非同期通信レポート 特別編(第31回)

NETWORLD+INTEROP '98 LasVegas 速報レポート

TEXT:法林岳之


 

ネットワーク及び通信関連の最大イベント

 5月4日から8日まで、アメリカのラスベガスのLasVegas Convention Centerで開催されているNETWORLD+INTEROP(N+I) '98 LasVegas。ネットワーク関連及び通信関連のイベントとしては、最大級のものだ。
 先々週のCOMDEX/Spring'98に続く海外レポートだが、題材がハッキリしているということもあり、かなり注目製品が多い。今回は速報体制なので、詳細な情報は紹介できないが、目に止まった製品を随時紹介していこう。


基調講演は米3Com CEOが登場

3Com CEO  イベントそのものは4日からだが、展示会の開催は5日から7日まで。これに合わせた形で基調講演も5日からスタートした。展示会初日朝の基調講演は3ComのChairman/CEOであるEric Benhamou氏が飾った。

 Benhamou氏の講演は、AltaVistaで『Beatles』と『Internet』という2つの単語を検索して見せるところから始まり、近年のネットワーク環境の進化、スタイルの多様化などについて触れた。また、「3Comがあなたの命を救う」と題したショートビデオを紹介し、すでに多くのシチュエーションでネットワークが活躍していること、これからのネットワーク環境に必要とされることなどについても解説。例として、アメリカのノースカロライナ州、Winston-SalemのJasonNetを紹介し、学校、病院、企業などでの活用例を紹介した。

 余談だが、COMDEX恒例のBill Gates氏の基調講演に較べると、反響はおだやかというか大人しいというのが正直な感想だ。聴衆はしっかり聞き入ってるのだが、あの妙な熱狂ぶりは感じられない。これはやはり客層が違うということだろうか。



NETGEARのISDNルータ

 米NETGEAR社は米Bay Networks社がSOHO向け製品を開発・販売するために設立した会社だ。日本法人では営業部という扱いだが、本国では独立した企業になっている。青いボディのHUBなどを目にしたことのあるユーザーも多いだろう。

 今回のN+I'98 LasVegasでは、新しいISDNルータRH348などを出展している。このRH348はNAT、DHCPサーバー、4ポートHUB、2つのアナログポートを一体化した製品で、データ圧縮機能のhi/fn LZS(従来のSTAC LZS)、帯域制御のBOD(Bandwidth On Demand)などをサポートしている。セットアップはWindows 95用ユーティリティを使い、10BASE-T経由で設定内容を転送する形式になっている。価格はおよそ300ドルで、日本向けには富士ゼロックスが販売する予定だそうだ。MN128-SOHOやNetVehicle-fx3のライバルとして、注目したい。



北米市場のISDNターミナルアダプタは発展途上

 米国市場でも徐々にISDN関連の製品が増えているのは確かだが、ISDNに限っては普及の進んだ日本に較べると遅れている感は否めない。ここでは、展示会場で見かけたISDN製品をいくつか紹介しよう。

 加EICON TECHNOLOGYの外付けISDNターミナルアダプタDIVA T/A ISDN MODEM。EICON TECHNOLOGYは主にISDNカードなどを販売してきたのだが、これはそのノウハウを活かして設計された製品。日本のDSUに相当するNT-1を内蔵したモデル(U Interface版)と、ないモデル(S/T Interface版)がラインナップされており、いずれもアナログポートを2つ備えている。シリアルポートは230.4kbpsまで対応し、64/128kbpsを自動的に切り替えるBOD、設定ユーティリティなどはしっかり押さえており、AO/DI(Always On/Dynamic ISDN)もサポートしている。ただ、価格的に折り合わないようで、日本での販売は考えていないという。

 一方、こちらは日本でもおなじみの米ZyXEL社の新製品。名称などは決まっていないが、同社が販売してきたOmni TA128に液晶ディスプレイを付けた製品。内部は従来のOmni TA128とまったく同じものだが、現段階では値段や出荷時期などがはっきりせず、参考出品といった程度。1,2カ月後には何らかの情報を公開できるという。ZyXELの製品は素性がいい割にあまり評価されておらず、日本では一部のマニア向けの製品という印象が強い。液晶ディスプレイ付きで巻き返しなるか?

 3つめは米ADTRAN社のEXPRESS2000というISDNターミナルアダプタ(写真内上側)。こちらもアナログポートを2つ備えたDSU内蔵TAで、BOD、AO/DI、hi/fn LZSによる圧縮などをサポートしている。製品としては非常に地味だが、意外にコンパクトにまとめられている。ちなみに、写真内下側に置いてあるのは、同社が販売するISDNルータのEXPRESS L128/L128Tという製品。L128Tの方はアナログポートを2つ備え、ターミナルアダプタとしての機能も持ち合せている。セットアップは専用ユーティリティを利用する形式になっている。



百花繚乱のADSL

 日本でもフィールドテストが開始されたことで、にわかに注目を集めたADSL(xDSL)。米国では一部でサービスが開始されたこともあり、かなり製品が出揃いつつある。N+I'98 LasVegasでもADSL Forumのブースが設置されるなど、とにかくADSL関連の出展が多い。

米WESTELL社
FlexCap2
米Ascend Communications社
DSLpipe
米Cisco Systems社
Cisco675

 米WESTELL社のFlexCap2は、RADSL(Rate Adaptive Digital Subscriber Line)モデムで、ダウンストリームが640kbps~2.24Mbps、アップストリームが272kbps~1.088Mbpsに対応する。アナログ機器を利用するためのスプリッターは内蔵するモデルと外付けにできるモデルがラインアップされている。価格は約500ドル程度と、xDSL製品としては安い。

