日本エイサー「Aspire one D150」
~10.1型液晶搭載の新モデル




日本エイサー「Aspire one D150」

発売中

実売価格:49,800円前後



 ASUSTeKのEee PCシリーズに並んで人気の高い、日本エイサーのネットブック「Aspire one」シリーズ。そのAspire oneシリーズに、最新モデルとなる「Aspire one D150」が登場。今回、試用機をお借りできたので、従来モデルとの比較を中心にお伝えしていこう。

●搭載液晶が10.1型に大型化

 Aspire one D150の、従来モデルからの最大の変更点となるのが、搭載される液晶が8.9型から10.1型へと大型化されている点だ。現在では、10.1型液晶を搭載するネットブックも種類が豊富となっているため、もはや目立つ特徴とは言えないかもしれないが、嬉しい変更点であるのは間違いない。実際に、従来モデルを横に並べて比較すると、液晶の存在感が増しているのはもちろん、表示される文字などの視認性もかなり向上していることがよくわかる。また、液晶表面に光沢処理が施されていることもあって、従来モデル同様、発色に優れている。上下の視野角はやや狭く感じるが、ネットブックに搭載される液晶としては、ほぼ標準的な表示品質が確保されている。

 ただし、映り込みはかなり激しく、天井の照明などもはっきり映り込んでしまう。確かに光沢液晶は発色には優れるものの、照明が映り込んだり、野外での視認性が落ちるなどの問題もある。好みもあるので、光沢液晶が悪いということはないものの、非光沢液晶モデルをラインナップするネットブックは少ないため、差別化という意味でも、今後非光沢液晶モデルを追加して欲しいと思う。

1,024×600ドット表示対応の10.1型ワイド液晶を搭載。発色や視認性は申し分ないが、上下の視野角はやや狭い 従来モデル(右)との比較。サイズが大きくなり、存在感が増した。もちろん文字の視認性も向上している
液晶表面の光沢処理がきつく、照明の映り込みもかなり激しい 液晶部分は、約50度ほどまで開く 液晶上部には、30万画素のWebカメラが搭載されている

●本体はやや大きくなったが、重量増は最低限に抑えられる

 液晶が10.1型に大型化されたことに伴って、本体サイズもやや大きくなっている。Aspire one D150の本体サイズは、260×185×33.4mm(幅×奥行き×高さ)。従来モデルは、249×170×29mm(同)だったことを考えると、幅、奥行き、高さともに増えていることがわかる。液晶面を見ると、比較的ベゼル部分が広く取られており、従来モデルと同じサイズに10.1型液晶を詰め込むことも可能だったのではないかと思うが、大幅な大型化には至っておらず、十分許容できる範囲内に収まっている。

 液晶および本体サイズが大きくなっていることで気になるのが、本体重量がどれだけ増えたか、ということだろう。しかし、その点は心配ない。Aspire one D150の本体重量は、実測値で1,182g(3セルバッテリ搭載時)と、従来モデルと比較して120gほどしか増加していない(従来モデルの重量実測値は、1,066g)。双方を両手で持って比べてみても、本体サイズの違いもあって、その差はほとんど感じられないほどだ。これなら、本体の大型化もほぼ気にしなくていいだろう。

 従来モデルでは、SDカード/メモリースティックPRO/xD-Picture Cardに対応する「All in One カードリーダー」を右側面に用意するとともに、左側面にはSDカードスロットを用意していたが、Aspire one D150ではAll in One カードリーダーを左側面に用意するのみとなり、SDカードスロットは省かれている。ただ、その他の本体側面のポート類は、配置が若干変更されているものの、種類や数などは同じだ。

本体天板。特に凝った装飾もなく、従来モデル同様すっきりとしたイメージだ。ボディカラーは新色のルビーレッド 10.1型液晶搭載に伴い、フットプリントは260×185mm(幅×奥行き)と、従来モデルより大きくなった 従来モデル(右)との比較。一回り大きくなっていることがわかる
高さも、33.4mmと、従来モデル(右)より4.4mm厚くなった 本体重量は、実測値で1,182g。従来モデルより116gしか重くなっておらず、重量増は最小限に抑えられている
本体正面。デザインは従来モデルを踏襲している 正面右には、内蔵の無線LANをON/OFF制御するスライドスイッチが用意されている 左側面。ヒンジ部分などデザインが若干変更されている。ポート類は、左からアナログRGB(ミニD-Sub15ピン)、100BASE-TX対応有線LAN、USB 2.0×1、ヘッドフォン・マイク端子、All in One カードリーダーが並ぶ
背面。中央にバッテリが取り付けられている 右側面。USB 2.0×2と電源端子がある。従来モデルでは、All in Oneカードリーダーに加えSDカードスロットがあったが、Aspire one D150では省かれている

●クリックボタンがパッド下に移動して使いやすくなった

 キーボードは、従来モデルと全く同じものが搭載されている。キーピッチは約17mm(実測値)で、ネットブックとしてはほぼ標準的なキーピッチを確保。Enterキー付近など一部のキーのピッチがかなり狭くなっている点や、中央付近でのたわみなどが少々気になるものの、無理な配列はなく、使い勝手は悪くない。

 それに対し、タッチパッドには大きな変更が見られる。本体サイズが大きくなったことで、パームレスト部分の幅が約10mm広くなった。それに伴い、タッチパッドのクリックボタンが、従来のパッド左右からパッド下へと移動した。クリックボタンが左右一体型で、中央付近でクリック操作が行なえない点は少々気になるものの、従来モデルのタッチパッドと比べると使い勝手は雲泥の差で、使い勝手は大きく向上している。この変更は大いに歓迎したい。

キーボードは、従来モデルと同じものを搭載。Enterキー付近など一部キーのピッチが狭くなっているが、使い勝手は悪くない キーピッチは実測値で約17mm。慣れればタッチタイプも余裕で行なえる
パームレストが約10mm広くなったことで、タッチパッドのクリックボタンがパッド下に配置され、かなり使いやすくなった 従来モデル(右)との比較。キーボードは全く同じだが、タッチパッドのクリックボタンの配置が変更され、扱いやすさが大きく向上したと感じる

●HDD容量が増量し、Bluetoothを標準搭載

 基本スペックは、従来モデルからほぼ変更がない。CPUはAtom N270、チップセットはIntel 945GSE Express+ICH7M、メインメモリは標準1GB(最大1GB)と、ネットブックとしておなじみのものだ。また、ネットワーク機能は、100BASE-TX対応の有線LANに加え、IEEE 802.11b/g対応の無線LANを標準搭載している。

 それに対し、HDD容量は、従来モデルの120GBから160GBに増量されている。また、Bluetooth 2.0+EDRを標準搭載している。この2点が、従来モデルからの変更点となる。

 ちなみに、本体底面には2つのフタが用意され、一方がメインメモリスロット、もう一方がHDDにアクセスできるようになっている。従来モデルのように、本体を分解せずともメインメモリスロットやHDDにアクセスできるようになっている点は、パワーユーザーにとって大きな魅力となるだろう。

 ただし、双方のフタには封印シールが貼られており、これらのフタを開けただけで保証が失われてしまう。今回は、借り物ということもあり、フタを開けることはできなかったが、実際に購入した製品でメインメモリやHDDを交換したいと思っている場合でも、フタを開けるだけで保証が失われるという点には要注意だ。

標準搭載されたBluetooth 2.0+EDRは、キーボード左上のボタンでON/OFF制御が可能 底面には、HDDとメインメモリスロットにアクセスできるフタが用意されており、HDDやメインメモリモジュールの交換も容易に行なえる ただし、HDDおよびメインメモリスロットのフタには封印シールが貼られ、フタを開けるだけで保証が切れる点には要注意だ
ACアダプタは、従来モデルと同じ小型のものが付属する ACケーブルのコネクタが3極型で、太く重いケーブルが付属するため、トータルでは331.5g(実測値)とやや重く、持ち運びもかさばる 付属のキャリングケース。どうせなら本体カラーと合わせても良かったように思う

●使い勝手重視でネットブックを選びたい人におすすめ

 では、ベンチマークテストの結果をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の3種類。また、比較用として、従来モデルのAspire one、HP Mini 2140 Notebook PC、Eee PC S101の結果も加えてある

 結果を見ると、比較機種とほぼ同等のパフォーマンスとなっているが、基本スペックが同じということもあって、当然の結果だろう。ネットブックとして、安心して利用できるパフォーマンスが発揮されていると言っていい。


Aspire one D150 Aspire one AOA 150 NB100 HP Mini 2140 Notebook PC Eee PC S101
CPU Atom N270(1.60GHz) Atom N270(1.60GHz) Atom N270(1.60GHz) Atom N270(1.60GHz) Atom N270(1.60GHz)
ビデオチップ Intel 945 GME Express Intel 945 GME Express Intel 945 GME Express Intel 945 GME Express Intel 945 GME Express
メモリ 1GB 1GB 1GB 1GB 1GB
OS Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Home Edition SP3
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score 1427 1499 1535 1561 1759
CPU Score 1480 1474 1473 1487 1492
Memory Score 2374 2355 2368 2344 2414
Graphics Score 553 576 596 547 545
HDD Score 4662 4195 4639 5768 7755
HDBENCH Ver3.40beta6
All 38870 33168 35042 40144 45668
CPU:Integer 94033 93623 94127 94278 98124
CPU:Float 64700 64475 64626 64792 67228
MEMORY:Read 48016 47730 48023 48106 49495
MEMORY:Write 48447 48113 48522 48569 50243
MEMORY:Read&Write 84352 84693 84590 85545 88536
VIDEO:Recitangle 16786 16761 16786 16721 17759
VIDEO:Text 8965 20137 19968 6945 9164
VIDEO:Ellipse 4216 4257 4256 4273 4436
VIDEO:BitBlt 255 248 245 192 269
VIDEO:DirectDraw 30 30 29 29 35
DRIVE:Read 52810 41727 44872 71160 83934
DRIVE:Write 47805 39475 45169 47473 46800
DRIVE:RandomRead 15168 10517 13427 28992 62326
DRIVE:RandomWrite 22212 17661 20603 21988 14151
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
LOW 1459 1443 1433 1409 1541

 次に、バッテリ駆動時間のチェックだ。テスト方法は、液晶輝度を最大に設定し、無線LANおよびBluetoothを動作させた状態で、動画ファイル(WMV9、ビットレート1,156kbps、640×480ドット)をWindows Media Player 11を利用して連続再生させるというものだ。バッテリは、容量2,200mAhの3セルバッテリが標準添付となり、オプションで6セルバッテリも用意されるが、今回は3セルバッテリのみでテストを行なった。ちなみに、3セルおよび6セルのバッテリは従来モデルと同じもので、カタログ値では、3セルバッテリで約3時間、6セルバッテリで約6時間とされている。

 結果は、約1時間45分と、従来モデルよりも13分ほどバッテリ駆動時間が延びている。CPUやチップセットなどの基本スペックがほぼ変わらず、液晶が大きくなり、Bluetoothが搭載されているにもかかわらず、バッテリ駆動時間が減るどころか、わずかではあるが延びている点は、かなり嬉しい。ちなみに、オプションの6セルバッテリは、今回は用意できなかったものの、今回のテストの2倍のバッテリ駆動時間が実現できるものと考えていい。

バッテリ駆動時間
Aspire one D1501時間45分
Aspire one1時間32分

 Aspire one D150は、基本スペックはHDD容量の増量やBluetooth標準搭載という点を除いてほとんど違いがなく、パフォーマンスは従来モデルとほぼ同等ではあるが、液晶が大型化したことに加え、タッチパッドの仕様変更によって、使い勝手は大きく向上している。もちろん、スペックが横並びなので、他のネットブックと比べて特に優れる部分があるわけではないが、正統進化形モデルとしての魅力は十分ある。これからネットブックを購入しようと思っているなら、Aspire one D150も有力な候補として検討すべき製品であることは間違いないだろう。

□日本エイサーのホームページ
http://www.acer.co.jp/
□製品情報
http://www2.acer.co.jp/one/d150/
□関連記事
【2月6日】エイサー、10.1型液晶搭載ネットブック「Aspire one D150」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0206/acer.htm
【2008年8月18日】【Hothot】日本エイサー「Aspire one」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/0818/hotrev370.htm
□ネットブック/UMPCリンク集(Acer)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/link/umpc.htm#acer

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(2009年3月26日)

[Reported by 平澤寿康]


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