特集
プロが選ぶ2017年春の推しモバイルノート
~最新モデル9製品を徹底比較
2017年5月3日 06:00
結果発表
ライター 笠原一輝
おすすめ1位として選んだ製品: デル XPS 13 2-in-1
XPS13 2-in-1とThinkPad X1 Carbonが同点で首位となった。どちらも狭額縁のディスプレイを採用しており、筐体のサイズが1インチ小さなディスプレイと同等とコンパクトなことは賞賛に値する。最終的な決め手となったのは、XPS 13 2-in-1がタッチやペンをサポートしていること。Windows 10の本当の魅力を引き出すには、タッチとペンは必須だと考えるのでXPS 13 2-in-1を1位とした。逆に言えば、ThinkPad X1 Carbonの2点減点の要因はそれなので、ペンやタッチが必要ないならThinkPad X1 Carbonが首位である。
ライター 平澤寿康
おすすめ1位として選んだ製品: レノボ ThinkPad X1 Carbon
携帯性では特に軽さ、ディスプレイは光沢液晶か否か、拡張性は標準サイズポートやSDカードスロットの有無、使い勝手は性能面、キーボード、ポインティングデバイス、タッチ対応の有無などを重視。その結果、14型液晶搭載で軽さ、サイズとも不利ながら、ThinkPad X1 Carbon(第5世代)がトップとなった。やはり全体的なバランスの良さが突出している。非常に扱いやすいキーボードとポインティングデバイス、豊富なポート類、頑丈で飽きの来ないデザインの筐体など、さすがThinkPadシリーズだという印象を改めて強く受けた。個人的には、標準サイズのSDカードスロットが使えない点ぐらいがマイナス部分で、評価はほかを圧倒した。
ライター 山田祥平
おすすめ1位として選んだ製品: NEC PC LAVIE Hybrid ZERO(13.3型)
800g前後でタッチに対応し、しかも10時間のバッテリ駆動時間という点で、まさに薄さ軽さともに正義を感じる。ただ、世界最軽量の769g機は、バッテリ駆動時間6.5時間ということで話にならない。また、LTE対応なども今後の課題として検討してほしいところ。Wi-FiやBluetoothの接続性については今後のドライバのバージョンアップなどで、なんとか改善してほしいと切実に思う。きっと次のモデルでは、USB PD対応なども実現されるだろう。その際には16:10や3:2アスペクト比の液晶採用やキーボードレイアウトの改善なども考えてほしいものだ。
写真家 若林 直樹
PC Watch編集長 若杉紀彦
おすすめ1位として選んだ製品: 日本HP Spectre x360
1位はHP Spectre 360。鋭角な新しいHPロゴと製品の色味も相まって、かなりイケているデザインに仕上がっている。重量は1.31kgでやや重めだが、2in1、タッチ、4K、Core i7、SSD 1TB、メモリ16GBなど仕様がかなり攻めているのも好印象。デジタイザや顔認証サポートも利便性を高めている。個人的にはSDカードリーダがあればなお良かった。
次点は富士通のLIFEBOOK UH。驚異的な軽さと、インターフェイスの充実ぶりで、モバイルワーカーに広くお勧めできる。
今回の審査で、各人のスコアの合計平均値が一番高かったのは21.4点をとったレノボの「ThinkPad X1 Carbon」となった。全体的なバランスのよさにより総合1位である。総合2位はデル XPS 13 2-in-1で21点、総合3位はApple MacBook Pro(13.3型)となっている。
総評 ~審査を終えて
ライター 笠原一輝
今回、狭額縁ディスプレイを採用した製品が、XPS 13 2-in-1、LAVIE Hybrid ZERO 13.3、ThinkPad X1 Carbonと3製品あった。特にXPS13 2-in-1とThinkPad X1 Carbonの両製品は、いずれも1インチ小さなディスプレイを採用した製品と同じ底面積を実現しており、カバンに入れたときのコンパクトさは秀逸。ユーザーとしては、ディスプレイが大きければ大きいほどいいのは言うまでもなく、この点で両製品ともデザイン的にも、使い勝手の点からしても高い評価を与えられる。
