レビュー

第5世代AシリーズAPU「A10-7870K」をベンチマーク

 AMDは5月28日、Socket FM2+対応のAシリーズAPU「A10-7870K」を発売した。今回はこの新APUのパフォーマンスをベンチマークでチェックする。

動作クロックが向上したデスクトップ向けAPU最上位モデル

 A10-7870Kは、第4世代AシリーズAPU「Kaveri」をリファインした新コア「Godavari」を採用するAPUだ。SteamrollerアーキテクチャのCPUコアを4基と、Graphics Core Next(GCN)アーキテクチャの8 GPU Compute Unit(512 Stream Processor)を備える。CPUクロックは3.9GHz(Turbo CORE時最大4.1GHz)で、GPUクロックは最大866MHz。

 CPUとGPUのほかには、4MBのL2キャッシュ、メモリコントローラ(DDR3-2133対応)、PCI Express 3.0などを備えている。TDPは95Wで、製造プロセスは28nm。また、型番末尾に「K」のサフィックスが付与されたA10-7870Kは、CPU倍率やGPUクロックを上方変更可能なアンロックモデルである。

 新コアのGodavariを採用するA10-7870Kだが、そのスペックはKaveriの最上位モデルである「A10-7850K」の動作クロックを向上させたものだ。MantleやTrue Audioなど、Kaveriがサポートしていた機能はA10-7870Kでも利用できるが、CPUやGPUのアーキテクチャ変更、新機能の追加などは無い。

 APU本体以外の部分では、従来のAPUでは全てアルミ製だった純正CPUクーラーのヒートシンクが、ヒートパイプや銅板を用いた高性能版に変更された。これに伴い、製品パッケージが一回り大きくなっている。

A10-7870K
CPU-Z実行画面
GPU-Z実行画面
銅板やヒートパイプを用いた高性能版の純正CPUクーラーが付属する。
A10-7870Kの主なスペック

A10-7870K A10-7850K
製造プロセス 28nm 28nm
開発コードネーム Godavari Kaveri
コア数 4 4
CPUクロック(定格時) 3.9GHz 3.7GHz
CPUクロック(Turbo CORE時) 4.1GHz 4.0GHz
GPUコア Radeon R7 Radeon R7
SP(Radeonコア) 512基(64基×8GPU CU) 512基(64基×8GPU CU)
GPUコアクロック(最大) 866MHz 720MHz
TDP 95W 95W
倍率アンロック
対応ソケット FM2+ FM2+

クロック向上分だけスコアも上がったベンチマーク結果

 それでは、ベンチマークテストでA10-7870Kのパフォーマンスをチェックしていこう。

 テスト環境には、A10-7870K対応版UEFIを適用したAMD A88Xチップセット搭載マザーボードASUS A88X-PROとDDR3-2133メモリを用い、比較対象として、Kaveriの最上位モデルにして、A10-7870Kの1つ下位に位置することとなったA10-7850Kを用意した。

テスト環境
CPU A10-7870K A10-7850K
マザーボード ASUS A88X-PRO(UEFI: 1902)
メモリ DDR3-2133 4GB×2 (11-11-11-31、1.65V)
ストレージ Transcend TS512GSSD370(512GB/SSD)
ビデオメモリ 2GB割り当て
電源 Antec HCP-1200(1200W 80PLUS GOLD)
グラフィックスドライバ 14.502.1028 Catalyst Omega 14.12
OS Windows 8.1 Pro Update 64bit

 まず測定したのはPCMark 8とPCMark 7。PCMark 8では、OpenCL対応デバイスを利用する「Run Accelerated」でテストを実行している。

 PCMark 8では、「Home」で約4%、「Work」で約1%、「Creative」で約9%、それぞれA10-7870KがA10-7850Kを上回った。他のテストよりもOpenCLを活用するCreativeでA10-7850Kを引き離していることから、GPUクロックの大幅な向上がパフォーマンスに影響していることが伺える。

 一方、PCMark 7に関しては「Entertainment」と「Computation」で2〜3%ほどA10-7870Kが優位である以外、両APUの間に目立ったスコア差はついていない。

PCMark 8
PCMark 7

 続いて、3D系ベンチマークの結果を見てみよう。

 まずは定番の3DMarkのスコアだ。Fire Strikeは約7%、Sky Diverは約9%、Cloud Gateは約4%、Ice Storm Extremeは約5%、それぞれA10-7870Kが優位なスコアを記録した。GPU性能が問われるGraphicsスコアに関しては、各テストとも総合スコアより大きな差をつけている。

 「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」では、描画品質を「標準品質(デスクトップPC)」に設定し、グラフィックスAPIをDirectX 9とDirectX 11にそれぞれ設定した際のスコアを測定した。結果、DirectX 9では約6%の差をつけたA10-7870Kだが、DirectX 11でのスコア差は3%弱に留まった。

 その他、PSO2ベンチマークでは約8%、MHFベンチマークでは約9%の差をつけて、A10-7870KがA10-7850Kを上回った。

 スペック上、最大GPUクロックでA10-7850Kを20%ほど上回るA10-7870Kだが、DDR3-2133メモリと組み合わせた場合では、3Dベンチマークでのスコア差は、概ね10%弱程度となるようだ。

3DMark - Fire Strike [Default]
3DMark - Sky Diver [Default]
3DMark - Cloud Gate [Default]
3DMark - Ice Storm Extreme [Default]
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
MHFベンチマーク【大討伐】 [フルスクリーン]
PSO2キャラクタークリエイト体験版 ver. 2.0

 最後に消費電力の比較結果を紹介する。消費電力については、サンワサプライのワットチェッカー(TAP-TST5)を用いて、ベンチマークテスト実行時にPCが消費した最大電力を測定している。

 アイドル時の消費電力はほぼ横並びと言える結果となったが、ベンチマーク実行時の消費電力については、A10-7870KがA10-7850Kより10%前後高い数値を記録している。先に紹介したベンチマークスコアでの優位性が10%弱であることを考えると、性能が向上した分だけ消費電力も増加していると見て良いだろう。

システム全体の消費電力

クロック向上版Kaveriとして順当な性能を持つA10-7870K

 以上の通り、A10-7870KのパフォーマンスをA10-7850Kと比較してみた。結果としては、性能的にも消費電力的にも、A10-7850Kのクロック向上版として順当なものであると言えるだろう。

 19,000円前後で販売されているA10-7870Kは、既にA10-7850Kを所有しているユーザーにとって、魅力的なアップグレードパスとは言い難いが、これからAPU環境を構築しようというユーザーにとっては、APU最上級製品として検討に値する。

 なお、GodavariであるA10-7870Kを動作させるには、マザーボードが対応UEFIにアップデートされている必要がある。新たにA10-7870Kを購入するのであれば、組み合わせるマザーボードのUEFIがGodavariに対応していることを忘れずに確認したい。

(三門 修太)