レビュー
PCのキーボード/マウスをスマホからも使えるBluetoothアダプタ
~即使えて、切り替えも瞬時
(2013/11/16 06:00)
バッファローの「BSHSBT04BK」は、PCに繋ぐことで、PCのキーボードおよびマウスを他のモバイルデバイスからも利用できるようにするBluetoothアダプタだ。発売は11月上旬、価格は4,200円。今回この製品を試用してみたので、レポートをお届けする。
スマートフォンやタブレットの能力が向上するのにつれ、Webの閲覧、友達とのメッセージのやりとり、SNSの利用、ゲームなど、あらゆる用途でPCを使わずにスマートフォンなどで済ませてしまうことがすっかり増えた。
しかし、慣れによる部分も大きいが、テキスト入力をするにあたって、タッチキーボードは、ハードウェアキーボードに比べて、ミスタイプが多かったり、速度が遅かったりと、効率が良くない。筆者も、移動中や外出先でTwitterやFacebookを多く利用するが、誤入力にはいつもいらいらさせられてしまう。そのため、spモードメールのように、スマートフォン端末でしか使えないもので長文を入力する必要があるときは、PCで入力したものを自分宛に送って、目的の人に転送というまどろっこしいことも行なっている。
そういう人にお勧めしたいのが、今回のBSHSBT04BKだ。スマートフォンでのテキスト入力の効率を上げるため、外付けのBluetoothキーボードなどを利用している人も少なくないだろう。しかし、すでにPCを持っているなら、その慣れ親しんだキーボードを使わない手はない。
本製品の使い方は非常に簡単だ。まず、本製品をPCのUSBポートに接続する。するとストレージ部分がリムーバブルディスクとして認識される。この中にあるVirtualHID.exeを実行すると、ソフトキーボードが表示されるので、メニューから「Bluetooth」→「ペアリングを開始」を選び、モバイル端末で「VirtualHID」をペアリングしてやる。これだけで、PCのキーボードがモバイル端末で使えるようになる。面倒なドライバのインストールや再起動などは一切必要ない。
さらに、ホストとクライアントの切り替えは瞬時、というよりほとんど意識する必要がない。どういうことかというと、PC側でVirtualHIDアプリを起動し、それがフォアグラウンドにある間は、キー入力がクライアント端末に伝えられる。そして、今度はPCで何か作業したくなったとして、ブラウザなどを開くと、VirtualHIDがバックグラウンドに移った瞬間に、キーボードの支配権はホストPCに戻るので、VirtualHIDで明示的に何かを切り替えるという作業は必要ないのだ。
キーボードのタイプは、利用するモバイルデバイスに併せて、iPad/iPhone、Mac、Windows、Androidの4つのモードから選択が可能。
WindowsモードではWindowsキー、メニューキーも表示され、例えばWindows PCとWindowsタブレットの組み合わせなら、Windowsキーを使ったショートカットなどを問題なく利用できる。MacモードではCommandキーも表示/利用できる。
Androidモードではホームボタン、メニューボタン、音量ボタン、ロックボタンなどがファンクションキーの欄に表示されるので、該当するファンクションキーを押すと、Windowsのキーボードから、ダイレクトにホーム画面を表示させたり、検索画面を出したりすることができる。ロックボタンを押すと、スリープ状態になり、もう一度押すときちんと復帰する。もちろんスワイプ操作は代用できないが、PINコードやパスワードでロックしてる人は、そのままPCのキーボードからパスワード入力もできる。
英語配列/日本語配列も選択できるのだが、これはVirtualHIDの見た目こそ変わるものの、クライアントに送られる文字列は見た目通りではないことがある。今回検証した限りでは、日本語キーボードのPC(Windows 8.1)をホストにして、別のWindows PCをクライアントにし、VirtualHIDを英語配列にした場合、Pの右横は「[」キーとなるが、それを押しても「@」が表示された。OSでキーボードレイアウトをUSにすると英語キーボードとして扱われるので、OSの設定をVirtualHIDでは上書きできないということになる。
一方Androidでは、クライアント側の設定により、英語/日本語配列への対応を切り替えられた。Nexus 7(2013)+Google日本語入力の環境では、「ハードウェアキーボードの設定」がデフォルトで「日本語109A配列」となっている。この状態だと、VirtualHIDを英語にしようが日本語にしようが、クライアントからは日本語キーボードとして認識される。英語配列で使いたい場合は、Androidの設定の「言語と入力」の「物理キーボード」を「English(US)」にした上で、Google日本語入力の「ハードウェアキーボードの設定」を「システム配列」にする。逆にホストPCのキーボードが英語配列の場合は、「物理キーボード」の設定は不要で、Google日本語入力の「ハードウェアキーボードの設定」を「システム設定」にすると英語キーボードに、「日本語109A配列」にすると日本語キーボードになる。ただ、日本語入力方法が「ATOK」だと、VirtualHIDは常にホストPCの配列で扱われ、試した限りでは日本語/英語配列を切り替えられなかった。
通常の用途では、VirtualHIDの日本語/英語配列を切り替えて使う必要性はないだろうが、そういう使い方を想定しているユーザーは注意が必要だ。
もう1つ注意点というか、ティップス的になるが、Androidをクライアントとする時に、キーボードモードをAndroidにすると、前述の通りホームキーなどが使えるのだが、変換用としてファンクションキーが使えなくなる。そこで、敢えてWindowsモードにしておくと、クライアントがAndroidであっても、PCのように変換時にF6で全角かな、F7で全角カナ、F8で半角カナ、F9で全角英語、F10で半角英語となるので便利だ。
ちなみに、本末転倒だが、VirtualHIDのソフトキーボードをタッチやマウス操作で使うこともできる。
また、iPad/iPhoneモードを除き、右上にマウスアイコンのボタンがあり、これを押すと、マウスもクライアント端末で利用できる。
クライアントは10台までペアリング登録可能で、複数の端末があるときはメニューから接続先を切り替えられる。なお、登録ごとにキーボードモードを記憶させておくことはできないが、今後のバージョンでキーボードモードの保存が検討されている。
ペアリング情報は、ホストPC内に保存されるので、本製品を異なるホストPCで使うと、接続先としてそのPCでペアリングした端末の名前が表示される。
ホストの対応OSはWindows XP/Vista/7/8およびMac OS X 10.5以降。クライアントは、Android 4.0以降、iOS 6以降にも対応する。
というわけで、少なくともノートPCが必要と言うことで、本製品は完全にモバイルBluetoothキーボードの置き換えになるわけではない。だが、自宅や会社に常にPCがあり、その慣れたキーボードでモバイル端末でもスムーズに入力したいという向きには、検討に値する製品である。