特集

Skylake発表から読み解く、Skylake世代のMac選び

〜Macいつ買うの? (2)デスクトップ編

 「Macいつ買うの? (1)ポータブル編」に続いての、デスクトップ編となる。MacBookシリーズにあまり関心がない読者の方も、できればポータブル編から読み進めていただきたい。

 現在のMac製品に搭載されているプロセッサの世代は幅広い。既にこの予測一覧からは外しているが、最も古い現行製品は、非RetinaディスプレイモデルのMacBook Proだ。唯一光学ドライブを搭載する製品でもある。プロセッサは第3世代Coreの「Ivy Bridge」となっている。

 続く第4世代Coreが「Haswell/Haswell Refresh」である。実はMac製品の現時点での主力はこのHaswellで、特にデスクトップ向けの製品はMac Proを除いて全てHaswell/Haswell Refresh搭載製品となっている。第5世代Coreプロセッサの「Broadwell」は、Core Mを搭載するMacBookと、TDP 18WのMacBook Air、TDP 28Wの13型MacBook Pro Retinaディスプレイモデルで、ポータブル最上位の15インチMacBook ProもHaswell世代のプロセッサを積む。

 このように搭載されるプロセッサの世代が広がったのは、端的に言って第5世代Coreプロセッサの遅れだ。特にデスクトップ向けのBroadwell-Sシリーズとモバイル向けで標準電圧版とされるTDP 45WのBroadwell-Hは、2015年6月のCOMPUTEXで発表されている。デスクトップ向けは事実上倍率アンロック版が自作市場向けに出荷された程度で、これらのカテゴリにおいては、現時点で採用実績が乏しい。

Intelの発表資料から。第6世代Coreプロセッサとなる「Skylake」

 PCユーザー/PC自作ユーザーにはお馴染みだが、Mac製品向けの読者を考慮してIntelのプロセッサ開発戦略をおさらいしておこう。Intelは、TickTock(チックタック)の開発と呼んでいるが、これは新しいアーキテクチャの導入と、プロセスルールのシュリンクを交互に行なうという開発手法だ。実際のプロセッサを例に挙げると、第2世代Coreプロセッサの「Sandy Bridge」では新しいアーキテクチャが導入されている。続く第3世代「Ivy Bridge」ではプロセスルールをSandy Bridgeの28nmから22nmにシュリンクした。この組み合わせがTicTocである。「〜Bridge」と名称が共通化しているのはアーキテクチャに共通性があるからで、プロセッサはピン互換のことが多く、マザーボードなどの基礎設計も近い。

 続く第4世代Coreは「Haswell」となった。これは新しいアーキテクチャだが、プロセスルールは22nmのままである。そして第5世代「Broadwell」で、プロセスルールを14nmにシュリンクしている。ここまで説明すれば想像が付くように、今回のテーマであるSkylakeは14nmのプロセスルールで作られる新しいアークテクチャのプロセッサにあたる。ちなみにSkylakeの次は「Cannonlake」が予定されており、これはSkylakeのアーキテクチャを基本にして、10nmへのシュリンクを目指すことになる。

 一方でプロセスルールの微細化が進むに従って開発の困難さが指摘されており、10nm化はかのIntelでさえも容易に進むとは見られていない。言い換えればSkylake世代は長く続くことも想定されるので(※一方でそれはIntelの提唱するムーアの法則を否定することになるが)、Skylake世代のPC/Macはより長く使える製品になる可能性がある。Skylake世代が買い時と推すことができるのはこの部分にもある。

 こうしてHaswell世代が現行マシンの中心となっているデスクトップ型のMac製品は、iMacを筆頭に、早期にSkylake化が実現する可能性もあるというわけだ。以下の予測条件の解説はポータブル編と同じ内容になる。ポータブル編から来た人は数十行を読み飛ばしても構わない。

 予測のルールはこれまで通り、

  • 現状のMac製品のラインナップを維持
  • 製品内のグレードも現行世代を踏襲して想定。複雑になるためCTOは考慮しない
  • デザインはApple以外知りえないので、価格変更を伴う予測には加えない

 メモリやストレージの構成は毎回悩ましいところだが、基本的にこの1年間でもユーザーが必要とするメインメモリやHDD、SSDなどの容量が大幅に増減しているという状況にはないので、こうしたパーツの価格は同等と仮定する。

 メモリはSkylakeからDDR4メモリが採用される(DDR3メモリも利用できる)ことで、世代間では基準が異なることになるが、製品ボリュームの増加に伴いDDR4メモリの価格も下げているので、ほぼ同一の基準で取り扱う。HDD、SSDは容量あたりの単価は下げているので、その分は容量アップの方向で構成されると考えて相殺することにする。つまり、プロセッサの予測は入れるが、実際に搭載されるメモリやストレージについての詳細は入れない。

 要は推測である以上、完全な正解にはなり得ないので、米国における製品価格(税別)を現行のMac製品と想定するSkylake搭載製品で全て同一にするという条件共通化を行なったものと考えて欲しい。

 為替レートは1ドルあたり約120円と仮定して、予想価格はAppleのこれまでの価格体系に沿うように1,000円の単位を丸めている、為替は実際の製品発表時までに大きく動いてしまうこともあるので、その点はご容赦いただきたい。Skylakeのプロセッサは全てIntelが9月1日付けで発表した実在の製品だが、Mac製品に関してはあくまでこれは筆者個人の予測であると念を押しておく。

 それではポータブル版と同様に、Appleサイトの左側に掲載されている製品から順番に分析をしていこう。

21インチiMac

 現行の21インチのiMacは2013年9月に製品化されたものに、さらに2014年6月に低価格なモデルを追加したラインナップとなっている。最廉価な製品はTDP 28Wのモバイルプロセッサを搭載する。2013年のMac製品はシリーズを通して最も古く(※光学式ドライブを搭載するMacBook Proを除く)、Skylakeを搭載したリニューアルが待ったなしという状況にある。

 中位と下位はデスクトップ向けの標準電圧版(TDP 65W)のCPUを搭載するが、伝統的にディスクリートのGPUはモバイル向けの製品を採用しているのがiMacの特徴だ。

 iMacにおけるAppleの悩みは、いかにしてRetina化に取り組むかという部分にほかならない。現行モデルは1,920×1,080ドットの21インチパネルを採用しているが、これを縦横2倍の解像度として4Kパネル(3,840×2,160)を搭載し、どこまで価格を抑えることができるかどうかが課題となりそうだ。今回の予測はプロセッサを中心とするものなので、パネルの変更による価格の動きにはあまり考慮していないが、全てのモデルに4Kパネルを搭載して「All New 4K iMac」とアナウンスができるならば、大きなアピールになることは間違いない。

 デスクトップ向けとされるSkylake-Sシリーズは出荷時期も早く、今回の発表早々には自作市場向けの製品が秋葉原などの店頭に並ぶと見られる。つまり、iMacのリニューアルも極めて近いと見るのが妥当だろう。

 パネルサイズの変更も十分に考えられるので、24インチ前後の4K IPSパネルを採用するならば、iMacにとっては24インチ台の復活となり、24インチで4Kディスプレイをアピールしてくる可能性もある。その場合には、21インチは最廉価のモデルを継続販売するような形になるかも知れない。

21インチiMac
アーキテクチャ Haswell Refresh Skylake Haswell Skylake Haswell Skylake
CPU Core i5-4260U Core i5-6267U Core i5-4570R Core i5-6500 Core i5-4570S Core i5-6600
内蔵GPU機能 Intel HD Graphics 5000 Intel HD Graphics 550 Intel Iris Pro Graphics 5200 Intel HD Graphics 530 Intel HD Graphics 4600 Intel HD Graphics 530
ディスクリートGPU機能 - - - AMD Radeon R9 M370X NVIDIA GeForce GT 750M AMD Radeon R9 M370X
メモリ 8GB 8GB 8GB 8GB 8GB 8GB
SSD - - - - - -
HDD 500GB 500GB 1TB 1TB 1TB 1TB
米国価格(税別) 1,099ドル 1,099ドル 1,299ドル 1,299ドル 1,499ドル 1,499ドル
日本価格(税別) 126,800円 131,800円 148,800円 155,800円 172,800円 178,800円
現行モデル発売月 2014年6月 ※筆者予想 2013年9月 ※筆者予想 2013年9月 ※筆者予想

