒と十分に高速。しかも実効感度が高く、カメラブレが意外なほど少なく、普通の夜景くらいならストロボなしで楽々撮影できる点も、常用機としては大きなメリットといえる。バッテリは高価な2CR5型だが、300枚程度は撮影できるので、ランニングコストはアルカリ電池とさほど変わらないレベルだ。

     No.3は、130~150万画素クラスでもっともコンパクトな「富士フイルム FinePix700」。さすがにここまでコンパクトになると、いつもバッグに入れておいても気にならないレベル。しかも、デザインも個性的でなかなか品があり、この点も常用機としては重要なポイントといえる。もちろん、写りの良さは折紙つきだ。だが、気軽に持ち歩くことを考えると、バッテリが特殊形状の充電式である点や起動時間が遅い点、実効感度が低めでややブレやすい点など、気になる部分もある。

     No.4は、130万画素3倍ズームクラスでもっともコンパクトな「リコー DC-4」。実際にこのクラスの高機能モデルで、しかも気軽に持ち歩ける機種となると、本機以外に見あたらないというのが正直なところ。もっとも、実効感度が低い点や液晶表示がノイズっぽい点なども気になるし、オートホワイトバランスの設定が独特で、意図しない色調になることもあり、決してパーフェクトな存在ではない。だが、デジタルカメラに対する知識が豊富な人で、本機の機能をきちんと理解し使いこなせるベテランには、なかなか魅力的な常用モデルといえるだろう。

     No.5は、液晶つきデジタルカメラの元祖QV-10直系モデル「カシオ QV-770」。このモデルは記録時間が1秒以下と高速でメモ用機としての軽快さを実現。さらに3.2秒までの簡易動画(音声なし)やパノラマ機能、カメラ内でのエフェクト機能など、デジタルならではの楽しさも兼ね備えたモデルといえる。もっとも、画質は35万画素クラスの中では標準的なレベルで、しかも、いまだに内蔵メモリー専用機という点が残念。しかし、実販価格も安いので、楽しめる機能を満載したメモ用機として割り切れば、結構気軽に常用できるモデルといえるだろう。



    【とことんシャープに!】


    メーカー 機種  
    1 オリンパス C-1400L C-1400L
    2 コダック DC260 Zoom DC260ZOOM
    3 ニコン COOLPIX900 COOLPIX900
    4 リコー DC-4 DC-4
    5 富士フイルム FinePix700 FinePix700
     このクラスは読んで字のごとく、解像度の高さで勝負! という世界だ。やはり、カメラにとって解像度の高さは大きな魅力。しかも、一度シャープな画像を見てしまうと、あとには戻れない世界がある。また、35万画素モデルからステップアップするときにも、解像度の高さは大いに気になるところ。もちろん、解像度は単純に総画素数の多さだけでは語れないし、逆転することだってあるので、このあたりの順位を参考に機種選びをして欲しい。また、注意したいのは、解像度が高いからといって、必ずしも高画質でバランスの取れた画質であるとは限らない点だ。このあたりがデジタルカメラの難しさであり、楽しさでもあるのだが……。

     トップは、今回のランキングの中では最古参となる「オリンパス C-1400L」。このモデルは現行のパーソナル機で唯一、2/3インチという大型CCDを採用しており、レンズも画質優先の大型3倍ズームを搭載した同社のフラッグシップモデル。実際、現行の最新機種と比較しても、その解像度の高さには目を見張るものがある。また、コントラストが高めな点も、写りをよりシャープに見せている。もっとも、明暗の再現域は意外なほど狭く、色再現性もクセがある上、カラーバランスもオートホワイトバランスのみと、このクラスのモデルとしては、機能面で物足りない部分もあるので、購入を検討する際には、そのあたりを十分考えて選びたい。

     No.2は、最新の160万画素モデル「コダック DC260 Zoom」。このモデルは、CCDサイズも1/2インチと大きく、画像サイズも1,536×1,024ピクセルと余裕のサイズ。実際には切れ味の良さという点から見ると、No.3のCOOOLPIX900に一歩譲る感じもあるが、同じサイズにプリントした際の解像度の高さという点では、若干勝る感じだ。さらに、トップのC-1400Lよりも階調の再現域が広く、どんなシーンでも十分にきれいで、見栄えのする写りが得られる点も大きな魅力。しかも、実効感度が高く、意外にカメラブレが少ない点もシャープ感のある写りに大きく貢献している。もっとも、望遠側で若干ピント精度が不足気味になるケースもあり、今回はNo.2とした。

     No.3は、写りに定評のある高画質モデル「ニコン COOLPIX900」。このモデルは補色系の1/2.7インチ130万画素モデルの中でもピカイチの切れ味の良さを誇っており、シャープな写りが得られる点が最大の魅力だ。もちろん、CCDだけを見れば、ほぼ同等のものを採用したモデルもあるわけだが、やはり写りはひと味違う。これは同社が誇る「NIKKOR」レンズの優秀さが大きく貢献しているようだ。もっとも、画像を詳細に見てゆくと、画像の輪郭部分に縦方向にノイズが入る欠点もある。これはパソコンのモニタ上で拡大表示すると意外に目立つが、プリントアウトしてみると、さほど気にならない点であり、このあたりをどう評価するかが、機種選びの大きなポイントといえる。

     No.4は、コンパクトな132万画素3倍ズーム機「リコー DC-4」。このモデルも1/2.7インチ132万画素CCD採用機だが、原色タイプのため、色再現性という点ではCOOLPIX900よりもよりピュアな再現性を実現している。また、コントラストが高めなこともあって“解像感”も十分に高いが、やはり有利な同サイズの補色系モデルと比べると、“解像度”の点ではごく僅差ながら及ばない感じもある。もっとも、同一シーンを実写し比較して、初めてわかるレベルと言えるが……。

     No.5は、人気モデル「富士フイルム FinePix700」とした。実際には同じCCDと光学系を採用した「FinePix500」と、他社モデルではあるが「東芝 アレグレットM1」もほぼ同等の解像度を備えている。もっとも、これらのモデルは、解像度は高いものの、ソフト的な輪郭強調処理が他社モデルよりも強めにかかっており、被写体の輪郭部分に白い縁取りが見られる点が気になる。



    【とことんコストパフォーマンス!】


    メーカー 機種  
    1 エプソン CP-600 CP-600
    2 東芝 Allegretto M1 Allegretto M1
    3 富士フイルム FinePix500 FinePix500
    4 リコー DC-4T DC-4T
    5 オリンパス C-1400L C-1400L
     この分野は単なる価格の安さではなく、性能と価格とのバランスという点でのオススメ機種をセレクトした。

     この夏のトップはやはり「エプソン CP-600」。なにしろ、接続キットや豊富なソフトまでてんこ盛りで、画質も良好。それでいて、実売価格は発売当初から59,800円前後という破格の設定。この価格で、この性能ならまさにお買い得といえる。しかも、補色系130万画素クラスの中でも、見栄えのいい写りをする点でも高く評価できる。標準セットでは内蔵メモリしか利用できないので、本格的に撮影したい人はCFカードを別途購入しよう。いまやCFカードも15MBクラスで1万円強、30MBクラスの大容量メディアでも3万円程度で入手できるし、PCMCIAへの変換アダプタも安価なので、トータルで見ると、スマートメディアよりもお買い得だ。

     No.2は、最新モデル「東芝 Allegretto M1」。このモデルは、CCDの画素数や後ろ姿を見れば察しがつくように、富士フイルムからのOEMモデルだ。しかも、外観デザインもよく、8MBスマートメディアが同梱されていることもあって、本家よりも標準小売価格で5,000円高いが、むしろお買い得なモデルといえる。

     No.3は、その本家モデル「富士フイルム FinePix500」。150万画素モデル(実効画素数は131万画素)で、しかもレンズやCCDなどは上級機の「FinePix700」と同じ。若干記録時間は長めだが、画質面ではFinePix700と同じなので信頼できる。今後の実売価格によっては、No.2のモデルよりもお買い得になる可能性もある。もっとも、本機のデザインは、いかにも実用的な普及モデルという感じで、好みが分かれるところだろう。

     No.4は、この夏の大穴的存在「リコー DC-4T」。どうもこのシリーズでは3倍ズームの「DC-4」のほうに注目が集まるが、よくよく考えてみると、79,800円で132万画素の2倍ズームつきというのは、かなり大胆な価格設定。本来ならこのモデルはNo.2でもおかしくないのだが、残念ながら実効感度がやや低めで、上位モデルよりもカメラブレを起こしやすい点が気になる。また、画質的にも解像度が高く、色再現性も見栄えがするものの、明暗の再現域がやや狭めな点が気になり、今回はNo.4とした。

    No.5は、実売85,000円前後と割安になってきた「オリンパス C-1400L」をセレクトした。いまや130~150万画素クラスのモデルは珍しくないが、本機が採用しているような2/3インチCCDを採用したパーソナル機はほかに例を見ない。実際に解像度の高さでは、現時点でもパーソナル機でトップレベルの実力を備えており、この価格で入手できるなら、買って損はない選択肢といえそうだ。もっとも、発売から結構な時間がたっているので、そろそろ後継機が視野に入ってくる時期ではある。