 アクセスサーバーなどでおなじみの米Ascend Communications社もADSL製品DSLpipeを出品している。当然、狙いはホスト側の機材ということになるのだろうが、こうしたメーカーまでもが製品を開発しているあたりに、米国のxDSLに掛ける意気込みが感じられる。

 Ascend Communicationsのライバルとも言える米CISCO Systems社もADSLモデムのCisco675を出品している。数あるADSLモデムのなかでもかなりコンパクトな部類に入る。

米PARADYNE社
HotWire MVL
米ADTRAN社
EXPRESS L1.5
米Rockwell International社
ZipSocket

 数あるxDSL製品メーカーで、目が離せないのが米PARADYNE社だろう。今回もHotWire MVLシステムを出品していた。速度的にはダウンストリームが768kbpsまでだが、この製品は既存のxDSLが抱えるISDNとの干渉を解消し、コスト的にも300ドル以下に抑えているのが特長。米Microsoftや米Intelなどが中心になって標準化を進めているUniversal ADSLもこれに近い仕様になるのではないかと言われている。

 ターミナルアダプタの項でも紹介したADTRAN社もxDSLモデムのEXPRESS Lシリーズなどを出品している。筐体のデザインはISDNターミナルアダプタやISDNルータと同じものを採用している。写真はHDSLモデムのEXPRESS L1.5だ。

 モデムチップなどでおなじみの米Rockwell International社も、HDSL用モデムチップセットのZipSocketをはじめ、xDSL関連のチップをいくつか出品しており、注目されるところ。モデムチップセットで圧倒的なシェアを持つ同社が手を出してくるということは、現在の33.6/56kbpsモデム並みに価格が落ちてくることも十分考えられ、普及にも期待が掛かるわけだ。

 ただし、xDSLは全国規模で光ファイバーを敷設しにくいアメリカの事情を反映した製品で、日本では地域を限定してサービスが提供されることになる。xDSLについては今後も追いかけてみるつもりだが、日本ではまだ現実感がわかないのも確かだ。


ワイヤレスLANも充実

 今回のN+I'98 LasVegasで、xDSL関連に次いでよく見かけるのがワイヤレスLANのシステムだ。ワイヤレスLANというと、企業で利用されるケースが多いようだが、日本ではまだ製品が高く、なかなか手が出ないというのが実状だ。しかし、会場で取材してみると、いずれも500ドル前後の製品が多く、日本で販売されている価格とのギャップを感じさせられてしまった。

 まず、目についたのは米PROXIM社というメーカーのRangeLANシリーズという製品。親機となるAccess Points、拡張用のExtension Points、PCカードとISAバス用のクライアント製品から構成されている。プロトコルはIEEE802.11に準拠し、2.4GHz帯の電波を使い、最大2Mbpsでデータを転送する。同社はCOMPAQIBM、Microsoft、Ericssonなどが参加するHome RF Working groupのコアメンバーであり、この他にもホーム向けの製品の開発を進めている。価格や使いやすさで導入が難しいと言われてきたワイヤレスLANだが、ホーム向けの製品は日本の住宅事情を考えると、かなり利用価値は高そうだ。今後の発表に期待したい。
 

 一方、米RadioLAN社のRadioLANはワイヤレスLANの先駆者的な存在と言われている。外観的にはちょっとごつい感じだが、5.8GHz帯で10Mbpsという速度を実現しているのが特長。ネットワークのトラフィックがかなり多い環境での利用にも耐えそうだ。
 

 BreezeCOMBreezeNET Pro11は、2.4GHz帯を使っているが、最大2Mbpsでデータを転送し、距離はオフィス内でも150mを確保する。距離と速度が反比例するようになっており、見通しの良いところでは600mも電波を飛ばすことができる。PCカード製品のアンテナがちょっと貧弱に見えるが、かえって無線らしいという見方もできる。

 この他にも、数多くのワイヤレスLAN製品が出品されており、xDSL同様、すべてを取り上げるとキリがない。しかし、いずれの製品も日本市場をしっかり捉えており、日本の電波法に合わせたローカライズを視野に入れている。より多くのワイヤレスLAN製品が日本市場に登場することを期待したい。特に、個人ユーザーやホームユーザー向け製品は、住宅事情を考えると、かなり需要がありそうだ。もちろん、個人ユースでは価格しだいという面も大きいのだが……。


屋内のアナログ配線を使ったHomeRun

 ADSLが既存のアナログ回線用の銅線によるネットワークを利用しているのに対し、銅線による屋内配線を利用してしまおうというのがTUT SystemsHomeRunという家庭向けネットワークシステムだ。

 アメリカだけでなく、日本でも複数の部屋があるとき、各部屋にRJ11のモジュラージャックがついていることがある。HomeRunはこれを使ってLANを構築しようというシステムだ。パソコンにはHomeRunNICを挿し、プリンタなどにはHomeRun Adapterという外付けボックスを取り付けることでLANが構築できるのだ。しかも、HUBなどを必要とせず、自由に拡張することができる。今回はPCI/ISAバス用のNICが展示されていたが、価格は100ドル未満と安く、将来的にはマザーボード上に搭載することも検討しているという。ちなみに、このシステム用のチップはAMDで製造されるため、AMDとTUT Systemsはつい先日、提携を発表している。

[Text by 法林岳之]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp