【CES 2010番外編】新Atom搭載ネットブック「HP Mini 210」ファーストインプレッション


新Atomプラットフォームを採用した「HP Mini 210」

 Intelが昨年(2009年)12月21日に発表した、Pine Trailの開発コード名を持つ新Atomプラットフォーム。年明け早々から新プラットフォームを採用したネットブックの発表、発売が相次ぐ予定だが、International CESのために訪れている米ラスベガスの量販店では、すでにこの新Atomプラットフォームを搭載した「HP Mini 210」が販売されていた。編集部ではこの製品を379.99ドル(+税)で購入。さっそくレポートをお届けしたい。


●新デザインが目を引くHP Mini 210

 今回購入した新Atomプラットフォーム採用製品は、HPの「HP Mini 210-1050NR」というモデル。HP Miniシリーズはネットブック黎明期からVIA、IntelのCPUを使った小型PCをラインナップし、このジャンルの確立に一役買ったブランドといって差し支えないだろう。そのHP Miniシリーズが、さっそく新Atomプラットフォームへ切り替えてきたわけだ。

 本製品はHP Miniシリーズでも新デザインを採用。本体がこれまでよりも薄くなった印象を受ける。本体サイズは実測で270×193×25〜35(幅×奥行き×高さ)mm。厚みの大きいところは写真で示したバッテリによる後部の持ち上がりを加えた値である。

 大きく変わったのは、キーボードがいわゆるアイソレーションキーボードへと変更され、タッチパッドもパッド部とボタンが1枚のパネルになっている点だ。

 キーボードで特徴的なのは、ファンクションキー部。この1列が輝度変更やボリュームキーなどを割り当てられており、[Fn]キーのコンビネーションによってF1〜F12キーを入力できる仕組みになっている。

 また、カーソルキーの上下は、1つのキーの縦1個分に詰め込むという状況。実際使ってみるとアイソレーションタイプを採用したおかげで間違えるということは少ないが、あまりに小さすぎて操作は慎重にならざるを得なかった。

 また、吸排気用のスリットが多く、両側面および前面部に設けられている。本体がかなり薄くなったことを吸排気口を増やすことでカバーしていると見られるが、本体底面はわりと熱い。その代わり、ファンは備えているが静音性は保たれており、設計の方向性を垣間見ることができる。

 液晶ディスプレイは10.1型の1,024×600ドットパネル。この解像度は以前のネットブックと同じである。本製品はグレアタイプの液晶を採用しており、発色は悪くない印象を受ける。

 そのほか、メモリ1GB、HDD 250GB、IEEE 802.11b/g/n対応無線LAN、5in1カードスロット、液晶上部にWebカメラを内蔵するなどが主な仕様となっている。

HP Mini 210のパッケージ 内容物。マニュアル類やクロスなどが付属している キーボードはアイソレーションタイプを採用。ファンクションキーはFnキーを押して利用。カーソルキーはかなり無理して詰め込んでいる
タッチパネルは1枚パネル風に。これまでのHP Miniシリーズのネットブックでは左右にボタンを備えていたが、一般的な配置に変更された 本体右側面。手前方向より5in1カードスロット、電源スイッチ、USB 2.0×2、有線LAN、セキュリティロックを備える 本体左側面。手前方向よりヘッドホン出力、USB 2.0、HDDアクセスランプ、ミニD-Sub15ピン、バッテリインジケータ、ACアダプタコネクタを備える
本体手前部にはスリットを備えている。底面にはスリットが入っていない 液晶はグレアタイプの10.1型。ちなみにこの画面は初回起動時のセットアップ画面で、ウイルス対策ソフトの有効化や、HP独自ソフトのレジストレーションなどを行なうウィザードになっている 液晶解像度は従来のネットブックと同じく1,024×600ドット
初回起動直後のデスクトップ画面。バンドルソフトはアメリカ向け製品ならではのものだろう 初回起動直後のHDDの状況。250GB HDDを内蔵しており、リカバリ領域やHD独自ソフトが使う領域で2GB程度を使う以外は、ほぼフルにCドライブに割り当てられている 本製品のデバイスマネージャ画面。チップセットはNM10とされているが、IO周りの機能は旧ネットブックと同じくICH7をベースにしていることが見て取れる

 さて、旧ネットブックではWindows XP Home EditionのULCPC版を採用する例が多かったが、本製品はWindows 7 Starterをプリインストールしている。このプラットフォームでは、Windows 7 Starterを採用する例が増えるのではないかと思われる。Windows Aeroはサポートしていないので、解像度の低さがやや気になるところ。Windows 7のタスクバーは小さいアイコンにするなど、使用上の工夫は必要そうである。

Windows 7 Starterを採用。本製品のグラフィックスはDX9に対応しているのでAeroが使えなくはないが、Starterの仕様により無効化されている

 1つ気になったのは、Windows 7 Starterのライセンスシールが製品のどこにも貼ってなかったことだ。付属品にも見当たらない。これがWindows 7 Starterにおけるルールなのか、購入した製品の問題なのかは現時点では不明である。

 電源周りでは、本製品は6セルのリチウムイオンバッテリを本体背面に搭載。先に示した側面インタフェースの写真からも分かるように、やや後部が持ち上がる格好となる。

 ACアダプタは小型で、ケーブルを束ねるベロクロテープも取り付けられている。ACケーブルの接続口はミッキー型。これはアメリカで販売されている製品らしさといえる。また、ACアダプタと本体を接続するジャックが小型化されているのも目にとまる。本体側のIOスペース節約につながる、改善点といえるだろう。


付属のバッテリ。11.1V/5,225mAhの6セルバッテリとなっている ACアダプタとケーブル。ACアダプタは小型でベロクロテープも付いているので携行しやすい
ACアダプタとACケーブルの接続はミッキー型となっている ACアダプタと本体の接続口。左が一般的なサイズ、右が本製品のもので、小型のコネクタになっていることが分かる。これでL字型なら、なお良かったように思う
Atom N450はシングルコア製品で、Hyper-Threadingにより2スレッド同時実行が可能

 最後に簡単ながらベンチマークの結果を紹介しておく。新Atomプラットフォームを採用した本製品のCPUはAtom N450となる。シングルコア製品で、Hyper-Threadingにより2スレッドの同時実行が可能のはAtom N200番台と同じ。1.66GHzの動作クロックは従来のAtom N280と同じだ。

 アーキテクチャ上の特徴は、メモリコントローラとグラフィックス機能を1つのダイに統合したことである。これまではCPU+グラフィックス統合型チップセット+サウスブリッジの3チップ構成であったものが、GPU&メモリコントローラ統合型CPU+サウスブリッジの2チップ構成になり、省電力化やチップ実装面積の削減につながる。

 統合されたグラフィック機能はIntel GMA 3150と命名された。とはいえ、実態は旧Atomプラットフォームで使われていたIntel GMA 950とほぼ同じ。IO周りを提供するサウスブリッジの役割は、1チップ・チップセットのIntel NM10が担う。

 結果は、旧製品のレビューなどと比較してほしいが、基本的には性能面で大きな上積みは期待できないことが分かる。OSが異なるとはいえ、スコアが旧製品よりも低くなっているのは気になるところだ。

Windows 7のエクスペリエンスインデックス

 なお、PCMark05は一部テストが1,024×768以上の解像度でないと実行できないため、テストを省略。PCMarkスコアとGraphicsスコアは測定できていない。

 バッテリ駆動時間は、液晶輝度最大、512×288ドット/800KbpsのWMV9動画を再生し続けたときの時間を測定。時間の関係でバッテリ切れまで測定することができなかったが、残り80%へ低下した段階で、1時間25分ほど経過。リニアに減るとは限らないが、この調子でいけば6〜7時間は狙える駆動時間である。負荷の軽い動画ながら、液晶輝度は最大にしており、旧ネットブック以上の駆動時間を期待できそうだ。

□ベンチマーク結果
3DMark06 Build 1.1.0
800×600ドット
Overall 154
SM2.0 71
CPU 494
FF Bench3 Low 1142
CineBenchR10 Single CPU Rendering 567
Multi CPUs Rendering 868
PCMark05 Build 1.2.0 CPU 1413
Memory 2499
HDD 6324

 出張先であったため試せることも限られてしまったが、新Atomを搭載した製品がさっそく販売されている点、価格が400ドルを切っている点などは興味深い。国内でもデルやKOUZIROらが新Atom製品を予告、発表している。

 性能面では旧Atomのプラットフォームから目立った進化はないが、理論上はチップ数を減らしたことで消費電力が減るし、途中経過の結果ながらバッテリ駆動時間も良好な傾向が伺える。ネットブックの性格を考えると、このバッテリ駆動時間の向上は意味があるだろう。

 早期の製品の投入、価格、バッテリ駆動時間という3点が目玉となりそうな新Atomプラットフォーム。今年のモバイルPCを占う意味でも、採用製品の今後の動向に注目してみてはどうだろうか。

(2010年 1月 6日)

[Reported by 多和田 新也]

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