レビュー

Maxwellのモンスター、「GeForce GTX TITAN X」をベンチマーク

 NVIDIAは3月18日(日本時間)、Maxwellアーキテクチャを採用する最上位のハイエンドGPU「GeForce GTX TITAN X」を発表した。発表に先立ち同GPUをテストする機会が得られたので、そのベンチマークレポートをお届けする。

新GPUコア「GM200」ベースの超ハイエンドGPU

 GeForce GTX TITAN Xは、新GPUコア「GM200」を採用し、現行のハイエンドGPU「GeForce GTX 980」に代わって、Maxwell世代の最上位モデルとなるハイエンドGPU。ベースとなったGM200は、GeForce GTX 980に採用されている「GM204」と同じく、28nmプロセスで製造され、Maxwellアーキテクチャ採用しているが、GM204より巨大なGPUコアである。

 GeForce GTX TITAN XのGM200コアは、3,072基のCUDAコア、192基のテクスチャユニット、96基のROPユニットを備え、1,000MHz(Boostクロック1,075MHz)で動作する。また、メモリインターフェイスは384bitで、7GHz相当で動作する12GBのGDDR5メモリと接続している。GeForce GTX TITAN Xが備えるCUDAコアなどのユニットやメモリインターフェイスは、GeForce GTX 980の1.5倍に相当する。TDPは250W。

 なお、Keplerアーキテクチャを採用していた前世代のウルトラハイエンドGPU「GeForce GTX TITAN」および「GeForce GTX TITAN Black」では、GPUコアが備える倍精度演算ユニットの動作クロックを引き上げる機能が用意されており、NVIDIAコントロールパネルから設定が可能だったが、GeForce GTX TITAN Xでは設定項目が削除された。レビュワーズガイドによれば、GeForce GTX TITAN Xの倍精度演算の命令スループットを単精度の32分の1にしており、これはGeForce GTX 980と同様とされている。

NVIDIAコントロールパネル。GeForce GTX TITAN Black(左)に用意されている「倍精度」の項目が、GeForce GTX TITAN X(右)には存在しない
【表1】GeForce GTX TITAN Xの主なスペック
GeForce GTX TITAN X GeForce GTX 980 GeForce GTX TITAN Black
アーキテクチャ Maxwell(GM200) Maxwell(GM204) Kepler(GK100)
製造プロセス 28nm 28nm 28nm
GPU ベースクロック 1,000MHz 1,126MHz 889MHz
GPU ブーストクロック 1,075MHz 1,216MHz 980MHz
CUDAコア数 3,072基 2,048基 2,880基
テクスチャユニット 192基 128基 240基
メモリ容量 12GB GDDR5 4GB GDDR5 6GB GDDR5
メモリクロック 7.0GHz 7.0GHz 7.0GHz
メモリインターフェース 384bit 256bit 384bit
ROPユニット 96基 64基 48基
TDP 250W 145W 250W

 今回借用したのは、GeForce GTX TITAN Xのリファレンスボードだ。GeForce GTX TITANで初めて採用されて以来、マイナーチェンジを重ねてきた、金属製フレーム採用の2スロット占有GPUクーラーを搭載。GeForce GTX TITAN Xでは、GPUクーラーのベースカラーを銀から黒に変更している。

 基板上部には2基のSLI端子と、補助電源コネクタ(8ピン+6ピン)を用意。ディスプレイ出力端子はDisplayPort 3系統のほか、DVI-IとHDMI 2.0を各1系統ずつ備える。

基板表面。GPUクーラーは黒色を基調としたカラーリングに変更された
基板裏面。バックプレートは搭載していない
GeForce GTX TITAN Black(下)と並べたところ。色以外のデザインはほぼ同じ
基板上部のSLI端子
補助電源コネクタ。6ピン+8ピンの2系統
ブラケット部。出力端子はDVI-I、HDMI、DisplayPort×3

ベンチマーク結果

 それではベンチマーク結果の紹介に移ろう。今回、GeForce GTX TITAN Xの比較用GPUとして、「GeForce GTX 980」「GeForce GTX TITAN Black」と、AMDの「Radeon R9 290X」を用意した。

 いずれもハイエンドGPUと呼ばれるものを用意したが、GeForce GTX TITAN Xと同格と呼べるのは、1世代前のウルトラハイエンドGPUである「GeForce GTX TITAN Black」のみ。GeForce GTX 980やRadeon R9 290Xは、より下位グレードかつ価格の安い製品である点に留意されたい。

【表2】テスト環境
GPU GTX TITAN X GTX 980/TITAN Black R9 290X
CPU Intel Core i7-4790K
マザーボード ASUS MAXIMUS VII GENE
メモリ DDR3-1600 8GB×2(9-9-9-24、1.50V)
ストレージ 120GB SSD(Intel SSD 510シリーズ)
電源 Antec HCP-1200(1,200W 80PLUS GOLD)
グラフィックスドライバ GeForce 347.25 Driver GeForce 347.52 Driver Catalyst Omega 14.12
OS Windows 8.1 Pro Update 64bit
GeForce GTX TITAN Blackのリファレンスボード
GeForce GTX 980のリファレンスボード
Radeon R9 290Xのリファレンスボード

