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理研、30秒間隔で更新し10分後までリアルタイム予測する降水予報サイト

 理化学研究所(理研)、首都大学東京らの国際共同研究グループが4日、最新の気象レーダーを使い、30秒ごとに更新する10分後までの降水予報のリアルタイム実証を開始した。この予報は、気象庁の許可を得て、理研がサイト上で公開している。

 既存の降水予測手法としては、気象レーダーが捉える降水パターンの動きを追跡し、将来もそのまま動き続けると仮定して予測する「降水ナウキャスト手法」が用いられている。この手法は、シミュレーションに比べ、計算量が大幅に少ないが、予測精度が急速に低下する欠点がある。また、平面上の降水パターンを追跡するもので、雨粒の鉛直方向の動きを考慮していない。

 そこで同研究グループは、30秒ごとに60km遠方までの雨粒を隙間なくスキャンする「フェーズドアレイ気象レーダー」のビッグデータを降水予報に活かすため、観測された雨粒の立体的な動きを捉え、将来もそのまま動き続けるという仮定のもとで予測する「3D降水ナウキャスト手法」を開発した。

 また、大阪大学に設置されたフェーズドアレイ気象レーダーのデータを用い、リアルタイムに予測を実行するシステムを構築し、サイト上で公開した。

 10分後という短時間の予測であっても、適切に利用することで、生活や防災に役立てられると期待している。

 なお、現在30秒更新の10分予報を行なっているのは関西地域に限定され、世界各国を含むその他の地域は1時間更新の12時間予報となっている。