発売中 価格:119,980円~ デルの「Studio XPS 13」は、13.3型ワイド液晶を搭載したモバイルノートPCであり、前回レビューしたStudio XPS 16の弟分にあたる製品だ。両製品とも同じStudio XPSシリーズの製品であり、ボディのデザインもほぼ同じだ。なお、今回試用したのは評価機であり、製品版とは細部の仕様や性能が異なる可能性がある。 ●本革とアルミニウムを採用した美しいボディ Studio XPS 13は、Studio XPS 16と同じく、ボディがスタイリッシュで、洗練されている。ボディカラーはオブシディアン・ブラックと呼ばれる光沢のある黒のみで、カラーバリエーションは用意されていない。天板の一部に、アルミニウムシルバーと本革が使われており、高級感を演出していることも特徴だ。ノートPCで、ボディの一部に本革を採用した製品はまだ少ない。本体の重量は約2.2kgで、モバイルノートPCとしてはやや重い。部屋から部屋への持ち運びなどは楽にできるが、常に携帯するにはあまり適していないだろう。
●グラフィックス統合型チップセットと単体GPUによるHybrid SLIに対応 Studio XPS 13は、モバイルノートとしては高いスペックを誇り、BTOメニューも充実している。今回の試用機は、CPUとしてCore 2 Duo P8600(2.4GHz)を、メモリとしてDDR3メモリを2GB実装していた。CPUは、Core 2 Duo P9600(2.66GHz)やCore 2 Duo P8400(2.26GHz)を選ぶこともできる。 チップセットは、NVIDIAのグラフィックス統合型GeForce 9400M G(MCP79MX)を採用。DirectX 10に対応しており、HD動画のデコード機能「PureVideo HD」も備えていることが特徴だ。また、BTOにより単体GPUのGeForce 9500Mを追加することが可能であり、GeForce 9400M Gのグラフィックス機能と同時に利用することで、描画性能を高める「Hybrid SLI」にも対応する。試用機にも、GeForce 9500Mが搭載されていた。メモリスロットとして、DDR3対応SO-DIMMスロットを2基搭載しており、メモリは最大4GBまで搭載できる。4GBのメモリを活かすには64bit版OSが必要になるが、OSはWindows Vista Home Premium SP1 32bit版/64bit版、Windows Vista Ultimate SP1 32bit版/64bit版から選べる。 HDD容量は160GB/250GB/320GB/500GBから選択できる。HDDの回転数は160GBと500GBが5,400rpmで、250GBと320GBがより高速な7,200rpmである。また、HDDの代わりに128GBのSSDを搭載することも可能だ。試用機には、160GBのHDDが搭載されていた。光学ドライブとしては、スロットインタイプのDVDスーパーマルチドライブを搭載している。
●白色LEDバックライト液晶を選択可能 液晶は13.3型ワイドで、解像度は1,280×800ドットである。解像度については、このクラスのノートPCとしては標準的である。サイズや解像度は同じだが、バックライトがCCFLの通常タイプの液晶パネルとバックライトに白色LEDを採用した液晶パネルが用意されており、BTOによって選択できる。後者の方が前者よりも輝度が高いことがメリットだ。液晶表面と額縁部分が同じ光沢パネルで覆われており、完全にフラットになっていることも特徴であり、外観もすっきりしている。液晶上部には、Webカメラが搭載されている。画素数は通常の液晶パネル搭載時が200万画素、白色LEDバックライト採用液晶パネル搭載時が130万画素となる。ビデオチャットはもちろん、顔認証ソフトもプリインストールされており、顔認証によるログオンも可能だ。また、Webカメラの左右には、アレイマイクが搭載されている。
●インターフェイスが充実しており、DisplayPortやeSATAにも対応 キーボードのキーピッチは約19mmで、不等キーピッチもなく、快適にタイピングが行なえる。ただし、Enterキーの右側にPgUpキーやPgDnキーが配置されているのは、好みが分かれるところだろう。ポインティングデバイスとしては、タッチパッドを採用。キーボードとタッチパッドのクリックボタンにキーボードライトとして白色LEDが内蔵されていることも特徴だ。暗い場所でもキーボードライトを点灯すれば、タイプミスを防げる。 キーボード右上に、タッチ式のマルチメディアボタンを搭載していることも特徴だ。マルチメディアボタンで、CD/DVDの再生操作や音量調整などが可能なほか、無線LAN機能のオン/オフも行なえる。マルチメディアボタンにも白色LEDが搭載されており、高級感の演出に一役かっている。 インターフェイスが充実していることも高く評価できる。USB 2.0×2やIEEE 1394をはじめ、HDMIやDisplayPortにも対応している。また、USB 2.0ポートのうち1つは、eSATA端子と兼用になっているほか、PCの電源オフ時にも電源が供給されるPowerShare USBとなっている。ラインアウト(ヘッドフォン)端子が2つ用意されているので、ヘッドフォンを2つ繋いで、2人で一緒に音楽を楽しむことも可能だ。筐体が大きなStudio XPS 16に比べると、USB 2.0ポートの数が1つ減っているが、拡張性についての不満はない。 