 今回実施したベンチマークテストは、「Battlefield 4」(グラフ1)、「アサシンクリードユニティ」(グラフ2)、「3DMark」(3、4、5、6、7、8)、「3DMark11」(グラフ9)、「ファイナルファンタジーXIV」(グラフ10)、「MHFベンチマーク【大討伐】」(グラフ11)、「PSO2ベンチマーク ver 2.0」(グラフ12)。

 まずはBATTLEFIELD 4の結果だ。1,920×1,080ドット時の「描画設定:中」では全GPUともfpsが頭打ちになっているが、それ以外の設定において、GeForce GTX TITAN XはGeForce GTX TITAN Blackに対して1.5倍以上、GeForce GTX 980にも1.2〜1.4倍ほどの差を付けてトップに立っている。

【グラフ1】 BATTLEFIELD 4

 続いて、アサシンクリード ユニティの結果だ。記事執筆時点で屈指の“重い”ゲームであるこのアサシンクリード ユニティでは、1,920×1,080ドットであっても、最高描画設定で60fpsを超えたのはGeForce GTX TITAN Xのみという結果となった。また、GeForce GTX TITANは、3,840×2,160ドットのいわゆる4K解像度において、標準描画設定で30fps以上を維持できる唯一のGPUでもある。

 なお、アサシンクリード ユニティはVRAMの使用量が多いタイトルであり、3,840×2,160ドットの最高描画設定時には7GB近くVRAMを利用する。高解像度でゲームを楽しむ場合、GeForce GTX TITAN Xが備える12GBという大容量メモリはアドバンテージとなり得る。

【グラフ2】 アサシンクリード ユニティ
3,840×2,160ドットで描画設定を最高にした際のメモリ使用量(Memory Used)。描画設定次第では7GBを超える場合もある

 3DMark Fire Strikeでは、負荷の程度により多少の変化はあるものの、GeForce GTX TITAN XのスコアはGeForce TITAN Blackの約1.5倍、GeForce GTX 980の1.3倍となっている。Sky DiverやCloud Gateでは各GPUのスコア差が縮まり、Ice Storm Extremeの総合スコアではGeForce GTX 980に逆転されているが、描画負荷が低すぎてスコアが頭うちになっているという状況であり、特別気にするような結果では無い。

【グラフ3】3DMark - Fire Strike [Default]
【グラフ4】3DMark - Fire Strike Extreme
【グラフ5】3DMark - Fire Strike Ultra
【グラフ6】3DMark - Sky Diver
【グラフ7】3DMark - Cloud Gate
【グラフ8】3DMark - Ice Storm Extreme
【グラフ9】3DMark11 [Extreme]

 DirectX 9を利用するゲームのベンチマークでは、解像度と描画設定を高くした際、GeForce GTX 980のスコア低下が、他のGPUより大きいことが確認できる。一方、GeForce GTX TITAN Xではそのような傾向は見られず、描画設定や解像度を高く設定しても、GeForce GTX TITANやRadeon R9 290Xに対する優位性を保っている。これについては、ハイエンドGPUとしては狭かったGeForce GTX 980のメモリ帯域幅を、1.5倍に強化したことが功を奏しているものと思われる。

【グラフ10】ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
【グラフ11】MHFベンチマーク【大討伐】
【グラフ12】PSO2キャラクタークリエイト体験版 ver. 2.0

 最後は、各ベンチマーク実行中の最大消費電力について、サンワサプライのワットチェッカーを用いて測定した結果を紹介する。

 アイドル時の消費電力は、各GPUで多少バラついており、最も低いGeForce GTX 980とGeForce GTX TITAN Xとの間には8Wの差が付いている。GeForce GTX TITAN Xのアイドル時消費電力はやや高めという印象だ。

 ベンチマーク実行中の消費電力については、TDP 250WのGeForce GTX TITAN Xは、同じくTDP 250WのGeForce GTX TITAN Blackとほぼ同等と言ったところ。GeForce GTX 980との差は、大きく付いているもので80〜90W程度。これはおおよそ1.3倍の消費電力となっている。消費電力差とスコア差は概ね近いものであり、性能向上分、順当に消費電力も増加しているとみて良いだろう。

【グラフ13】 システム全体の消費電力

旧世代ハイエンドGPUからの乗り換えに値する新世代ハイエンドGPU

 以上のベンチマーク結果から、GeForce GTX TITAN Xが現行のシングルGPUの中で、傑出した性能を持ったGPUであることが分かる。

 GeForce GTX 980は、素晴らしい電力性能比が魅力のハイエンドGPUであったが、実性能で1世代前のハイエンドGPU(GeForce GTX 780 Tiなど)を圧倒するものでは無かった。このため、すでにハイエンドGPUを所有しているユーザーが性能を求めて乗り換えるには物足りない選択肢だったが、GeForce GTX TITAN Xの登場により、ハイエンドGPUユーザーの乗り換え先が用意されたことになる。

 より高解像度かつ高品位なグラフィックでゲームを楽しみたいと望むゲーマーにとって、強力なGPUコアと大容量VRAMを備えたGeForce GTX TITAN Xは、間違いなく最上級の選択肢と言えるだろう。

(三門 修太)