発売中 実売価格:65,000円前後 先日、東芝のネットブック「NB100/HF」の評価版を利用してレビューをお届けしたが、今回製品版が手に入ったので、改めてWindows XPを導入する手順や、Windows XP導入によってどの程度快適になるのかを検証するとともに、内蔵されているSSDを詳しくチェックしてみることにする。 ●Windows XP導入前に、リカバリディスクを必ず作成しておく NB100/HFにWindows XPを導入する場合、まず最初に必ず行なっておくべき作業がある。それは、リカバリディスクを作成しておくというものだ。 NB100/HFでは、SSD内にリカバリ用データが保存されており、基本的には「0」キーを押しながら本体の電源を投入すると、リカバリ機能が起動し、SSD内容を出荷状態に戻すことが可能となっている。しかし、Windows XPを導入してしまうと、このリカバリ機能が正常に動作しなくなり、出荷状態に戻せなくなってしまうため、必ず事前にリカバリディスクを作成しておこう。 リカバリディスクの作成は、「TOSHIBA Recovery Disc Creator」というツールを利用する。ただし、このTOSHIBA Recovery Disc Creatorは標準ではインストールされておらず、スタートメニューに用意されている「アプリケーションの再インストール」からインストールする必要がある。その後、外付けの光学式ドライブを用意し、DVDまたはCDにリカバリデータを保存する。必要なディスク数は、DVDでは1枚、CDでは8枚となる。
●Windows XP用ドライバは東芝ヨーロッパのホームページから入手 では、Windows XPの導入手順を見ていこう。 NB100/HFにWindows XPを導入する場合に問題となるのが、ドライバ類の入手だ。東芝は、NB100/HFのWindows XPへのダウングレードは未サポートとしていることもあり、公式にWindows XP用ドライバやツールを配布していない。標準でWindows XPが導入されているNB100およびNB100/Hと基本的なハードウェア構成は同じなので、ドライバやツールが配布されていれば、それらがそのまま利用可能なのだが、残念ながら東芝のサポートページではNB100、NB100/H用のドライバやツールは更新モジュールしか配布しておらず、ほとんどのドライバやツールが入手不可能だ。 しかし、NB100/HFで利用できるWindows XP用ドライバやツールを入手する方法が1つ存在する。それは、東芝ヨーロッパのホームページからダウンロードするというものだ。 欧州では、日本とほぼ同じ仕様のNB100が発売されている。そして、東芝ヨーロッパのサポートページでは、NB100向けのWindows XP用ドライバや、東芝オリジナルツールの一部が掲載され、ダウンロード可能となっている。しかも、日本語に対応するワールドワイド仕様のドライバ・ツールも配布されている(一部を除く)ので、英語版のドライバやツールを無理やり使わなければならないということもない。そこで、こちらから必要なドライバやツールをダウンロードして利用すればいいだろう。もちろん、このダウンロードはWindows XP導入前にやっておいたほうがいい。 加えて、NB100/HFのSSDのCドライブには、Windows Vista用のドライバやツールが保存されている「TOSAPINS」というフォルダが存在する。その中にあるドライバやツールのほとんどはWindows XPでは利用できないが、一部Windows XPでも利用できるツールが含まれているので、念のためこのフォルダはUSBメモリやUSB HDDなどにコピーしておくことをおすすめする。
●XP導入前に、BIOSでSATAを「Compatibility」に変更する ドライバやツールのダウンロードが終了したら、Windows XPの導入を進めることになるが、ここでもう1つ注意する点がある。それは、BIOSでSATAの動作モードを「Compatibility」に変更するというものだ。 NB100/HFは、SATAの動作モードが標準で「AHCI」に設定されている。もちろん、AHCIモードでもWindows XPの導入は不可能ではないが、事前にAHCIドライバをフロッピーディスクで用意し、セットアップ時に導入する必要があり面倒だ。また、SSDではAHCIモードとCompatibilityモードとの間でパフォーマンス差はほとんどない。そのため、Windows XP導入前にBIOSを起動し、SATAをCompatibilityモードに変更した上で作業を進めるようにしよう。 ドライバやツールの事前ダウンロードと、SATAの動作モードの変更が終了していれば、Windows XPの導入手順は特に難しいことはない。もちろん、ドライバなどは全て自力で導入する必要があるが、自分でOSを導入したことがある人なら問題なく進められるはずだ。
●Windows XPでの利用は軽快
Windows XPを導入したNB100/HFは、やはりWindows Vista導入時と比較すると、かなり軽々動作するという印象だ。OSやアプリケーションは素早く起動し、きびきびと動作する。Windows Vista時のような重さは全く感じることなく、とにかくストレスを感じずに利用できる。もちろん、スペック面はNB100や他のAtom N270採用ネットブックと同等であり、それを大きく上回る快適さが得られているわけではないが、Windows Vista時との差があまりにも大きいことと、読み出し速度の高速なSSDを搭載していることもあってか、スペック以上に快適になったという印象を強く受ける。 実際に、NB100と起動時間を比べてみても、NB100/HFのほうが明らかに早い。NB100とNB100/HFを並べ、同時に電源ボタンを押して起動する様子をムービーにしたので、どの程度の違いがあるかはそちらを参照してほしい。
また、ベンチマークテストも行なったが、こちらもストレージまわり以外はNB100とほぼ同じ結果となった。(NB100では、HD Benchの「VIDEO:Text」の結果がやけに高くなっている。これは何度計測してもほぼ同じ値だったが、スペックや導入したドライバのバージョンに違いが全く無いため、NB100の結果に何らかの問題があるものと思われる)。ストレージ以外のハードウェアスペックが同じことを考えると、この結果も当然だろう。
同様に、バッテリ駆動時間も計測してみた。テスト方法はWindows Vista時と同様、液晶輝度を最大に設定し、無線LANおよびBluetoothを動作させた状態で、動画ファイル(WMV9、ビットレート1,156kbps、640×480ドット)をWindows Media Player 11を利用して連続再生させるというものだ。結果は、Windows Vista時とほぼ同じ、2時間40分であった。フルパワー動作なので、ほぼ同じ結果になるのも当然だろう。ただ、省電力機能はWindows Vistaのほうが優れているため、省電力機能を有効にした場合のバッテリ駆動時間は、Windows Vista時のほうがやや優れるものと思われる。
ちなみに、今回NB100/HF側には、Windows XP Professional SP3を導入するとともに、東芝ヨーロッパから入手できるドライバとツールのみ導入した状態でテストを行なった。つまり、NB100とは厳密に言えば環境が異なり、横並びでの比較ではない。今回の比較はあくまでも参考として見てもらいたい。 このように、NB100/HFにWindows XPを導入すると、SSD搭載によって、NB100と同程度か、それを上回る快適性が得られることが確認できた。NB100/HFのWindows XP化は、東芝未サポートのため自己責任で行なわなければならないことに加え、基本的にドライバやツールも東芝ヨーロッパのホームページから入手できるものを利用することになるため、NB100同等の環境を整えられない(一部ツールが入手できない)などの問題もある。とはいえ、チャレンジしてみる価値は大いにあると言っていい。 ●SSDをチェック 次に、内蔵SSDをチェックしていこう。 まず、本体を分解してSSDを取り出してみた。本体の分解手順は、NB100と全く同じで、底面のネジを全て外した後に、キーボードや液晶パネルを取り外すことで、内部の基板やSSDにアクセスできるようになる。 取り出したSSDは、型番は「THNS064GE4BBDC」。厚さ9.5mm、2.5インチHDDと同じ大きさのケースに納められている。重量は、実測値で64g。接続インターフェイスはSATA 3Gbps。パフォーマンスは、読み出し最大100MB/sec、書き込み最大40MB/secとなっている。 内部の基板を見ると、チップ類は基板の表側にのみ搭載されていた。コントローラチップは東芝製で、型番は「T6UF5XBG」。コントローラの下にはキャッシュとして利用されている、Hynix Semiconductor製の256Mbit DDR SDRAM「HY5MS5B6BLFP-6」が搭載されている。また、MLCタイプのNANDフラッシュメモリチップも東芝製で、型番は「TH58NVG6D1DBAK0」。8個搭載されているため、1個あたりの容量は64Gbitとなる。
今回は、SSDを取り出したので、デスクトップPCに接続してパフォーマンスをチェックしてみた。利用したベンチマークソフトは、CrystalDiskMark 2.2.0と、HD Tune Pro 3.50で、テスト環境は下に示すとおりだ。
CrystalDiskMark 2.2.0の結果を見ると、シーケンシャルアクセスでは、読み出し・書き込みともに、ほぼスペック通りのパフォーマンスが記録されていることがわかる。また、ランダムアクセス性能も読み出しに関してはかなり高速だ。それに対し、ランダム書き込みは速度の落ち込みが大きい。
HD Tune Pro 3.5の結果も、シーケンシャルアクセスに関してはほぼスペック通りの結果となっている。また、書き込み時の速度のブレもそれほど大きくない。さらに、ランダムアクセスの結果も良好で、ランダム書き込みでも、JMicron製コントローラ「JMF602」搭載SSDのような極端な速度低下は見られない。最近の高速SSDと比較すると、絶対的な速度は見劣りするが、世代的には2007年末に発表された東芝製SSDと同じと思われるため、仕方がないだろう。とはいえ、ランダムアクセス時の極端な速度低下がほとんど発生しないことを考えると、基本性能は十分満足できる。
東芝は、より高速なSSDをすでに開発しており、そちらが登場してくれば、速度面の不満も解消される。NB100/HFに搭載されているSSDの基本性能から考えると、当然そちらも優れた基本性能を有していると考えていいはずだ。登場までにはまだしばらく時間がかかると思われるが、想像通りの性能を有しているならば、東芝製のSSDは、HDDの代替用途としてかなり有望な存在になることだろう。今後の新モデルの登場が非常に楽しみだ。 □東芝のホームページ (2009年3月17日) [Reported by 平澤寿康]
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