    【とことん省エネ!】


    メーカー 機種  
    1 ソニー MVC-FD71 MVC-FD71
    2 東芝 Allegretto 5 Allegretto 5
    3 三洋電機 DSC-V100 CASIO QV-10A
    4 富士フイルム FinePix700 FinePix700
    5 エプソン CP-600 CP-600
     デジタルカメラはフィルム代や現像料はかからないが、その分、電池や記録メディアを大量に消費するという悪癖がある。そこで今回は特別に、省エネBest5も紹介しよう。これは取りも直さず、ランニングコストの安さにもつながるので、要チェックだ。

     トップは、やはり大容量インフォリチウム電池採用で、1回の充電で2,000枚もの撮影ができるという「ソニー・デジタルマビカ MVC-FD71」。このモデルのスタミナぶりといったら呆れるほどで、ちょっとした出張くらいなら充電器なしでも大丈夫なほど。しかも、記録媒体はいまや1枚数十円となった3.5インチフロッピーディスクで、Fineモードでも20枚撮れるほど(Normalモードなら40枚は撮れるが、圧縮率が高すぎて、本当のメモ用途でも画質的に気になるのであまりオススメできない)。これなら会社でハードに使っても、経理に文句を言われることはなさそうだ。

     No.2は、CMOS撮像素子と反射式カラー液晶という無敵の省エネデバイスを採用した「東芝 Allegretto 5」。とにかく、消費電力でいったら、CMOSチップはCCDの1/10程度、反射式カラー液晶もバックライト式の1/5~1/10というレベルなので、その省エネぶりは推して知るべし。バッテリはCR123Aというコンパクトカメラなどに採用されているリチウム電池で、単三アルカリ電池4本とほぼ同価格。液晶OFFでストロボを使わなければらくらく500枚は撮れるとメーカーはいう。実際にβ版で、液晶やストロボを普通に使って撮影すると、200枚程度の撮影が可能だった。この省エネ魂は高く評価できる。画質や感度も先代モデルより向上しており、メモ用途には十分なレベル。また、屋内撮影ではやや見難さを感じるものの、屋外での見やすさは第一級といえる、世界初の反射式カラー液晶搭載デジタルカメラとしても注目だ。

     No.3は、瞬間記録で人気の「三洋 DSC-V100」。このモデルは電源が単三電池2本という仕様であり、正直なところ、アルカリ電池を使うと結構はやくなくなる。だが、付属の1,450mAhの大容量ニッケル水素電池を使えば、かなりの枚数を撮影できる。とくに、光学式ファインダー中心なら、単三2本とは思えないほどの省エネぶりを披露してくれる。なにしろ、記録時間がきわめて短いこともあって、単純にシャッターを切り続けるだけなら、1,000枚前後は撮れるという(これはやや非現実的だけど)。購入時に充電器まで付属しているので、のちのちのランニングコストの安さも大きな魅力だ。

     No.4は、リチウムイオン電池採用の「富士フイルム FinePix700」。発売当初は電池の持ちが懸念されたが、実際に使ってみると、フル充電なら液晶モニタを使っても、100枚前後の撮影ができるので安心(もっとも、液晶モニタの連続点灯は電池を消耗するので、こまめに電源をON・OFFするのがコツ)。充電式なので、ランニングコストもさほどかからない点がうれしい。残念ながら、電池は専用形状なので、外出先でバッテリが切れたらアウトだ。やはり予備電池は不可欠だろう。また、購入時についてくるACアダプタを使っての本体充電では、充電時間が約8時間もかかるが、気の短い人には別途急速充電器も用意されているのでこちらがオススメだ。

     No.5は、意外に思われるかもしれないが「エプソン CP-600」。実際に、ごく普通に使うと、結構電池を消耗する。といってもライバル機と比べてとくに消耗が激しいというわけではない。さらに、本機には省電力モードがあり、これを「強」に設定すると、通常の2倍近い撮影ができる。これは一枚撮影するごとに自動的にスリープモードに入るもので、連続的に撮影するには不向きだが、旅先などで適当にスナップして歩くときにはなかなか便利。なにしろ、撮影後自動的にスリープするので、こまめにメインスイッチをOFFにする手間が省ける点がいい。また、スリープからの復帰はシャッターボタンに軽く触れるだけ。しかも、復帰時間も2秒程度と短いので安心だ。


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    http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm

    ('98/7/7)

    [Reported by 山田 久美夫 / PC Watch編集部]


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