では、LAVIE Hybrid ZERO 13.3はなぜ評価が高くないのかと言われれば、Windows Hello対応、ペン、そしてUSB Type-C/USB PDのACアダプタといった最新の技術が採用されていないことだ。ハイエンドノートPCの使い勝手を考えれば、それらの要素は必須と言え、そこは妥協しないでほしかった。タッチやペンに対応していないThinkPad X1 Carbonを1位にしなかったのもそれが理由で、そのタッチ/ペン版であるThinkPad X1 Yogaが同じような狭額縁デザインになれば、間違いなく1位に来るのではないだろうか。
また、3位としたMacBook Proも、macOSであることを除けば、クラムシェル型ノートPCとしては高いバランスに優れた製品だと思う。Touch Barにはいろいろな意見があると思うが、筆者が常々言っているとおりそうしたモノは”慣れ”の要素が大きく、慣れてしまえばさほど問題はないと思う。もちろん慣れるのが嫌だという人にとっては厳しい選択肢であることは否定しないが……。
まとめると、今年(2017年)のハイエンドノートPCのトレンドは、狭額縁による底面積の縮少、Windows Helloやペン、USB TypeーCやThunderbolt3による拡張性などのWindows 10の機能をフルに活用できる機能というところにあると思う。それらすべてを満たしているデルのXPS 13 2-in-1が今シーズンのベストワンにふさわしいと思う。
ライター 平澤寿康
ここ数年で、軽量モバイルの進化は目覚ましく、おおいに選択肢が増えた点は個人的に非常に嬉しい部分だ。ただ、薄さや軽さを追求すればするほど細かな妥協点が増えてくるのも事実で、特に圧倒的な軽さの製品では、細かな妥協点も多くなっているように感じた。最近ではSDカードスロットを省く製品が増えている点は、個人的にかなり残念な部分。今後は、軽さだけでなく利便性も追求した製品開発を期待したい。
とはいえ、その妥協点をどう感じるかは人それぞれだ。また、液晶の仕様、キーボードの打鍵感などは、個人的な好みで大きく判断が分かれる。今回の評価が、製品選択の一助となると嬉しいが、筆者の個人的な嗜好もかなり色濃く反映されているため、実際の製品選択では、実際に自分の目で見て、触って確認することが不可欠だということも付け加えておく。
ライター 山田祥平
13型クラスのモバイルノートPCを選ぶとき、タッチに対応しているかどうかは大きな悩みどころとなる。タッチ対応するだけで、このサイズでは100g以上重くなる。だが、インセルでタッチ対応したLAVIEはその矛盾を克服できている。クラムシェルで十分という基準でモバイルノートを選ぶとあとでいろいろ不便を感じるようになるのは目に見えている。たとえクラムシェルノートにしてもタッチ対応していたほうが使いやすい。
個人的には、YOGAスタイルにこだわらなくてもいいので、LAVIEがクラムシェルタッチ対応機として生まれ変わってほしい。もちろんアスペクト比は16:9以外で。
写真家 若林 直樹
画質と容量を重視して見てきたが、今回の製品すべてがIPS液晶を採用しており視野角による劣化は少ない。液晶面は非光沢と光沢があり、タッチパネル採用しているものは多少画質が落ちるようだ。
ストレージの容量も256GBが多く、それ以上のものはないかカスタマズモデルになる。長く使うのであれば極力大きいサイズが好ましい。このサイズのモバイルノートは軽量化が進み性能もアップしている。また衝撃に強い製品もあり、私のように大容量のデータを旅先で使うのでなければなるべく軽量化したほうが負担にならなくてよいだろう。
今回目に付いたのはUSB 3.1やUSB Type-C/Thunderbolt 3など、次世代の規格が採用され標準になりつつあること。MacBook ProのようにThunderbolt 3だけだと資産を使うためにアダプタが必要になる。旧規格のものも使えるノートPCならよりGoodだ。
PC Watch編集長 若杉紀彦
モバイルノートに求めるものは人それぞれだろうが、今回は機能性とデザインに焦点を当てて選んだ。いろいろなところに持ち運んで、いろいろなスタイルで利用できることは価値となるだろう。
個人的にデザインでいいと思ったのは、HP、デル、Apple、レノボ、富士通の製品。持ち運ぶだけに、デザインには気を配りたい。軽量さも重要ではあるが、普段2.1kgのノートを持ち運んでいる観点から、今回の製品はどれも及第点。
性能面ではデルとエイサーの製品はいわゆるCore Mなので、高負荷なタスクは厳しいかもしれないが、おおむねいずれの製品もビジネス利用ではそこまで差は出ないだろう。その意味でも、拡張性は使い勝手にかなり影響してくるので、そのあたりも加味して選びたい。