特別企画
ビジネスPCにいまIntel Optaneメモリー搭載機を選ぶべき3つの理由
提供: インテル
著者: 平澤 寿康
2017年8月29日 06:00
近年、スマートフォンやタブレットの普及を要因として、PCの不振がさまざまな場面で語らることが多い。しかし、ビジネスシーンでは、製品開発から経理などの一般事務作業まで、PCが業務に欠かせないツールとして活躍している。経営者にとっても、分析や決断を合理的かつ迅速に行なうため、PCが必須の道具であることは議論の余地がない。そういったこともあり、ビジネスPCは現在でも変わらず成長を続けている。
ビジネスPCには、作業効率を高めるために必要となる十分な性能や、さまざまな脅威に対応できる優れたセキュリティ性が求められるため、可能な限り定期的に最新テクノロジーを採用したシステムへ更新することが望ましい。ただ、いくらでもコストをかけられるわけではく、高いコストパフォーマンスも求められる。
そういった要求を満たしてくれるのが、Intel Optaneメモリー搭載PCだ。そこで今回、Intel Optaneメモリー搭載PCを利用することで、ビジネス効率をどれだけ高められるのか、見ていきたいと思う。
優れたコストパフォーマンスを容易に実現可能
PCの快適性を決定づける要素としては、CPUやGPUの処理能力、ストレージデバイスの速度など、さまざまな部分がある。用途によって求められる性能には大きな差があるが、一般事務作業などに利用するPCでは、近年のCPUで処理能力は十分に足りるのはもちろん、GPUの処理能力もそれほど高いものは求められることが少ない。そういった中で目立ってくるのが、ストレージデバイスの速度による影響だ。
日本の企業では、セキュリティの観点から外部のクラウドサービスを禁止しているところも少なくない。そういった企業では、業務に必要なデータをPCのローカルストレージに保存して利用することが中心となるため、PCには比較的大容量のストレージを搭載する必要がある。そこで、比較的低コストで大容量を確保できることから、HDDの利用が中心となっている。
ただHDDは、容量あたりのコストは安価ながら、アクセス速度という点ではかなり不利となる。回転する磁気ディスクと磁気ヘッドでデータを読み書きするという構造のため、ランダムアクセスや、複数のディスクアクセスが同時に発生した場合などに業務効率を低下させることもある。じっさいに多くのディスクアクセスが発生して、PCがほとんど反応しなくなりしばらく作業が行なえなくなった、という体験をしたことのある方も大勢いるはずだ。
非常に高速なアクセス速度を誇るSSDを導入すれば、こういった問題も容易に解決可能だが、SSDはHDDに比べて容量あたりのコストが非常に高く、テラバイトクラスの容量となると企業での大量導入はかなり難しいのが現実だ。
そういった場面で活躍するのが、Intel Optaneメモリーだ。Intel Optaneメモリーは、IntelとMicronが共同開発した「3D Xpoint」という記憶素子を採用したクライアント向けの新しい不揮発性メモリだ。構造はM.2フォームファクタを採用したSSDとほぼ同等で、接続インターフェイスはPCI Express 3.0 x2、通信プロトコルはNVM Expressをサポートしている。SSDとの違いは、HDDと組み合わせることでHDDのアクセス性能をSSD相当に改善できるキャッシュとして機能する点にある。
Intel Optaneメモリーを搭載したシステムでは、データの書き込みは基本的にIntel Optaneメモリーを経由して行なわれる。読み出しもついても、頻繁にアクセスするアプリケーション本体やデータが積極的にIntel Optaneメモリー上に蓄積されるため、HDDに直接アクセスする場面が大幅に低減。これによって、メインストレージがHDDでありながら、SSD相当の高速なアクセス速度が実現されるわけだ。
メインメモリ上にHDD用のキャッシュを用意してアクセス性能を改善する方法もあるが、キャッシュ上のデータがHDDに書き込まれる前に電源トラブルが発生するとデータが失われる場合があるため、堅牢性が最優先されるビジネスPCでは使えない。それに対し、Intel Optaneメモリーが採用している3D Xpointは不揮発性メモリのため、万が一のトラブルでもデータが失われる危険性が少ない。そのため、ビジネスPCでも安心して利用できるのだ。
Intel Optaneメモリーは、容量16GBの製品と、容量32GBの製品が販売されており、単体での実売価格は16GBモデルが5,500円前後、32GBモデルが10,000円前後。このIntel Optaneメモリーと大容量HDDを組み合わせれば、SSDよりも圧倒的に安価に、SSDに匹敵するアクセス速度を備える大容量ストレージ環境を実現できることになる。
1日あたり約5分、年間21.6時間分の業務改善が可能
では、実際にIntel Optaneメモリーでどれだけの効果が得られるのか、実際の環境を利用して検証してみよう。検証に利用したシステムの構成は以下にまとめたとおり。これは、一般ビジネス用途での利用を想定して用意したものだ。
検証システムの構成 | |
---|---|
CPU | Core i3-7350K |
マザーボード | ASRock Z270M Extreme4 |
メモリ | センチュリーマイクロDDR4-2400 8GB×2 |
システム用ストレージ | 4TB HDD WD Blue WD40E31X |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
まずはじめに、一般的なベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 8 v2.7.613」と、ひよひよ氏製作の「CrystalDiskMark v5.2.2」で、HDDのみの場合と、16GB/32GBのIntel Optaneメモリーを装着した場合で計測した。
PCMark 8のスコアはIntel Optaneメモリー搭載時がHDDのみと比べて全ての項目でスコアが上回っている。そして、Storage Testのスコアが特に大幅に向上しているのがよくわかる。Intel Optaneメモリーの容量によってもStorage Testのスコアが大きく変化しており、容量が大きい方が効果が高まる。
これは、CrystalDiskMark v5.2.2の結果からも明かだ。HDD単体時には、とくにランダムアクセス速度の遅さが目立っている。Intel Optaneメモリー搭載時には、シーケンシャルアクセス、ランダムアクセスともにSSDに匹敵する速度が得られている。こちらも、32GBモデル搭載時には速度が高まっており、効果の高さが確認できる。
PCMark 8 v2.7.613 | |||
---|---|---|---|
HDDのみ | HDD+Intel Optaneメモリー16GB | HDD+Intel Optaneメモリー32GB | |
Home Accelarated 3.0 | 3834 | 4030 | 4016 |
Creative accelarated 3.0 | 4640 | 4971 | 5006 |
Work accelarated 2.0 | 4880 | 5109 | 5107 |
Storage | 3049 | 4046 | 5008 |
続いて、Intel Optaneメモリーの有無によって、OSやアプリケーションの起動時間がどの程度変わるかチェックしてみた。こちらも、HDDのみの状態と、16GBまたは32GBのIntel Optaneメモリーを装着した状態でチェックを行った。
アプリケーションの起動時間については、一般的なビジネスシーンで広く利用されている「Excel 2016」、「Word 2016」、「PowerPoint 2016」の3つを検証した。また、ビジネスシーンでの利用はそれほど多くはないかもしれないが、起動に時間がかかるアプリケーションの代表として「Photoshop CC」も用意し、それぞれの起動時間をストップウォッチを利用して3回計測し平均を出した。
Windows 10は2017年8月3日時点での最新の更新プログラムを適用した状態で、利用したアプリケーション以外の不要なアプリケーションは極力インストールせずに計測を行なっている。結果は以下にまとめたとおりだ。
HDDのみ | HDD+Intel Optaneメモリー16GB | HDD+Intel Optaneメモリー32GB | |
---|---|---|---|
Excel 2016 | 7.6秒 | 3.3秒 | 2.8秒 |
Word 2016 | 6.6秒 | 3.0秒 | 1.7秒 |
PowerPoint 2016 | 5.9秒 | 3.0秒 | 1.7秒 |
Photoshop CC | 20.3秒 | 7.4秒 | 7.6秒 |
結果を見ると、全てのアプリケーションの起動時間がほぼ半分以下となっていることが分かる。今回の検証環境は、極力クリーンな状態としているため、HDDのみの状態でもそれほど時間がかかっている印象はないかもしれないが、それでもディスク性能が大幅に高められるのがわかるだろう。
ここでも、Intel Optaneは32GBの場合のほうが効果が高い。これは、容量が大きいほどキャッシュヒット率が高まるためだろう。
Intelが調べたところ、平均的な一般ユーザーは1日あたり最大11種類のアプリケーションをそれぞれ最大7回起動するという。また、ITユーザーでは1日あたり最大14種類のアプリケーションをそれぞれ最大8回起動するという。つまり、1日あたり77~112回もアプリケーションの起動を行なう計算だ。
それだけの回数アプリケーションを起動するとなると、わずかな起動時間の差も累積で大きな時間差となってしまう。今回の検証で、最も起動時間の差が少なかったのは、PowerPoint 2016のHDDと、HDD+Intel Optaneメモリー16GBの約2.9秒だが、それでも1日で77~112回の起動を繰り返すと、223.3~324.8秒の差となる。年間の勤務日数が240日の場合には、年間で最大約21時間39分の差となる。