27インチiMac

 27インチのiMacも現行製品の発売はHaswellの出荷から数カ月遅れの2013年9月に行なわれている。当初は2モデルが標準モデルとして用意されていたが、現在では上位にあたるモデルが終息しており、通常解像度の27インチモデルは1機種のみとなっている。

標準解像度モデルの21インチiMacと27インチiMac

 上位モデルディスコンの理由は、2015年5月に投入された5K iMacの下位モデルにあると言えるだろう。下位の標準解像度モデルと下位の5K対応モデルで30,000円(税別)の価格差まで抑えることができたことで、上位の標準モデルは製品としてのポジションを失った。この流れでさらに5Kパネルの価格低下が見込めるのであれば、Skylake世代の27インチiMacは全て5K iMacになる可能性がある。

 その場合はこのカテゴリ自体が存在しなくなるわけだが、プロセッサ自体は後継と目されるSkylake-Sシリーズが発表されているので、予測の表は用意してある。

27iMac
アーキテクチャ Haswell Skylake
CPU Core i5-4570 Core i5-6600
内蔵GPU機能 Intel HD Graphics 4600 Intel HD Graphics 530
ディスクリートGPU機能 NVIDIA GeForce GT 755M AMD Radeon R9 M370X
メモリ 8GB 8GB
SSD - -
HDD 1TB 1TB
米国価格(税別) 1,799ドル
日本価格(税別) 208,800円 215,800円
現行モデル発売月 2013年9月 ※筆者予想

iMac Retina 5Kディスプレイモデル

 5Kのパネルを搭載するiMac Retina 5Kディスプレイモデルは、2014年10月に発表されて11月から出荷が始まった。従来の27インチパネルの解像度である2,560×1,440ドットを、縦横ともに2倍の5,120×2,880ドット化した5Kパネルは実に高精細なものだ。

5,120×2,880の5Kパネルを搭載するiMac Retina 5Kディスプレイモデル

 最近では、2015年5月に下位のモデルが「Haswell Refresh」で追加された。同時に、先行していた上位モデルの価格の見直しも行なわれている。このようにポータブル編でも紹介した通り、事実上Broadwell-Sのスキップが行なわれている。そういった意味でも、極めて近いタイミングでモデルチェンジが行なわれる可能性は高いと言って差し支えないだろう。

 Skylake搭載モデルに関しては、先の標準解像度モデルの27インチを取り込む形で3モデルに拡大する可能性も高い。

 iMacシリーズの全てに共通して言えることだが、インターフェイスについては、Skylakeを搭載してくる以上、Type-Cを採用するUSB 3.1やThunderbolt 3の搭載は現実的なものと想定される。

5K iMac
アーキテクチャ Haswell Refresh Skylake Haswell Refresh Skylake
CPU Core i5-4590 Core i5-6500 Core i5-4690 Core i5-6600
内蔵GPU機能 - Intel HD Graphics 530 - Intel HD Graphics 530
ディスクリートGPU機能 AMD Radeon R9 M290 AMD Radeon R9 M390X AMD Radeon R9 M290X AMD Radeon R9 M390X
メモリ 8GB 8GB 8GB 8GB
SSD - - - -
HDD 1TB 1TB 1TB(Fusion Drive) 1TB
米国価格(税別) 1,999ドル 1,999ドル 2,499ドル 2,499ドル
日本価格(税別) 238,800円 238,800円 258,800円 298,800円
発売時期 2015年5月 ※筆者予想 2014年10月 ※筆者予想

Mac Pro

 Mac ProはXeonプロセッサを採用しており、現行モデルのアーキテクチャはIvy Bridgeが採用されている。このサーバーラインのプロセッサはHaswellへと移行している段階で、今回のSkylake発表とはタイミングを全く異にするものだ。

 Mac Proも現行モデルは2015年末には事実上の出荷2年を迎えるので、モデルチェンジのタイミングはそれなりに近づいていると見て間違いない。やはり注目するのはインターフェイス群ということになる。

