東芝「NB100/HF」
~64GB SSD搭載を搭載したネットブック




東芝「NB100/HF」

発売中

実売価格:65,000円前後



 国内大手メーカー初のネットブックとして話題となった、東芝の「NB100」に新モデルが登場。新たに登場したのは、160GB HDDを搭載する「NB100/H」と、64GB SSDを搭載する「NB100/HF」の2モデルで、今回はその中からSSD搭載モデルであるNB100/HFを取り上げる。

 価格はオープンプライスで、3月初旬の実勢価格は65,000円前後になっている。

●64GB SSDを搭載するとともに、OSがWindows Vistaに

 NB100/HFの最大の特徴となるのが、ストレージとして容量64GBのSSDを採用している点だ。搭載するSSDは、東芝製の「THNS064GE4BBDC」という、SATA仕様の2.5インチSSDだ。SSDを搭載することによって0スピンドル仕様が実現されて耐衝撃性が向上するとともに、読み出し速度の向上によって体感のパフォーマンスも向上することになる。

 このSSDのパフォーマンスは、読み出し最大100MB/sec、書き込み最大40MB/secとされている。CrystalDiskMark 2.2.0を利用したベンチマークテストでも、ほぼ仕様通りの速度が確認された。ただし、NB100に搭載されるHDDとの比較では、読み出し速度はかなり高速になっているが、書き込み速度は逆に遅くなっているため、書き込みが多発する場合にはやや遅く感じるはずだ。

CrystalDiskMark 2.2.0の結果
NB100/HF NB100

 ちなみに、容量64GBのSSDを搭載することによって、Windows XPベースでのULCPCライセンス基準(SSDは容量16GB以下)を満たすことができず、OSがWindows Vista Home Basic SP1に変更されている。そのため、NB100とのパフォーマンス比較は直接は行なえない。そこで、NB100/HF単体での使用感のみを記しておく。

 まず、標準仕様のままでの利用では、やはり少々動作が重いという印象だ。SSDによって読み出し速度は高速なので、大きなストレスを感じるほどではないものの、メインメモリが標準で1GB(最大も1GB)では、どうしてもSSDへのアクセス頻度が高くなり、もたつきを感じてしまう。つまり、OSがWindows Vistaになったことと、メインメモリが1GBであるために、せっかくのSSDの速度も生かし切れていないということだ。

 ただ、NB100/HFは、サポート外ではあるものの、2GBのメインメモリが搭載可能だ。そこで、2GBのSO-DIMMを用意して取り付けてみたところ、問題なく認識されたのはもちろん、SSDへのアクセス頻度がかなり減って、動作がかなり軽くなった。これでも、Windows XPに比べると、まだ重いという印象を受けるのは事実だが、メインメモリを2GBにすれば、Windows Vistaでも比較的快適に利用できる。

 メインメモリが1GBの場合と2GBの場合で、Windows Vistaの起動時間(ウェルカムセンターが表示されるまで)の差をチェックしてみたところ、1GB搭載時では1分50秒から2分20秒ほど、2GB搭載時では1分17秒から1分40秒ほどであった。また、1GB搭載時にはウェルカムセンター表示後もSSDへのアクセスがさらに30秒以上続くものの、2GB搭載時には10秒ほどでSSDへのアクセスが低減した。この点からも、サポート外ではあるものの、メインメモリの増量は必須と言える。

 ちなみに、NB100でWindows XP起動時間も計測してみたが、そちらは1分10秒前後であった。

Windows Vista起動時間(ウェルカムセンター表示まで)
メモリ1GB搭載時1分50秒~2分20秒
メモリ2GB搭載時1分17秒~1分40秒

【動画1】NB100/HFの起動の様子(メモリ1GB)
【動画2】NB100の起動の様子

●バッテリの大容量化によってバッテリ駆動時間が延長

 NB100/HFのもう1つの特徴となるのが、バッテリ容量の大容量化によってバッテリ駆動時間が延長されているという点だ。

 従来モデルに標準添付されていたバッテリ(PABAS155)は、容量が29Whであったのに対し、NB100/HFに標準添付されているバッテリ(PABAS156)は、容量が38Whに増量されている。バッテリのサイズは全く変わっておらず、重量も従来モデルの212g(実測値)に対して224g(実測値)と12g増でしかない。また、容量は増加しても、本体重量はNB100よりも軽量になっており、携帯性は若干だが向上している。そして、この容量が増加したバッテリが搭載されることで、バッテリ駆動時間はカタログ値で約5時間となっている。

