非同期通信レポート 第32回
Networld+Interop '98 LasVegas Telecomレポート

これからのLANはワイヤレス


これからのLANはワイヤレス

 速報でもお伝えしたが、今回のN+I'98 LasVegasでxDSL関連製品と並んで、よく見かけるのがワイヤレスLANのシステムだ。ワイヤレスLANが便利そうであることはわかるのだが、日本国内では10万円を超える製品がずらりと並び、とても一般ユーザーには手が出そうもないというのがホンネだ。しかし、会場で取材してみると、いずれも500ドル前後の製品が多く、日本で販売されている価格とのギャップを感じさせられてしまった。

PROXIM RangeLAN802 Series
PROXIM RangeLAN802 Series

 米PROXIM社RangeLAN802シリーズは、親機となるAccess Points、拡張用のExtension PointsPCカードISAバス用のクライアント製品などから構成されている。プロトコルはIEEE802.11に準拠し、2.4GHz帯の電波を使い、最大2Mbpsでデータを転送する。

 同社はCOMPAQIBMMicrosoftEricssonなどが参加するHome RF Working Groupのコアメンバーであり、この他にもホーム向けの製品の開発を進めている。価格や使いやすさで導入が難しいと言われてきたワイヤレスLANだが、ホーム向けの製品は日本の住宅事情を考えると、かなり利用価値は高そうだ。今後の発表に期待したい。ちなみに、同社のホームページには一部、日本語のメニューも用意されているので、ワイヤレスLANに興味のあるユーザーはご一読いただきたい。


BreezeCOM AP-10 PRO1.1 Access Point
BreezeCOM AP-10 PRO1.1 Access Point
BreezeCOM SA-PCR PRO 1.1 PC Card
BreezeCOM SA-PCR PRO 1.1 PC Card

 米BreezeCOM社はIEEE802.11準拠の2.4GHz帯ワイヤレスLANシステム『BreezeNet Pro Series』というラインナップを展示していた。PCMCIA用デスクトップ機の外付け用などをラインナップしている。通信速度は最大2Mbpsで、距離はオフィス内でも150mを確保する。距離と速度が反比例するようになっており、見通しの良いところでは600mも電波を飛ばすことができる。ちなみに、国内では伊藤忠テクノサイエンス株式会社取り扱っているそうだ。

RadioLAN PC Card LINK-Model P101
RadioLAN PC Card LINK-Model P101
GVC MobiLAN ML2430
GVC MobiLAN ML2430

 米RadioLAN社はワイヤレスLANの先駆者的な存在と言われている。かなりゴツいデザインを採用しているが、5.8GHz帯で10Mbpsという速度を実現しているのが特長。ネットワークのトラフィックがかなり多い環境での利用にも耐えそうだ。価格はISAバス用が350ドル、PCMCIA用が450ドル、バックボーンへの接続用が1,000ドルとなっている。

 台湾のGVC社もワイヤレスLAN製品『MobiLAN ML2430』を出品していた。こちらは2.4GHz帯を使った製品で、すでにアメリカ向けだけでなく、日本向け製品も開発中だと言う。通信速度は最大2Mbps、50mWの出力で最大800フィート(200m)まで離れたところと送受信が可能だ。写真のPCMCIA用の他に、ISAバス用の製品も展示していた。コストパフォーマンスの高い製品を販売してきた同社の実績から考えると、この製品はかなり期待できそうだ。

Symbol Technologies Symbol PalmPilot
Symbol Technologies Symbol PalmPilot

 さて、ワイヤレスLANの番外編を紹介しよう。まず、左の写真を見て欲しい。これは米Symbol Technologies社のブースで見つけたSymbol PalmPilotという製品だ。一見、3ComPalm3そのものに見えるのだが、よーく見ると液晶ディスプレイの上の部分がちと長い。

 なんと、これはPalm3にワイヤレスLANのモジュールを埋め込んだ製品なのだ。もちろん、改造品ではなく、きちんとライセンスも受けているという。残念ながら展示されていたのはモックアップだったが、詳しいニュースリリースは同社のホームページ内で見ることができる。ワイヤレスLAN経由でHotSyncができるなんて、ちょっと便利そうだ。日本でも発売して欲しいところ。

 ちなみに、同社はカメラやMOでおなじみのオリンパスとともに、Olympus Symbol Inc.という会社を日本に設立している。バーコードリーダなどの関係で設立されたようだが、ここを通じて販売なんてしませんかね(笑)。



屋内のアナログ配線を使ったネットワーク

TUT SYSTEMS HomeRun
TUT SYSTEMS HomeRun

 日米どちらでも同じだが、家庭内の各部屋にRJ11のモジュラージャックが取り付けられていることがある。この配線を利用して、ホームネットワークを構築しようというのが米TUT SYSTEMS社HomeRunという家庭向けネットワークシステムだ。

 パソコンにはHomeRun NICを挿し、プリンタなどにはHomeRun Adapterという外付けボックスを取り付けることでLANが構築できる。しかも、HUBなどを必要とせず、自由に拡張することができる。今回はPCI/ISAバス用のNICが展示されていたが、価格は100ドル未満と安く、将来的にはマザーボード上に搭載することも検討しているという。ちなみに、このシステム用のチップは米AMD社で製造されるため、同社はAMDとの提携を発表している。

 このHomeRun LANネットワークシステムでは、xDSLモデムやケーブルモデム、ISDNルータなどを接続して、各部屋からインターネットに同時に利用することも可能だ。通信速度は最大1Mbpsと10Base-2/5/TによるLANに較べると遅いが、家庭での利用であれば、必要十分だろう。とにかく、導入コストが圧倒的に安いのが魅力だ。


[Text by 法林岳之]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp