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東芝、阪大の次世代気象レーダーを活用した豪雨検知システム
~ゲリラ豪雨発生の予兆を高速、高精度で検知
(2015/7/6 17:32)
東芝は、大阪大学大学院工学研究科の牛尾知雄准教授らの研究グループ、大阪府と共同で、豪雨検知システムの実証実験を開始した。実験は情報通信研究機構(NICT)などの協力のもと行なわれ、実証期間は2年間の予定。
実験では、大阪大学吹田キャンパスに設置され、2012年8月より観測実験を行なっているフェーズドアレイ気象レーダーを活用。フェーズドアレイレーダーは、航空機やミサイルなどの飛翔体検出にも用いられるレーダーで、多数のアンテナ素子を配列し、それぞれの素子における送信及び受信電波の位相を制御することで、電子的にビーム方向を変えることができる。
フェーズドアレイ気象レーダーでは、従来のパラボラアンテナを機械的に回転させる気象レーダー(MPレーダー)と異なり、瞬間的にビーム方向を自由に変化させることができるため、従来のアンテナでは約5分かかっていた積乱雲などの詳細な3次元構造の観測を、10~30秒で観測可能だという。局地的大雨を発生させる積乱雲は10分程度で急発達し、竜巻も数分で発生し移動するため、それらの兆候をより迅速に察知するためには、より短時間で詳細な3次元構造を観測できるフェーズドアレイ気象レーダー技術が求められていた。
今回の実験では、フェーズドアレイ気象レーダーと、降雨量を正確に観測できるMPレーダーを組み合わせ観測データを解析することで、ゲリラ豪雨の発生を事前に検知し、検知結果を大阪府の水防本部、出先事務所などに設置されたシステムへメールで配信されると共に、パトランプの点灯で通知する。
同システムは大阪府内10箇所で運用され、防災対策におけるシステムの有効性の検証が行なわれる。
東芝では、今回の実証試験の結果を踏まえ、将来的にはフェーズドアレイ気象レーダー/MPレーダーの機能を併せ持つ、次世代気象レーダーを開発し、2018年を目途に、ゲリラ豪雨や竜巻などの突発的な気象現象を高速/高精度に予測し、自治体などに情報を配信するシステムの構築を目指すとしている。