レビュー

エプソンダイレクト「Endeavor S NY40S」

~税込み42,120円からの格安11.6型モバイルノート

「Endeavor S NY40S」
発売中

価格:42,120円~

 エプソンダイレクト株式会社は、「Endeavor S」シリーズの新モデルとなる「NY40S」を6月17日に発売した。Endeavor Sシリーズに新たに加わることになった11.6型のモバイルノートPCで、税込みで42,120円からという低価格が売りだ。その評価機を借用できたのでレポートをお届けしたい。

新ラインナップの11.6型、ヘアライン加工の落ち着いたデザイン

 エプソンダイレクトのEndeavor Sシリーズは、従来よりNY2000シリーズとして14型の製品がラインナップされていた。6月3日には、その新モデルとなる「NY2400S」も発売されている。そこから2週間を経た17日に追加されたのが、今回取り上げる「NY40S」である。

 NY40Sは11.6型の液晶を搭載するのが最大のポイント。Endeavor Sシリーズに、これまでの14型モデルに加えて、より携行性のいい製品を追加した格好となる。最小構成時の価格は42,120円と、価格面でも攻めている。

 プロセッサには、AMD E1-2100を搭載。Kabiniの開発コードネームを持つAPUで、1GHzで動作するデュアルコアCPUと、SP 128基のRadeon HD 8210を統合する。最小構成では、これにメモリ2GBとHDD 500GBを組み合わせるが、メモリは2GB(2GB×1)から4GB(2GB×2)への変更もプラス3,000円で可能となっている。なお、今回の試用機はメモリ2GBのモデルだ。

 ディスプレイは1,366×768ドット表示対応の11.6型光沢液晶を搭載。発色などは標準的だ。光沢液晶の宿命として映り込みは強めであることは否めないが、上下左右ともに斜めからの視認性が悪くないので、強く反射している部分を避けられるように見ることで多少カバーできる。この点、特に広視野角などは謳われていないディスプレイなのだが、斜めからの視認性には好印象を受けた。

 本体は黒を基調としたデザインで、ヘアライン加工された素材を多用したもの。落ち着いた雰囲気の外観になっており、多くの人に受けられる(毛嫌いされない)デザインという印象だ。ビジネス用途にも合うだろう。

 本体サイズは297×193×36mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.2kgと、液晶サイズを考えるとやや重めだが、A4サイズ(297×210mm)弱という、11.6型クラスらしいバッグに入れやすいサイズとなっている。

本体の天板
LEDインジケータ周辺。パームレスト部は天板と同じヘアライン加工された素材が使われる
ヒンジ部。液晶は本体の奥側に回り込むように開く

 このヘアライン加工の表面素材は主に天板とパームレストに利用されており、タッチパッド部は素材を変更しているもののヘアライン加工を施してパームレストと一体感を持たせている。タッチパッドの滑りは良好で、この加工によって適度な凹凸があって使いやすい。ボタンは左右クリックを独立して備えるデザインで、昨今のPCの中ではクリックに力が必要な方で、クリック音も大きめだ。

 キーボードは各キーが分離したアイソレーションタイプを採用。キーピッチ18.4mm、キーストローク2mmと、小型のノートPCとしてはキーストロークが深く、打ち心地がいい。キーボード上の文字が大きめに印刷されているのも特徴的だ。ちなみに、このキーボードは、先だって発表された14型の「NY2400S」と共通化もしている。

 極端にキーが小さかったり、キーピッチが狭くなっている部分もないのだが、キーボードの右端がEnterキーではなくHome、PageUp/Down、Endキーが並ぶレイアウトは好みが分かれそうだ。

パームレストと一体化したタッチパッド。クリックボタンは左右独立タイプ
キーレイアウト。キーサイズに対して文字が大きめに書かれていることが分かる
キーピッチは18.4mmで、極端にキーが小さかったり、ピッチが狭い箇所もない
キーボードの右端はHome/End、PageUp/Downが並ぶ

 インターフェイスは、本体左側面にUSB 3.0、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン。右側面に音声入出力、USB 2.0×2、SDカードスロット、Gigabit Ethernetを装備する。本体サイズからすれば妥当なインターフェイス数といえるだろう。

 ちなみに、Endeavor Sシリーズは、14型の旧モデルとなる「NY2300S」まではWebカメラを標準搭載していなかったが、新モデルのNY2400Sで92万画素Webカメラを標準搭載。この方針は本製品にも踏襲されており、液晶上部に同じく92万画素Webカメラを内蔵する。

 このほか無線機能として、IEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0+EDRも内蔵している。無線LANコントローラはRealtek製「RTL8723BE」を採用している。

本体左側面。USB 3.0、HDMI出力、ミニD-Sub15ピンが並ぶ。排気口もこちら側に備える
本体右側面。ヘッドフォン出力、マイク入力、USB 2.0×2、SDカードスロット、Gigabit Ethernetを備える
液晶上部に92万画素Webカメラを搭載
無線機能はIEEE 802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0を搭載

 バッテリは11.1V/2,200mAhのリチウムイオンを採用。公称駆動時間はJEITA測定法2.0で約3.9時間となっている。

バッテリは11.1V/2,200mAh品を使用。本体底面置奥という一般的な場所に装着される
本体底面はカバー1枚でメモリなどにアクセス可能
付属のACアダプタ

性能は限定的だがバッテリ駆動時間は公称を上回る

 それでは、簡単ながら本製品のベンチマーク結果を紹介しておく。使用したベンチマークソフトは「PCMark Vantage Ver.1.2.0」、「PCMark 7 Ver.1.4.0」、「3DMark Ver.1.2.362」、「3DMark 11 Ver.1.0.132」、「ファイナルファンタジー XIオフィシャルベンチマーク3」、「MHFベンチマーク【大討伐】」である。

 比較対象は適切なものを用意できなかったため掲載していないが、同じKabiniコアの「A4-5000」、Celeron 1000Mを搭載したノートPCで比較された、こちらの記事の結果が比較の際には参考になる。

【表】ベンチマーク結果
PCMark Vantage(32bit)PCMark2,229
Memories1,800
TV and Movies1,505
Gaming1,666
Music2,317
Communications3,264
Productivity1,654
HDD4,105
PCMark Vantage(64bit)PCMark2,412
Memories1,842
TV and Movies1,446
Gaming1,938
Music2,390
Communications3,456
Productivity1,812
HDD4,098
PCMark 7PCMark1,076
Lightweight874
Productivity470
Entertainment976
Creativity2,513
Computation2,085
System storage1,581
Raw system storage332
3DMark 11(Performance)Overall376
Graphics346
Physics628
Combined396
3DMark 11(Entry)Overall574
Graphics572
Physics631
Combined499
3DMarkIce Storm(Normal)13,562
Ice Storm(Extreme)9,705
Cloud Gate1,189
Fire Strike175
FF11Low2,793
High1,956
モンスターハンターフロンティア
ベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット(標準)963

 結果を見ると、可もなく不可もなくという結果で、先に紹介したリンク先のCeleron 1000M搭載ノートPCに近いか、やや劣る傾向のスコアとなっている。性能は実用レベルと言うのが妥当な評価になるだろう。

 一方で、「BBench」(海人氏作) でキーストロークと無線LANによるWeb巡回を有効にした状態で駆動時間を測定したところ、15,260秒(=約4時間14分)と、公称駆動時間を上回る結果となった。公称値がJEITA測定法2.0に基づくものなので、旧来の公称時間に比べて短めの数字であることは事実だが、液晶輝度最大で無線LANを使用しての結果という点は強調しておきたい。性能が実用レベルであることから、ゲームや長時間の動画視聴よりは、Web閲覧や文書作成などがメインの使い方になるであろうことは想像される。液晶輝度を調整すれば5時間駆動を狙える値であり、こちらは良い意味で実用レベルと言える。

とにかく安いポータブルPCが欲しい人に

 以上の通り、Endeavor Sシリーズに新たに追加された11.6型モデルであるNY40Sを試用してみた。性能に特筆すべき点はないが、11.6型というA4サイズ弱のフットプリントを持つ製品は、携行性を重視する人には気になる存在だろう。

 特に12型以下クラスでは2-in-1製品が増えていることもあって、純粋なクラムシェル型PCで低価格を訴求する製品が減っている市場の流れもある。その中で、税込みでも4万円台前半という価格で登場した本製品は、オフィスワークの延長で利用する安価なポータブルノートPCを求める人向けの有力な選択肢と言える。

(多和田 新也)