非同期通信レポート 第32回

Networld+Interop '98 LasVegas Telecomレポート

TEXT:法林岳之

会場風景


 5月4日から7日まで、アメリカのラスベガスのLasVegas Convention Centerで開催されたNetworld+Interop '98 LasVegas(以下N+I'98LasVegas)。5月7日に速報をお届けしたが、そこで紹介できなかったものも含め、改めてレポートをお送りする。一部、重複するものがあるが、その点についてはご容赦いただきたい。


xDSLで盛り上がる米国市場 

 日本国内でインターネットに適した個人ユーザー向け通信インフラストラクチャと言えば、ISDN(INSネット64)をおいて他にないが、アメリカではxDSLとケーブルモデムが注目を集めている。特に、xDSLは一部の通信事業者がサービスを開始したこともあり、最もホットな通信インフラストラクチャと言われている。

 今回のN+I'98LasVegasでも各社から数多くのxDSL製品が出品されていた。ちょうど28.8kbpsモデムが登場した直後を彷彿させるほどの充実ぶりだ。とてもすべてを紹介しきれるわけではないので、出品された中から一部の製品を紹介する。



米ISDN機器事情/TA、ルータなど

 国内ではMN128-SOHOの登場以来、パワーユーザーを中心にISDNルータが人気を集め、すでにISDNターミナルアダプタやモデムを持っているユーザーのためのルーティングのみを行なう機器も登場した。海外マーケットに目を移すと、まだこうしたルータの種類はさほど多くないが、メジャーブランドが徐々に新製品をラインアップし始めている。



これからのLANはワイヤレス

 速報でもお伝えしたが、今回のN+I'98 LasVegasでxDSL関連製品と並んで、よく見かけるのがワイヤレスLANのシステムだ。ワイヤレスLANが便利そうであることはわかるのだが、日本国内では10万円を超える製品がずらりと並び、とても一般ユーザーには手が出そうもないというのがホンネだ。しかし、会場で取材してみると、いずれも500ドル前後の製品が多く、日本の販売価格とのギャップを感じさせられてしまった。
 また、低価格なホームネットワーク製品も展示されていたので、合わせてご紹介する。



モデムメーカーも頑張る

 xDSL、ワイヤレスLAN、ISDNと紹介してきたが、既存のモデムもまだまだ利用頻度は高い。今回もいくつか新しい製品を見ることができた。

 PCカードメーカーとして知られたMEGAHERTZを吸収合併したU.S.Roboticsを、さらに吸収合併したことで大幅にラインアップが充実した米3Com社は、PCMCIAカードの新製品をいくつか出品していた。合併直後は製品ラインアップがかなりゴタゴタした印象が否めなかったが、ここに来て、各社の製品がうまく統廃合され、新しいラインアップがほぼ完成している。



Networld+Interop'98 LasVegas取材を終えて

 通信機器及びネットワーク機器の展示会としては、最大級と言われるNetworld+Interop。日本でも同名の展示会が開催されているが、今回の取材ではいい意味でも悪い意味でもアメリカと日本の通信事情の違いをはっきりと感じさせられた。

 繰り返しになるが、アメリカでのxDSLの盛り上がりは日本のISDNを上回るものがあり、本格的にxDSL時代が到来するという印象を強めた。ケーブルモデムについては、前週にアトランタでCATVの展示会があったため、あまり製品を見ることができなかったが、こちらもかなりバリエーションが増えてきそうだ。逆に、ISDNについてはあまり評価すべきものがなく、一部のルータなどに興味を持ったくらいだった。

 一方、日米共通で可能性があるのは、家庭内のアナログ配線を利用したHomeRun、そしてワイヤレスLANだ。特に、ワイヤレスLANは前述のHome RF Working Groupの成果次第では、今年から来年にかけて、家庭向けに一気にブレイクする可能性が高い。主要メーカーの動向をチェックしておきたい。

 最後に、イベントそのものはCOMDEX/Fallと並んで、なかなか実りあるものだということを付け加えたい。今回、会場を歩いていて、日本人が少ないことを非常に残念に感じた。英語という壁はあるが、通信/ネットワーク関連の仕事をしているのなら、一見の価値はあるはずだ。1年先になるが、ぜひ会場に足を運ばれることをお勧めしたい。

[Text by 法林岳之]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp