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NASAが開発した二足歩行ロボット「ヴァルキリー」
(2013/12/12 06:00)
米IEEE Spectrum誌は10日(現地時間)、米国航空宇宙局(NASA)が開発した二足歩行ロボット「ヴァルキリー」についての取材記事を公開した。
ヴァルキリーは、12月に開催される国防高等研究計画局(DARPA)主催のロボット競技大会「DARPA Robotics Challenge」(DRC)に向け、NASAがゼロから開発したもの。DRCの目的は、災害救助など危険な場所での複雑な作業を行なえる地上ロボットの開発となっており、予選には16のチームがそれぞれのロボットを持ち寄る。NASAのジョンソン宇宙センターでは、55人からなるチームを編成し、9カ月で新規のロボットを開発した。
ヴァルキリーは、身長190cm、体重125kgで、全部で44の自由度を持つ。人間に代わって、悪い足場や、階段を上ったりした上で、道具を使ったり、運転作業などを行なうということで、人間と同じ2本の腕と2本の脚を持たせた。腕は7自由度、脚は6自由度を持つ。故障を考慮し、腕や脚など主要なパーツは簡単に取り外し/交換ができ、腕と脚は、左右のどちらにも取り付けられる。背中にはバッテリを搭載する。
このほか、頭部、腹部、前腕、膝、爪先にカメラを、腹部にはソナーも内蔵。ヴァルキリーの最終目標は、可能な限り自律的に行動できることだが、12月の大会では人間による遠隔操作も利用され、カメラなどのセンサーから得られた情報は、オペレーターにも伝えられる。
NASAでは、国際宇宙ステーションの船外作業を補助するロボットの開発経験はあるが、宇宙空間では、基本的に歩行する必要がなく、落下の心配もないなど、地上とは情況が大きく異なるため、ヴァルキリーは新しい技術を用い、ゼロから開発することとなった。
では、なぜNASAがヴァルキリーを開発するに至ったのかというと、そこには将来の有人火星探査が見据えられている。人間が火星に行くには、まずロボットを派遣し、人間が滞在できるようにするための準備を行なう必要があるのだ。ヴァルキリーの技術は、その礎となる。
記事中でも触れられている通り、「ヴァルキリー」の名前は北欧神話の女神「ワルキューレ」に由来する。そして、胸元の膨らみや、特殊な布で実現された全身の柔らかさなど、多分に女性的な雰囲気を持つ。ヴァルキリーに柔らかさを持たせた理由についてNASAでは、隣にいる時に人間と作業している感じを持たせるためとしているが、ヴァルキリーの公式な性別はないとしている。
NASAは12月18日(同)に、サイト上でヴァルキリーの詳細情報を公開する予定だ。