現行のMac Proに搭載されているインターフェイス。次期モデルでは、これらがThundebolt 3とUSB 3.1へと転換する可能性は高い

 現行のMac Proの場合、Thunderbolt 2×6、USB 3.0×4、Gigabit Ethernet×2、HDMI 1.4×1が主なインターフェイスだ。ディスプレイは、3台の5Kディスプレイを接続できる。これは2つのThunderboltを一対にして利用することで実現している。Thunderbolt 3では1本の接続でも5Kディスプレイへの表示は可能だが、これは1本でマルチストリームを実現しているからで、Mac Proと同様に3つのホストコントローラを搭載した場合も、ほぼ同様の3台となる可能性はある。新モデルではHDMI出力も2.0に対応して欲しいところだ。コンシューマ向けの製品ではなく、今回のSkylakeとの関連も薄いので、Mac Proについての表はこれまで通り用意しない。

Mac mini

 実は前回の予測記事で最も大きなハズレを出したのがこのMac miniということはあまり注目されていない。注目されていないが、大きく予測を外した敗戦の弁をここで述べておこう。

外見こそ変わらなかったが、内面はCPUのレンジを変更するという大改革

 前回のモデルチェンジでMac miniの外見は変わらなかったが、その中身は大きく変わった。Mac miniはデスクトップという位置付けにも関わらず、省電力なモバイル向けのプロセッサを利用している。これまでは、当時Mシリーズと呼ばれていたTDP 45Wのモバイルプロセッサだった(現在ではHシリーズに該当する)。ところが2014年10月に行なわれたモデルチェンジでは、さらにTDPを落とした28WのUシリーズへと移行した。これは2012年のIvy Bridgeに対して2014年のHaswell Refreshでは、TDPを45Wから28Wに落としたUシリーズを採用してもMac miniとしてのスペックが維持できるという判断が働いた可能性がある。

 今回の予測はそれに従って極めて無難なもので、やはりUシリーズの採用を継続した場合という仮定のもとに行なっている。ただMac miniでは、この製品筐体が採用されてからの期間は長い。ディスプレイを自由に選べる、あるいはディスプレイ無しのヘッドレスで運用するなどMac miniにはさまざまな選択理由がある。こうしたコンセプトの新しいMac miniもそろそろ目にしたいところである。

 インターフェイス類も、ほかのMacと同様にいずれはUSB 3.1やThunderbolt 3へと移行すると思われる。一方、依然として旧来のインターフェイスを使い続けたい層も少なからずいることから、そうした層に考慮して、Mac mini自体のモデルチェンジは遅めというのが筆者の予測だ。

Mac mini
アーキテクチャ Haswell Refresh Skylake Haswell Refresh Skylake Haswell Refresh Skylake
CPU Core i5-4260U Core i5-6267U Core i5-4278U Core i5-6287U Core i5-4308U Core i7-6567U
内蔵GPU機能 Intel HD Graphics 5000 Intel HD Graphics 550 Intel Iris Graphics 5100 Intel HD Graphics 550 Intel Iris Graphics 5100 Intel HD Graphics 550
ディスクリートGPU機能 - - - - - -
メモリ 4GB 4GB 8GB 8GB 8GB 8GB
SSD - - - - - -
HDD 500GB 500GB 1TB 1TB 1TB(Fusion Drive) 1TB(Fusion Drive)
米国価格(税別) 499ドル 599ドル 699ドル 699ドル 999ドル 999ドル
日本価格(税別) 58,800円 59,800円 82,800円 78,380円 118,800円 118,800円
現行モデル発売月 2014年10月 ※筆者予想 2014年10月 ※筆者予想 2014年10月 ※筆者予想

 Appleは、9日9日(米西海岸時間午前)に何らかの製品発表を行なうことを明らかにしている。しかし、これは例年この時期に開催される次期iPhoneと新しいiOS 9にフォーカスした内容と想像できる。Mac向けは次期OS Xの「El Capitan」の開発が進んでいるが、2014年と同様にiPhoneとはタイミングをずらした発表になると筆者は考えている。まあ推測である以上、外れる可能性も高い。この企画でも毎回大きなハズレを出しているので、読み終えた後で恐縮だが、気楽な気持ちで新製品を待っていただきたい。

 全体として見れば、新世代プロセッサに次世代インターフェイスの搭載が確実視されている。Mac製品の買い時としてピークを迎えるのが今秋から今冬なのである。

(矢作 晃)