バッテリ駆動時間
NB100/HF2時間46分
NB100(PABAS155利用時)1時間48分
NB100(PABAS156利用時)2時間25分

標準添付のバッテリは、容量が38Whに増量されている NB100に標準添付のバッテリ(上)と形状は全く同じだ NB100/HF付属のバッテリ(PABAS156)は、重量が224gだった
NB100付属のバッテリ(PABAS155)は、重量が212gと12g軽い NB100/HFの本体重量は、実測値で1,025gと、NB100よりも軽量だ NB100の本体重量は、実測値で1,059g。12g軽量なバッテリを搭載するが、NB100/HFより若干重い

 では、実際に従来モデルとバッテリ駆動時間を比較してみよう。テスト方法は、液晶輝度を最大に設定し、無線LANおよびBluetoothを動作させた状態で、動画ファイル(WMV9、ビットレート1,156kbps、640×480ドット)をWindows Media Player 11を利用して連続再生させるというものだ。

 結果は、NB100が約1時間48分だったのに対し、NB100/HFでは約2時間46分と、1時間ほどバッテリ駆動時間が延びている。これなら、省電力機能を有効にすれば4時間ほどのバッテリ駆動も十分視野に入るはずで、常に持ち歩いて利用したいと考えている人にとって嬉しい変更点と言える。

 ちなみに、NB100/HFに付属するバッテリをNB100に取り付けて利用した場合には、約2時間25分であった。この差は、ストレージのHDDとSSDの消費電力の差によるものと考えていいだろう。

●ストレージとバッテリ容量以外のスペックは変更なし

 NB100/HFの基本スペックは、ストレージとバッテリ容量以外はNB100と全く同じだ。CPUはAtom N270(1.60GHz)、チップセットはIntel 945GME Express、メインメモリは標準/最大1GB(非サポートながら2GBも搭載可能)と、おなじみの仕様だ。

 液晶もNB100と全く同じ、1,024×600ドット表示対応の8.9型Clear SuperView液晶だ。非常に美しい発色に加え、パネル面に低反射処理が施され、一般的な光沢液晶に比べると映り込みが少ない点は好印象だ。

 キーボードやタッチパッドもNB100と全く同じ。キーボードのキーピッチは約15.9mmとやや狭く、少々窮屈に感じるが、無理な配列はほとんどないため、慣れればタッチタイプも不可能ではない。タッチパッドは、クリックボタンとパッド面の間にすき間が無く、操作時に誤動作を起こしやすい点が少々気になった。

 無線機能としてIEEE 802.11b/g対応の無線LANおよびBluetooth 2.1+EDRを標準搭載する点や、本体に用意されるポート類もNB100と変わらない。

 ちなみに、本体形状もNB100と同じだが、本体天板のカラーがシャンパンゴールドとなっている。NB100の、光沢感の強いコスミックブラックもいいが、シャンパンゴールドも高級感があり悪くない。ちなみに、160GB HDD搭載のNB100/Hはコスミックブラックとなる。

本体正面。マイク・ヘッドフォン端子が用意される点も含め、NB100と変わらない 左側面。厚さは29.5~33mm。本体手前側にUSB 2.0ポートが用意されている 背面。バッテリを挟んで左にアナログRGB出力(ミニD-Sub15ピン)、右に100BASE-TX対応LANポートと電源コネクタがある
右側面。SD/SDHC/メモリースティックPROなどに対応するブリッジメディアスロットとUSB 2.0×2がある 天板は、カラーがシャンパンゴールドとなり、コスミックブラックとは異なる高級感がある フットプリントは、225×190.5mm(幅×奥行き)。背面にバッテリが飛び出す形状に変更はない
液晶は、NB100と同じ、1,024×600ドット表示対応の8.9型Clear SuperView液晶を搭載。鮮やかな発色が特徴だ 液晶パネルは180度近くまで開く 液晶上部には、Webカメラ用の30万画素COMSセンサーが搭載されている
キーボードもNB100と同じ。ピッチが約15.9mmと狭く、やや窮屈だ タッチパッドも仕様変更はない。パッドとクリックボタンにすき間がない点が気になる
メインメモリは、底面に用意されているSO-DIMMスロットを利用。標準かつ最大容量は1GBとされているが、サポート外の2GBモジュールも問題なく認識する 付属のACアダプタもNB100に付属のものと同じだ