カードスロットとしては、ExpressCard/54スロットと8-in-1メディアカードリーダを搭載。8-in-1メディアカードリーダでは、メモリースティック、メモリースティックPRO、SDメモリーカード、SDHCメモリーカード、SDIOカード、MMC、xD-Picture Cardの読み書きが行なえる。ワイヤレス機能としては、IEEE 802.11a/b/g/ドラフトn対応無線LAN機能を装備しているほか、BTOでBluetooth 2.0+EDRを追加することもできる。 また、デル独自のランチャーソフト「Dell Dock」がプリインストールされており、よく使うアプリケーションやファイルをまとめて管理できる。 ●Hybrid SLIの効果はアプリケーションによって異なる バッテリは11.1V/56Whの6セル仕様で、残量表示用インジケータが用意されており、ボタンを押すことで残量を知ることができる。ACアダプタはStudio XPS 16で使われているのと同じ薄型タイプである。 参考のために、ベンチマークテストを行なってみた。利用したベンチマークソフトは、「PCMark Vantage 1.0.0.0」と「PCMark05(Build 1.2.0)」、「3DMark06(Build 1.1.0)」、「フロントミッションオンラインオフィシャルベンチマーク」、「モンスターハンターフロンティアオンラインベンチマーク」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」だ。また、Windowsエクスペリエンスインデックスも計測した。比較対照用に、デル「Studio XPS 16」、パナソニック「Let'snote F8」、ソニー「VAIO type T VGN-TT90S」、レノボ「ThinkPad X61 Tablet」の結果もあわせて掲載している。 Studio XPS 13は、Hybrid SLIに対応していることがウリの1つであり、今回の試用機も対応した構成であるため、その効果も検証してみた。Hybrid SLIのグラフィックスモードには、チップセット内蔵グラフィックス機能のみを利用する「省電力モード」とチップセット内蔵グラフィックス機能と外付けGPUを併用して、描画パフォーマンスを向上させる「パフォーマンス最大化モード」の2種類がある。 Hybrid SLIのモードは、Windows Vistaの電源プランおよび電源状態と連動して切り替わるようになっている。デフォルトでは、Windows Vistaの電源プランが「バランス」の場合、バッテリ駆動時が「省電力」、AC電源接続時が「パフォーマンス最大化」になり、電源プランが「省電力」の場合、バッテリ駆動時もAC電源接続時も「省電力」になり、電源プランが「高パフォーマンス」の場合、バッテリ駆動時もAC電源接続時も「パフォーマンス最大化」となる。また、電源プランが「高パフォーマンス」のとき以外は、システムのアイドル状態が4分間続くと、自動的に省電力モードが有効になる。なお、現在のグラフィックスモードは、右下のタスクバートレイのアイコンによって確認できる。
結果は下の表にまとめた通りで、より高クロックで動作するCPUと高性能GPUを搭載したStudio XPS 16には及ばないものの、このクラスのノートPCとしては優秀なパフォーマンスを発揮している。 Hybrid SLIの効果だが、省電力モード時とパフォーマンス最大化モード時を比べると、3DMark06のスコアは2328から3789へと大きく向上しているほか、Windowsエクスペリエンスインデックスのゲーム用グラフィックスのスコアが5.3から5.5に向上している。しかし、PCMark VantageのGaming Scoreやフロントミッションオンラインのように、省電力モード時とパフォーマンス最大化モード時でスコアがほとんど変わっていないものや、PCMark05のGraphics Scoreやモンスターハンターフロンティアオンラインのように、パフォーマンス最大化モードの方が逆にスコアが低下しているものもある。 試作機ということもあり、グラフィックスドライバのチューニングがまだ十分ではないのだろう。製品版ではドライバが新しくなっており、性能が向上している可能性もあるが、単体GPUのGeForce 9500MはNVIDIAのモバイル向けGPUの中でもローエンドに位置する製品であり、最新3Dゲームを快適に遊びたいという用途には力不足であることに変わりはない。
【表】Studio XPS 13のベンチマーク結果
●携帯性より使い勝手や拡張性を重視する人にオススメ Studio XPS 13は、高級感のあるボディと充実したスペックが魅力のモバイルノートPCである。モバイルノートPCとしてはやや重量が重いため、携帯性を重視するよりも、使い勝手や拡張性を重視する人にオススメだ。価格は最小構成で119,980円であり、コストパフォーマンスも高い。リビングで使うノートPCを探している場合でも、15型クラスのノートPCでは筐体のサイズが大きくて邪魔だという人もいるだろう。そうした人にも、サイズが手頃で部屋から部屋への移動も楽にできる本製品は、有力な選択肢となる。 □関連記事 (2009年3月11日) [Reported by 石井英男]
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