もしこれが、Photoshop CC同等の起動時間がかかるアプリケーションだとしたら、起動待ちの差は993.3~1,444.8秒。つまり、Intel Optaneメモリーを利用しなければ、1日あたり約24分、1年間の勤務日数が240日の場合には1年間で96時間も余計に起動待ちに費やしてしまう計算だ。
とはいえ、システムのメインメモリが許す限り、アプリのバイナリはキャッシュされるので、2回目の起動は速くなり、実際にはここまでの待ち時間にはならない。また、起動時間の遅いアプリケーションを1日で最大112回も起動を繰り返すことはないだろう。
ただ、1回あたりの起動時間差がわずかでも、累積ではかなりの時間を失っていることがわかるだろう。つまり、Intel Optaneメモリーを利用するだけで、業務効率を大きく改善できるのだ。
続いて、Windows 10の起動時間だ。今回は、再起動してWindows 10のデスクトップ画面が表示されるまでの時間を計測してみた。こちらも3回ずつ手動で計測し平均を出している。
HDDのみ | HDD+Intel Optaneメモリー16GB | HDD+Intel Optaneメモリー32GB |
---|---|---|
18.4秒 | 19.1秒 | 18.8秒 |
結果を見ると、電源断からの起動時間は、HDD単体とIntel Optaneメモリー搭載時とでほぼ差がなかった。これは、Windows 10にはシャットダウン後の起動時間を高速化する仕組みが取り入れられているからだ。この点に関しては、Windows 10の大きな特徴であり、魅力でもあると言える。
ただ、今回計測した電源断からの起動時間は、デスクトップ画面が表示される瞬間までのもので、実際にはそれ以降もバックグラウンドで常駐アプリケーションなどの起動が続いており、完全な起動時間を計測できているわけではない。
そこで、電源断の状態から実際にアプリケーションを使った作業を開始できるまでにかかる時間を計測してみることにした。具体的には、スタートアップにPhotoshop CCを登録し、電源断からPhotoshop CCの起動が完了するまでの時間を計測した。こちらも3回ずつ手動で計測し平均を出している。
HDDのみ | HDD+Intel Optaneメモリー16GB | HDD+Intel Optaneメモリー32GB |
---|---|---|
106.4秒 | 41.8秒 | 41.8秒 |
こちらの結果を見ると、Intel Optaneメモリー搭載時には起動時間が60秒以上高速化されていることがわかる。Windows 10では起動時間の高速化の仕組みが取り入れられてはいるものの、アプリが利用可能になるまでの時間を考慮するとIntel Optaneメモリーの効果は絶大だ。業務効率の改善の点から、ユーザー自身、そして経営者にも気になる結果と言えよう。
セキュリティ対策の観点からも、Intel Optaneメモリー対応の最新システム導入がお勧め
ここまで見てきたように、Intel Optaneメモリーは、HDDを使ったシステムでもコストを抑えつつSSDなみの高速アクセスを実現し、PC作業の効率を大きく高められることがわかってもらえたと思う。
ただし、このIntel Optaneメモリーは、どのPCでも利用できるわけではない。Intel Optaneメモリーの利用には、Intel 200シリーズチップセットを採用するマザーボードと第7世代Coreプロセッサーの組み合わせを採用するPCが必須となる。つまり、現時点でIntelの最新システムを採用するPCでなければ利用できないのだ。利用しているPCが対応システムではない場合には、買い換えが必要となる。
ただ、現在はシステムを刷新するのにちょうど良い時期でもある。現時点でも多くの企業でWindows 7ベースのPCが多数稼働しているが、Windows 7はメインストリームサポートが2015年1月13日ですでに終了しており、その後の延長サポートも2020年1月14日に終了する。つまり、OS刷新のタイミングが今まさに到来しているというわけだ。
2014年4月にWindows XPのサポートが終了した際には、多くの企業がサポート終了ぎりぎりまでPCシステムの入れ替えを行なわなかったことで、さまざまな混乱を来してしまった。その反省を踏まえてマイクロソフトは、Windows 7のサポート終了に合わせたシステムの入れ替えを早め早めに啓蒙していく意向を示し、最新OSであるWindows 10への移行を促している。
また、Windows 7世代のPCシステムの基本設計では、現在求められる最新のセキュリティ要件に対応できない場面が増えている。それによって、今後登場してくるさまざまなマルウェアなどからの脅威を防げず、セキュリティリスクが高まってしまう懸念がある。これは、企業で利用するPCとして見過ごせない部分だろう。その点、Intel Optaneメモリー対応PCは、最新のアーキテクチャを採用しているため安心となる。
企業で利用するPCを刷新するにはさまざまな困難が伴うが、日増しに高まるセキュリティリスクを考えると、悠長に構えてはいられない。そして、大幅なコスト上昇を伴うことなく、業務効率も高められるという点で、Intel Optaneメモリー搭載PCは有力な選択肢になると言える。
一例までに、対応製品として以下のものを紹介する。