●バッテリ駆動時間を重視したい人におすすめ

 では、ベンチマークテストの結果をチェックしていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark05 (Build 1.2.0)」と、HDBENCH.NETの「HDBENCH Ver3.40beta6」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の3種類。メインメモリを1GB搭載した場合と2GB搭載した場合の双方で計測した。また、比較用として、NB100、HP Mini 2140 Notebook PC、Eee PC S101の結果も加えてあるが、OSが異なるため参考値として考えてもらいたい。

 結果を見ると、OSが違うことで若干結果が劣っているものもあるが、スペックが横並びと言うこともあり、ほぼ同じパフォーマンスとなっている。ただ、SSDの読み出し速度が高速なことから、PCMark05のHDD Scoreはかなり優秀だ。ちなみに、メインメモリ容量によるベンチマーク結果の差はほとんどなかった。


NB 100/HF NB 100/HF NB100 HP Mini 2140 Notebook PC Eee PC S101
CPU Atom N270
(1.6GHz動作)
Atom N270
(1.6GHz動作)
Atom N270
(1.6GHz動作)
Atom N270
(1.6GHz動作)
Atom N270
(1.6GHz動作)
ビデオチップ Intel 945 GME Express Intel 945 GME Express Intel 945 GME Express Intel 945 GME Express Intel 945 GME Express
メモリ 2GB 1GB 1GB 1GB 1GB
OS Windows Vista Home Basic SP1 Windows Vista Home Basic SP1 Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Home Edition SP3 Windows XP Home Edition SP3
PCMark05 Build 1.2.0
PCMark Score 1600 1594 1535 1561 1759
CPU Score 1335 1387 1473 1487 1492
Memory Score 2320 2296 2368 2344 2414
Graphics Score 420 417 596 547 545
HDD Score 9297 9239 4639 5768 7755
HDBENCH Ver3.40beta6
All N/A N/A 35042 40144 45668
CPU:Integer 88660 88050 94127 94278 98124
CPU:Float 61830 61597 64626 64792 67228
MEMORY:Read 47890 47766 48023 48106 49495
MEMORY:Write 48018 48055 48522 48569 50243
MEMORY:Read&Write 84566 84523 84590 85545 88536
VIDEO:Recitangle 2800 3101 16786 16721 17759
VIDEO:Text 5370 3935 19968 6945 9164
VIDEO:Ellipse 3794 2715 4256 4273 4436
VIDEO:BitBlt 104 102 245 192 269
VIDEO:DirectDraw 7 6 29 29 35
DRIVE:Read N/A N/A 44872 71160 83934
DRIVE:Write N/A N/A 45169 47473 46800
DRIVE:RandomRead N/A N/A 13427 28992 62326
DRIVE:RandomWrite N/A N/A 20603 21988 14151
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
LOW 1109 1111 1433 1409 1541

 NB100/HFは、従来モデルのNB100と本体の外観や基本スペックにほとんど違いがない、マイナーバージョンアップモデルだ。64GBの大容量SSDを搭載する点は魅力の1つだが、それによってOSがWindows Vista Home Basic SP1になっており、体感のパフォーマンスがやや悪くなっている点は気になる。Windows XPへのダウングレードが提供されていないため、Windows XPで利用したいなら、160GB HDD搭載のNB100/Hを選択すべきだろう。

 それでも、バッテリ容量増とSSD搭載によって、HDDモデルを大きく上回るバッテリ駆動時間を実現している点は魅力となる。OSよりもバッテリ駆動時間を重視したいなら、NB100/HFはおすすめできる。

 ちなみに、NB100/HFにWindows XPを導入した場合には、比較的高速なSSDによってかなり快適に利用できるものと思われる。本来なら、Windows XPを導入したうえでパフォーマンスをチェックしたかったが、今回は試用機ということと、Windows XPへのダウングレードが未サポートとなっていることもあり見送った。この点については、今後実機を入手できた段階で検証したいと思う。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□製品情報
http://www3.toshiba.co.jp/pc/catalog/nb/090119nb1/index_j.htm
□関連記事
【1月19日】東芝、64GB SSD搭載/5時間駆動の8.9型ネットブック
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2009/0119/toshiba1.htm
□ネットブック/UMPCリンク集(東芝)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2008/link/umpc.htm#toshiba

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(2009年3月11日)

[Reported by 平澤寿康]


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